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Jira全社展開の裏側 - 多数の部門と協働して全社標準ツールとして確立させた、調整・工夫・...

Medley Inc.
March 06, 2025
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Jira全社展開の裏側 - 多数の部門と協働して全社標準ツールとして確立させた、調整・工夫・合意形成のリアル / The story of the rollout of Jira

#71 ACE Tokyo MeetUp(2025/3/11 )での登壇資料です。
Shota Shimizu / 株式会社メドレー

Medley Inc.

March 06, 2025
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Transcript

  1. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 3 本セッションの内容 本セッションの内容 •

    Jira の導入プロセス • 費用対効果が見えづらいツール導入の論理プロセス • 全社標準ツールの選定・展開の事例 「なぜ Jira を導入したのか」「どのような課題を乗り越えたのか」を中心にお話します。 導入の際のヒントになれば嬉しく思います。 本セッションで触れること
  2. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 5 会社紹介 ミッション メドレーは、テクノロジーを活用した事業やプロジェクトを通じて、

    医療ヘルスケア分野の課題を解決していきます。 それにより、「持続可能な医療」の実現と、 患者さんやそのご家族にとって「納得できる医療」の実現を目指しています。 参考:会社説明資料( https://speakerdeck.com/medley/medley-company-guide)
  3. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 6 会社紹介 主要プロダクト 医療ヘルスケア領域における日本最大級の医療介護の求人サイト「ジョブメドレー」などを運営している人材PF事業と、

    クラウド診療支援システム「CLINICS」などを運営している医療PF事業の、2つの事業領域を中心に展開しています。 (1) 2024年12月末現在
  4. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 7 会社紹介 大切にしている価値観(Our Essentials)

    凡事徹底 長期のカスタマー価値を追求 日々の倹約と大胆な投資の両立 革新と改善を主導 全てを明確に 誰よりも詳しく 信頼を獲得する 建設的に進める 組織水準を高める ドキュメントドリブン 自分をアップデート 成果を出す メドレーの掲げるミッションを達成するために必要不可欠となる 12項目の行動原則 を定めています。 Our Essentialsを組織づくりの中核に据えており、人事制度にも組み込まれています。 参考:大切にしている価値観( https://www.medley.jp/team/culture.html)
  5. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 8 会社紹介 従業員数の推移 M&Aによって年々グループ会社が増加しており、グループ全体での従業員数は

    2024年には1,400名を 超えました。従業員の増加によって、ナレッジ管理の重要性が年々高まっています。
  6. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 10 弊社におけるAtlassian製 品 Atlassian製品の利用歴(Server→Cloudへ)

    2018年にesaから移行して以来、約7年にわたって、全従業員でConfluenceを利用し続けています。 Confluence ServerからCloudへの移行は2024年6月に、Jiraの全社での利用は2024年10月から開始しています。 2018年8 月 esa Confluence Server 2024年
 6月 約6年 Confluence Cloud Jira Cloud 2024年
 10月 総ページ数:約28万ページ プロジェクト数:29
  7. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 11 目指すところ 弊社におけるAtlassian製 品

    メドレーグループは、Confluenceを世界一美しく活用します
  8. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 14 プロジェクト管理ツール 導入の背景 プロジェクト管理ツール(Jira)導入に至る課題

    各部門が自由にJiraやClickUpを契約しており、横断的なアカウント管理や契約管理が行われていませんでした。 また組織の拡大に伴い、進行するプロジェクト数が増加したことも、全社横断のプロジェクト管理ツールの導入のきっかけと なりました。 契約・事務作業が煩雑 ◦ 各部門が異なるツールを使用する場合、 各部門で入退社や契約事務 作業等を行う必要 がある ◦ 部門を跨ぐプロジェクトになると、違うツールを使っていたりし、 ライセンスが 2重で必要 01 各ツールのキャッチアップ・ ナレッジ共有がしづらい ◦ 開発部門内でも異なるツールを使用している為、 各ツールの操作を その都度学習する必要 がある ◦ ツールのTipsが各部門バラバラで溜まりにくい 02 プロジェクト管理手法の ナレッジ共有が難しい ◦ ナレッジの場所が散在しており、 他プロジェクトのプロジェクト管理資料を 探すのが困難 ◦ タスクの作成粒度や項目が個人によって異なっており、 品質が一定ではな い 03
  9. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 16 Jira導入のタイムラインと プロセス 導入検討から運用開始までのタイムラインと導入プロセス

