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2025.09.02_AIコーディングを利用した開発自動化を目指しての座談会

 2025.09.02_AIコーディングを利用した開発自動化を目指しての座談会

こちらのイベントの登壇資料です
https://yojo.connpass.com/event/363630/
PharmaXにおけるAIコーディングの取り組みを振り返りながら今後の展望についてお話ししました

More Decks by PharmaX(旧YOJO Technologies)開発チーム

Transcript

  1. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 2 自己紹介 X:@ueeeeniki 上野彰大

    PharmaX共同創業者・CTO 好きな料理はオムライスと白湯とコーラ 『LLMアプリケーションの評価と継続的改善』についての本を 執筆中!!
  2. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 3 自己紹介 尾崎皓一 PharmaX

    YOJOカンパニー CTO 2人目のエンジニア正社員としてジョイン 最近はAIコーディングを活用しながらがっつりコーディング もしています X(Twitter):@FooOzaki
  3. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 4 自己紹介 江田知優 PharmaX

    YOJOカンパニー エンジニアリング責任者 インターンののち、新卒入社。 現在入社3年目。 プロダクト開発の傍ら AIコーディングエージェントを使って 開発フローの自動化に取り組んでいます! X(Twitter):@asamuzakE
  4. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 7 医療業界を横断する 2つの事業領域 YOJO

    toC事業 BtoC/BtoB両事業でAIエージェントを実装することで患者満足度世界一の医療体験を実現 AX toB事業 “まだ誰も見たことのない ”10Xな医療体験の実現 既存医療インフラの AIによる劇的なアップデート
  5. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 8 医療アドバイザーに体調 のことをいつでも気軽に相 談できる

    相談型医療体験 30種類以上の漢方薬からあ なたに合ったものを月毎に 提案 パーソナライズ漢方薬 定期的に漢方をお届けし、 一人ひとりに寄り添うかか りつけ医療を提供 継続的なかかりつけ 一生涯にわたって寄り添うかかりつけ漢方薬局「 YOJO」
  6. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 10 YOJOで稼働する OTC医薬品相談 AIエージェント

    患者さまからの一次対応をすべて AIエージェントが行う(裏側では 100近いのプロンプトが稼働) 基本的にはメッセージを自動送信し、必要があれば薬剤師に承認を求める 一次的な漢方選択や、こちらから送信する体調確認などもエージェントが自律的に作成 薬剤師に重要な 返信や判断の確認を依頼 一次的な漢方選択なども行う 薬剤師が返信する場合もある AIエージェント 薬剤師 ユーザー AIが人に指示をするような体験
  7. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 12 AIコーディングを色々試してきて 全体的な開発生産性は確実に伸びている ・Devin、Cursor(Roo)、Claude

    Code、Gemini Code Asistantなど チームとしても色々試してきた ・AIコーディングにより一部の開発生 産性が数倍に
  8. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 13 大きな開発でも生産性を出せるように(道半ば) リファクタリング、小さなプロダクト改 修はAIコーディングにより生産性が

    数倍に 一方、 大きなプロダクト変更 技術的負債が蓄積している箇所 はAIコーディングの精度が出ず、生 産性が上がらない
  9. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 14 大きな開発でも生産性を出せるように(道半ば) 大きな開発が入っても AIコーディング

    を活用して生産性を維持できるように なってきている AIプロセス改善タイム 週2回x1時間 PdM + エンジニア を定期開催
  10. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 15 • 2024年のCopilotローンチから使い始めていた ◦

    同時にChatGPTにコードを貼るみたいなこともやっていた • 2024年末にはCursorに全社移行 ◦ 一部のエンジニアは夏頃から個人で試し始めていた 【導入期】 2024年半ば〜年末 AIコーディングを始めて、生産性が向上する手応えを感じ始めた • コードを貼り付けなくなって勝手に読みに行ってくれるのが革命的と感じた • まだコードを書いており、あくまで補完してくれるだけのツール
  11. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 16 【自動化開始期】 2025年初頭 所謂バイブコーディングに近い開発スタイルでの開発

    • Roo Codeを使用開始 ◦ 使用開始当初は色んなモデルを試してみてた • 同時期にClaude 3.7 Sonnetがリリースされて圧倒的な手応えを感じ始めた • ある程度コーディングを任せれる実感を得られ、コードを自分自身でゼロから書く作業から解放 され始める • 所謂バイブコーディングに近い開発スタイルでの開発に取り組み始める
  12. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 17 【ワークフロー構築期】 2025年春(3〜5月) 開発プロセス全体をワークフローを組んで自動化に取り組む

    • Roo Codeのモードの運用が活発化 ◦ モードという概念をRoo Codeが導入し、場面に応じてモードを切り替えて使い始めた • 同時期にClaude 3.7 Sonnetがリリースされて圧倒的な手応えを感じ始めた • 完全自動はまだ難しかったが、人のレビューを適切にワークフローに組み込むことで生産性が 向上し、AIコーディングを中心とした開発プロセスで開発を進める • 要件・設計を徹底的にドキュメンテーションすることで AIコーディングの精度が向上 ◦ これまでは小規模チームで1人でタスクが完結していたため、一時的な設計ドキュメントは あまり力を入れていなかった
  13. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 18 Roo Codeのmode Roo

