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20251023_【DCC】STデータ連携円滑化WG_報告書_本紙

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October 23, 2025
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 20251023_【DCC】STデータ連携円滑化WG_報告書_本紙

セキュリティトークンにおける権利者データを円滑に活用するための共同検討結果について

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October 23, 2025
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  1. © Progmat, Inc. #1 エグゼクティブサマリ 目次 #2 ステップ1:データ利活用の要件整理 #3 ステップ2:データ連携ルートのパターン

    #4 ステップ3:各パターンの評価 #5 ステップ4:法的構成の整理 #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  2. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #2 ⚫

    権利者データの円滑な共有/活用の下地が整備されることで、発行体の業績拡大のための”攻め”、投資家保護のための”守り”の両面での効果が 期待される ✓ 攻めのデータ活用:ファンマーケティング文脈での権利者のリアルタイムな情報把握と施策実行 ✓ 守りのデータ活用:ハイイールド債等をはじめ、発行体のデフォルト発生時における権利者の迅速な把握と対応 データ連携円滑化で期待される効果 本WGの検討スコープ ⚫ 現時点のSTの大宗を占める不動産(信託型)と社債を対象に、それぞれにおいて、データ利活用の要件、データ連携ルートの類型化、左記を前 提としたデータ連携を円滑に進めるための”あるべき法的構成”を整理した データ利活用の要件 ⚫ 発行体が投資家に魅力的な体験や適切なマーケティング施策を提供するための属性データ取得と、社債管理業務における正確な本人確認(社 債権者集会)と納税対応の二軸が中心 ⚫ (個人情報保護法や金融分野における個人情報保護に関するガイドラインを遵守した上で)データを円滑に連携するには、権利者本人への同意 取得にあたり、データ利用目的の具体性や提供項目の明確化、提供先の特定性が肝要となる ⚫ なお、データ連携にあたり、権利者と接点を持つ仲介者側の顧客同意の把握・管理に係る負荷、営業資産としての機密情報管理、自主規制団体 規則への抵触可能性等に係るフィージビリティも踏まえた対応が必要となるため、将来的には業界統一的な取扱いが望まれる 検討の前提となるデータ連携パターン ⚫ あるべき法的構成の整理に向け、どの連携ルートが現実的か、契約・ポリシー・事務負荷・効率性・汎用性の観点で評価を実施 ⚫ 信託型STでは、権利者原簿を管理する信託銀行を経由し発行体に連携するルートが、社債STでは、社債管理業務のために発行体または社債 管理者に連携するルートが法的整理の前提として妥当とされた ⚫ なお、社債STについては社債権者集会での招集通知や本人確認業務等のオペレーションが必要となることから、権利者との直接的な接点を持つ仲 介者への委託を想定することも議論された あるべき 法的構成 マーケティング活用 社債管理業務 ⚫ 発行体が投資家向けに特典や情報を提供するため、多様な個人データの活用が不可欠。ゆえに利用目的が変わりやすく約款対応は難しいため、 個別同意書での同意取得が現実的 ✓ ただし、発行体から関連マーケティング会社への連携は個人データの取扱いの委託に伴う提供で補完する形が妥当と考えられる ⚫ 個人データの第三者提供の確認記録義務については、「本人に代わる個人データの第三者提供」を基本とする ⚫ 社債権者集会の招集通知や本人確認など、法的義務に基づく必須業務を中心にデータ連携が必要 ⚫ 発行体への連携はマーケティング活用と同様に「本人に代わる個人データの第三者提供」の構成とし、社債管理者への連携においても、当該業務は 会社法で規定された権限と義務にあたるため、発行体のニーズや状態(破綻等)から切り離されるべきであることから、同様の構成が望ましい ⚫ なお、発行体または社債管理者が実務を仲介者に委託する場合、そのデータ連携は、個人データの取扱いの委託に伴う提供が望ましい エグゼクティブサマリ
  3. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #4 #「Progmat」とは|プログラマブルなネットワークで社会を繋ぎ、あらゆる価値をデジタル化する

    SC あらゆる価値をデジタル化 権利/資金の流れをプログラマブルに ST SC UT セキュリティトークン ユーティリティトークン ステーブルコイン SC ST UT 社会をネットワークで繋ぐ ボーダーレス/24・365/P2P #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  4. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #5 #「Progmat」とは|「インフラ層」を共創/標準化し、市場参加者の圧倒的利便性向上を実現する

    インフラ層 Ⅰ サービス層 Ⅱ Progmat, Inc.…「Core Developer」兼「コンソーシアム(DCC)事務局」 ST UT Coin DCC事務局 信託銀行 A 信託銀行 B 信託銀行 C 銀行 D 銀行 E 証券 F 証券 G エクスチェンジ H コア機能提供 利用料 & 各発行体 役務 対価 Service Developers 株主企業群=アライアンスパートナー 出資 利益還元 スピンアウト (独立化) DCC会員 による 分権運営 インフラ としての 中立的 資本構成 (競争領域) (共創領域) #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  5. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #6 #「DCC」とは|多数の組織が参加する、業界横断で価値を生み出す枠組み 最新ナレッジ 共有 プロダクト

    共創 デジタルアセット共創コンソーシアム 共同検討 ・提言 (DCC) 【目的】 デジタルアセット全般を対象とした、 業界横断での新たなエコシステムの共創 【運営概要】 ②業界横断的/新規性の高いテーマを対象に、 ワーキング・グループ(WG)を組成し、任意参加 ③秘密情報の共有範囲を限定し、 会員同士で柔軟に個別プロジェクトを実施 ④プロダクトに係る分権的運営 ①複数関係者間を跨ったWGや個別プロジェクトを 柔軟に進めるため、”包括的な秘密保持契約” として機能(共有範囲を調整し、都度個別の NDA締結を不要化) 【ポイント】 ①入会金/参加費無償 ②入会申込書(Word/押印不要)の電子送付 (事務局で締結手続完了後、会員サイト案内) ③社名非開示のオプション選択可能 © Progmat, Inc. #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  6. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #7 © Progmat, Inc. 315組織

    デジタルアセット共創 コンソーシアム 43% 15% 8% 6% 17% 4% 7% 【発行体/運用者】 137組織 【金融機関/決済業者】 46組織 【取引所/証券会社】 26組織 【暗号資産交換業者】 19組織 【技術協力/コンサル】 53組織 【法律事務所/監査法人等】 13組織 【他業界団体等】 21組織 #「DCC」とは|商品化検討中の事業者、ノウハウを有する業者/専門家等で315組織で構成されている #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  7. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #8 #WG開催の背景 © Progmat, Inc.

