$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »

AIと共に、組織をどう進化させるか?

Avatar for MonotaRO MonotaRO PRO
December 25, 2025

 AIと共に、組織をどう進化させるか?

Developers Summit 2025 KANSAI

AIと共に、組織をどう進化させるか? 〜 “熱量”を“文化”へ昇華させる、持続可能なAI活用の仕掛けづくり 〜

【概要】
AIの活用を組織で進めていく中で、専任チームは作るべきか、どのツールから検証すべきか、何を評価指標にするかなど、様々な判断や選択を迫られます。

本セッションでは、私たちモノタロウが「何を目的に置き、どう判断し、どんな施策を打ってきたのか」という実践の道のりを共有。200名以上の開発者と試行錯誤する中で見出した、個々の“熱量”を一過性のブームで終わらせず、組織の“文化”へと昇華させるための具体的な取り組みと、その背景にある思想を解説します。

AIと共に組織を進化させるための、リアルな意思決定の勘所をお届けします。

【登壇情報】
日時: 09/17 17:40 ~ 18:20
トラック: B-10 (クロージング講演 / AI・データ)

【登壇者】
香川 和哉 (株式会社MonotaRO プラットフォームエンジニアリング部門長)

大学卒業後、スタートアップにてWeb開発やスマートフォンアプリケーションの開発に従事。2016年に株式会社MonotaROに入社。マーケティングシステムの運用を行いながら、データ基盤を構築し社内のデータ管理と活用を推進。またアーキテクトとして基幹システム刷新に関わる。現在はプラットフォームエンジニアリング部門長として社内開発基盤やインフラといった領域の統括と管理を行っている。

Avatar for MonotaRO

MonotaRO PRO

December 25, 2025
Tweet

More Decks by MonotaRO

Other Decks in Technology

Transcript

  1. • 株式会社MonotaRO プラットフォームエン ジニアリング部門長 • 2016年中途入社 • 入社後、マーケティング/販促システムの 運用を行いながら、BigQuery を中心とし

    たデータ基盤の構築/運用をすすめた。 • 現在は全社的なプラットフォームエンジニ アリングを主導しつつ、データマネジメン トやエンジニア育成、AI駆動開発の推進な ども行っている 香川和哉
  2. モノタロウのシステムとエンジニア組織 コアシステムエンジニアリング (CSE)部門 Mission 業務例 ビジネスの成長を 支えるITの提供 顧客体験向上の ための継続開発 大企業ビジネスの

    成長加速 より良い仕事環境 の提供 価値提供の 基盤開発 • 内製基幹システムの導入、開発、運用 • 倉庫管理システム/インフラの構築、運用 • 会計システムの開発、運用 • ECサイト機能の開発、運用 • マーケティング基盤の開発、運用 • 大企業連携システムの開発、運用 • オフィスインフラの構築、保守運用 • オフィス系サービスの導入、運用 • ITサポート • セキュリティ統括 • サーバインフラの構築、運用 • データ基盤の構築、運用 • システム開発/保守基盤の構築、運用 • DevOps/Webセキュリティ ECシステムエンジニアリング (ECSE)部門 エンタープライズビジネス エンジニアリング(EBE)部門 コーポレートエンジニアリング (CE)部門 プラットフォームエンジニア リング(PE)部門 部門
  3. エンジニアリングのチャレンジ 事業成長に貢献するため、 アーキテクチャの再構築とシステムのモダナイズに挑む 現在の課題       取組方針 システム・業務の長年の変化に伴う複雑性 20年間の安定した成長に伴い、組織とシステムも拡 大。そのため、新たな取り組みに対する調整コストが 増加している状況。

