Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

LLM×Cloud Runでオンライン薬局の既存オペレーションを自動化した話

LLM×Cloud Runでオンライン薬局の既存オペレーションを自動化した話

More Decks by PharmaX(旧YOJO Technologies)開発チーム

Other Decks in Technology

Transcript

  1. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 2 自己紹介 自己紹介 上野彰大

    PharmaX共同創業者・エンジニアリング責任者 好きな料理はオムライスと白湯とコーラ マイブームはLLMとRust Twitter:@ueeeeniki
  2. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 5 医療体験を横断する2つの事業領域 PharmaXの 事業

    YOJO事業 (OTC医薬品・健康食品) 未病・予防 治療 薬局DX事業 (医療用医薬品) オンライン薬局サービスを展開している
  3. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 6 LINEから利用できるバーチャルな薬局 最短 即日

    ※ お薬をもっと手軽に、もっと安心して受け取れる「 YOJO薬局」 お薬はお家までお届け LINEで薬剤師にいつでも相談 好きなときにお薬の説明 ※東京23区内のみ PharmaXの プロダクト
  4. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 7 ソフトウェアに閉じないプロダクト開発 PharmaXの プロダクト開発

    独自の薬局オペレーションシステムを構築し、最適化されたオンライン薬局を実現 × 自社薬局をプロトタイプラボ化 ソフトウェア オペレーション リモート 薬剤師組織 薬局業務を効率化す るオペレーションシス テム(薬局OS) 質の高い患者さま対応 のためのオンライン特 化組織 対人業務の質を高め るための対物業務効 率化 「ソフトウェア×オペレーション×薬剤師組織」を プロダクトとして開発
  5. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 8 その他 BI インフラストラクチャー

    フロントエンド バックエンド 技術スタック 開発環境 サービスに取り込むべき技術をプロダクト横断的に議論する場を設け、新しい技術も積極的に採用
  6. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 11 医療体験を横断する2つの事業領域 PharmaXの 事業

    YOJO事業 (OTC医薬品・健康食品) 未病・予防 治療 薬局DX事業 (医療用医薬品) オンライン薬局サービスを展開している
  7. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 19 メールやFAXで送っていただく場合などもあるが今回は対象としない クリニックとオンライン薬局の処方せんのやり取り オンライン薬局の

    受付業務 Boxに医療機関ごとの共有フォルダ内に日付別に処方せんを格納いただく 医師 薬剤師 オンライン診療 オンライン服薬指導
  8. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 21 疑義照会とは何か? 疑義照会とは 医師が発行した処方せんの間違いなどを発見し、医師に問い合わせること

    • 赤枠の欄にその人に処方される医薬品名や 1日の服用数、 服用タイミング、合計の処方量などが記載されており、その 内容に従って薬剤師が調剤行う • 処方内容が間違っていることが多々あるため、医療事故を 防ぐために、指摘して処方せん内容を変更してもらうこと( = 疑義照会)薬局・薬剤師の重要な職務 ◦ 疑義照会の7、8割ぐらいが、法律に定められている処方量 とのズレ(1日の最大容量を超えた量が処方されているなど) や、単純な記載ミス ◦ 2割程度は、併用薬などを詳しく聞かないと分からない内容
  9. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 23 オンライン薬局の受付フロー オンライン薬局の 受付業務

    今回は特に②でAzure OpenAI ServiceのGPT-4 APIを用いている • ① 処方せん情報をテキストデータ化する • ② 処方せんのテキストデータからLLMで患者の連絡先情報を抽出する • ③ SMS&メールを自動で送信する
  10. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 24 ステップ①: 処方せん情報をテキストデータ化する クリニックから受け取った処方せんから

    OCR(Document AI)でテキ ストを抽出する 処方せん画像をOCRでテキスト化したり、PDFデータからテキストを抽出したりする 医師 薬剤師 オンライン診療 オンライン服薬指導 ステップ①
  11. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 25 ステップ②: 処方せんから医薬品の処方情報を抜き出して構造化する ステップ②

    処方せんのテキストデータから、連絡先情報を LLMに抽出させる { “電話” : “09012345678”, “メールアドレス” : “[email protected]” }
  12. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 27 疑義照会とは何か? 疑義照会とは 医師が発行した処方せんの間違いなどを発見し、医師に問い合わせること

    • 赤枠の欄にその人に処方される医薬品名や 1日の服用数、 服用タイミング、合計の処方量などが記載されており、その 内容に従って薬剤師が調剤行う • 処方内容が間違っていることが多々あるため、医療事故を 防ぐために、指摘して処方せん内容を変更してもらうこと( = 疑義照会)薬局・薬剤師の重要な職務 ◦ 疑義照会の7、8割ぐらいが、法律に定められている処方量 とのズレ(1日の最大容量を超えた量が処方されているなど) や、単純な記載ミス ◦ 2割程度は、併用薬などを詳しく聞かないと分からない内容
  13. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 28 疑義照会の自動化に必要なステップ 疑義照会とは •