    デジタル証券のあるべきデータ活用 実現に向けて必要なこと ST(トークン化証券) 振替証券 振替口座簿 証券会社 証券会社 発行会社 /社債管理者等 電子的移転 原簿 権利者の氏名・住所無し 電子的発行 タイムラグ 振替機関 証券会社 証券会社 電子的移転 電子的発行 リアルタイム 原簿の 電磁的記録 権利者の氏名・住所等 発行体は権利者等の情報把握にタイムラグ ペーパーレス&リアルタイム情報把握 攻めのデータ活用 ⚫ ファンマーケティング文脈での権利者のリアルタイムな情報把握と施策実行 守りのデータ活用 ⚫ ハイイールド債等、発行体のデフォルト発生時における権利者の迅速な把握と対応 データ利用目的や連携ルートを明確化し、 権利者データを円滑に利活用できる法的 構成を整理する 発行会社 /社債管理者等 現状検知されている課題 法令面の制約により、データ共有/活用 に向けた事務作業の負荷が高い • 個人情報保護法の観点より、権利者への同意取得や関係 各社間での委託契約の締結が必要 • 事前に権利者から同意を得た範囲の活用に限られる (予め利用シーンを見越した書面作成が求められる) △ ◦ デジタル証券(以下、ST)に期待される権利者データの共有/活用に向けて、法令の遵守に伴うオペレーション上の負荷を極力軽減し、関係者間で円滑にデータの 利活用ができるように、役務/データの流れと契約構成を整備することを目的とする。 エンティティ間の権利者データに関する役務/データの流れ エンティティ間の契約構成/法的根拠 各種契約書面等で記載されるべき要素 (想定アウトプット) #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  8. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #進め方・スコープ © Progmat, Inc. #9

    本WGでは、現状のSTの大宗を占める不動産(信託型)や社債を念頭におくが、それぞれ商品性や座組みが異なることから、実際の書面等への反映は、WGのア ウトプットを基に各個別案件の中で実施する整理とした。 WG 3月 開催に係る公表 ・開催準備 全体 2025年 5月~7月 9月 10月~ 検討会 クロージング 「報告書」 公表 分科会 社債ST 個別案件 キックオフ WG参加企業 年内組成に間に合う タイムラインで実施 検討会 (Web/月次) 分科会 信託型ST 検討会 (Web/月次) 5/15 6/12 7/17 5/29 6/26 7/31 3/4 4/24 4月 検討会 キックオフ 9/12 各種契約書面 反映作業 個別案件推進の 過程で実行 #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  9. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #10 #検討のアプローチ © Progmat, Inc.

    大きく5つのステップで検討を進める計画。WGでは1~4をスコープとする。 エンティティごとに、権利者の何のデータを、いつ、どのような目的で使いたいかを明確化する ステップ1 スキームごとに、「1」で整理したデータの連携ルートのパターンを洗い出す ステップ2 「2」で洗い出したパターンのpros/consを整理し、最適なデータ連携ルートを選定する ステップ3 「3」で選定したデータ連携ルートを基に、エンティティ間で必要な法的構成を整理する ステップ4 「4」で整理した法的構成を基に、各エンティティで書面を整備する(各個別案件組成時) ステップ5 WGのスコープ #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  10. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #12 #信託型ST © Progmat, Inc.

    対象データは、発行体が魅力ある投資体験を提供するための特典・機能の展開に必要な個人データが中心だが、投資家接点のある証券会社より連携を控えたい データ項目も存在。データ連携タイミングは、仲介者(または第三者カストディアン)がSTPFに更新情報を取り込む頻度に依拠する。 #2 ステップ1:データ利活用の要件整理 エンティティ 利活用したいデータ 利活用時期 利活用背景・目的 発行体 (関連マーケ会社含む) 受託者/原簿管理人 仲介者 発行体共通 • 権利者氏名、性別、住所、生年月日 • メールアドレス、電話番号 • 保有ST銘柄 • 保有ST数量 • 購入日・保有期間 • プライマリー取得/セカンダリ取得の識別 • 投資経験の有無、投資案件の動向 発行体A社 • 権利者のアプリ利用有無 • カーシェア/レンタカー/自社クレジットカード 利用有無 • 自動車保有状況、次回車検年 • グループ株の保有状況 発行体B社 • 資産/年収/職業 発行体C社 • (右記①)同意取得後、日 次で情報更新を想定 • (右記②)施策に応じて随 時対応 発行体A社 • 期初 • 更新あれば期中タイムリー (最速日次) 発行体B社 • 募集告知時、案件詳細画 面での訴求に使用 発行体C社 • ①自社アプリ会員に対して、会員が希望した場合、同意取得後にST権利者情報とアプリ会 員情報の突合を実施し、名寄せ一致した場合、アプリ上で当該会員が保有する当社ST情 報に関連する資産サマリー機能やIR情報通知機能、デジタル優待機能等を一元的に提供 し、顧客投資家の利便性及び投資体験を向上させること • ②自社アプリ会員に対して、当社ST新規購入やリピート購入、あるいは保有期間や購入額、 購入回数等の情報を活用し、ロイヤルティプログラムの一環として、インセンティブ提供の対象 者を判定すること、また施策効果の測定をすること 発行体A社 • マーケティング目的 ✓ 保有期間中:オトクな情報提供や特典の付与、アプリを通じたニーズヒアリング ✓ 資産が動くタイミング(主に償還等):一歩進んだ割引、限定商品のご案内 発行体B社 • アプローチできていない潜在顧客層の理解(パーソナライズドした商品提案のため) • 投資家ジャーニーの可視化 ⚫ 信託銀行A社:受託者として、権利者の個人データの利活用は特段想定していないが、受益者の層の統計的な把握のため、原簿記載内容のデータ化を実施するこ とはありうる ⚫ 証券A社:個別発行体/案件内で都度相談がされている認識 ⚫ 証券B社:マーケティング施策(日々の営業材料、非利用者への訴求のため等) ➢ 右記のデータは保有しているが連携は控えたい:メールアドレス、電話番号、税金関連データ、手数料データ、投資リターンに関するデータ
  11. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #13 © Progmat, Inc. 対象データは、発行体が魅力ある投資体験を提供するための特典・機能の展開に必要な個人データが中心。加えて社債管理者側でも、社債権者集会の開催や