    2024年8月から検討を始め、11月6日に全社稼働を開始しました。およそ 3ヶ月で全社稼働まで完遂しました。 現在までに29個のJiraプロジェクトが作成され、コーポレート、事業、開発部門それぞれで利用されています。 部 門 へ の ヒ ア リ ン グ 要 件 定 義 製 品 選 定 部 門 と の 調 整 導 入 前 準 備 先 行 稼 働 全 社 稼 働 7月 8月 9月 10月 11月
  10. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 18 Jira 導入における課題と 解決

    Jira導入において難しかったこと Jira導入において難しかったこととして、 費用対効果の可視化の難しさ、組織内合意形成、そして利用者層の多様性という 3つのポイントが有りました。 01 費用対効果の可視化の難しさ プロジェクト管理ツールは、単一作業ごとの コスト算出が難しく、導入前後での数値評価が困難 02 全社導入 ≠ 全従業員が利用 全社展開と言えども全従業員が使うわけではなく、部門ご とに利用ニーズや利用状況が異なる 03 組織内合意形成 多様な部門間でニーズが異なるため、 各部門との調整や合意形成が必須
  11. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 20 費用対効果を出すのはなぜ難しいのか? プロジェクト管理ツールはコミュニケーションツール であり、具体的な数値(例:売上増やコスト削減)に

    直結しないため、定量的に評価するのが難しいということがあります。 課題1:費用対効果の可視化 の難しさ ー プロジェクト管理ツールがコミュニケーションツールと捉えられる理由 ー ❖ 非同期でのコミュニケーション ➢ メンバーが自分のペースで情報を確認・更新できるため、時間や場所に縛られず、持続的な 情報共有が可能 ❖ ツール上でタスクに基づく議論とフィードバックが可能 ➢ 各タスクに対してコメントやファイル添付で意見交換が行え、具体的な業務内容に即した議論が可能 ❖ 情報を一元管理し、可視化 ➢ タスク、進捗、期限、担当者などが一つの画面で確認でき、全員が最新状況を把握可能
  12. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 23 Microsoft Office Excel

    スプレッドシートやExcelを使ってプロジェクト管理されている方結構いるんじゃないでしょうか? プロジェクト管理ツールを導入していなくても、暗黙的に何かしらのツールでプロジェクト管理を行っており、 そもそもの前提として、プロジェクト管理ツールはメールやチャットツールと同じく現代では必需品と言っても良いのではないかと思 います。 課題1:費用対効果の可視化 の難しさ プロジェクト管理ツールは何を使ってますか? リスト
  13. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 24 課題1:費用対効果の可視化 の難しさ 解決策:課題ドリブンで導入判断を行う

    導入に対する検討と部門との議論を重ねた結果、今ある課題を解決するためには、 「プロジェクト管理ツールの全社標準化を図ることが最善である」という結論に至りました。 プロジェクト管理ツールを統合し、 コーポレート部門管理とする 契約・事務作業が煩雑 01 各ツールのキャッチアップ・ ナレッジ共有がしづらい 02 プロジェクト管理手法の ナレッジ共有が難しい 03 プロジェクト管理ツールを全社で標準化する プロジェクト管理ツールの導入をしない場合は、ルー ルでしか制限することはできないため、 現実的な実行力が乏しい
  14. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 25 課題1:費用対効果の可視化 の難しさ 解決策:課題ドリブンで導入判断を行う

    全社標準化にあたっては、ツールに求める要件を MustとNice to Haveに分類し、どのツールが最適か 検討を実施しました。結論、Jiraが全社標準として最適と考え導入を進めることになりました。
  15. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 27 課題2:組織内合意形成 合意形成において意識したポイント 既にJiraや他ツールを使っていた部門の方には、全社の

