Scarlet Tanager [赤風琴鳥]

2025/10/12に大阪で開催されたDIY Loudspeaker Builder’s Meeting 2025に登壇した際のスライドです。
デスクトップに置けるサイズのパッシブラジエーター型2wayスピーカーScarlet Tanagerについての発表です。

Transcript

1. Scarlet Tanager [赤風琴鳥] みや (@mia_0032) 2025/10/12 DIY Loudspeaker Builder’s Meeting 2025
2. マスターブック読了後の作品 SummerTanager (2023〜2024) ScarletTanager (2022〜2025) SnowyCotinga (2021〜2022) 未定 (2024〜)
3. コンセプト  デスクトップに収まるサイズ  側面に大型のパッシブラジエーターを搭載した存在感のあるデザイン  小型なエンクロージャーながら妥協しないクロスオーバーネットワーク
4. ドライバー  ウーファー: Wavecor WF120BD03  データシートのT/Sパラメータの信頼性の高さ  ツィーター: Wavecor TW030WA09  ウーファーと同じメーカーで音色を統一  フランジがウェーブガイドのような形状になっ ており指向性が整っている
5. エンクロージャー  パッシブラジエーター型  容積: 4L  パッシブラジエーター  Dayton Audio DS175-PR : 1個  チューニング周波数: 約66Hz
6. エンクロージャーの補強  板厚15mmで設計したが箱鳴りが発生  アルミ板 + オトナシートを貼り付けて一部を補強
7. ドライバー単体の特性  ウーファー: Wavecor WF120BD03  400Hzからバッフルステップによる上昇  1.5kHzや2.6kHzあたりに小さなピーク  4kHz以降にブレイクアップによるピーク  ツィーター: Wavecor TW030WA09  軸上4.2kHz付近に乱れがあるがおおむねフラット  軸外特性はあまり乱れなしで素直
8. クロスオーバーネットワークの検討  各ドライバーのDIは4kHz付近までは一致  双方で3～4kHz付近はDIが落ち込んでしまっ ているのが難点 実線: ウーファー 鎖線: ツィーター Directivity Index
9. クロスオーバーネットワーク  3kHzクロス(LR4)  LPF  4次LPF  2つのノッチフィルター(1kHz, ブレイクアップ付近)  HPF  3次HPF  1つのノッチフィルター(1kHz付近を落としきる)
10. シミュレーション上の特性  PIRを整えることに重点を置きつ つ指向性を整えた  Target: -0.97dB/oct  PIRだけを見ればクロスオーバー 周波数を下げた方が良い  先述した3～4kHz付近のDIの落ち 込みが問題になる  落ち込みの少ない3kHzを採用
11. 測定結果  軸上特性はほぼシミュレーショ ン通り  Listening Windowは10kHz以上 が最大2dB程度高い部分あり  70Hz～20kHzの範囲でだいたい ±2dB以内  推定Preference Rating: 6.327  Reverse Nullも広い範囲で出て いる
12. ネットワークボード  KiCADでプリント基板を設計して発注  余剰分はアウトレットに出展中  メリット  部品の集積度を上げられ小型エンクロージャー にも複雑なネットワークを組み込める  デメリット  少数だと単価が高くなってしまう  板厚が薄いため振動の影響がありそう
13. 吸音材の調整  パッシブラジエーターから中高音の漏れが発生  吸音材で調整: 以下のようなパターンを試した  密度が低めのものを全体にまんべんなくいれる  中央部にだけ入れる  パッシブラジエーターとウーファーの間に仕切り壁の ように入れる  漏れが少なかったのは全体に入れたパターン  低域との兼ね合いで吸音材量は調整  聴感だと音量によってもエコー音の気になり度合が 変わるので難しい
14. エンクロージャーの表面仕上げ  MDFにウォルナットの突板を貼り付け  水性ポアステイン(ワインレッド)→シーラー →水性ウレタンニス(つや消しクリア)