    納税事務を行う際には権利者情報に触れる場面が想定されるが、発行体や仲介者側の対応範囲に依拠する。 エンティティ 利活用したいデータ 利活用時期 利活用背景・目的 社債管理者 発行体C社 • 信託型のSTに比べると代物弁済のようなクーポンの付与の仕方が比較的容易と理解してお り、金銭ではないクーポンの価値をより高く評価する人の属性を知ることで、資金調達コストを 引き下げることが可能になる可能性がある (上記以外は信託型STと同様) 商銀A社 • 社債権者集会開催時には、原簿情報に 基づいた本人確認を実施するための氏名 /住所/生年月日 • 氏名/住所がベースだが、社債管理者の 納税サポートの業務範囲として発行体と 必要情報を整理するケースもある 商銀A社 • 社債権者集会の開催時 (特に社債権者が社債管 理者に集会召集を請求す る場合) • 社債管理者から元利金の 交付等を行う際の納税事 務を発行体より求められた 場合(自己募集ケース) 商銀A社 • 社債権者集会招集を通知する際や、集会にて議決権行使する際に、正しい社債権者から の権利行使か確認するため • 正しい社債権者に対する交付か、社債権者の課税属性等を確認するため(自己募集ケー ス) • なお、上記のデータ利活用については、証券会社がカストディアン的な動きをしてくれたり、自 己募集の場合に発行体が一定の本人確認をしてくれるのであれば、社債管理者としてのデー タ利活用の必要性は低くなる認識 #社債ST (信託型STと同様) (信託型STと同様) #2 ステップ1:データ利活用の要件整理 発行体 (関連マーケ会社含む)
  12. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #14 #その他参考情報(1/2) © Progmat, Inc.

    ステップ1に関連する、その他の確認事項は以下のとおり。 信託型/社債 共通 確認結果 確認内容 <データ連携頻度> 権利者の属性情報に更新がある場合、どの程度の 頻度でSTPFに取り込んでいるか 権利者の属性情報に更新があった場合、STPFへの取り込みは基本的に属性変更の都度または日次で連携されており、最低 でも月次では確実に取り込まれている。一部のシステムでは、リアルタイムや日次で社内DBを更新した上で、PFへの送信は日次 で行われる運用がされている <権利者情報連携の同意事項の記載粒度> 個人情報の連携同意を本人から取得するには、どの レベルまで同意事項が具体化されているべきか 個人情報を第三者に提供する際の同意取得に関しては、個人情報保護法および金融分野における個人情報保護に関するガ イドラインに基づき、提供先における利用目的・提供項目・提供先を具体的に記載することが求められる ⚫ 実務上のベストプラクティスと考えられる事項: ✓ 提供目的の具体性…本人が「何のために情報が提供されるのか」を理解できるレベルで明示される必要。抽象的で、網 羅的でない表現では不十分 ✓ 提供項目の明記…提供される個人情報の内容は、できるだけ具体的に列挙されるべき ✓ 提供先の特定性…提供先が特定の企業・組織であればその名称を明記することが望ましい。特定困難な場合は、「当 社グループ会社」など本人が予測可能な範囲で示す ⚫ 実務上の工夫: 「等」や例示形式を用いて、情報の網羅性と予見性の両立を図る手法が取られている ⚫ 書面での取得:特に金融庁の監督を受ける事業者(例:証券会社、信託銀行など)では、本人同意を得る際に書面 によることが金融分野ガイドラインにおいて努力義務とされている このように、同意の取得に当たっては、個人情報の利用目的を示すことは明示的に要求されていないが、本人が同意に係る判 断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な範囲の内容を明確に示さなければならず、単に形だけの同意取得ではなく、 提供に関する事項を認識させた上での同意取得が求められる <仲介者の連携困難なデータ> メールアドレスや電話番号等、他エンティティへの連 携を控えたいデータ項目が存在するとのことだが、そ の背景は何か。また個別案件によって調整が可能な 範囲か 顧客のメールアドレスや電話番号等のデータは、原則として顧客同意を前提に、案件ごとに提供可否を判断したい ⚫ これらのデータは、営業資産としての性質が強く、無制限な営業利用を前提とした提供には慎重な姿勢 ⚫ マイナンバーを除けば管理情報の提供は可能だが、情報の正確性や最新性にも留意が必要 ⚫ 同意管理や情報提供のコントロールは、システム対応(APIの整備等)も含めて負荷は低くなく、現実的な範囲で対応 このように、仲介者の営業秘密漏洩、自主規制団体規則抵触可能性、顧客同意の把握・管理等も考慮の上で、業界統一 的取扱いが望まれる #2 ステップ1:データ利活用の要件整理
  13. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #15 #その他参考情報(2/2) © Progmat, Inc.

    社債 確認結果 確認内容 <社債管理者の納税サポートケース> 社債管理者が納税サポートを行うケースは自己募 集のみの想定と認識して良いか 源泉徴収義務者が発行体になる場合、委託の範囲をどのように整理するかにもよるが、その範囲内で発行体に代わり、税率を 計算したり等の事務の委託を受けることができる可能性もある。ただし、情報の整理は必要との認識 <社債管理におけるカストディアンの動き> 社債管理者のデータ利活用は、証券会社様がカス トディアン的な動きをしていただいた場合は必要性が 下がるとのことだが、具体的にどのような動きが想定さ れるか 社債管理者が社債権者集会の招集者となった場合、社債権者の個人データをもとに、招集通知を発送することになるため、個 人情報に触れることになる。一方、議決権行使の情報を取りまとめる主体は、社債権者と接点のある証券会社が担うことも想 定されており、その場合、スムーズな本人確認が可能となると考えられる #2 ステップ1:データ利活用の要件整理 ステップ1に関連する、その他の確認事項は以下のとおり。
  14. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #17 #信託型ST © Progmat, Inc.

