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1年半の翻訳作業で見えた、ID領域で繰り返し現れる論点

 1年半の翻訳作業で見えた、ID領域で繰り返し現れる論点

2026/08/26 開催
OpenID Summit Tokyo 2026 Special Edition 発表資料

1年半の翻訳作業で見えた、ID領域で繰り返し現れる論点

一般社団法人OpenIDファウンデーション・ジャパン Localization & Outreach Lead
柴田 健久

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OpenID Foundation Japan PRO

August 26, 2026

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Transcript

  1. 自己紹介 経歴 過去は大手シンクタンクでID関連ソリューションの事業推進 現在は、外資系コンサルティング企業に勤務 OpenIDファウンデーション・ジャパン 元理事 趣味 柴田 健久 OpenIDファウンデーション・ジャパン

    Localization & Outreach Lead 釣り 書道 音楽鑑賞 など ディスクレーマー 本日の発表は発表者個人の見解であり、現在の雇用主をはじめ、いかなる所属組織の 見解を代表するものではありません。 2
  2. 事実 導入 今日の材料はOIDF156件のニュース+ホワイトペーパーの翻訳記事です ニュース記事 ホワイトペーパー https://openid.net/news/ ◼ オープンバンキングとオープンデータ:国境を超える準 備はできているか? ◼

    オープンバンキング、オープンデ ータ、金融グレードAPI ◼ Financial-grade API(FAPI)プロファイル ◼ OpenID for Verifiable Credentials ◼ Agentic AIのためのアイデンティティ管理 156 件の記事 2025.02.07 → 2026.08.23 ◼ 人間中心のデジタルアイデンティティ ◼ 政府が発行するデジタル資格証明とプライバシーを取り 巻く環境 ◼ 2025年の振り返り ◼ 未完のデジタル遺産 ◼ Workshop Summary “The Impact of Digital ID Ecosystem Design on Welfare”(作業中) 2
  3. 事実 グローバルスタンダードはこう進む 相互運用性の「実証」が、何度も繰り返されている 153 / 224 7+5 8 98% WalletとVerifierとの組

    合せをテストし 90%以上が成功 イシュアとウォレット プロバイダーが検証 組織が最終版SSF/CAEP を相互に検証 HAIP 1.0 + OpenID4VP/VCI 合格率 2025年5月5日・3地域 2025年7月・OpenID4VCI 2025年10月・Authenticate 2025年11月6–13日 8か月で15回 の相互運用イベント・ハッカソンを世界中で支援 テスト結果はそのまま次の意思決定へ:HAIPの結果は ISO/IEC JTC 1/SC 17/WG 10ウェリントン会議に提供された (出展)https://www.openid.or.jp/blog/2025/11/haip-10-openid4vp-10oidf98.html 4
  4. 事実 グローバルスタンダードはこう進む 「認定」が仕組みになった。国際的に認知された VC適合性テストが仕組みになった 国際的に認知された 663件 X.1285 2025年の新規認定(前年比15%増)/累計 4,545件 2026.08.07

    OpenID4VP・OpenID4VCI の自己認定が開始 5社 + 1 独立試験プロバイダ5社/Kantara Initiative が認定監査人 「実装はできても、HAIPに準拠していることを独立した第三者を通じて 公に主張することはできなかった」 OpenID Connect Core 1.0 が ITU 勧告として正式採択。 OIDF仕様が ITU-T 標準として認識された初めての事例。 ISO 2024年に9つのOpenID Connect仕様をPASとして公表。 2025年後半に FAPI 1.0 Advanced/OpenID for Identity Assurance/FAPI 2.0 の3ファミリーがISO投票を通過。 5
  5. 事実 グローバルスタンダードはこう進む 国が増えるほど、噛み合わなくなる 30+ 国が国家デジタルIDを すでに導入 +30 60+ 45+ 国がさらに導入を計画

    国がデジタルIDを重要な デジタル公共インフラと扱 う か国・25以上の組織が SIDI Hub に参加 「これらのデジタルIDは、本質的に相互運用性を持っていない」 電話ネットワーク、メール、パスポートといったグローバルな通信技術とは異なる 【解釈】各国が自前で作るのは主権として当然。繋がらないことが「あとで問題になる」と悲しい。 作る際に選ばれる ことが大事。だから相互運用イベントと適合性テストにも、あれだけの労力を割いている。 8
  6. 事実 論点の広がり 論点の場は広がっている FAPI利活用の広がり 新たなイシュー2つ 5万組織 / 600万人 AI と

    死 • ノルウェー:FAPI 2.0 が保健ネットワーク全 体へ。金融サービス以外でこの規模の採用は初 • AIエージェント:2025年6月にCG結成、10月 に白書。145名以上が毎週会合 • Open Finance文脈。BIS Project Aperta が FAPI 2.0 を採用(英・UAE・ブラジル・香港 ・インド) • • 95カ国以上がオープンデータを推進、13の FAPI展開を支援 2026年7月、AuthZENはIdentiverse 2026で 非公式セッションから正式プログラムへ。 AIIM CGはMCP相互運用イベントの参加者募集 を開始 • デジタル遺産:「一貫した国際標準は存在しな い」 6
  7. 事実 ビジネスの論点 技術ができても、経済が追いつかない? 一般に私的最適化は、厚生最大化をもたらさない 各社が自分の得を最大にしても、世の中全体の得は最大にならない 面倒くささが、得を打ち消す つなぎ込み、法務チェック、業務の変更、覚えることの多さ。これが「表面上の経済性 を凌駕することが多い」。面倒くさくしないこと。これが便利さを足すことより効く。 良し悪しが、外から見えない 品質が見えないと、手を抜いた側が価格で勝ってしまう。外からは見えない。本人確認