    ① 処方せん情報をテキストデータ化する • ② 処方せんのテキストデータからLLMで医薬品の処方情報を抜き出して構造化する • ③ 処方情報からその医薬品の添付文書を取得する • ④ 処方情報とその医薬品の添付文書を照らし合わせて疑義照会の文章を自動作成する 今回は特に②と④でAzure OpenAI ServiceのGPT-4 APIを用いている
  14. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 29 ステップ①: 処方せん情報をテキストデータ化する クリニックから受け取った処方せんから

    OCR(Document AI)でテキ ストを抽出する 処方せん画像をOCRでテキスト化したり、PDFデータからテキストを抽出したりする 医師 薬剤師 オンライン診療 オンライン服薬指導 ステップ①
  15. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 30 ステップ②: 処方せんから医薬品の処方情報を抜き出して構造化する ステップ②

    処方せん内の処方情報欄の形式はクリニックのシステムによって様々であるため抽出が難しい
  16. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 32 ステップ②: 処方せんから医薬品の処方情報を抜き出して構造化する ステップ②

    • 正規表現でいろんなパターンをマッチさせて引っ掛けて来る方 式もあり得ると思うが、複数あるテキストパターンから特定の 情報を抜き出すのは、正規表現では難しくなる • GPT-4のAPIを使って、処方せんのテキストから処方情報を JSON配列の形式で抽出する ◦ Few-Shotプロンプティングで例を与えることで十分構造 化可能 処方情報をJSON配列の形式に構造化して抽出する
  17. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 33 ステップ③: 処方情報からその医薬品の添付文書を取得する ステップ③

    • PMDAの情報からスクレイピングなどで医薬品の添付 文書情報を取得し事前にDBなどに保存しておく ◦ 添付文書は定期的に変更されるので注意 • ②で構造化した情報の中の医薬品名で DBを検索し て、添付文章を取得する 事前に保存した添付文書を②で取得した薬名で検索して取得する
  18. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 34 • ②と③で取得した情報を埋めて GPT-4

    APIに比較させる • 出力形式は、薬ごとに気になるポイントを比較するように支持 する ステップ④:処方情報とその医薬品の添付文書を 照らし合わせて疑義照会の文章を自動作成する ② ③ ステップ④ 処方情報と医薬品の添付文書を照らし合わせて疑義照会の文章を作成するように LLMに指示
  19. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 36 ステップ④:処方情報とその医薬品の添付文書を 照らし合わせて疑義照会の文章を自動作成する ステップ④

    • 現場の薬剤師からすると細かすぎるところはあると思うが、かなり正確に指摘できている ◦ 人間からするとむしろ指摘が細かすぎるところの方が問題かもしれない • 手元で自作した数百枚の処方せんサンプルすべてに対して、 GPT-4のAPIに問い合わせた所、数 件を除いてほぼすべての処方せんで指摘漏れはなかった 処方せんのほとんどで正確に指摘できており、エラー率はかなり低い
  20. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 40 今後の改善ポイント • AzureとGCPを閉域接続する等、さらなるセキュリティの向上

    • PDF以外の写真などの処方せん形式のOCR対応 ◦ 処方せんはクリニックからFAXで届くこともある • GPTからの出力のバリデーションと評価によるさらなるエラー率の減少
  21. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 42 • 処方せん内容と服薬指導音声のを文字起こしし薬歴自動生成 •

    薬剤師から患者へのメッセージサジェッション+レビュー • これまでの患者の経過や会話内容のサマリーの記載 • ローカルLLMの本番稼働 ◦ プライバシー保護やレイテンシー低下のためには、本来ローカルでLLMが動 かせるのが一番よい 今後やりたいことまとめ 今後の展開 アプリケーションに組み込めそうなアイディアがたくさんあり、並行して様々な PoCを実施中
  22. (C)PharmaX Inc. 2023 All Rights Reserve 47 • LLMとserverlessを活用したプロダクト事例としてオンライン薬局サービスをご紹介 した

    ◦ 医療のような規制産業でもserverlessをフル活用した新サービスを運用でき る ◦ LLMを使ってオペレーションを自動化できる • 非構造化データの多い医療のような領域では特にLLMによる効率化の効果が大き い ◦ LLMによってこれまではシステムが入り込めなかった領域をシステム化できる ようになった まとめ 最後に