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アカデミックVC研究会のとりくみ(学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026)

 アカデミックVC研究会のとりくみ(学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026)

2026/07/15 開催
学術デジタル・クレデンシャル円卓会議2026 発表資料

アカデミックVC研究会のとりくみ
「マイクロクレデンシャル基盤」を日本に作るとはどういうことかを考える

発表者:中村素典
所属:京都大学

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OpenID Foundation Japan

July 15, 2026

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Transcript

  1. この15分のゴール 現状把握 課題の共有 場への招待 私たちが試みたこと 見えてきた構造的な問題 研究会で皆さんと 議論したいこと 現状を把握するとともに、実際 に作って使った半年間の知見

    何が見えてきて、何が壁なのか 技術・社会実装・ガバナンス 3層の課題を整理して共有する 研究会は任意の集まり。 何かを決める場ではなく、情報 の整理と対話、意識合わせの場 2 / 12
  2. 日本の高等教育の危機 大学進学者数が 63万人 → 46万人へ 定員割れ 経営破綻 教育機会の喪失 証明書の消失 16万人分の定員削減。

    地方・中小私大から廃 校・統廃合が始まる 収入減少により教員確 保・科目開講が困難に なり教育の質が低下 地方の大学が消え、地 域の知的インフラが失 われる 廃校・統廃合により紙 の卒業証明書・成績証 明書が失われるリスク 高等教育の構造改革が急務 高等教育が迫られている「守りの改革」から 経営体制の再構築 統合・再編・縮小・撤退を含む経営 体制の見直しのタイミング 自前主義の見直し 大学間で教育を支え合う共同体制へ 制度・規制の再設計 構造改革を後押しする制度の整備が 必要 デジタル証明書基盤を用いたDXによる「攻めの改革」へ 3 / 12
  3. デジタル証明書が支える「攻めの構造改革」 危機への対応だけでなく、高等教育の社会的価値を拡張する 大学教育の社会展開 学習者層の拡張 企業・自治体・地域へ。大学が持つ 知的資源を社会課題解決に展開する。 社会が大学に求める価値も変わり始 めている。 社会人・留学生・地域人材・リカレ ント学習者へ。大学の「顧客」を多

    様化する。国際交流でのニーズ。 国際通用性の確保 身分証基盤との統合 EUのEUDI Wallet・eIDAS 2.0に対 応。日本の学修証明を海外で読める 形式へ。 学生証・教職員証のデジタル化と学 修歴VCを共通基盤として設計する (最適化:柔軟性とコスト削減) VCで「学びを生涯の資産にする」——学習者が自身の学修歴を一元管理・活用できる仕組み 4 / 12
  4. VC基盤のミッション・ビジョン・設計原則 ミッション デジタル証明(学習成果)を、社会の意思決定に活用できる情報へ ビジョン 大学共同利用のデジタル証明書基盤の構築 大学 学生 社会 学生の学びを生涯にわたり支援する 学びを生涯の資産にする

    学習成果を効果的に活用する 設計原則 公共性・中立性 持続性の確保 特定民間事業者に依存しない公的運営体制 廃校・事業者撤退があっても証明が失われない設計 コスト分散 学習者中心 共同利用で各大学の導入・運用コストを大幅削減 学習者が自身の学修歴を一元的に管理・活用できる仕組み 5 / 12
  5. 私たちがやってきたこと 実際に作って、使って、議論した半年間(2026年1月〜7月) とりくんだこと SD-JWT VC + mdoc EUのARFに準拠した2形式でVC発行・提示・検証を実 装(電通総研) EUDI