    Jiraに移行してもらう負担をかけることになるので、 事前相談、移行メリットの提示、移行を強制せず他ツールの選択肢も残すことの 3点を意識しました。 移行メリットの提示 02 柔軟性の確保 03 部門への事前相談 01
  16. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 28 課題2:組織内合意形成 01. 部門への事前相談

    プロジェクト管理ツールのヘビーユーザーである開発部門と、既に Jiraを使っている部門に対して、 全社標準としてのプロジェクト管理ツールがどうあるべきかを入念に認識合わせしました。 部 門 へ の ヒ ア リ ン グ 要 件 定 義 製 品 選 定 部 門 と の 調 整 導 入 前 準 備 先 行 稼 働 全 社 稼 働 7月 8月 9月 10月 11月
  17. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 29 課題2:組織内合意形成 02. 移行メリットの提示

    ✔ アカウント管理・契約手続きの負担軽減 ✔ 部門ではなく、全社共通で費用負担 コーポレート部門でアカウント管理することで、各部門で個別に行っていた煩雑なアカウント管理や 契約手続きが不要になり、日々の運用がシンプルに。 なおかつ、Atlassian Guardを使えてセキュリティレベルも向上 ✔ マニュアル作成の負担軽減 コーポレートIT管理として、全社利用することで基本的な操作方法や Tipsといったマニュアルを、 各部門で準備する必要がなくなる。 各部門単独で費用を負担するのではなく、全社コストとして負担することで、 部門間のプロジェクト共有 をしやすくする。 全社のJiraに移行してもらうメリットとして、以下の 3点のポイントを意識しました。 結果的に組織内のJiraについては、全社のJiraに移行いただきました。
  18. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 30 課題2:組織内合意形成 03. 柔軟性の確保

    Jiraを全社標準に設定しましたが、Jiraの用途がどうしてもあわない場合も考えられるため、 別のプロジェクト管理ツールを使っている部門に強制はせず、他のツールを使える余地も残すことにしました。 分類 説明 利用部門 コーポ ITによる 代替製品の提供 部門での 別製品可否 例 パターン 1 • 指定のシステムのみを利用する 全従業員 提供しない 不可 ナレッジ管理 標準製品:Confluence パターン 2 • 原則、指定のシステムを利用する • ただし、「部室長」判断の下、業務要件によ り「CIT指定の代替製品」の利用が可能 全従業員 提供する 不可 オフィスソフト 標準製品:GWS 代替製品:Office365 パターン 3 • 対象の領域においてツールが必要な場合、 指定のシステムの利用を推奨する • ただし、「部室長」判断の下、業務要件によ り「部門での別製品」の導入が可能 必要部門のみ 提供しない 可 プロジェクト管理ツール 標準製品:Jira 表:コーポレート IT管掌システムの全社での利用方針
  19. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 32 課題3:全社導入 ≠ 全従業

    員が利用 利用ルールの設定 プロジェクト管理ツールは全員に必要なツールではないため、適切な利用判断が必要になります。 そのため、利用をチームタスクに限定すること、部室単位での利用判断を部室長が行うように ルール化しました。 チームタスクに限定 部室単位での利用判断
  20. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 34 まとめ Jira全社導入において重要だと考えること Jiraの全社導入、ひいては全社で利用するツール導入において、

    課題設定と利用部門の理解が重要 1 ニーズの把握 利用部門のニーズを正確に把握することで、適切なツール選定や導入計画の立案が可能になる 2 課題設定 課題ドリブンで導入を進めることで、目的意識を共有し、各部門の協力を得やすくなる 3 メリットを示す 全社標準を使用するメリットを示すことで、移行への抵抗感を減らし、スムーズな導入を促進する
  21. Copyright© Medley, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. 35 まとめ コーポレートエンジニアを募集中です! 募集の一覧

    ( https://www.medley.jp/jobs/ ) メドレーではコーポレートエンジニアを募集中です! 組織拡大に伴い、複数のポジションを募集しています。 少しでもいいなと思っていただいたら、ぜひご応募ください • Our Essentialsに共感する方 • 新しいことや困難な課題に挑戦したい方 • 挑戦する環境でキャリアアップを実現したい方 etc 参考:メドレーの急成長を支えるコーポレート IT室の役割と取り組み (https://note.com/medley/n/ne140ecdd8bac)