Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

「人間を最適化するAI」から「AIを最適化する人間」への主語転換 〜Agentic Engin...

Avatar for OPTiM OPTiM
February 26, 2026
23

「人間を最適化するAI」から「AIを最適化する人間」への主語転換 〜Agentic Engineeringの実践〜

2026/02/26 開催「開発生産性のその先へ、AI生産性について語りたい」でのオプティム 上原の発表資料です。

https://forkwell.connpass.com/event/384640

Avatar for OPTiM

OPTiM

February 26, 2026
Tweet

More Decks by OPTiM

Transcript

  1. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 「人間を最適化するAI」から「AIを最適化する人間」への主語転換 〜Agentic Engineeringの実践〜

    2026/02/26 開発生産性のその先へ、AI生産性について語りたい 株式会社オプティム 上原
  2. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 2 自己紹介 上原

    技術統括本部 プラットフォームサービス開発部 マネージャー  生まれ: 沖縄県  入社: 株式会社オプティム新卒入社 (2020年)  現在: 開発マネージャーとしてAI製品の開発 o OPTiM Contract (LLM 契約書管理) o OPTiM 電子帳簿保存 (LLM 帳票管理) o OPTiM 文書管理 (LLM 文書管理) 製品と組織へのAI実装を推進
  3. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 3 オプティムは、AI・IoT・Cloud・Mobile・Robotics を使った新しい価値を創造し続け、

    あらゆる産業のDXを推進し、あらゆる人々に、豊かでサステナブルな未来を実現する企業です 事業・提供サービス概要
  4. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 4 生成AIを用いた開発支援 全社的なAI活用による抜本的な生産性改革とイノベーション加速

    全従業員のAIリテラシー向上と、開発現場へのAIツール導入により、全社レベルでの生産性向上を達成 全社的なAI活用推進 開発プロセスの革新 AI活用ワーキンググループの 立ち上げにより、より全社的 な浸透・推進。全スタッフ 向けにLLMチャットを提供し 日常業務を効率化 AI開発支援ツールを全開発チー ムへ導入・活用し開発スピード と品質の向上を推進中 活用ツール: ClaudeCode/Codex/ Cursor/PR-Agentなど テックブログとして公開
  5. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 5 目次 1.

    人間中心の開発最適化の限界(人間を最適化するAI) 2. AIエージェント中心の開発を目指して(AIを最適化する人間) 3. Agentic Engineering の実践 4. Agentic Engineering の効果 5. Agentic Engineering の課題と展望
  6. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 7 主体: 人間,

    アシスタント: AI AI活用当初の考え方 要件 基本 設計 詳細 設計 実装 検証 従来の開発プロセスの全工程でAI支援を受け、生産性の最大化を目指す 人間とAIで壁打ちして テンプレートから成果物出力 人間からAIに "タスク単位" で指示 AI出力の補正・レビュー・フィードバック
  7. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 8 開発生産性の変化は? 開発工程全体で

    12% の生産性向上、25% (チーム目標) には届かず... ※ タスク単位で開発者が入力したAI効果と実際のバージョン単位の工数より算出 バージョン単位の工数削減率 4% 6% 11% 12% 12% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% v2.4.0 v2.5.0 v2.6.0 v2.7.0 v2.7.1
  8. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 9 ボトルネックは "人間"

    だった ボトルネックは "AI" ではなく、工程・タスク単位の "人間" の作業 1. タスク起票 2. アサイン 3. ブランチ作成 4. コーディング・資料作成(AI支援) 5. PR作成 6. レビュー依頼 7. レビュー 8. フィードバック対応(AI支援) タスク単位で必要な作業を棚下ろすと... AI支援の範囲は限定的
  9. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 10 AIエージェント中心の開発(Agentic Engineering)を目指して

    Agentic Engineering=AIエージェントを主体とした開発プロセス・体制、として定義
  10. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 11 AIエージェント中心のタスク処理 AIエージェントがタスク起票〜フィードバック対応まで一気通貫で処理

    1. タスク起票 2. アサイン 3. ブランチ作成 4. コーディング・資料作成 5. PR作成 6. レビュー依頼 7. レビュー 8. フィードバック対応 AIエージェントが自律実行
  11. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 12 AIエージェント中心の開発体制 人間はAIエージェントチームを動員するPL(プロジェクトリーダー)として、

    開発主体であるAIエージェントの生産性を最大化する Before: 人間中心の開発体制 After: AIエージェント中心の開発体制 PL(プロジェクト単位) エンジニア+AI支援(人間主体) PL (A機能) AIエージェントチーム(AI主体) PL (B機能) PL (C機能) 人間はAIエージェントチーム(開発主体)を動員 1機能のPLとして開発推進 人間が主体となりタスクを処理 タスク単位で最大限のAI支援を引き出す
  12. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 14 ポイント1. コンテキスト集約

