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作れることと、作るべきことは違う: 生成AI時代のデータ基盤とプロダクト思考 - Data E...

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October 01, 2026
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作れることと、作るべきことは違う: 生成AI時代のデータ基盤とプロダクト思考 - Data Engineering Summit 2026

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October 01, 2026

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Transcript

  1. モノタロウのデータ基盤の概要 • BigQueryに社内のデータを集約し、社員もしくはサービスで利用している • 全社員の8割以上が月一回はBigQuery上でジョブを動かす ◦ • エンジニアではない社員も自分でSQLを書ける人が多い データ基盤は2つの組織が管理 ◦

    アナリティクスエンジニアリング(AE):社内ドメインの分析環境の整備 ◦ データエンジニアリング(DENG):データ基盤のシステム内製開発・運用を担当 ECサイト 基幹システム 基幹システム ECサイト 業務 オペレーション 7
  2. 去年の発表について • 去年のData Engineering Summit 2025においての発表 ◦ 事業成長を支えるためのデータ アーキテクチャの取り組み -

    Data Engineering Summit - Speaker Deck • 去年時点での課題 ◦ 事業成長に伴い、データの要求が複雑化 ◦ 部署間のコンテクストの違いが拡大 8
  3. AI時代の到来 • 生成AIの利用は世界的にも加速度を増している • モノタロウでもAI駆動開発を推進している ◦ Claude Codeの利用者が1カ月で30名から100名超に急増しまし た。プルリクエスト数は2026年2月頃から約40〜50%増加し、今 もその水準が続いています。(CodeZine

    2026/07) • データ基盤も例に漏れず、生成AIの影響を受けている ◦ データ基盤開発者もAIを使って開発や運用を行っている ◦ データ利用者がAIを使って分析を行うようになっている 🔧 🔨 🔍 👓 12
  4. アナリティクスエンジニアリングの充実 • 去年の発表でお伝えしたアナリティクスエンジニアリングも成果を上げている • • セマンティックレイヤーの整備 ◦ 共通な指標をディメンショナルモデル(LookML)で管理 ◦ 人によって集計が異なることを防止

    ダッシュボードカタログの作成 ◦ 社内で構築したダッシュボードをカタログとして用意 ◦ 類似のダッシュボードの乱立を防ぐだけではなく、 社内の分析事例を把握することができるようになる ◦ もちろんアクセス権限を管理することで、情報漏洩は防ぐ AI x AE でモノタロウのデータ基盤は順調に進んでいったのであった。完 13
  5. データ基盤とプロダクト開発 • • • データ基盤のインフラとなるシステムを内製で開発(※) ◦ 基幹システムとDWHと連携するシステム ◦ サービス連携用集計 API

    ◦ ユーザーの行動ログトラッキング アナリティクスエンジニアリングでもツールを開発 ◦ データマート・セマンティックレイヤーなどの Data as a Product ◦ ダッシュボードカタログ もちろん、我々以外のドメインでも分析用のツールなどを開発している DWHのin/out部分は内製したプロダクトを使用している ※ここでいう内製開発は社内のエンジニアが要件定義・設計・実装・運用を全て行うことを指します 15
  6. AI x AEで進むはずだったデータ基盤のプロダクト開発 • AI x AEは追い風になるはずだった ◦ AIによって、設計・実装・運用に関する工数は下げられる ◦

    AEによって、要件が開発者に集まり、プロダクトの営業が容易になる • しかし、そううまくはいかなかった...... • 現実的には二つの状態に収束していったのである ◦ 作っているけど、完成しない ◦ 作ったけど、その時にしか使えない それぞれどういう状態になったのか。具体例を紹介します 16
  7. 作っているけど完成しない:内製システムのリアーキテクチャ • • 基幹システムとDWHを連携する内製システムがレガシーと化していた ◦ 8年以上前に開発した CDCのパイプライン ◦ 機能拡張が難しく、運用負荷も年々高騰 ◦