    ステップ1を基にエンティティ間で考えうるデータ連携パターンを列挙。次ステップで最適なデータ連携パターンの絞り込みを行う。氏名、メールアドレス、残高等は仲介者 /受託者にて保有。発行体は保有したいが仲介者/受託者が未保有、または保有しているが連携不可能な情報は、案件ごとにフィージビリティも確認する必要あり。 発行体 受託者/原簿管理人 権利者 発行体関連マーケ担当会社 現在のデータ連携ルート 新たに検討したいデータ連携ルート 現在保有するデータ • XXX 新たに保有したいデータ • XXX 【凡例】 仲介者 兼 カストディアン • 氏名・性別 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高/口数 • ST取得日 • ST売却日 • 税金関連データ • 手数料関連 • 投資リターン実績 …その他、権利者 個人のデータ多数 • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高/口数 • ST取得日 • 権利者ID • 属性(死亡,差押等) • ST発行日 • 法人/個人の別 • 税区分 アプリ/WEBサービス • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高 • サービス/アプリの 利用有無 • プライマリ/セカン ダリ取得の識別 • 購入日/保有期間 • 資産/年収/職業 • 投資経験、動向… ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑨ ⑧ #3 ステップ2:データ連携ルートのパターン • 権利者自身の個人データ一式 各社採用システム等により、 管理方法(データ/システム上)が異なることもある。 システムが合わせられない場合は、データ連携する際の ハードル(検討不可)となる可能性もある認識 サービス/アプリの利用有無は、 ST権利者情報と自社アプリユーザー情報 との突合によって識別できる想定 • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高 • サービス/アプリの 利用有無 • プライマリ/セカン ダリ取得の識別 • 購入日/保有期間 • 資産/年収/職業 • 投資経験、動向…
  15. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #18 © Progmat, Inc. 社債STでは、エンティティに社債管理者が追加され、社債管理業務に関連するデータ項目の連携が発生しうる。

    発行体 原簿管理人 権利者 発行体関連マーケ担当会社 仲介者 兼 カストディアン アプリ/WEBサービス ① ⑦ ⑨ ⑩ ③ ⑥ ② ④ ⑤ 現在のデータ連携ルート 新たに検討したいデータ連携ルート 現在保有するデータ • XXX 新たに保有したいデータ • XXX 【凡例】 ⑧ • 氏名・性別 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高/口数 • ST取得日 • ST売却日 • 税金関連データ • 手数料関連 • 投資リターン実績 …その他、権利者 個人のデータ多数 • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高/口数 • ST取得日 • 権利者ID • 属性(死亡,差押等) • ST発行日 • 法人/個人の別 • 税区分 • 権利者自身の個人データ一式 ②’ #社債ST • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高 • サービス/アプリの 利用有無 • プライマリ/セカン ダリ取得の識別 • 購入日/保有期間 • 資産/年収/職業 • 投資経験、動向… • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高 • サービス/アプリの 利用有無 • プライマリ/セカン ダリ取得の識別 • 購入日/保有期間 • 資産/年収/職業 • 投資経験、動向… #3 ステップ2:データ連携ルートのパターン 社債管理者 • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 納税サポートに係る情報 ⑫ ⑪ 社債管理上は原簿情報が正しいとされるため、社債権者集会等で 証券会社に事務委託する場合は厳密には②’のルートが発生する。 なお、証券会社側では自社の顧客勘定データとSTPF(証券会社 側管理下ノード)の整合をチェックしている。STPFでは原簿データと BC上で同期が取れているため、関係各社で合意が取れていれば ②’のルートは想定不要とする整理で問題なし 社債権者集会、自己募集時に発行体より 求められた場合等、一部のケースに限定
  16. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #20 #マーケティング活用の観点(1/2) © Progmat, Inc.

    契約、ポリシー、汎用性の観点で有利なパターンAを次ステップの前提とする。 #4 ステップ3:各パターンの評価 契約 A. ①→②→③→⑦→⑨ 発行体 〇 ⚫ 受託者/原簿管理人を経由することで、既存の委託契約の枠組みを活用できるため、契約構成が明快かつ 再現性が高い。過去のST案件でも多く採用された実績があり、前例を踏まえた契約整理が可能 ポリシー 〇 ⚫ 受託者/原簿管理人を通じた情報提供であるため、社内規定やセキュリティポリシーとも整合しやすい。情報 提供の主体・責任も明確化しやすく、ポリシー面の障壁が小さい 事務 ▲ ⚫ 連携のステップが多いため、データの名寄せ・加工や送受信の管理に一定の事務負荷が発生する。ただし、 連携ルートが標準化されていれば事務の平準化は可能 効率性 ▲ ⚫ 中間エンティティが複数存在し、調整や実行スピードに影響を与える可能性がある。ただし、デジタル利点で 解決できる期待は残る 汎用性 〇 ⚫ 多数の案件で活用実績があり、信託ベースのSTスキームの標準的モデルといえる。今後も広く適用可能な形 式 契約 × ⚫ 受託者/原簿管理人と関連マーケ企業との間(⑤)に委託関係が存在せず、契約整理が困難。新規契 約を個別に設ける必要があり、再現性・シンプルさに欠ける ポリシー ▲ ⚫ 受託者/原簿管理人側の判断次第で提供可否が変わるため、組織間でのポリシー不一致が発生しやすい。 案件ごとに調整・確認が必要 事務 ▲ ⚫ 経路がやや短縮されるためA案よりは軽減されるが、⑤の位置づけが不安定で、処理責任や実務負荷の整 理が難しい 効率性 ▲ ⚫ ステップ数はA案より少ないが、⑤の調整がネックとなり得る。受託者/原簿管理人側との調整も必須となるた め、スムーズな連携には課題が残る 汎用性 ▲ ⚫ 実績が少なく、運用方法も案件ごとに異なる懸念があり、汎用的な枠組みとしてはやや不安定 B. ①→②→⑤→⑧/⑨ 利活用者 連携パターン 評価軸 評価コメント 結果 <評価軸の凡例> 契約 ポリシー 事務 効率性 汎用性 シンプルかつ再現性ある契約構成が実現できそうか(複雑な取り決め が必要、前例がない契約構成になる懸念はないか) データ連携に際し連携元の企業として企業内ポリシーに反さないか データの送付/受領において、加工作業(名寄せ、統合等)や自社 システムへの取り込みにおいて負荷が過剰に増大しないか データ連携ルートにおいて経由するエンティティが多く、連携に際した調 整工数が高まる懸念はないか ST組成案件の座組みとして、事例が多い(実績がある/今後増える 見込み)か
  17. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #21 #マーケティング活用の観点(2/2) © Progmat, Inc.