    また、サービスが高度化し、独自の発展を遂げている ことにより、システムの複雑性が増している。 変更容易性の低下 システムが複雑になるにつれて、経営戦略や戦術への 迅速な対応が難しくなっている。 注力すべきサービスの進化に十分なリソースを割り当 てることが困難な状況。 方針:分割統治 大きな問題を小さな部分問題に分割し、それぞれを個別に解決する「分割 統治」戦略を採用。これにより、システムの複雑性を制御可能な範囲に抑 え、事業のさらなるスケールにも貢献する。 方法:ドメインモデリングと イベントドリブンアーキテクチャの導入 システムをビジネスドメインごとに分割し、各ドメイン間の連携をイベ ント駆動で行うアーキテクチャを採用。これにより、システムの変更容 易性を高め、ビジネスの変化に迅速に対応できる基盤を構築する。
  4. 現在のモノタロウのAI駆動開発ツールの利用状況 • エンジニアは全体で 400人規模(正社員・パートナー含む) • 現状の各ツールの利用人数 ◦ Devin: 270 ◦

    Cursor: 130 ◦ Claude Code: 24 ◦ GitHub Copilot: 530 (エンジニア以外のメンバー含む) • Cursor Agent は月に40万行のコードを生成 • 全体のPRの内Devinによるものが15%程度(マージ済みのもの)
  5. AI駆動開発の取り組み 2023年: 黎明期 GitHub Copilotの展開 2024年: 模索期 AIによる モダナイゼーションプロ ジェクト

    2025年1月: ツール展開 AI駆動開発チーム始動 2025年8月 取り組み結果を経て 方針のUpdate
  6. お話しする 2つ のテーマ 1 どのようにAI駆動開発の組織への展開をすすめたか モノタロウは 個人の “熱量” をどのように “文化”

    に昇華させたか 2 実践から見えた学びと次の一手 AIの使い所と開発プロセス変容の必要性
  7. AI駆動開発の取り組み 2023年: 黎明期 GitHub Copilotの展開 2024年: 模索期 AIによる モダナイゼーションプロ ジェクト

    2025年1月: 展開 AI駆動開発チーム始動 2025年8月 取り組み結果を経て 方針のUpdate
  8. 2023年の取り組み: Slack Bot による生成AIの利用 • Slack から簡単に AI を使うための ChatBot

    を作成して全社員が利用できるように • エンジニアメンバー以外含め全社員が活用 関連ブログ: 構想半日、実装一日、全社活用される ChatGPTの Slackbotを作りました! - MonotaRO Tech Blog
  9. AI駆動開発の取り組み 2023年: 黎明期 GitHub Copilotの展開 2024年: 模索期 AIによる モダナイゼーションプロ ジェクト

    2025年1月: 展開 AI駆動開発チーム始動 2025年8月 取り組み結果を経て 方針のUpdate
  10. 17/23 状況①: AIを活用した革新的なサービスやツールの出現 コード変換ツール • Lovable や v0 などのサービスが社内でも話題になってきていた •

    コードの変換ツールを簡単に使ってみたという事例も週報などで報告があがることも • CTO普川と香川の間の議論でも、これらのAIによるソフトウェア開発の変革について頻繁に議論 自然言語からアプリの生成
  11. 状況②: 重要課題としてのモダナイゼーション 現在の課題       取組方針 システム・業務の長年の変化に伴う複雑性 20年間の安定した成長に伴い、組織とシステムも拡 大。そのため、新たな取り組みに対する調整コストが 増加している状況。 また、サービスが高度化し、独自の発展を遂げている

    ことにより、システムの複雑性が増している。 変更容易性の低下 システムが複雑になるにつれて、経営戦略や戦術への 迅速な対応が難しくなっている。 注力すべきサービスの進化に十分なリソースを割り当 てることが困難な状況。 方針:分割統治 大きな問題を小さな部分問題に分割し、それぞれを個別に解決する「分割 統治」戦略を採用。これにより、システムの複雑性を制御可能な範囲に抑 え、事業のさらなるスケールにも貢献する。 方法:ドメインモデリングと イベントドリブンアーキテクチャの導入 システムをビジネスドメインごとに分割し、各ドメイン間の連携をイベ ント駆動で行うアーキテクチャを採用。これにより、システムの変更容 易性を高め、ビジネスの変化に迅速に対応できる基盤を構築する。
  12. この時(2024年)の “期待” と “仮説” • AI を使ったコーディングはすでに大きな成果がだせるレベル • 特に社内の喫緊の課題であるモダナイゼーションで適用できるのではないか •