    Wallet(日本版) 見えてきたこと 身分証VC(mdoc)と学修歴VC(SD-JWT VC)は用 途・設計が異なる。共通基盤として整理することが重 要 「Holder(学習者)を通すかどうか」でデータ流通の 設計が根本的に変わる——IHV/IVモデルの発見 ローカル検証環境を構築。TestFlight/APKでスマホ動 作確認 実証実験の準備 大阪教育大学での単位互換VCの実証実験を準備中 (「IV」モデル) 研究会の開催とSlack上での継続的議論 OpenBadgesなどの先行経験からの示唆: VC基盤を「作ること」と「社会に根付かせること」 は別問題 ガバナンスなき仕様決定は実効性を持たない——「誰 が正当に決めるか」という問いが残る 約900件のメッセージを通じた技術・制度設計の深掘り 6 / 12
  6. デジタル証明書基盤の全体像:5つのレイヤー(仮) この場の各組織がどのレイヤーを担うかの議論のたたき台として 5 社会活用レイヤー 担い手候補:企業・自治体・地域 企業・自治体による採用・配置・進学判断への活用 4 制度レイヤー 担い手候補:文科省・NIAD・AXIES 資格認定・機関認定・質保証(評価基準)・国際単位互換

    3 教育連携レイヤー 担い手候補:NII・大学(教務) 大学間の単位連携・単位互換フロー(IVモデル→IHVモデルへ) 2 プラットフォームレイヤー 担い手候補:企業・NII・大学(IT基盤) 証明書の発行(Issuer)・保持(Holder/Wallet)・提示(Verifier)のIHVモデル 1 技術・トラストレイヤー 担い手候補:OIDFJ・NII・NIAD VDR(スキーマ・失効リスト・Issuerリスト)・PKI・ID基盤 7 / 12
  7. 見えてきた問題 ① 技術の多様性——決める前に「並走できる構造」を SD-JWT VC mdoc(ISO 18013) Open Badges 3.0

    W3C VC / JSON-LD 学修歴・属性提示向け 身分証・対面認証向け スキル・バッジ可視化 汎用・意味記述向け EUDI WalletのARF準 拠。オンラインでの選 択的開示が得意。研究 会の実証実験で採用。 運転免許証の規格ベー ス。学生証・教職員証 のデジタル化に有力。 対面・オフライン主戦 場。 1EdTech標準。W3C VC系。既存の大量バ ッジ資産を保有。 OID4VCとの接続が課 題。 意味の表現力が高い。 SD-JWT VCとは互換 なし。実装コストが高 い。 共通基盤の設計思想:身分証VC基盤と学修歴VC基盤等を別個に作るとサイロ化する。 仕様はまだ流動的だが、どれが優れているかを今決める段階ではない——変化に追従で きる共通基盤の構造こそが問われている。 8 / 12
  8. 見えてきた問題 ② 社会実装の難しさ——「使われなければ意味がない」 OpenBadgeの経験から学べること 社会実装に必要なこと 学びを「可視化」できた ユースケース駆動の設計 バッジとして発行・受領する仕組みは機能した。デジ タル証明の可能性を示した貴重な経験。 「これがあれば本当に助かる」という場面から設

    計を始める。既存の技術やフレームワークに収ま らないケースも想定する。 「価値化」には届かなかった 信頼と便利さの両立 証明書を受け取った側(企業・他大学)が実際に活用 する仕組みが整わず、社会的な効用として実感される までに至らなかった。 VCが「信頼できる」と社会が感じるには時間と 実績が要る。同時に「便利」でなければ誰も使わ ない。この両立の設計が課題。 この経験が示す問い 「価値化」の担い手 VC基盤も「作ること」と「社会に根付かせること」 は別問題。技術的に正しくても、使い勝手と価値が社 会に実感されなければ普及しない。 証明書を受け取る側(企業・大学院・行政)が VCを活用する仕組みを整えなければ、発行側の 努力は報われない。エコシステムとして設計する 視点が必要。 9 / 12
  9. 見えてきた問題 ③ 「規格を作る人はいる、 原動力とガバナンス—— 調整された実装を作る人がいない」 原動力の構造的な問題 関連団体を並べると——OIDFJ・JMICRO・ 1EdTech・文科省・NIAD……全員が「連携を促進 する」「規格を作る」側にいる 「これがあると便利だから使う」という需要を作り