    製品開発に必要な仕様・設計・意思決定のコンテキストを集約 design-context/ ├── steering/ # プロダクト方針・技術方針・構造指針 ├── specs/ # 機能単位の仕様・設計・タスク │ └── A機能/ │ ├── requirements.md # 要件定義 │ ├── design.md # 基本設計 │ ├── ui.md # UI設計 │ ├── tasks.md # 実装計画 │ └── testpoint.md # テスト観点設計 ├── api/ # API設計 ├── database/ # 各種データストア設計 ├── batch/ # バッチ処理設計 ├── jobs/ # ジョブ設計 ├── ui/ # 画面設計 └── misc/ # 共通仕様 Design Context リポジトリ
  13. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 15 各工程の知見を Agent

    Skills として AI が利用可能なモジュールへ ポイント2. スキル整備 ▪ 要件定義スキル ▪ 基本設計スキル ▪ 画面設計スキル ▪ 実装計画スキル 要件 基本 設計 詳細 設計 実装 検証 ▪ 詳細設計スキル ▪ 実装スキル ▪ 実装レビュースキル ▪ 試験観点スキル
  14. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 17 Agentic Engineering

    フロー Phase 1: 上流工程・タスク分解 Phase 2: 詳細設計(IF等)・実装・試験観点作成 Phase 3: レビュー・フィードバック Phase 4: 受け入れテスト・バグ対応
  15. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 18 Phase 1:

    上流工程・タスク分解 タスク分解までは人間が主体となり、AI(Agent Skills)と協働して解像度を上げる 工程 インプット アウトプット (Design Context配下) ポイント 1. 要求整理 企画チームからの要求資料 企画・開発の議事録 - 2. 要件定義 /requirements 要求整理の議事録 requirements.md 背景・ユースケース・ゴー ル・スコープ等明確化 3. 基本設計 /design 要件定義書 design.md - 4. 画面設計 /ui 要件定義 / 概要設計 / UI・UX 議事録 / Figma など ui.md - 5. 実装計画・起票 /tasks /tasks-create 要件定義 / 概要設計 / 画面設計 tasks.md AI生成のタスク方針・依存関 係・順序・担当(人/AI)を 人間がレビュー
  16. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 19 Phase 2:

    詳細設計(IF等)・実装・試験観点作成 AIエージェントが主体となり、各タスクを並列に一気通貫で処理 機能開発エージェント /feature-development-agent {機能名} 1. 対象機能の上流・タスク分解を確認 2. タスク毎にサブエージェントを起動 1. チケット読み取り(Backlog MCP) 2. チケット状態を「処理中」に(Backlog MCP) 3. ワークスペース内で作業ブランチを切る(Git) 4. 詳細設計 / 実装 / 試験観点作成 5. セルフレビュー 6. PR作成(GitLab CLI) 7. チケット上でレビュー依頼(Backlog MCP) 3. 完了報告 自動起票・アサイン AIから人間へレビュー依頼
  17. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 20 Phase 3:

    レビュー・フィードバック フィードバック対応エージェント /feature-feedback-agent {機能名} 人間が成果物をレビュー後、AIエージェントにフィードバック 1. 対象機能のフィードバック内容を確認 1. ウィンドウ内の指示/チケット/PRを参照 2. タスク毎にサブエージェントを起動 1. チケット読み取り(GitLab CLI) 2. チケット状態を「処理中」に(Backlog MCP) 3. ワークスペース内で作業ブランチを切る(Git) 4. 詳細設計 / 実装 / 試験観点作成 5. セルフレビュー 6. PR作成(GitLab CLI) 7. チケット上でレビュー依頼(Backlog MCP) 3. フィードバック事項から各スキルの改善提案 自己改善サイクル チケット上でエージェントとコミュニケーション 人間のレビュー負荷を下げるため、 タスクによってはAIレビューのみでマージ
  18. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 21 Phase 4:

    受け入れテスト・バグ対応 人間が試験を実施、バグ対応は起票後にAIエージェントに依頼 バグ対応エージェント /fix-bug-agent {チケット番号} 1. 受け取ったバグチケットから事象を確認 2. バグの原因調査 3. 修正してレビュー依頼 1. チケット読み取り(GitLab CLI) 2. チケット状態を「処理中」に(Backlog MCP) 3. ワークスペース内で作業ブランチを切る(Git) 4. バグ対応 5. セルフレビュー 6. PR作成(GitLab CLI) 7. チケット上でレビュー依頼(Backlog MCP) 人間があたりをつける(必要ない場合もある) AIが関連チケット・コードから詳細な原因を特定して修正
  19. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 22 Agentic Engineering

