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オンラインフリーマーケットにおける売買成立に関する分析

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February 04, 2020

 オンラインフリーマーケットにおける売買成立に関する分析

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Matsuo

February 04, 2020
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  1. 目次 • はじめに • 社会的背景 • C2C取引の課題 • 本研究の目的 •

    先行研究 • 先行研究のまとめ • 先行研究に基づく仮説設定 • 分析方針 • 分析で使用するデータ • 分析方法 • ①売買成立率 • ②売買成立期間 目次 • 分析結果 • ①売買成立率 • ②売買成立期間 • 考察 • ①売買成立率 • ②売買成立期間 • 結論
  2. 本研究の目的 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 研究の問い •

    情報の非対称性の問題を抱えるC2C取引において、 ①買い手はいかなる情報をもとに購入する/しないを決定しているか ②出品してから売買が成立するまでの期間はいかにして決まるか • 研究対象 • オンラインフリーマーケットサービスであるメルカリに出品された書籍の出品データ100日分 (詳細は後述)
  3. 本研究の目的 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 研究のテーマと意義 テーマ

    目的 意義 ①売買成立率の分析 売買が成立したかどうかを被説明変数として、価 格や配送方法などの出品情報をもとにロジスティッ ク回帰分析を行い、どのような情報が売買成立 の決定要因となっているかを明らかにする 左記内容を明らかにすることで、 買い手が購入に踏み切るよう商品に 関する適切な情報提供、条件設定を 行うことで確実な売上獲得につなげる ②売買成立期間の分析 出品から売買成立までの期間を被説明変数とし て、出品情報をもとに重回帰分析を行い、 どのような情報が売買成立までの期間の 決定要因となっているかを明らかにする 左記内容を明らかにすることで、 出品から購入までの期間短縮を実現 し、在庫の管理費削減やキャッシュフ ロー安定化につなげる 売買成立に関する要因を分析・考察することで、 売り手・買い手双方が満足する売買を実現するための知見を見つけ出す
  4. メルカリについて はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • メルカリ •

    日本最大手のオンラインフリーマーケットサービス • 衣服、インテリア、本、ゲーム、家電など、 さまざまなカテゴリの商品が出品されている • 利用者は月間1,000万人にものぼる (2018年7月時点) • 出品商品の紹介ページ(右図) • 出品商品の商品名 • 出品価格 • 商品の状態 • 配送方法 など 株式会社メルカリ(2018) 「フリマアプリ「メルカリ」累計出品数が 10億品を突破」、 https://about.mercari.com/press/news/article/20180719_billionitems/ (2019 年 9月 17 日閲覧) 商品の 基本情報 出品 状況 商品名
  5. 先行研究 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 情報の非対称性による問題 •

    レモン市場の問題 • 買い手は、商品の品質が悪い可能性を踏まえて、より安価な場合にのみ購入する →本来は品質が高く、それに見合った値段であっても購入されなくなる • 先行研究 • B2C取引で購買を促進するには、商品の信頼性や正確な情報提供が重要(金・森高ほか(2013)) • C2C取引では、取引相手への不安が出品・購買行動を抑制するように働く(鶴沢(2018) • ネットオークションでは、売り手の過去の取引履歴が信用性を判断する要素(永星(2008)) • 価格や出品者の過去の取引数、商品画像が購買行動を予測するための要素として重要である (松本・大知(2017)) • 比較的安価で頻繁に購入する「最寄品」について消費者は、価格やクチコミ、時間節約を重視して 購買行動をとる(渡部・岩崎(2014)) 買い手の取引相手への不安が問題となっており、取引履歴・クチコミがそれを払拭する要素
  6. 先行研究 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 先行研究のまとめ •

    買い手の取引相手への不安が問題となっており、取引履歴・クチコミがそれを払拭する要素となる • 仮説設定 • ①売買成立率、および②売買成立期間は以下の要素が決定要因となるのではないか ・出品価格 ・出品者評価 購入者が相互に「良い」、「普通」、「悪い」の三段階で相手方を評価することができる ・出品商品に対するいいね 買い手は任意の出品商品に対して”いいね”を備忘のために付与することができる いわば”買い手間の競争”を演出する要素となり、購買を促進すると想定
  7. 分析に使用するデータ はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 分析対象の商品 •

