(*1) DDT(Dichloro Diphenyl Trichloro ethane)は20世紀半ばには「万能の殺虫剤」、1980年代にはその有害性がやり玉にあがって各国で使用禁止になったものの、現在ではまたその 効果と副作用の見直しが進んでいるとのこと。(参考: 有機塩素系殺虫剤DDTの歴史と未来) ソフトウェアテストの文脈では、「DDP」(Defect Detect Percentage、欠陥検出率)を連想するが、まったく関係ない。 ある綿花栽培農家が、ぞうむしの被害にあい、DDT(*1)を買うために農地を抵当に いれたとする。DDTを散布して害虫の98%を駆除し、作柄をなんとか維持できた。 翌年の春先、早めにDDTを散布したが、昨年駆除できなかった2%のぞうむしは DDTに耐性がついて、やはり作物を食い荒らしている。そこで今度はDDTとマラソン 剤を買うために農地を抵当にいれなければならないことになる。 つぎの年には、ぞうむしはどちらの殺虫剤にも耐性がつき、農場をまたも抵当にいれな ければならなくなる。 これが殺虫剤パラドックスであり、ソフトウェアテストでのパラドックスでもある。 (Boris Beizer『ソフトウェアテスト技法』より)