    契約、ポリシー、汎用性の観点で有利なパターンAを次ステップの前提とする。 契約 C. ①→④→⑦→⑨ 発行体 ▲ ⚫ 仲介者と発行体の間に直接的な委託関係がない場合、契約整理に一定のハードルがある。再現性のある 汎用契約スキームとして整備するには工夫が必要 ポリシー 〇 ⚫ シンプルな構成で、経由主体が少ないため、データ提供元の社内ポリシーに抵触しにくい。提供先も明確であ り、ポリシー判断がしやすい 事務 ▲ ⚫ 複数カストディアンが絡む場合、名寄せや統合作業の負荷が発行体側に集中する。システム整備により軽減 は可能だが、現時点では手間がかかる可能性がある 効率性 〇 ⚫ 連携経路が短く、発行体へのデータ伝達がスピーディー。タイムリーな活用がしやすい構成 汎用性 ▲ ⚫ 一部実績があるものの、受託者/原簿管理人を経由しないことから、全体としての普及性や他案件への展開 力には限界がある 契約 × ⚫ 仲介者と関連マーケ企業との間に契約関係がないケースが多く、個別に契約を締結しなければならないため、 再現性が低い ポリシー × ⚫ 仲介者のデータ提供ポリシーに抵触する可能性が高く、社内合意の取得が極めて困難。受託関係のない外 部企業への提供に懸念が出ることが想定される 事務 〇 ⚫ ステップが少なく、構造が簡潔であるため、名寄せ・送付処理等の事務作業は最も軽減される 効率性 〇 ⚫ 即時性・スピードを重視した設計で、マーケ施策との親和性が高く、意思決定から実行までのリードタイムが短 い 汎用性 × ⚫ 受託関係や契約制約から、他案件での横展開が難しく、極めて限定的な場面でしか適用できない構成 D. ①→⑥→⑧/⑨ 利活用者 連携パターン 評価軸 評価コメント 結果 <評価軸の凡例> 契約 ポリシー 事務 効率性 汎用性 シンプルかつ再現性ある契約構成が実現できそうか(複雑な取り決め が必要、前例がない契約構成になる懸念はないか) データ連携に際し連携元の企業として企業内ポリシーに反さないか データの送付/受領において、加工作業(名寄せ、統合等)や自社 システムへの取り込みにおいて負荷が過剰に増大しないか データ連携ルートにおいて経由するエンティティが多く、連携に際した調 整工数が高まる懸念はないか ST組成案件の座組みとして、事例が多い(実績がある/今後増える 見込み)か #4 ステップ3:各パターンの評価
  18. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 業務概要 #22 #社債管理業務の観点 © Progmat,

    Inc. 社債権者集会では権利者と接点のある”仲介者(証券会社)への業務委託”も新たに想定する。また実例が多くないことから1つに絞り込まず、ノックアウトのないパター ンE、F、H、Iを次ステップの前提とする。源泉徴収・利払いは、口座管理機関である証券会社が主体となる対応が一般的であり、社債原簿情報と同期がされている 前提のため、以降の検討対象からは除外する。 社債業務 連携パターン 評価コメント 結果 E. ①→②→③ 社債権者 集会 ⚫ 発行体が招集者となり、 招集通知と本人確認を行う F. ①→②→②’/③ ⚫ 発行体が招集者となり、 招集通知と本人確認業務を 仲介者に委託する G. ①→②→③→⑩ ⚫ 発行体が招集者となり、 招集通知と本人確認業務を 社債管理者に委託する H. ①→②→⑪ ⚫ 社債管理者が招集者となり、 招集通知と本人確認を行う I. ①→②→ ②’/⑪ ⚫ 社債管理者が招集者となり、 招集通知と本人確認業務を 仲介者に委託する J. ①→②→②’ 源泉徴収 ・利払い ⚫ 仲介者が自社データと原簿情報を 突合の上、源泉徴収と利払いを実 行する ⚫ 発行体が自力で事務を遂行する必要があり、特に集会当日の議決権行使に係る 本人確認に至っては、「当日出席による議決権行使」はまだしも、「書面/電磁的 方法による議決権行使」の場合には証券会社等への事務委託でないとフィージブ ルではない ▲ 〇 ⚫ 委託先が権利者と接点があることから、議決権行使に係る本人確認の方法問わ ず、一定の事務遂行リスクを低減できるためフィージブルと思われる ⚫ 仲介者が持つ情報はSTPF上で社債原簿情報と同期が取れている前提であれば ②‘は不要であり、連携パターンはEと同等になる × ⚫ 権利者と接点のない社債管理者に委託しても、パターンEと同等以上の効果を出 すことは難しいと思われる ⚫ 社債管理者が自力で事務を遂行する必要があり、権利者接点がない点、パターン Eと同等の評価(証券会社等への事務委託がないとフィージブルではない) ⚫ 発行体がデフォルト等に陥った際など発生確率の低いケースではあるが、社債権者 の保護は絶対である以上、無視できない連携パターンと思われる 〇 ⚫ 委託先が権利者と接点があることから、議決権行使に係る本人確認の方法問わ ず、一定の事務遂行リスクを低減できるためフィージブルと思われる ⚫ 仲介者が持つ情報はSTPF上で社債原簿情報と同期が取れている前提であれば ②‘は不要であり、連携パターンはHと同等になる ▲ ー ⚫ 仲介者が自社データの正しさを確認する実務を行う場合、社債原簿との突合が必 要になり、権利者情報の連携が発生(証券会社が持つ情報はSTPF上で社債 原簿情報と同期が取れている前提であれば②‘は不要) #4 ステップ3:各パターンの評価
  19. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #その他参考情報 社債 確認結果 確認内容 社債権者集会の議決権行使時における本人確認