    100日の間、1日に1回、メルカリのWebサイトから出品データを抽出・収集 • 以下、4種類の書籍に関する出品データを収集した 商品情報 ジャンル 標本数 ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング他『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10 の思い込みを乗り越 え、データを基に世界を正しく見る習 慣』日経 BP、2019年 (以下、FACTFULNESS という) ビジネス 2,232 グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にす る』かんき出版、2014 年 (以下、エッセンシャル思考という) ビジネス 427 樹木希林『一切なりゆき 樹木希林のことば』文春新書、2018年 (以下、一切なりゆきという) エッセイ 2,366 生田 絵梨花、中村 和孝『生田写真集 インターミッション』講談社、2019 年 (以下、生田写真集という) 写真集 760
  8. 分析に使用するデータ はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • データの説明 •

    1つの出品商品につき以下「商品データ」1組が取得できるため、それらデータを集計・加工し、分析に用いた 商品データ 単位 出品価格 百円 出品者評価(良い) 評価数 出品者評価(普通) 評価数 出品者評価(悪い) 評価数 出荷までの日数 日 いいね いいね数 費用負担元 ・出品者 ・購入者 商品の状態 ・新品、未使用 ・未使用に近い ・目立った傷や汚れなし ・やや傷や汚れあり ・傷や汚れあり ・全体的に状態が悪い 参考:対象となった書籍データの記述統計 加工データ 単位 費用負担元ダミー - 休日ダミー -
  9. 分析に使用するデータ はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • データの説明 ①売買成立率の分析

    • 被説明変数 • 売買成立(1)、不成立(0) ※出品取消の場合に不成立と判定 • 説明変数 • 1つの出品商品に対する右記データ ②売買成立期間の分析 • 被説明変数 • 出品から売買成立までの期間 ※データ取得期間中に売買成立となったデータのみ • 説明変数 • 1つの出品商品に対する右記データ
  10. 分析方針 ①売買成立率の分析 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • ロジスティック回帰

    • 分析対象となる事象が発生する(1)、しない(0)を分析するための手法 • オッズ比を対数化したlog-oddsに対し回帰を行い、その値をもとにクラス確率推定値を算出し、 決定境界を超えるか超えないかで0/1を判定する • 分析ツール • Python 3.6.5 • Statsmodels(version 0.10.1) log 1 − = = + + ⋯ + , = 1, … , . = ( ) :ロジスティック関数 • :定数 • ~ :偏回帰係数 • log :被説明変数 • ~ :説明変数
  11. 分析方針 ②売買成立期間の分析 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 重回帰分析

    • 連続尺度の被説明変数Yと説明変数X1~Xnの間にモデルを当てはめること • 被説明変数を導くにあたり、各説明変数が被説明変数にどの程度影響するかを分析できる • 分析ツール • Python 3.6.5 • Statsmodels(version 0.10.1) Y = + + ⋯ + , = 1, … , . • :定数 • ~ :偏回帰係数 • Y :被説明変数 • ~ :説明変数
  12. 分析結果 ①売買成立率の分析 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 有意となった説明変数

    ①価格 • 全分析で1%水準で有意(回帰係数:負) ②いいね数/経過日数 • 『エッセンシャル思考』以外で有意(回帰係数:正) ③出品者評価(普通) • 過半数の分析で有意(回帰係数:正負混在*1) ④商品の状態、出荷までの日数 • 全商品に対する分析においてのみ有意(回帰係数:負) 1 2 3 価格 いいね数/経過日数 出品者評価(普通) 4 *1 全商品の出品者評価のうち98.8%が”良い”であることから”普通”という評価は相対的 に見て悪い評価であり、通常は負となることが予想される. 生田写真集は、比較的標本数 が少ないことを踏まえると、売買成立となった商品のうちに占める”普通”評価比率が他と比べ 高かった事実はあるものの、有意となったのはデータの偏りと思われる. 商品の状態 出荷までの日数
  13. 分析結果 ②売買成立期間の分析 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 有意となった説明変数

    ①価格 • 全分析で1%水準で有意(回帰係数:負) ②出荷までの日数 • 『一切なりゆき』、『生田写真集』、及び全体に対する 分析において有意(回帰係数:負) ③いいね数/経過日数 • 『エッセンシャル思考』以外で有意(回帰係数:正) ④商品の状態 • 全商品に対する分析においてのみ有意(回帰係数:負) 1 価格 3 いいね数/経過日数 2 出荷までの日数 4 商品の状態
  14. 考察 ①売買成立率の分析 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 分析結果に対する考察