    大きな成果をだすためには、プロセスを構造的に大きく変化させる必要があ るだろう。 • そのためにはプロセスとツールを内製する必要があるはず • プロセスとツールを構築して社内の他の領域にも展開しよう
  13. 仮説に基づいたアクション: AIによるモダナイゼーションプロジェクトを始動 • 20年積み上げたシステムの複雑化 → モダナイゼーションが喫緊の課題 • AIをつかったツール/プロセスを内製することで、高速にモダナイゼーションをす すめることができるのではないか •

    CTOや香川、社内メンバーで仮説について議論 • CTO-Officeに小規模な専任チームをつくり、AIによるモダナイゼーションプロジェ クトを始動 • 他社事例も参考にしながらAIを使ったモダナイゼーションのプロセスとそのための ツール構築のための作戦を練る 状況 仮説 アクション
  14. ーーーー —- —------ —--- — AIによるモダナイゼーションプロジェクトの取り組み • LangChain を用いた、ソースコード分析→仕様書作成のワークフロー構築 •

    コード間の依存グラフの構築と可視化 • リプレースのためのコード生成のワークフローの構築 LLMによる生成 レガシーアプリケーション ソースコード 仕様書 LLMによる生成 モダンなアプリ ケーション 依存グラフ
  15. AIによるモダナイゼーションプロジェクトの結果 • プロジェクトの期間: 4ヶ月 • ツールの作成 ◦ ソースコード分析→仕様書ツール ◦ 依存グラフ可視化ツール

    • 仕様書作成についは工数が 1日 → 10min になるなど、 大幅な削減を達成 • 全体としてもモダナイゼーションにかかる工数をおおよ そ半分程度に • AIを使った効果的なモダナイゼーションプロセスについ ての知見を獲得 • しかし … 改めて Cursor や Devin を検証し、これら ツールでも内製ツールと同等のことができることが判明 仕様書作成ツール 依存グラフ可視化ツール
  16. 仮説に対しての結果と学び • 仕様書作成や依存グラフ可視化などのツール作成 • ソースコード分析及び仕様書の作成などの作業において 工数が 1日 → 10min になるなど、大幅な削減を達成

    • 全体としてもモダナイゼーションにかかる工数をおよそ半分程度に • AIを使った効果的なモダナイゼーションプロセスについての知見を獲得 • 4ヶ月の取り組みの中でモデルやツールも進化し、多くの作業は Cursor や Devin な どのツールで同等のことができることがわかった ◦ → 現時点では内製したツールの陳腐化がはやく、あまり効果的ではないと判断し 内製ツール作成は一旦中止に • AIをつかったツール/プロセスを内製することで、高速にモダナイゼーションをすすめる ことができるのではないか 仮説 結果 学び
  17. AI駆動開発の取り組み 2023年: 黎明期 GitHub Copilotの展開 2024年: 模索期 AIによる モダナイゼーションプロ ジェクト

    2025年1月: 展開 AI駆動開発チーム始動 2025年8月 取り組み結果を経て 方針のUpdate
  18. 状況①: AIによるモダナイゼーションプロジェクトの結果(再掲) • 仕様書作成や依存グラフ可視化などのツール作成 • ソースコード分析及び仕様書の作成などの作業において 工数が 1日 → 10min

    になるなど、大幅な削減を達成 • 全体としてもモダナイゼーションにかかる工数をおよそ半分程度に • AIを使った効果的なモダナイゼーションプロセスについての知見を獲得 • 4ヶ月の取り組みの中でモデルやツールも進化し、多くの作業は Cursor や Devin な どのツールで同等のことができることがわかった ◦ → 現時点では内製したツールの陳腐化がはやく、あまり効果的ではないと判断し 内製ツール作成は一旦中止に • AIをつかったツール/プロセスを内製することで、高速にモダナイゼーションをすすめる ことができるのではないか 仮説 結果 学び
  19. この時(2025年1月)の “期待” と “仮説” ① • モダナイゼーションプロジェクトの結果より、AI駆動開発は確かに大きな効果がある • とはいえ内製でツールを作るのは現時点ではやめたほうがよさそう •