    はどのように行うか? 1. 会場において議決権の行使を行う場合: 会場の受付において、社債原簿記載の社債権者の住所に送付された議決権行使書面を提示させる(代理人による行 使の場合、印鑑証明書付きの委任状及び代理人の免許証等を提示させる)ことで本人確認をする(日本の郵便事情 を鑑みれば、議決権原簿はほぼ確実に社債原簿に記載された社債権者に届くため) →議決権行使書面の有無を確認するだけ(代理人による行使の場合、印鑑証明書及び代理人が提示する免許証等 を確認するだけ)であれば、追加で使用する個人データはない 2. 書面により議決権の行使を行う場合: 議決権行使書面に実印を押印のうえ、印鑑証明書を添付させる(代理人による行使の場合、印鑑証明書付きの委任 状及び代理人の免許証等の写しを添付させる)ことで本人確認をする →提出された議決権行使書面と印鑑証明書等を照合するだけであれば、追加で使用する個人データはない 3. 電磁的方法により議決権の行使を行う場合: 社債権者に送付する議決権行使書面にID・パスワードを記載し、当該ID・パスワードを議決権行使サイト上で入力させ ることで本人確認をする →ログインしたという事実により本人確認が完了するので、追加的に必要な個人データは存在しない #23 © Progmat, Inc. ステップ3に関連する、その他の確認事項は以下のとおり。 #4 ステップ3:各パターンの評価
  20. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #25 #法的構成を整理する上での前提 © Progmat, Inc.

    #5 ステップ4:法的構成の整理 事業者間のデータ連携の可否を議論する際に抑えておくべきは「個人情報の保護に関する法律」であり、データの提供方式によって抑えておくべき要件が変わることに 留意が必要。 個人情報を”第三者に提供”する 個人情報の取扱いを外部に”委託”する 取扱い範囲 提供先は自らの管理の下で、独自の利用目的に基づいて個人情報を利用する ことができる。提供先は法的にも組織的にも独立した立場にあり、提供元の管 理監督は及ばない 委託先は委託元の指示・管理のもと、あくまで委託元の利用目的の範囲内で 個人情報を取り扱う。利用目的は委託元に帰属し、委託先はそれを超えて利 用できない 確認/記録義務の有無 原則として提供時に、以下について記録する義務あり(原則3年間保存。当該 提供に関して作成された契約書その他の書面にこれらの事項が記載されており、 当該書面をもって記録に代える場合は1年間保存)。 提供元:第三者の名称、本人の氏名等、個人データの項目、本人の同意を 得ている旨 提供先:第三者の名称、取得の経緯、本人の氏名等、個人データの項目、 本人の同意を得ている旨 但し、「本人に代わって提供」に該当する場合には、確認/記録義務は適用され ない 記録義務はなし。ただし、委託先を適切に監督(契約・実施状況の確認な ど)する必要がある 本人の同意取得有無 原則として本人の同意が必要。同意を得ずに提供できるのは、法令に基づく場 合などの例外に限られる 委託に伴う提供は「第三者」に対する提供に該当しないとされるため、原則とし て本人の同意は不要 契約締結の要否 法令上、契約締結の義務は明示されていない。なお、個人情報の適正管理の 観点から契約や覚書を締結することが望ましい 原則として委託契約の締結が必要。契約には再委託の制限、適切な安全管 理措置、事故発生時の報告義務などを明記するのが一般的 (ST以外の)ユースケース ・提携企業に見込み客情報を提供し、商品案内を行わせる ・マーケティング会社に分析用データを提供 ・運送会社に購入者の配送情報を連携する ・コールセンターにカスタマー対応を委託する
  21. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #26 #マーケティング活用観点での分析 © Progmat, Inc.

    ルート 構成方針 同意 記録義務 契約要否 ① 権利者 → 仲介者/カストディアン 直接取得 不要 不要 不要 ②③ 仲介者/カストディアン → 受託者/原簿管理人 → 発行体 第三者提供(本人に代わっての提供) あり(個別同意書によ る同意取得) 免除可 不要(形式上) ⑦ 発行体 → 発行体関連マーケ会社 委託に伴う提供または第三者提供(本人に代 わっての提供) 不要 or あり 免除可 委託に伴う提供の際は必要だが、第三者提供なら不 要 達成したいこと ⚫ マーケティング利用が主目的であるため、極力自由度を持って個人データの活用 ができること ⚫ エンティティ間での個人データ取扱いに係る契約を(法律上)不要とできること ⚫ 確認/記録義務が適用されないこと ⚫ 確認/記録義務が適用される場合、極力リーズナブルな形で運用できること 理想的な構成 ⚫ 仲介者が権利者から②③⑦のすべてを網羅した包括的な同意を取得 ⚫ 各提供が「本人に代わっての提供」であれば、第三者提供であっても確認・記録 義務が適用されないとの整理が可能 ✓ なお、権利者本人に直接的にメリットのないマーケティング活用の場合、本構 成が認められない可能性があるため、利活用目的の記載には注意が必要 ⚫ “委託に伴う提供”の構成は限定的に使用(特に⑦において) パターンAの連携ルート別の整理 マーケティング観点では極力自由度を持たせたデータ活用が望まれるため”第三者提供”としての連携が適切とされるが、原則本人同意が必要となる。しかし、案件横 断で利用される約款での対応は、具体的な利用目的が変わりやすいマーケティングでは不向きと見られ、同意取得の文書を別途用意することが現実的と考えられる。 #5 ステップ4:法的構成の整理
  22. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #27 #社債管理業務(社債権者集会)観点での分析 © Progmat, Inc.