    の効果 既存システム改修が必要なとある機能を例に
  20. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 23 Agentic Engineering

    の開発速度 "人間" 中心のAI活用フロー 要件 基本 設計 詳細 設計 実装 検証 7日間 (25チケット) "AI" 中心のフロー: Agentic Engineering 2日間 詳細設計・実装において... 約3.5倍の生産性向上を記録 (定性的にもチームの出荷量が増加) 全機能開発に適用できれば... 生産性25%向上の目標を 超える結果を見込む
  21. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 24 Agentic Engineering

    の精度 タスク25チケットのうち 70%はフィードバック事項なし 過去の同規模の機能と比較して バグ比率(バグ/実装チケット)は劣化なし
  22. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 25 Agentic Engineering

    のコスト Codex(Business プラン, $30/月)の Weekly Limit 消費率 Phase 1. 上流工程・タスク分解 : 10% Pahse 2. 詳細設計・実装・試験観点作成 : 50% Phase 3. レビュー・フィードバック : 30% Phase 4. 受け入れテスト・バグ対応 : 10% 1機能の開発を通して Weekly Limit を全て消費するペース (コンテキスト効率の改善余地あり)
  23. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 26 Agentic Engineering

    の課題と展望 組織実装・コスト・検証
  24. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 27 Agentic Engineering

    の課題 1. AIエージェント制御の難しさ(組織実装に向けて) 2. コストコントロールの難しさ 3. 検証工程のボトルネック解消
  25. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 28 AIエージェント制御の難しさ(組織実装に向けて) AIエージェントはあくまで「加速装置」。開発者が上流工程・タスク分解で目的・制約・優先

    順位を解像度高く定義しないと、正しそうに見えて正しくない成果物を高速で量産し、手戻り も同じ速度で増幅する。 経験値があり上流工程も解像度高く締められるシニアなら生産性を発揮しやすいが、ジュニア にとっては難易度が高く逆に生産性が低下する可能性もある。 シニアエンジニアの個人プレイではなく組織として再現性を持って生産性を発揮するため、 ジュニアも Agentic Engineering にステップアップ可能な教育体制が必要。
  26. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 29 コストコントロールの難しさ 例えば

    Claude Code の Agent Teams の活用事例では、使い方によっては人間を稼働させるよりも コストが高くつく場合がある 弊チームでは上流・タスク分解(Why・What)まで人間が主体となって締め、後工程をAI エージェントに依頼するプロセスを採用。上流工程までAIエージェントに自律稼働させると精 度も引き出しづらくAIコストが嵩みがち。 あくまでAI活用の目的は生産性(価値/コスト)向上にある。AIへのコスト投入により得られ る価値(ROI)を意識しながら、業務プロセスの再定義(人間とAIの役割分担)や最適なツー ル選定が必要
  27. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 30 検証工程のボトルネック解消に向けて 上流から実装までをAIエージェントで最大限効率化できたとして、次なるボトルネックは大

    きく人間に依存している「検証工程」にある 弊チームでもAIエージェントに検証工程を実施させる検証は続けているが、AIによる製品操 作の精度を実用レベルまで引き出せていない状況... この領域はAIエージェントの進化によって解決可能なことが増えていくので、今のうちから 進化の波に乗れるよう構えておくことが重要
  28. © 2019-2026 OPTiM Corp. All rights reserved. 32 まとめ 1.

    (人間を最適化するAI)人間中心の開発最適化の限界 o 人間を主体に各工程でAIを活用しても、全体最適には限界(プロセス全体で12%まで向上) 2. (AIを最適化する人間)AIエージェント中心の開発(Agentic Engineering)へ o 開発者は「作業者」からAIエージェントチームを動かすPLへ o AIはタスクを "一気通貫で処理" できる粒度で役割を担う 3. Agentic Engineering 実践の3つの柱 1. コンテキスト集約(Design Context) 2. スキル整備(Agent Skills) 4. Agentic Enginnering の効果 o 1機能25チケットにおいて3.5倍の生産性向上、チーム全体の生産性25%UP達成見込み、70%はフィードバックゼロ、バグ比率も変わらず 5. Agentic Engineering の課題と展望 o AIエージェントは加速装置であり高いエンジニアリングスキルが求められる、ジュニアエンジニアの教育体制の見直しが必要 o AIエージェントは油断すると人間より稼働コストが高い状態に、ROIを意識した業務プロセス設計が必要 o 次なるネックは人間に依存している検証工程である、検証作業向けAIエージェントの進化に乗れるよう構えておく