    仮説・想定 分析結果 考察 価格は売買成立率に影響を 与える 左記同上 買い手は出品価格をもとに意思決定をしているため、売り手と しては適切な価格設定が重要となる 商品の状態は売買成立率に 影響を与える 左記同上 買い手は商品の状態をもとに意思決定をしているため、売り 手としては出品物の品質管理が重要となる 出品者への評価が売買成立 率に影響を与える 「出品者評価(普通)」が 一部有意となったのみで、良い /悪いは有意とならなかった 商品画像のアップロードの義務付けによる情報の非対称性の 緩和や、メルカリというプラットフォームへの信頼感などにより、 出品者への取引履歴(評価)は、購入の意思決定の重要な 要素ではなくなった ー 出荷までの日数は売買成立 率に影響を与える 買い手は取引のスピーディーさを重視しているため、売り手とし ては出荷までの日数を短くすることで購入につなげられる ー 経過日数あたりのいいねの数 が売買成立率に影響を与える 買い手同士の競争状態を作り出すことにより、売り切れという 損失回避のために売買成立率が向上すると考えられる
  15. 考察 ②売買成立期間の分析 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 分析結果に対する考察

    仮説・想定 分析結果 考察 経過日数あたりのいいねの数が 売買成立期間に影響を与える 左記同上 買い手同士の競争状態を作り出すことにより、売り切れとい う損失回避のためにより早く購入するという意思を生み出す と考えられる ー 価格は売買成立期間に影 響を与える 買い手は出品価格をもとに意思決定をしているため、売り手と しては適切な価格設定が重要となる ー 商品の状態は売買成立期 間に影響を与える 買い手は商品の状態をもとに意思決定をしているため、売り 手としては出品物の品質管理が重要となる ー 『エッセンシャル思考』を除く すべての分析で有意とならな かった 出品者への評価数や内容は売買成立期間に対して影響を 与えない ー 出荷までの日数は売買成 立期間に影響を与える 買い手は取引のスピーディーさを重視しているため、売り手とし ては出荷までの日数を短くすることで早期購入につなげられる
  16. 結論 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 本研究では、メルカリを対象に出品されている商品データの分析を行った •

    ①売買成立率の分析 • 出品価格、商品の状態、出荷までの日数、及び経過日数あたりのいいねの数は 売買成立率に影響を与えている • 出品者に対する評価は売買成立率の決定要因であるということはできなかった(有意でなかった) • ②売買成立期間の分析 • 出品価格、商品の状態、出荷までの日数、及び経過日数あたりのいいねの数は 売買成立期間に影響を与えている • 課題 • 分析に使用するデータの増加 • 商品説明などの文章を自然言語処理により分析可能なデータに変換する • 商品画像の枚数や輝度などをデータ化する • 分析対象の拡大 • オンラインショッピングサイト(B2C)との比較分析 • 書籍以外の商品に対する分析
  17. 参考文献 はじめに 先行研究 分析方針 分析結果 結論 考察 • 秋山裕(2017)『Rによる計量経済学』オーム社. •

    永星浩一(2008)「ネットにおける情報ソースの組み合わせとサーチ行動」『福岡大学商学論叢』、53巻、2号、pp.23-24、 https://fukuokau.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=1585&item_no=1&attrib ute_id=22&file_no=1(2019年9月17日最終確認). • 神取道宏(2014)『ミクロ経済学の力』日本評論社. • 金鐘和・森高正博・福田晋・尹晢重(2013)「ネットショッピングにおける消費者購買認識の構造分析 ─韓国における生鮮食品を事例として ─」『フードシステム研究』、19巻、4号、pp.390-391、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfsr/19/4/19_382/_pdf(2019年9 月17日最終確認). • 竹田正和 (2014) 『 戦略的データサイエンス入門――ビジネスに活かすコンセプトとテクニック』オライリージャパン. • 鶴沢真(2018)「シェアリングエコノミーにおける社会関係資本の役割 -一般的信頼や社会的ネットワークによるフリマアプリ利用での 情報の非 対称性問題への対応-」『昭和女子大学現代ビジネス研究所 2018 年度紀要』、pp. 13-14、 https://swu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=6683&item_no=1&attribute_i d=22&file_no=1 (2019年9月17日最終確認). • 松本淳太郎・大知正直・山下雄大・榊剛史・森純一郎・坂田一郎. (2017)「 商品画像に着目したオンラインフリーマーケットにおける購買行 動予測に関する研究.」『研究報告知能システム(ICS)』、ICS-187号、pp.1-4. • 渡部和雄・岩崎邦彦. (2010)「ネット購買における消費者意識にもとづく商品類型化」、『東京都市大学環境情報学部紀要』, pp.5-13. 以上