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論文紹介_What Makes Some Workplaces More Favorable to Remote Work? Unpacking Employee Experiences During COVID-19 Via Glassdoor

M. Takano
August 24, 2023

論文紹介_What Makes Some Workplaces More Favorable to Remote Work? Unpacking Employee Experiences During COVID-19 Via Glassdoor

Mohit Chandra and Munmun De Choudhury, "What Makes Some Workplaces More Favorable to Remote Work? Unpacking Employee Experiences During COVID-19 Via Glassdoor"
WebSci '23: 15th ACM Web Science Conference 2023, Austin, TX, USA, April 2023

第8回ウェブ・ソーシャルメディア論文読み会 資料
https://sites.google.com/view/web-socialmedia-study/home

M. Takano

August 24, 2023
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Transcript

  1. What Makes Some Workplaces More Favorable to Remote Work? Unpacking

    Employee Experiences During COVID-19 Via Glassdoor Mohit Chandra and Munmun De Choudhury WebSci '23: 15th ACM Web Science Conference 2023, Austin, TX, USA, April 2023 2023/8/23 ウェブ・ソーシャルメディア論文読み会 CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 高野雅典 株式会社サイバーエージェント 学際的情報科学センター [email protected] 1
  2. 背景・アプローチ ▪ Covid-19によって働き方は大きく変わった ▪ 一番大きいものの一つがリモートワーク • うまくいったりいかなかったり • 組織文化・環境に起因する部分が大きい ▪

    Research Question • リモートワークを促進する/阻害する組織文化的要因とはなにか? • 従業員による企業のレビューサイトのコメントデータを使って分析 3
  3. 理論・枠組み: Organizational Culture(OC) 4 ▪ OCの定義 • 労働力を最適化し効率を最大化すると信じられている特定の規範や原則。生産性や 離職防止、モラルの維持などの点で重要 •

    組織科学の理論 ▪ OCの既存研究 • 質問紙調査によってさまざまな次元・因子が提案されて、それに基づいた定量化が 試みられてきた • 従業員を対象とした職場に対する質問紙調査は問題が多い • 回答・非回答バイアス、望ましさバイアスなどなど ▪ 本論文では以下の論文の手法を使って企業に対する従業員のレビューテキストからOC の情報を作る(次ページ) • Vedant Das Swain, Koustuv Saha, Manikanta D. Reddy, Hemang Rajvanshy, Gregory D. Abowd, and Munmun De Choudhury. 2020. Modeling Organizational Culture with Workplace Experiences Shared on Glassdoor. CHI2020. https://doi.org/10.1145/3313831.3376793 • 匿名レビューテキストは質問紙よりはバイアスが少ない(はず)
  4. レビューテキストからOCの作成(1)[Das Swain2020] ▪ データセット • 企業のオンラインレビューサイト(Glassdoor)のレビューテキストを用いたOCの定量 化(本研究と同じ) ▪ O* Netを使ってOCに関する41の記述子(単語・熟語)の記述を作成

    • O*NetはUSDOL/ETAの後援のもとに開発された職業情報のオンライン・データベー ス • さまざまな職業の特性が記述されたデータベース • 189の職業記述子からOCに関連する41の記述子を抽出 • 2人の組織科学の専門家が独立に実施して議論してすり合わせ • 41の記述子(OC記述子)は7カテゴリに分類される(Table2) • それをGloVe(Wikipediaコーパス学習済み)を用いて50次元のベクトル化 ▪ 企業の長所ベクトル・短所ベクトル • Glassdoorのレビュー分のprosとconsの項目をそれぞれGloveでベクトル化(両文書 のそれぞれの単語の平均?)して作成 ▪ 各企業のOC • 長所ベクトル・短所ベクトルと各OC記述子とのCos類似度を各企業のOCとすする • Cos類似度が41個作成される(41次元のOCベクトル) 5 O*Netの例(Work Values) Browse by Work Values
  5. データ: 分析対象企業とGrand Truthの作成 ▪ 参照リスト • 人気企業: Fortune 500 (2021)