    E. ①→②→③ F. ①→②→②’/③ H. ①→②→⑪ I. ①→②→②’/⑪ ⚫ 発行体が招集者となり、 招集通知と本人確認を行う ⚫ 発行体が招集者となり、 招集通知と本人確認業務を 仲介者に委託する ⚫ 社債管理者が招集者となり、 招集通知と本人確認を行う ⚫ 社債管理者が招集者となり、 招集通知と本人確認業務を 仲介者に委託する 連携パターン 業務概要 考えうる構成 ⚫ 以下の2パターンが考えられる 1. 連携パターンAと同様に、発行体までを提供先スコープとし、社債管理目的を加えた形での同意を権利者から取得する 2. 発行体と社債原簿管理人との委託契約の中で、社債原簿管理に関する個人データの取扱いの委託として定義する → マーケティング目的での利用背景も考えると、”1”が望ましいか ⚫ 以下の2パターンが考えられる 1. パターンEをベースに発行体と仲介者との間で委託契約を締結(つまり②’ではなく、発行体→仲介者のルート④’を新た に想定する) 2. 仲介者保有データと原簿情報がSTPF上で同期されることを前提にデータ連携を実施しない → “2”は万が一本人でなかった際に責任所在が曖昧に。実務上はSTPFに登録された情報の参照であっても、委託契約の中で 具体のデータ連携項目を明記し、発行体から仲介者への個人データの委託に伴う提供として整理するのが望ましいか ⚫ 以下の3パターンが考えられる 1. 発行体を委託元とする委託先(原簿管理人、社債管理者)同士での個人データの移転として、委託提供として解釈 2. 実務上はルート⑪だが、規範的にはルート⑩と捉え、発行体が社債管理者に委託していると解釈(①→②→③→⑩) 3. 連携パターンAと同様に、発行体/社債管理者までを提供先スコープに含めた個別同意を取得 →社債管理者による社債権者集会の招集は本来発行体のニーズから切り離されたものであるため、”1”と”2”は現実に即した 構成ではないことから”3”の構成が望ましいか ⚫ 以下の2パターンが考えられる 1. パターンHをベースに社債管理者と仲介者との間で委託契約を締結(つまり②’ではなく、発行体→仲介者のルート⑫’を 新たに想定する) 2. 仲介者保有データと原簿情報がSTPF上で同期されることを前提にデータ連携を実施しない →“2”は万が一本人でなかった際に責任所在が曖昧に。実務上はSTPFに登録された情報の参照であっても、委託契約の中で 具体のデータ連携項目を明記し、社債管理者から仲介者への個人データの委託に伴う提供として整理するのが望ましいか 招集者となりうる発行体および社債管理者までは第三者への提供に対する本人同意の構成とすることが望ましい。仲介者(証券会社)に業務を委託する場合、実 務上は同社のSTPFに登録された情報を参照する形であったとしても、発行体または社債管理者からの委託に伴う提供として整理しておくことが望ましいと考えられる。 #5 ステップ4:法的構成の整理
  23. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #28 #法的構成の全体像(案) © Progmat, Inc.

    マーケ活用と社債権者集会の招集を見据えてルート③および⑪までは”本人に代わる第三者への提供”として権利者より同意を取得する(利用目的は権利者向け の特典/情報等の提供、社債管理業務の実施)。以降は業務委託内容に合わせ、発行体・社債管理者を起点に”委託に伴う提供”で整理することを想定する。 発行体 受託者/原簿管理人 権利者 発行体関連マーケ担当会社 仲介者 兼 カストディアン アプリ/WEBサービス ① ⑦ ⑨ ③ ② 本人に代わる第三者提供の範囲 委託提供の範囲 【凡例】 • 氏名・性別 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高/口数 • ST取得日 • ST売却日 • 税金関連データ • 手数料関連 • 投資リターン実績 …その他、権利者 個人のデータ多数 • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 電話番号 • メールアドレス • 保有ST銘柄 • 保有ST残高/口数 • ST取得日 • 権利者ID • 属性(死亡,差押等) • ST発行日 • 法人/個人の別 • 税区分 • 権利者自身の個人データ一式 ④’ ⑫’ <パターン別のデータ連携の流れ> ⚫ パターンAおよびE:① → ② → ③ ⚫ パターンF:① → ② → ③ → ④’ ⚫ パターンH:① → ② → ⑪ ⚫ パターンI: ① → ② → ⑪ → ⑫’ (氏名、住所、生年月日、電話番号等、 案件関係者の中で合意されたデータ項目) 社債管理者 (※社債STの場合) • 氏名 • 住所 • 生年月日 • 納税サポートに係る情報 #5 ステップ4:法的構成の整理 ⑪ 実務上は 原簿情報の連携 (ルート②’)と同義 (氏名、住所、生年月日、電話番号等、 案件関係者の中で合意されたデータ項目)
  24. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #その他確認事項 信託型/社債 共通 確認結果 確認内容

    原簿情報記録のための仲介者→原簿管理者への データ提供においても本人同意は必要か? 信託法186条に基づく原簿記載のためであれば、「法令に基づく提供」として本人同意・記録義務共に不要と整理可能 “委託に伴う提供”の構成を採択する際に留意すべ きポイントは何か? 基本的に委託元と委託先の間で、委託に関する契約を作成する必要。 なお、金融分野における個人情報保護に関するガイドライン10条3項②に基づき、 当該契約においては、「委託者の監督・監査・報告徴収に関する権限、委託先における漏えい等の防止及び目的外利用の禁 止、再委託に関する条件並びに漏えい等事案が発生した場合の委託先の責任を内容とする安全管理措置」を規定することが 考えられる。 一方、第三者提供構成であったとしても、提供元等の意向により、提供される個人データの取り扱いや安全管理措置について 定めた契約を締結することも考えられる “委託に伴う提供”の構成を採択する際、委託元企 業は本人等への開示は不要か? 公表するプライバシーポリシー等において、委託する事務の内容等を記載するといった努力義務が課される #29 © Progmat, Inc. ステップ4に関連する、その他の確認事項は以下のとおり。 #5 ステップ4:法的構成の整理
  25. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #権利者へのデータ連携同意の雛型(案)|信託型ST 発行体のマーケティング活用のために必要な個人データの第三者提供の同意を想定。信託銀行等の受託者/原簿管理人が担う原簿管理に必要な情報に対する 第三者提供は、ST約款にて同意を取る構成が既に一般的なため、ここでは割愛する。 赤字および”•”…座組みの企業やサービスの内容、利用目的、連携するデータ項目等を入力いただく #30