    の精度などは大きな論点。対策は、責任の所在・第三者による認定。 広まった=うまくいった、ではない 使われていても、低い水準のまま固定してしまうことがある。だから普及率だけを見て はいけない。 先に払う人が、損をする 費用は先に出ていき、見返りは後から来る。だから最初に始めるIDプロバイダーほど、 いったんは持ち出しになる。全員がそう考えると、誰も動かない。 では、先に払った人はどう回収するのか。 ── 文書は、この問いに答えていない。「問うた」と書かれているだけ。 挙げられている唯一の手掛かりは通信市場。「相互運用可能なネットワークの拡大は、初期のインフラ投資に資金を提供できる大手事業者 と、規制上の仕組みの双方によって可能となった。」どう作るかは、書いていない。 https://openid.net/wp-content/uploads/2026/06/Workshop-Summary-Digital-ID-Economics-OIDF-Cover-Page.pdf 9
  8. 事実 日本の活動はどれだけあったか 156件のうち、日本が主題の記事は 2件 オーストラリア 6件 米国 5件 日本 2件

    EU/欧州委員会 2件 西バルカン 1件 ノルウェー 1件 デンマーク アフリカ デジタル庁・西日本旅客鉄道・国立情報学研究所の学生VCプ ロジェクトを歓迎 備考欄:「オリジナルがOIDF-J側のため、翻訳不要」 https://www.openid.or.jp/news/2025/03/verifiable-credentials.html OIDF が日本の当局をフィッシング対策で支援 • OIDFチェアマン 崎村夏彦氏が金融庁への専門指 導を主導 • 対象は証券・取引会社のフィッシング対策強化 • 金融庁は監督指針を改訂し、フィッシング耐性認 証を必須化する方針 • Shared Signals Framework、FAPI、継続的な監 視を推奨 1件 1件 https://openid.net/oidf-supports-japanese-regulator-on-phishing-defence/ 10
  9. 事実 日本の活動はどれだけあったか 日本は「書かれている」 デジタル庁が学生向けVCパイロットを西日本旅客鉄道・ 国立情報学研究所と立ち上げ 「検証可能な資格情報は、米国、日本、英国、インド、 スイス(ベータ版)で実運用されている」 https://openid.net/wp-content/uploads/2026/04/OIDF_2025_Year_in_Review1.pdf https://www.openid.or.jp/blog/2026/06/oidfagentic-aiitu-t.html 世界初の相互運用デモにデジタル庁がVIPオブザーバー参加。

    マイナンバーカードのPoCについて発言 『未完のデジタル遺産』に「4.4.2 日本」の節。 「デジタル資産の相続を規律する固有の法律が存在しない」 https://openid.net/openid-foundation-demonstrates-real-world-interoperabiityof-new-digital-identity-standards/ https://openid.net/wp-content/uploads/2026/03/The-Unfinished-Digital-EstateFinal.pdf OpenID4VCI 相互運用プロジェクトの報告先政府パートナーに 「日本デジタル庁パイロットプロジェクト」が明記 IGF 2025 での発信 https://www.openid.or.jp/blog/2025/08/202507-openid-foundationdigitalidentity-issuance.html OpenIDファウンデーション・ジャパン代表理事 富士榮尚寛氏が、日 本の業界横断の教育資格連携の知見を提供。記事はこれを── 「英国政府、スイス連邦、日本のデジタル庁が OpenID4VP の採用を表明した」 「アフリカ諸国にとって再現可能なモデルを 提供できることを示した」 https://www.openid.or.jp/blog/2025/11/haip-10-openid4vp-10oidf98.html https://www.openid.or.jp/blog/2025/07/20250701-balancing-sovereignty-andinteroperability.html 11
  10. 解釈 ビジネスの論点 「事業」として取り組めること さきほどの4つの困りごと 面倒くささが、得を打ち消す 面倒を減らすほうが、便利さを足すより効く。 良し悪しが、外から見えない 見えないと、雑にやる側が価格で勝ってしまう。 広まった=うまくいった、ではない 使われていても、低い水準のまま止まる。

    先に払う人が、損をする 費用は先に出ていき、見返りは後から来る。 事業として取り組めること 導入の手間を減らす製品・SI・ドキュメント・ 日本語化そのものが価値になる 適合性認定を取る/取らせる、 試験や監査を担う KPIを「導入数」から「実際に噛み合った数」へ 「最初に払う人」の回収の道筋を設計する ── 目を背けてはいけない 13
  11. 解釈 我々はどういう意識を持てばいいか 活動が紹介された前例はある IGF 2025 金融庁アドバイス デジタル庁・JR西日本・NII IGF 2025 での発信が「アフリカ諸国

    にとって再現可能なモデル」と記事に 書かれた 金融庁への支援が OIDF のニュースと して世界に配信された 学生VCパイロットが Year in Review 本体に事例として記載された 出す/出せる情報を増やす この分野では「動いた結果」が議題を動かしている。 日本の実践が「他国が真似できる」「相互運用性のある」モデルとして紹介される回数が増えれ ば、デジタルアイデンティティに携わる人が、世の中を良くしながらグローバルでも認められて いくのではないか 発信の場 GDC Conference 2026年9月1–3日・ジュネーブ Palexpo(OIDF共同主催) OpenID Foundation Global Conference 2027 2027年2月2–4日・ロンドン(初開催) (出典)https://www.openid.or.jp/blog/2026/04/---gdc.html、https://www.openid.or.jp/blog/2026/04/openid-foundation-2027.html 14