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視野はAIに、視座は人に / ai-for-breadth-humans-for-persp...
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Yukiya Nakagawa
October 31, 2026
Technology
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視野はAIに、視座は人に / ai-for-breadth-humans-for-perspective
KomeKaigi 2026で講演しました
https://komekaigi.dev/
Yukiya Nakagawa
October 31, 2026
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Transcript
視野はAIに、視座は人に KomeKaigi 2026 2026.10.31 / Yukiya Nakagawa (Nkzn)
自己紹介 中川幸哉 / なかざん(@Nkzn) 39歳 高田生まれ会津育ち、新潟市在住16年目 株式会社モニクル 金融メディア事業の裏方やってます 技術書典のWebサイト&アプリ開発担当 11/21(土)〜技術書典21オンライン
11/23(日):オフラインイベント ときどきCodeZineやレバテックLabに寄稿 好きなAIモデルはClaude 5.5 Opus、最近はX Subscriptionも契約 2
観光案内:県外から来たSWEにいつか通ってほしい道 3
観光案内:県外から来たSWEにいつか通ってほしい道 ※ 無料で通れます 4
この講演の想定読者 エージェントと自分の役割を どう分担すればいいのか、 指針が欲しい方 AI 5
昨年のKomeKaigiで話したこと https://speakerdeck.com/nkzn/komekaigi2025 6
AI とのお仕事2026 AI の口が達者になってきた 何をやるのか、何をやったのかを、そこそこの精度で説明できる 7
仕事のさせ方が変わった 人間 01 03 大枠の ゴールだけを 伝える フィードバック して軌道修正、 許可を出す
02 AI 05 アプローチを 提案する ゴールを 達成しているか 判断する 04 作業を 実施して、 成果を報告する 8
指示するのではなく、判断して許可を出す ジュニアレベル 解決までのアプローチも指示する必要あり → 中堅・シニアレベル 解決までのアプローチを提案してくれる 「部下としてのAI」という立場は変わらないが、気が利くようになって、同僚っぽくなってきた 9
回り始めると「うん、解決しといて」くらいしかいうことがない AI (課題とアプローチの丁寧かつ詳細な説明) 人間 うん、解決しといて 人間が丁寧にやるのは、最初のゴールの提示と最後のゴール判定だけになってきた 10
うまくいってない人の話もたまに聞く 「AIがいうことを聞かない」 …… 実はあんまり見たことがない 11
テクニカルライター目線でのAIへの「伝え方」 十分な情報や、情報源へのポインタを事前に与える 2 目線を合わせる 1 12
視座・視野・視点 視点(拾える着眼点) 視座 高いほど見渡せる 視座 どこから考えるか 視野(見えている範囲) 視野(見えている範囲) 13
視野と視座 視野 何が見えているか 視座 どの立場・役割から考え るか ポジショントークの「ポジション」にも 近い 14
視野はAIに 15
AI と視野が合わない!? AI 更新・削除 には情報へのアクセス制限がある 特に警戒され制限さ れる 閲覧のみ 許可された範囲に限 っては自由
インターネット上の公開情報 問題なし なお、業務で扱う情報の大半は、一般公開されていないので、そりゃあ不自由なのである 16
AI の視野への入りやすさ 情報 エージェントに内蔵されているシステムプロンプト 2 CLAUDE.md / AGENTS.md の内容 3
ポインタが示されているプロジェクト内ドキュメント 4 プロンプトでのユーザーとの会話 5 ポインタが示されているプロジェクト外ドキュメント 6 ポインタがないプロジェクト内ドキュメント 7 ポインタがないプロジェクト外ドキュメント ↑ 見つけやすい / 見つけにくい ↓ 1 視野に入るタイミング 起動時 ほぼ起動時 即時、または必要になったとき 随時 必要になったとき 検索でたまたま見つかれば 存在を認知できない 17
人間とAIの視野にはギャップがある 情報 人間 AI システムプロンプト 知らない 見えている 2〜5 AGENTS.md、ポインタ付きのドキュメント、会話 見えている
見えている ポインタなしのプロジェクト内ドキュメント 6 見えている 基本見つからない リポジトリ内の など ポインタなしのプロジェクト外ドキュメント 7 見えている 存在を知らない 1 docs/ Google ドライブ、Notion、AIが見られないチャット 18