    モデルもツールも進化のスピードはすさまじい • まずは Cursor や Devin といったツールを社内に広く展開し、ツールを起点にAI駆動 開発を浸透させていくことで、モデルとツールの進化の恩恵を受けられるだろう • ツールの管理なども必要だし専任チームはつくったほうがよいだろう
  20. 30/23 状況②: 社内でのソフトウェア開発におけるAIの活用状況(2024年末) 人数 AI活用度(高 → 低) 一部の人はかなり積極的にAI を使っている 多くの人はそこまで使いこな

    してはいない • エンジニアメンバーの週次報告やヒアリングなどから、一部のメンバーはレビューやテ ストの生成などで積極的にAIの活用方法を探索あるいは活用を始めている • 積極的に使っているメンバーとそうでないメンバーのギャップはそれなりに大きそう
  21. この時(2025年1月)の “期待” と “仮説” ② • すでに社内にはAIをソフトウェア開発で効果的に活用しているメンバーがいる • ツールを展開するとしても、一部のこれらの”熱意” のあるメンバーへの展開は簡単だ

    が、それ以外のメンバーには展開されにくいのではないか • より広くツールを組織に展開し、AI駆動開発を浸透させるにはこのようなメンバーの “熱意” をうまく活用することが重要なはず • これは社内の文化の変革 (チェンジマネジメント)として捉えるべきだろう
  22. 仮説に基づいたアクション: AI駆動開発の “キャズム” を越えるための仕組みの構築 • ツール導入前から一部のメンバーはソフトウェア開発でAIを積極的に活用していえること がわかっていた • AI駆動開発の浸透についても、社内変革のキャズムを越えることが重要 •

    ただツールを配布するのではなく一部メンバーの熱意をうまく展開する仕組みが必要 • 「AI駆動開発の “キャズム” を越えるための仕組み」として以下取り組みを実施 ◦ AI駆動開発ツール価値探索プログラム及びエバンジェリスト制度の導入 ◦ AIトレンドラボ ◦ AI駆動開発ツール DOJO 状況 仮説 アクション
  23. “キャズム” を越えるための仕組み①: AI駆動開発ツール価値探索プログラム • AI駆動開発に情熱があるメンバーの可視化と展開への協力体制の構築 • Cline や Cursor などのツールを希望するチームには配布にあたってAI駆動開発ツー

    ル価値探索プログラムへの参加をお願い • プログラム参加条件として各チーム1名ずつエバンジェリストを選出 ◦ エバンジェリストは ”情熱をもった文化の牽引役” ◦ 参加したチームは配布されたAI駆動開発ツールの使い所などを積極的に探索 狙い アクション 実績 • 全チームのおよそ 2/3 がプログラムに参加
  24. “キャズム” を越えるための仕組み②: AIトレンドラボ • エバンジェリストメンバーの取り組みの共有とエバンジェリスト同士のつながりの形成 • AI駆動開発ツールの最新情報や社内事例についての共有する場の提供 • Cursor や

    Devin などの使い方や、社内での発展的な活用事例などテーマを決めて発表 • 参加者としてはAI関連に興味のあるエンジニア、各チームのAIエバンジェリストなどが主 な対象 狙い アクション 実績 • 過去4ヶ月で6回開催し、延べ300人以上が参加
  25. “キャズム” を越えるための仕組み③:AI駆動開発ツール DOJO • エバンジェリストメンバーのチームでの活動の後押しとなる基礎スキル習得の機会の提供 • そもそも DOJO という社内のソフトウェアエンジニア向け育成機関がある •

    DOJOの研修の一つとして、Cursor および Windsurf の研修を実施 • エバンジェリストの自身のチームでのAI駆動開発展開の後押しとなるように基礎的 なスキルセットの習得の機会の提供 狙い アクション 実績 • 延べ40名程度が参加し Cursor などのツールの使い方を学習
  26. 人数 AI駆動開発への熱意 キャズム 43/23 仕組みによって “熱量”を”文化”に昇華させる AI駆動開発の “キャズム” を越えるための仕組みとして、3つの取り組みを実施 この仕組みでもって、個人の