    出すプレーヤーが不在 「便利なツールを作れば普及する」——原動力の本 質は技術ではなくユースケースの成功体験 TNC26(欧州)での示唆:「Europe needs interoperability, not another platform」 ガバナンスの空白 「誰が決めるか」が未定義 VCの分野ではまだ実装仕様決定の動きは存在しない。 フェデレーション型ポリシー策定の先行経験(学認な ど)が示す教訓として共有したい。 正当性の根拠が必要 大学のポリシーが機能するのは設置規定というガバナ ンス構造があるから。VC仕様も同様の構造的根拠が必 要。 ガバナンスなき仕様は絵に描いた餅 枠組みに参加する人や組織に信頼され支持される枠組 みが必要。証明書の内容や発行者を保証するための、 ガバナンス構造の整理と合意が先。 10 / 12
  10. この場の登場人物——5層アーキテクチャとの対応 「役割の押しつけ」ではなく「認識の共有」のための「議論のたたき台」として OIDFJ L5 技術・トラスト JMICRO L1 社会活用 日本マイクロクレデンシャル機構 1EdTech

    L2 制度 持つもの: OpenID Federationの専門知識 ・標準化への関与 持つもの: マイクロクレデンシャルのコミ ュニティ・ユースケースの集積 持つもの: OpenBadges等の国際標準・発 行事業者との関係 議論したい役割: トラストフレームワーク 設計・相互運用性の技術的担保 議論したい役割: 活用ニーズの発掘と普及 活動・ユースケース定義 議論したい役割: 既存バッジ資産との接続 ・標準の継続的整備 OBネットワーク NII 文部科学省 L1 社会活用 L3 教育連携 L2 制度 持つもの: スキル・バッジの実運用知見・ 利用者との接点 持つもの: 学認(GakuNin)の運営・ eduIDの管理・中立公的機関 持つもの: 政策的正当性・高等教育制度の 権威 議論したい役割: 活用ニーズの提供・価値 化の実証事例の創出 議論したい役割: 身分証・学修歴の共通基 盤設計・トラストアンカーの担い手候補 議論したい役割: ガバナンスの制度的根拠 づけ・政策的後押し NIAD-QE 関連企業 VC研究会 L2 制度 大学改革支援・学位授与機構 L4 プラットフォーム L4 プラットフォーム 持つもの: 学修の質保証に関する制度的権 威・国際的認知 持つもの: 開発・実装・運用能力・ビジネ スモデルの検討 持つもの: 実装の知見・技術と制度の両面 からの問いの整理 議論したい役割: VCが証明する学修の「信 頼の裏付け」・質保証の設計 議論したい役割: 「実際に作る主体」—— 競争領域を担いながら共通基盤を提供活用 議論したい役割: 実証実験の継続・議論の 場の提供・問いの持ち寄り 11 / 12
  11. 今日、皆さんと話したいこと——そして次へ キックオフとして——それぞれの立場からの問いを持ち寄ってください Q1 技術の並走と共通基盤について 身分証VCと学修歴VCを共通基盤として設計するとはどういうことか。 それぞれの組織・領域では今どの技術・仕様を見ているか。 変化に追従できる構造をどう作るか。 Q2 ユースケースと社会実装について 「これがあれば本当に助かる」という場面は何か。先行経験を踏まえ「価

    値化」まで届かせるには何が要るか。既存の技術やフレームワークに収ま らないケースはあるか。 Q3 役割分担とガバナンスについて この場にいる組織・人々の間で、誰が何を担うのか。VC仕様を「誰が・ど の権限で」正式に決めるのか。現時点で合意できることは何か。 研究会の今後 大阪教育大学などでの単位互換 VC実証実験(2026年・パイロ ット実装) 2027年以降:パイロット実装 をもとに実証実験の本格展開 2029年以降:全国展開可能な モデルの確立 実装チームによる技術検証・ OpenID Federationの設計継続 各機関との連携・参加者の拡大 NII 公募型共同研究 26AD03 アカデミックVC研究会 12 / 12