    開発者は退職しており、実装を把握している人はいない ◦ 様々なドメインのデータソースとなっており、利用者が多く存在 新システムとしてリアーキテクチャして再開発 ◦ • 機能拡張を容易にし、運用負荷を低減することを期待していた 「元となるシステムもあるし、 AIを利用すれば実装はそこまで重くないはず」と最初は考えていた ◦ プロジェクトマネージャーに任せていた DDL/DML 内製 システム 17
  8. 作っているけど完成しない:内製システムのリアーキテクチャ • 結果から言うと「リリース予定時点で、予定の半分も完成していなかった」 • 何が起きていたか ◦ 開発報告は毎週聞いていたし、毎週進捗が出ていた ◦ 四半期ごとに目標を修正していたが、ずるずると後ろ倒しになっていった ◦

    リリース予定直前に「いつできる?」「どこまででできている?」と 確認したが誰も答えられなかった • なぜこんなことが起こったのか? よし、進んでるな! 今週の進捗:+10% あ、あれ? 完成までの工数:+100% 18
  9. 作っているけど完成しない:内製システムのリアーキテクチャ • リリースが難しくなった時点で開発メンバー全員にヒアリングした結果、 全員が「目の前の機能を作っていけば完成する」と思っていた • • しかし、新システムはそこまで甘くは無かった ◦ そもそも旧システムの時点で利用者も多く、要件が複雑 ◦

    新システムの新機能や改善の考慮が甘かった ◦ 旧システムの運用にも工数を割く必要があった メンバーは真面目に作っていたが、ゴールを共有できていなかった(※) ◦ 私もリアーキテクチャをお願いしていただけで、何を作ればいいかを定義せずに任せていた できそう? できます! ※その後、設計からやり直して、今では開発はほぼ完了し旧システムから移行段階に入ってます 19
  10. 作ったけどその時にしか使えない: セマンティックレイヤーの外側 • 指標は基本的にセマンティックレイヤー( SL)で管理していたが、例外の独自指標もあった ◦ • • 個人の裁量において、限定的な範囲での独自指標の利用は容認している AIによって分析が簡単にできるようになり、

    SLを介さない指標が多発 ◦ 本来はSLで導くべきなのに、AIが独自ロジックで集計 ◦ 利用者はSLの存在を知らない場合もあり、独自集計を使用 ◦ 独自指標を他のAIが参照し、さらに別の独自指標を生み出す 自己裁量で認めていた独自指標が、分析システムを侵食していく ◦ 悪貨は良貨を駆逐する状態となり、 SLの存在感を脅かす ◦ 「個人の裁量において」「限定的な範囲での」の部分が AIに伝わってなかった 基本的にはSLを使ってね SL あ、あれ? SL 20
  11. プロダクト思考 • • • 一般的なプロダクト思考の定義 ◦ 「アウトプットではなくアウトカムを考える」 ◦ 「解決より先に問題を定義する」 一般的な定義に加え、チームでは以下のことを強調

    ◦ 「プロダクトは誰が嬉しいかが重要」 ◦ 「手段と目的を混同しない」 目の前のプロダクトではなく、その先にいる利用者のことを考える 🔨 🔨 やりたいこと データ プロダクト インフラストラクチャ プロダクト 23
  12. プロダクト思考を身につけるためにやったこと • • プロダクト思考を身につけるためにチームで様々なワークを行った ◦ 内製システムの立て直しの際に重要性を再認識 ◦ プロダクトを立て直せる人が常にいるとは限らない プロダクトを考えるためにはまず自分たちの立場と 周囲の変化を理解できなければならない

    • • 自分の立場を確かめるために二つの軸で考える必要がある ◦ 縦の線(時間の変化) ◦ 横の線(選択肢) その上で、プロダクトを作る上には二つの条件が必要となる ◦ 利用者を理解する ◦ 利用者の使い方を言葉にする 自分の立場と周囲を レーダーのように把握する 24
  13. 縦の線(時間の変化) • 自分たちが使用している技術が何のために生まれて、何がなくなったのかを 理解できないと自分で何を作ればいいか判断できない • • 縦の線を意識するためにやったこと ◦ 技術書の輪読会や古典論文を紹介 ◦