    ”熱量” を “文化” に昇華させる AI駆動開発に情熱がある メンバー 1 価値探索プログラムと エバンジェリスト制度 2 AIトレンドラボ 3 AI駆動開発ツールDOJO “熱量” を “文化” へ
  27. AI駆動開発の取り組み 2023年: 黎明期 GitHub Copilotの展開 2024年: 模索期 AIによる モダナイゼーションプロ ジェクト

    2025年1月: 展開 AI駆動開発チーム始動 2025年8月 取り組み結果を経て 方針のUpdate
  28. 現在のモノタロウのAI駆動開発ツールの利用状況 • エンジニアは全体で 400人規模(正社員・パートナー含む) • 現状の各ツールの利用人数 ◦ Devin: 270 ◦

    Cursor: 130 ◦ Claude Code: 24 ◦ GitHub Copilot: 530 (エンジニア以外のメンバー含む) • Cursor Agent は月に40万行のコードを生成 • 全体のPRの内Devinによるものが15%程度(マージ済みのもの)
  29. 49/23 展開して見えた現実③: CursorやClineでは意外と生産性は伸びてない … ? • Devin と比較して Cursor や

    Cline はPR数に対しての影響はあまりない • 「人間を支援する」よりも「人間を置き換える」ツールのほうが効果的
  30. 展開して見えた現実④: 使いこなしている人は一部 • Cursorの全ユーザー130人 • Premium Request を使い切るような、ハードに使いこなしている人は~ 20人程度 (15%)

    • ツールを使いこなし度合いについては人によって大きな差がありそう 使いこなしているユーザー 20人 (15%) Cursor の全ユーザー: 130人
  31. 仮説に対しての結果と学び • AI駆動開発ツールは幅広く展開されたが、まだ行き渡っているという状態ではない • 全体のPR数の内 Devin によるものは 15% 程度 •

    Cline, Cursor によるPR数の増加はまだ確認されていない • AI駆動開発ツールを展開するだけでは組織の生産性は大きくは向上しない • Cursorのようなエンジニア個人を支援するツールよりも、Devinなどのプロセスを完 全に置き換えるツールのほうが生産性向上への効果は大きい • ツールを深く活用できるメンバーは一部のメンバーに限定される • CursorやDevinなどのツールを配布し、AI駆動開発をツールを起点に浸透させること で、開発生産性が向上する 仮説 結果 学び
  32. 状況: AI駆動開発チームの取り組み結果(再掲) • AI駆動開発ツールは幅広く展開されたが、まだ行き渡っているという状態ではない • 全体のPR数の内 Devin によるものは 15% 程度

    • Cline, Cursor によるPR数の増加はまだ確認されていない • AI駆動開発ツールを展開するだけでは組織の生産性は大きくは向上しない • Cursorのようなエンジニア個人を支援するツールよりも、Devinなどのプロセスを完 全に置き換えるツールのほうが生産性向上への効果は大きい • ツールを深く活用できるメンバーは一部のメンバーに限定される • CursorやDevinなどのツールを配布し、AI駆動開発をツールを起点に浸透させること で、開発生産性が向上する 仮説 結果 学び
  33. 現在(2025年8月)の “期待” と “仮説” • ツールを展開してもツール活用そのものが、いきなり高度になるわけではないので、基本的 にはツール活用度もAIへの”熱意”の分布と一致するのではないか • CursorよりDevinの方が直接的な効果があることから、“ツールの展開” のみならず、”AIによ

    る置き換えなどの開発プロセスの変容” までなされないと生産性向上には貢献しないだろう • 今の仕組みは継続しつつ、 “ツールの展開” の次のアクションとして “AIによる開発プロセス の変容” についてチャレンジする必要がある • 解像度をあげるために開発プロセス (Software Development Life Cycle) での活用度をまず は評価して、全体を可視化しよう
  34. 人数 キャズム 56/23 我々が ”超えたキャズム” と “超えられなかったキャズム” • 「AIツールの展開」についてはうまくいったが、生産性の向上を起こすような「AIによる プロセスの変容」まで繋げられているのは一部のメンバー