    • リモートワークランキング: Flexjobs (2021), Fortune 100(2021), Fortune 500 Remote work (2021) ▪ 「望ましい組織」リスト(Desirable Organizations; DO) • 人気企業であり、かつ、リモートワークランキング掲載企業 • 37社 ▪ 「望ましくない組織」リスト(Less-Desirable Organizations; LDO) • 人気企業ではあるが、リモートワークランキングに掲載されていない企業 • 17社 ▪ 共変量の確認 • DOとLDOで売上高・従業員数は同規模だった ▪ Limitation • 対象企業が少ない • リモートワークに関する情報がある企業が少ないため 8
  6. データ: 従業員レビュー ▪ 米国の企業レビューサイト「Glassdoor」の投稿をクロール ▪ 期間 • 2019/3/1-2021/3/1(新型コロナウィルスの流行は2020/3ごろから) • Before

    2020/3/1を Pre-Covid, After 2020/3/1をPeri-Covidとする • 11 /前: 全ての対象企業 /後: Pre-Covidでのレビュー数500件   より多い企業
  7. データ: レビュー文のクリーニングと追加情報 ▪ クリーニング • ストップワード的な諸々を除去 • 空欄のある投稿を除去 • レビューを書いた時点で従業員である人のみ残す(退職後のレビューは除去)

    ▪ 追加情報の付与 • Pros, Consにセンチメントラベル・センチメントスコア・品詞タグを付与 • センチメントラベル・スコアはXLM-RoBERTaをセンチメント分析用にFinetuningした ものを利用 12
  8. 予測タスク ▪ タスク • Pre-Covidのレビューデータを用いて、Peri-CovidのDO or LDOを予測する ▪ タスクの目的 •

    企業の(コロナ前からある)組織文化がDO or LDOに関連するか?を調べる ▪ 素性 • 41次元のOCベクトル(前述) ▪ データ補強 • データ合成 or ノイズ • オーバーサンプリング 13
  9. ▪ ベクトルの次元を入れ替えて予測制度に与える影響を調べる → 変数重要度 ▪ 大事なこと: Interests, Work Values, Structural

    Job Characteristics ▪ Interests • 従業員の興味を育む文化 ▪ Work Valuses • 仕事の価値観 • 福利厚生や報酬、能力開発への 投資など ▪ Structural Job Characteristics • 裁量がある • アイデアを自由に出せる 変数重要度 16
  10. わかったこと ▪ 今まであまりつかわれなかったデータセットを使って、組織科学の理論的根 拠に基づいてアプローチする事例を示した • アンケート調査のバイアスを緩和することができる • もちろんレビューすることによるバイアスもあるが、両極端の意見を収集する意味で は良いデータ(※ 論文ではなくACMの紹介記事での著者のコメント)

    ▪ 感染症流行前の組織文化で流行後のリモートワーク文化を説明できること を示した • ワークライフバランスや社員の主体性を重視することが、リモートワーク文化がうまく まわるため重要であることを示唆 • 有害な文化(多様性・公平性・包摂性を促進しないこと・労働者が軽視されていると 感じていること、会社の倫理的でない振る舞いなど)の対策が必要 ▪ 総合すると • 従業員の体験やニーズを理解する方法を提案した 19
  11. 倫理やプライバーシーへの配慮 ▪ クローリング • 事前にGlassdoorに目的とユーザーエージェントを伝えておく • DDoSと混同されないようにコントロール • 分析に必要なデータのみを収集 ▪

    分析 • 個人を特定できるような情報を分析したり論文に書いたりしない • レビュー著者(De Choudhury)には生テキストは提供しない ▪ この論文の知見の使い方 • この論文の結果を「そのまま」使用しないように注意 • この論文は有益な文化の発見やその促進のための方策であって、企業のそのもの評価をするも のではない • この企業がダメ、この企業はOKといったランキング作成に使うべきではない • 企業の評価においては補足的な情報源と併用して使用するのが最善 21