    © Progmat, Inc. #5 ステップ4:法的構成の整理 <対象セキュリティトークン>について、 <発行体>が提供する<•>のお申込みに係る、個人情報の第三者提供に関する同意書 私は、<発行体>が提供する<•>のサービス(以下「本サービス」とします)を申し込むにあたり、 以下に定める通り、<仲介者>が取得した私の個人情報を<受託者/原簿管理人>に提供するこ と、<受託者/原簿管理人>が当該個人情報等を<発行体>に提供すること、<発行体>が当該 個人情報等を<発行体関連マーケティング担当会社>に提供すること ※”委託に伴う提供”の構成をとる 場合は不要 について同意します。また、私は、これらの事業者が、私に代わって当該第三者提供を実 施することについて同意します。本サービスの内容は別紙 ※サービスのパンフレット等 をご覧ください。 記 ①個人情報を提供する第三者 • <受託者/原簿管理人>:<対象セキュリティトークン>に係る原簿等の管理を行う • <発行体>:本サービスの企画・組成を行う • <発行体関連マーケティング担当会社>:お客様に本サービスのご案内を行う ※”委託に伴う提供”の構成をとる場合は不要 ②第三者に提供される個人情報 • <仲介者>から<受託者/原簿管理人>に対して提供する個人情報:氏名、住所、性別、生 年月日、電話番号、メールアドレス、保有するセキュリティトークンの銘柄及び数量、当該取引に 係る情報、お客様を識別するために付番したID等の情報、<•> • <受託者/原簿管理人>から<発行体>に対して提供する個人情報:<•> • <発行体>から<発行体関連マーケティング担当会社>に対して提供する個人情報:<•> ※”委託に伴う提供”の構成をとる場合は不要 ③第三者における利用目的 • <受託者/原簿管理人>:<発行体>が本サービスに関する各種ご案内のために必要な個人 情報(原簿情報)を提供するため • <発行体>:取得した当該個人情報を分析し、その属性や投資状況に応じて、本サービスのご 案内先を整理するため • <発行体関連マーケティング担当会社>:<発行体>が整理したご案内先に基づいて本サービ スの情報を案内するため ※”委託に伴う提供”の構成をとる場合は不要 以上 [ 年 月 日 (氏名) ] ※紙面での同意取得を想定して署名欄を用意しているが、電磁的記録による同意取得も可能※
  26. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #権利者へのデータ連携同意の雛型(案)|社債ST <対象セキュリティトークン>における、 個人情報の第三者提供に関する同意書 私は、<仲介者>(以下、「当社」とします)が取得した私の個人情報を、以下に定める通り、 <原簿管理人>に提供すること、<原簿管理人>が当該個人情報等を<発行体>および<社債

    管理者>に提供すること、<発行体>が当該個人情報等を<発行体関連マーケティング担当会社 > ※”委託に伴う提供”の構成を取る場合は不要 に提供することについて同意します。また、私は、これらの 事業者が、私に代わって当該第三者提供を実施することについて同意します。 記 ①個人情報を提供する第三者 • <原簿管理人>:<対象セキュリティトークン>に係る原簿等の管理を行う • <発行体>:<•>のサービス(以下「本サービス」とします)の企画・組成を行う、社債権者 集会の招集や同会議体における議決権行使時の本人確認等の社債管理業務を行う (※本サービスの内容は別紙 ※サービスのパンフレット等 をご覧ください) • <発行体関連マーケティング担当会社>:お客様に本サービスのご案内を行う ※”委託に伴う提 供”の構成をとる場合は不要 • <社債管理者>:社債権者集会の招集や同会議体における議決権行使時の本人確認等の 社債管理業務を行う ②第三者に提供される個人情報 • <仲介者>から<原簿管理人>に対して提供する個人情報:氏名、住所、性別、生年月日、 電話番号、メールアドレス、保有するセキュリティトークンの銘柄及び数量、当該取引に係る情報、 お客様を識別するために付番したID等の情報、<•> 本WGでは、個別同意書の体裁で雛型を作成しているが、社債STでは、社債管理業務を目的とした情報連携は必須であるため、約款に明記する選択肢もありうる。 • <原簿管理人>から<発行体>に対して提供する個人情報:<•> • <原簿管理人>から<社債管理者>に対して提供する個人情報:<•> • <発行体>から<発行体関連マーケティング担当会社>に対して提供する個人情報:<•> ※”委託に伴う提供”の構成をとる場合は不要 ③第三者における利用目的 • <原簿管理人>:<発行体>が本サービスに関する各種ご案内、または<社債管理者>が社 債管理業務を行うために必要な個人情報(原簿情報)を提供するため • <発行体>:取得した当該個人情報を分析し、その属性や投資状況に応じて、本サービスのご 案内先を整理するため、社債管理業務(社債権者集会の開催に係る招集通知、議決権行 時の本人確認等)を行うため • <発行体関連マーケティング担当会社>:<発行体>が整理したご案内先に基づいて本サービ スの情報を案内するため ※”委託に伴う提供”の構成をとる場合は不要 • <社債管理者>:社債管理業務(社債権者集会の開催に係る招集通知、議決権行使時 の本人確認等)を行うため 以上 [ 年 月 日 (氏名) ] ※紙面での同意取得を想定して署名欄を用意しているが、電磁的記録による同意取得も可能※ #31 © Progmat, Inc. 赤字および”•”…座組みの企業やサービスの内容、利用目的、連携するデータ項目等を入力いただく #5 ステップ4:法的構成の整理