    Codeにはモードが存在し、弊社ではモードごとのルールを細かく設定して与えるという設計思想 各モードで何をするのかを定義
  14. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 19 Roo Codeのmodeのワークフロー Roo

    Codeはワークフローを定義すれば、モードを自動で切り替えるようになっている ワークフローに従って 勝手にモードが切り替わる モードごとにプロンプトが変わっ たほうが制御できる Claude Codeなども結局は似た ような思想にたどり着きつつある ように感じる
  15. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 21 【Claude Code移行期】2025年春(5〜6月) メインのコーディング

    AIツールをRoo CodeからClaude Codeへ移行 • CLIツールであるがゆえにgit操作などがかなり得意でミスも少なかった • 一番の移行の理由は、①Maxプランによる定額制の導入、②技術トレンドへの乗っかり ◦ 圧倒的性能のClaude 4の登場など、他のモデルへの切り替えを考えなくてよかったことも 寄与している • Roo Codeはエディターと統合しているからこそ差分確認のしやすさなどの優位性もあった • Claude Codeのリリース初期は同じモデルを使っていればそこまでの性能の差分は感じてな かった • Roo Codeでは、Claude以外のモデルも使用してみたがピンとこず、 Claudeでいいとなった
  16. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 22 【Claude Code組織化期】 2025年夏(6〜8月)

    自立型のAI開発組織の構築にチャレンジ • Claude Codeとtmuxを組み合わせて複数Claude Codeを立ち上げ、エージェント同士コミュニ ケーションを取らせる方法が話題になった • EM、TL、Coder1,2,3の5エージェントで要件定義書から開発してくれる仕組みを構築した。 • タスク管理・要件と実装の整合性担保を EM、設計・コードの品質担保をTL、実装を3人のCoder が行う • 質はともかく自律的にタスクが進んでいく ◦ 人間は機能仕様書・タスク設計書・実装コードの3種類をレビューするだけ
  17. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 24 Claude Code組織化② シェルスクリプトでエージェント間の会話を行う

    • tmuxのsend-keysで他エージェントにメッセージ送信 • 相手が実行するワークフローも指定するので、エージェントが仕事 を間違えない • メッセージ内容はymlとして置いておき、メッセージ相手にそのパ スを読みに行くよう指示 実際に送られるメッセージ↓
  18. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 26 【Claude Code頭打ち、幻滅期】 2025年夏(8〜9月)

    • 既存仕様把握が甘いので、特に設計部分で相当人間の介入が必要。完全自動化は程遠い。 ◦ 既存プロダクトの複雑性(10リポジトリくらい・コード量も多い)も要因 • Claude Code組織化はエンジニア組織を並列させて動かすため、各ロール用の開発環境を 用意する仕組みの構築コストが高い • 人間が設計するときは幅広い知識を前提にしているが、 Claudeのコンテキストの限界によって すべてを理解しきれない。 ◦ コンテキストの限界を超えないようにうまく幅広い情報を与えられるか、という課題 ◦ コンテキスト圧縮は体感Rooよりも悪い(直前と全く違うことをすることも) 〜 既存プロダクトでのClaude Code自動化の限界 〜
  19. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 27 • モックレベルであれば大部分自動化も可能 ◦

    コーディングに関しては、まったく人間が手動で書かないということも可能 ▪ 動作はテストと動作確認で担保 ◦ 要件定義や設計等のドキュメントに関しては、丁寧にレビューしている ▪ はじめに背景まで含めたかなり詳細な指示を与えれば、要件定義や設計のドキュメ ントも十分なクオリティに到達する ▪ PoCでもドキュメント類はかなり詳細に記述するので、一応丁寧にチェックしている ➡本番開発ではモックで使用したコードでの反省をもとに再度作り変えることもできるので、 モックレベルであれば自動化可能 モック開発の完全自動化について
  20. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 28 既存プロダクト開発の完全自動化について • 直近の最適解と完全自動化には隔たりがある

    ◦ コーディングだけなら大部分を自動化できている ◦ 設計をLLMだけでやらそうとすると、目先の開発生産性は大きく落ちる ▪ 原因はコンテキストサイズの限界(モデルの性能) ▪ ステップバイステップで人間とAIで協働する形が最適 ▪ 一方で人間が設計をしている限り、完全自動化は進まない(モデルを開発するなら 別かもしれないが) ➡コンテキストサイズの拡大を待つか or コンテキストサイズの大きなモデルの性能の向上を 待つのが現実的かも ◦ コンテキストを縮めて適切なドキュメントを与える努力を直近するのは微妙か
  21. (C)PharmaX Inc. 2025 All Rights Reserve 29 • 設計部分を中心にCodex, Gemini

    Code Assistなど幅広いツールを試してみる ◦ コンテキストサイズの大きいモデル・ツールの使用を試す ◦ コードのインデックス化 • バリューストリーミングマッピングに基づいた開発生産性改善 ◦ 人の待機時間を減らすためにボトルネックを把握していく必要性を感じる ◦ 人の介在を前提とした設計フローの最適化 • 作業の並列化・最適化 ◦ 並列しないと生産性は1.5倍くらいにしかならない(手離れしても人間が暇になっているだ け) ▪ 個々人での開発環境差分の吸収 /開発環境の並列化 ▪ テスト高速化 ◦ 人として並列作業はどこまで可能なのかという問いも ▪ マルチタスク問題(認知力の限界)的な話も一定ある 今後と直近の生産性改善