    単に歴史を知るだけではなく、時代背景を考慮して議論することが重要 縦の線を知るために扱った情報 ◦ 現在主に利用している Google Cloudのプロダクトの変遷 ◦ AWS、Snowflake、Databricksなど他社のプロダクトの変遷 ◦ Apache Hadoop, Spark, FlinkなどOSSの変遷 ◦ データエンジニアリングと関係ないエンジニアリングの変遷 📕 25
  14. 横の線(選択肢の探索) • 技術の選択肢がないと、自分たちに必要なものを作ることはできない ◦ Lakehouse、Open Table Format、HTAP、Semantic Layerなど 最新の技術動向 •

    • ◦ 他社のデータ基盤の事例 ◦ AI Readyなデータ基盤の事例 単に知るだけではなく、自分たちのこととして考え直す ◦ 「弊社のデータ基盤を最新の技術で作り変えるとどうなるか」 ◦ 「弊社では〇〇を導入すべきか/導入すべきではないか」 知っているだけではなく、使えるようにする必要がある 26
  15. 利用者のために作る • • • プロダクトを使ってもらうには、利用者の理解が必要 ◦ 要件はもちろんのこと ◦ 利用者がプロダクトを通して何を実現したいのかを理解する 各メンバーに自分の業務を説明してもらう

    ▪ アナリティクスエンジニアは最新事例の紹介、ドメインの説明 ▪ データエンジニアはシステムの新機能・改修内容の説明 多角的な情報を集めることで、社内の利用者を立体的に捉えてもらう 27
  16. 利用者の使い方を言葉にする • 自分たちが作るものを言葉にできるようにならなければならない ◦ • • • 特にAIは言葉を元に動く Design Docをたくさん書いてもらう

    ◦ 言語化は量から質に転じる ◦ Why/What/Who/Whereを意識してもらう ◦ Howの質は横の線で担保される AIはDesign Docの良きレビュアー ◦ AIに上手く伝わらないことは、人間にも伝わらない ◦ 個人的にはAIにマルっと書かせることはおすすめしない プロダクトは作り始める前に言葉で作ることができる 📝 プロダクト思考を身につけるためにやってもらい、効果はあったのか!? 28
  17. 効果 • 今回の発表を機に、メンバーにヒアリングを行った • 議論の質が変化した ◦ • • 「目的ではなく手段から考えている」ことに自覚的になった 利用者の要件が明確になり、機能の優先度を組み立てられるようになった

    ◦ 目の前のタスクを捌くのではなく、利用者を意識してやることを決める ◦ 利用者全体を漠然と捉えるのではなく、分類することで要件が具体的になった ◦ 開発方針が変わっても、共通認識があることでメンバー全員の方向が揃いやすくなった まだまだできていないことも多いです ◦ 「具体的に動かさないと分からない」声もあり、「試せる環境」の必要性が増している プロダクトからアウトカムを生み出す組織に移行しつつある 29
  18. まとめ • AI x AEの進捗によって、去年よりもデータマネジメントは進歩した • しかし、作りやすくなったことによる弊害も現れた • • •

    ◦ 作っているけど、完成しない ◦ 作ったけど、その時にしか使えない どちらも「利用者の使い方」がイメージできているかが重要 ◦ 自分たちの立場(縦の線と横の線) ◦ 利用者を理解する ◦ 利用者の使い方を言葉にする 「自律的にデータを活用できる環境」=「一人一人がプロダクト思考を持っている状態」 ◦ データメッシュでは各ドメインが自分たちでデータマネジメントをする ◦ そのためにはプロダクト思考は、エンジニアだけではなく全員が持つべき考え方 AIによって誰でも簡単に作れる時代だからこそ、 作るべきことを考えられるようにならなければならない 30