    • 要するに「AIによる開発プロセスの変容」はまだキャズムを越えることができていない ! AI駆動開発に情熱がある メンバー “熱量” を “文化” へ AI駆動開発への熱意
  35. 仮説に基づいたアクション: 開発プロセスのフェーズごとの評価と直接的なプロセスの置き換え • ツールの活用度合いはAIに対しての熱意に依存する • ツールは “キャズム” を越えたが “AIによる開発プロセスの変容” は越えられていない

    • Cursor などが活用される実装フェーズだけでなく、開発プロセス全体(SDLC)の各フェー ズを具体的に、AIを中心としたプロセスに置き換える施策を解像度高く実施していく必要 がある • まず 「組織 x SDLC(Software Development Life Cycle)のフェーズ 」で活用度の 評価を行う • 組織やフェーズごとの評価のギャップをAIトレンドラボなどを通して解像度高く把握 • 状況と課題に沿った施策をエバンジェリストと協力しながら実施していく 状況 仮説 アクション
  36. 58/23 開発プロセスのフェーズごとの活用度の評価 チームA チームB チームC 計画 設計 実装 テスト デプロイ

    運用 30% 40% 10% 60% 10% 30% 10% 70% 60% 20% 20% 30% 60% 50% 30% 40% • まずは活用度合いを評価するための基準を策定 • 基準を元に各組織 x SDLC のフェーズごとに活用度合いを可視化 • 活用が進んでいるチームのプロセスやプラクティスを抽出 • AIトレンドラボを起点にできるだけ具体的、実践的なプラクティスを展開していく 20% 30% Software Development Life Cycle(SDLC)
  37. 次の一手に対しての “期待” と “仮説” • 今後は “AIによる開発プロセス変容” を解像度あげてすすめていく • “開発プロセス変容”

    に直接的に効果があるのはやはり Devin のようなツール • まずは “人間+AIのアシスト” で行い、その後 “Devinだけで完結させる” というように段階的 にAIの活用度をあげていくのがいいだろう • “Devin だけでプロセスが完結する状態” をめざすと必然的にコンテキストやMCPの整備が必 要になるので、AI駆動開発チームで先行して着手する • 変容のためには “熱量” を “文化” に昇華させる仕組みは活動の枠組みとして今後も継続させ る必要があるだろう
  38. まずはSDLCのすべてのフェーズでAIの活用度を着実にあげていく チームA チームB チームC 計画 設計 実装 テスト デプロイ 運用

    70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% 70% チームA チームB チームC 計画 設計 実装 テスト デプロイ 運用 30% 40% 10% 40% 10% 30% 10% 70% 60% 20% 20% 30% 60% 50% 30% 40% 20% 40% Before After
  39. まずはSDLCのすべてのフェーズでAIの活用度を着実にあげていく 計画 設計 実装 テスト デプロイ 運用 • まずは Cursor/Cline

    のようなツールを使って試行錯誤しつつ AIに任せられるプロセスを徐々に増やしていく • プロセスがある程度増えた段階で、プロセスをどう変えたらDevinに完全に任せられる かを再度考えなおし、必要な環境を整備する 30% 60% 70% 30% 40% 20%
  40. 人数 変革への熱意 キャズム 64/23 “熱量” を “文化” に昇華する仕組みは継続 • ツールを使ってAIに任せられるプロセスを増やすのは、組織全体ですすめていく

    • “熱量” を “文化” へ昇華させる “仕組み” を継続させる AI駆動開発に情熱がある メンバー 1 価値探索プログラムと エバンジェリスト制度 2 AIトレンドラボ 3 AI駆動開発ツールDOJO “熱量” を “文化” へ 4 SDLCでの評価と可視化
  41. まとめ 1 どのようにAI駆動開発を組織へ展開をすすめたか モノタロウは 個人の “熱量” をどのように “文化” に昇華させたか 2

    実践から見えた学びと次の一手 AIの使い所と開発プロセス変容の必要性 → 3つの仕組みを実施 • 価値探索プログラムとエバンジェリスト制度 • AIトレンドラボ • DOJO → 「支援するAI」より「置き換えるAI」が効果的 → 「ツール浸透」の先に「プロセス変容」という新たなキャズムがある → 次の一手として、開発プロセス(SDLC)全体のAIによる置き換えを実施