視野が重なっているところだけが合意できる領域 人間の視野 正確に 伝わる AI の視野 重なってない部分は見えない 19
視野の外の話をしたら、AIはどう振る舞う? A. 訊く 「前提知識が足りな いので、追加の情報 提供をお願いします」 B B. 知ったかぶり それっぽい想像で埋
めて、確認せずにい い感じに進める C. 迷子 見つからない情報を 延々と探して、諦め る のことをハルシネーションと呼んだりしますね 20
誤った認識を前提に対話を続けた場合 一往復ごとに、誤りが再生産される 小さな認知のズレは、都度の対話で補正することもできる。でも、その根拠が誤った認知だと…… 21
視野を合わせる はじめから視野を合わせておく 2 視野の共通領域の中で話すよう心がける 1 せっかく言葉を尽くすなら、相手にわかる言葉を使おう 22
書籍の想定読者と同じ考え方が使えそう 読んでほしい層は、何を知ってい て、何を知らないのか どんな用語なら、説明なしで使って もよいか 人間相手に視野を合わせるための技法 23
AI と視野を合わせる二つのポイント 1 これからやることを説明させる 2 材料と入手手段を与える 何のために、何を、どんなアプローチで行うべきか 説明や判断のための材料と、材料の入手手段 24
① これからやることを説明させる 人間が説明す AIにも説明 る させる → 聞いただけでは、 理解したとは限ら ない
これからやること → 違和感がない 「目線が合ってそ う」 → 任せる ゴールを伝えて、アプローチを提案してもらい、許可を出す ── 許可の前に説明させるのは、目線が合っているかを見るため 25
② 材料と入手手段を与える 材料 ユーザーの視野に入 っている情報 ポインタ付きのプロジェ クト内・外ドキュメント 入手手段 アクセス権限を広め に持たせる
着目 長々と説明せず、ポ インタで示す 「今はこれに着目して」 26
ユーザーの調べ物の手段を、AIにも ポインタ「今はこれに着目して」 GitHub Google スプレッドシートなど Issue / PR Slack ブラウザ
ドライブ あなた = AIエージェント 同じ目線 インフラの読み取り Google Cloud / AWS / Cloudflare ログ・調査用DB 27
事例紹介①:競馬AI開発でプロジェクト管理の目線を合わせる 28
事例 1: 個人開発 モチベーション 競馬AIをやりたくなった 新潟には競馬場がある/土日にCodexやClaudeとバイブコーディング 29
一般的な知識だけでは、視野を合わせるのが大変 領域 やったこと 馬券の種類 説明しなくても動いた モデルにすでに入っている常識の範囲 予想 競馬の機械学習アプローチの論文等から主要なアイデアを読ませて docs/ へ
買い方の作戦 予想屋さんから教わった、期待値の扱いに関する資料を docs/ へ 競馬公式DB JRA-VAN データラボ(馬や過去レース、過去オッズのデータベース) そう、これは「② 材料と入手手段を与える」です。 DB のクライアントが Windows でしか動かないので、 PowerShell と仲良くなりました。 30
ゴールから全体計画を立ててもらう Goal: 期待値が1以上の馬券を買い続けて、年間収支をプラスにする ゴールを設定 人間 全体計画、これから 材料は docs やポイ やることを説明
ンタで → として計画を → → ② 材料と入手手段を与 GitHub Issue 作らせる → ① 説明させる える 31
事例 2: Slack を起点とした目線の合わせ方 Slack 起点のIssue起票 イベントが発 生 お問い合わせメー ル
新機能のアイデア エラー通知 Slack → に集約 ステークホル 着手 ダーと話し → て、不確実性 → を無くす 32
AI 時代の着手 = セッションを立ち上げる 最初に、何と言って始めてもらう? 主なアプローチ 事情を説明する 問題 人類は、過不足ない文章を書くの も読むのも、さほど得意ではない
33
LLM は文脈で動く 指示をされたから、指示の通りに動く ✕ ◯ 「次にそうするのが自然な文脈」が構築されたから、結果として指示の 通りに動く 34
文脈とコンテキスト コンテキスト = 文脈 文脈を無視した情報は、混乱の元 2 序盤に与える情報が、セッションの方向性を決める 1 35
多くの文脈が集積する場所は? Google ドライブ 議事録、KPIのドキュメン トやスプレッドシート GitHub ソースコード、Pull RequestやIssueに残る課 題と解決の経緯 ナレッジベース
Notion 見 などに残された知 Slack 情報が集まり、一定のベクトルを持って語られ、次にやるべきことが示され る場所 36
Slack 連携の三段階 方式 手軽さ レベル1 リアクションで起票 ものすごく簡単 レベル2 チャンネル・スレッドを読ませて起票 手間
レベル3 リアクション+後から深掘り 起票は簡単 どれも最終的には、GitHub Issueの形で「やるべきこと」をまとめる 扱える文脈 投稿分 周辺の話題まで レベル2に近い 1 37
レベル1: リアクションで起票 「これは課題だな」 サーバーへ送る と思った投稿に、リ → アクション GitHub Issue →
投稿の本文、発言者、 URL ◯ 起票の手間がものすごく簡単 ◯ SlackとGitHubの連携だけで成立 △ 1投稿分の情報しか入らない △ 人間も「これ何の文脈だっけ」とSlackを見に 行く羽目に AI エージェントの認知 : 「なんかそういう話題があるらしいぞ。知らんけど」 38
レベル2: チャンネル・スレッドを読ませて起票 人間(リポジトリでセッションを立ち上げて) この投稿と周辺の話題を読んで文脈を把握して、Issueを起票して ◯ Issueの精度がめちゃくちゃ高い ◯ 新規セッションでもIssueさえ見せればOK △ 手間
△ AIエージェントがSlackを読める設定が必要 コネクターやMCPサーバー センシティブな情報がGitHubに渡らないよう、禁止事項も含めて起票の手順をスキル化 39
レベル3: リアクション+後から深掘り リアクションで起票 課題を感じた時点で、絶対 に後回しにせず残す → ◯ 最近試し始めて可能性を感じた ◯ バランスが良さそうに見える
着手前に深掘り に貼ってあるSlack の前後の会話を見て、 どんな課題を扱うIssueなの か Issue URL → レベル2に近い文脈 Issue とセッション 今は手動。GitHub Actions内で動くClaudeに任 せれば、自動化できるのでは? 40
おまけ:AIが積極的にキャッチアップしてくる これまで 必要な視野を、AIエージェントとのセッション に持ち込むのを簡単にする → Claude Tag がユーザーとしてSlackに現れる 年6月〜) Claude
2026 ( 41
Slack に棲みつくAI 人間たち (解決すべき課題について話している) Claude どしたん?話聞こか?直しとこか? 「じゃあよろしく」 Pull Request →
コードを修正して、 を作るところまで 料金は相応に高い。でも、目線の合い方は素晴らしかった 42
視座は人に 43
昨年の問いに立ち返る 人間がやるべきことは、 何が残される? AI がコードを書き、事情を把握し、何をやったか説明しながらタスクを進めてくれるなら 44
人間に残った「うん」 AI エージェントが示すもの 人間 始点 課題の要点 「うん、それが課題でいいと思う、解決しておいて」 途中 実施手順の計画、作業内容 「うん、それで進めて」「うん、やっていいよ」
終点 実施後の振り返り 「うん、できてるね、Issueに完了報告をしておいて」 45
判断の材料が、コードから説明へ コードを読む これまで 人間が、AIに壁打ちする エージェントの説明が妥当か判 → AI 断して、許可・認可する いま AI
が、人間に壁打ちする 46
「うん」の基準はどこから来るか 何でもかんでも「うん」、ではない その「うん」の基準は、どこから来る? 47
お米の農家さん向けの講演会で聞いた話 牛丼用の米に、コシヒカリは選ばれない コシヒカリ 水分が多く、 汁をよく吸う 上からかけた汁 底まで染みない ことが多い 48
丼をひっくり返す実験 元の丼の底 元の丼の底 白いところが残る 染みている いろいろな品種で牛丼を作り、ひっくり返して、底まで染みているかを見る 49
コシヒカリが劣っているのではない 牛丼 汁が丼の底まで染みること 食卓の白ごはん コシヒカリが適している このあとのランチや懇親会にも 目的に応じた品質特性が、 噛み合わなかっただけ 50
「良い」は、使う側が定義する 顧客が変われば、 求められる品質特性も変わる 丼をひっくり返す実験 用途の側から「良い」を定義した 受け入れテスト 人間の「うん」 基準は、使う側・求める側から来 る 51
何が求められているかを見極めるのが人間の役割 何が目的なのか 2 どんな要素を押さえられていれば成果として認めるのか その基準を持っている側に立つ 1 作れないものが少なくなったいま、作れるものではなく作るべきものを作ろう 52
目的が伝われば、任せられる範囲が広がる 1 目的を見据えて、視座を高く持つ 一つ一つの作業ではなく、どこへ向かっているのか にも目的が伝わるよう、広い視野を渡す 3 提案とトライアンドエラーを任せられる 2 AI 並列のロングタスクも回しやすくなる
53
まだ人間がやったほうがいいこと 視野 どこにも書かれていないことを拾 ってくる 口にされない不満、誰かの頭の中、現場 の空気 分業 ひとつのアウトカムを、複数人で 分業する 今も難しいかもしれない
目線合わせも、起票者と実施者の分担も、もともとは人間同士のチームでやってきたこと 54
まとめ 2025: 部下 人間は、成果を説明する中間管理職のように振 る舞う 2026: チームメイト → 課題の周辺を自分で集め、やり方を説明し、報 告までこなす
55
チームメイトと仕事を回すには 細かい指示より、目線合わせ 2 視野はAIに 1 何が見えているか ── 材料とポインタを渡す 3 視座は人に
どの立場から考え、何を求められていると認めるか ── 要所で「うん」と言う 56
視野はAIに、視座は人に このあとのランチは、食卓にぴったりのコシヒカリ 57
ありがとうございました 質疑 58