Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
セミコロン完全マスター
Search
Masaki Hara
March 12, 2019
Programming
6
3.5k
セミコロン完全マスター
セミコロンに関する蘊蓄です
Masaki Hara
March 12, 2019
Tweet
Share
More Decks by Masaki Hara
See All by Masaki Hara
バックエンドのためのアプリ内課金入門 (サブスク編)
qnighy
8
1.8k
Dockerfileの考え方
qnighy
45
16k
Arm移行タイムアタック
qnighy
1
510
Quine, Polyglot, 良いコード
qnighy
5
740
Prolog入門
qnighy
5
1.5k
Rubyのobject_id
qnighy
6
1.6k
Getting along with YAML comments with Psych
qnighy
2
2.3k
状態設計から「なんとなく」を無くそう
qnighy
85
28k
日付時刻A to Z
qnighy
1
640
Other Decks in Programming
See All in Programming
Spring gRPC について / About Spring gRPC
mackey0225
0
220
Flutter × Firebase Genkit で加速する生成 AI アプリ開発
coborinai
0
150
時計仕掛けのCompose
mkeeda
1
290
Lottieアニメーションをカスタマイズしてみた
tahia910
0
120
SRE、開発、QAが協業して挑んだリリースプロセス改革@SRE Kaigi 2025
nealle
3
4.2k
Conform を推す - Advocating for Conform
mizoguchicoji
3
690
Ruby on cygwin 2025-02
fd0
0
140
Honoのおもしろいミドルウェアをみてみよう
yusukebe
1
200
2024年のkintone API振り返りと2025年 / kintone API look back in 2024
tasshi
0
220
Introduction to kotlinx.rpc
arawn
0
670
DevinとCursorから学ぶAIエージェントメモリーの設計とMoatの考え方
itarutomy
1
670
第3回関東Kaggler会_AtCoderはKaggleの役に立つ
chettub
3
950
Featured
See All Featured
A Tale of Four Properties
chriscoyier
158
23k
jQuery: Nuts, Bolts and Bling
dougneiner
63
7.6k
How GitHub (no longer) Works
holman
313
140k
Building an army of robots
kneath
302
45k
Principles of Awesome APIs and How to Build Them.
keavy
126
17k
CoffeeScript is Beautiful & I Never Want to Write Plain JavaScript Again
sstephenson
160
15k
Fashionably flexible responsive web design (full day workshop)
malarkey
406
66k
The Language of Interfaces
destraynor
156
24k
Art, The Web, and Tiny UX
lynnandtonic
298
20k
Faster Mobile Websites
deanohume
306
31k
Refactoring Trust on Your Teams (GOTO; Chicago 2020)
rmw
33
2.8k
The Pragmatic Product Professional
lauravandoore
32
6.4k
Transcript
2019/3/12 1 セミコロン完全マスター Rust セミコロン完全マスター @qnighy 原 将己 (Wantedly株式会社) shinjuku.rs
#3 @FORCIA 2019-03-12
2019/3/12 2 セミコロン完全マスター 話す内容 • 最近色々忙しくてRustを書けてないので、いつものように蘊蓄 を話します • セミコロンで迷わなくなります (たぶん)
2019/3/12 3 セミコロン完全マスター セミコロンの用途 アイテム類の終端記号 fn foo(); 文の終端記号 let x
= 42; 配列 宣言マクロの腕 ($e:expr) => { $e * 2 }; [i32; 42] [0; 42]
2019/3/12 4 セミコロン完全マスター 配列型と繰り返し構文 • 元々は [0, ..42] という構文だったものがRFC0520で変更に なった経緯がある
[i32; 42] [0; 42]
2019/3/12 5 セミコロン完全マスター セミコロンの用途 アイテム類の終端記号 fn foo(); 文の終端記号 let x
= 42; 配列 宣言マクロの腕 ($e:expr) => { $e * 2 }; [i32; 42] [0; 42]
2019/3/12 6 セミコロン完全マスター 宣言マクロの腕 macro_rules! foo { () => {
foo!(42) }; ($x:expr) => {}; }
2019/3/12 7 セミコロン完全マスター セミコロンの用途 アイテム類の終端記号 fn foo(); 文の終端記号 let x
= 42; 配列 宣言マクロの腕 ($e:expr) => { $e * 2 }; [i32; 42] [0; 42]
2019/3/12 8 セミコロン完全マスター なぜセミコロン終端? 終端記号が必須 Rust, C, C++, Java, C#,
Perl, Prolog 改行終端が可能 Ruby, Python, JavaScript, Go, Swift, Haskell, VB 終端が不要 OCaml 括弧 Scheme
2019/3/12 9 セミコロン完全マスター なぜセミコロン終端? • 最近もURLOにその話題があった https://users.rust- lang.org/t/why-semicolons/25074 • 端的に言えば……
暗黙のreturnとの相性のため & 構文的な複雑性の回避
2019/3/12 10 セミコロン完全マスター 暗黙のreturn { let x = 42; println!("{}",
x); x } 文 文 式 (戻り値)
2019/3/12 11 セミコロン完全マスター 暗黙のreturn { let x = 42; println!("{}",
x); x; } 文 文 文 最後の値を使うかどうかが明確なので、 人間にもコンパイラにも優しいと考えられている
2019/3/12 12 セミコロン完全マスター 構文的な複雑性の回避 自動セミコロン挿入は 構文が複雑になりがち ……というようなことが よく主張される
2019/3/12 13 セミコロン完全マスター Pythonの改行の扱い • 字句解析のシンプルなルールで記述されている • 原則として改行 = 文終端
• 括弧の中では改行を無視 • 文末がバックスペースなら 続く改行を無視 ……しかし、Pythonは文と式が交互にネストしない という特殊事情がある
2019/3/12 14 セミコロン完全マスター JavaScriptの改行の扱い • 構文エラーで駆動(ECMA-262 ECMAScript 2018, §11.9) •
改行位置で構文エラーが起きたら セミコロンを挿入する
2019/3/12 15 セミコロン完全マスター Haskellの改行の扱い • 基本は字句解析の仕事だが、 部分的に構文エラーで駆動(Haskell 2010, §2.7) •
インデントが同じだったら セミコロンを挿入する • 構文エラーで必要に応じて } を挿入する
2019/3/12 16 セミコロン完全マスター 構文的な複雑性の回避 — 私見 自動セミコロン挿入は 構文が複雑になりがち 改行を条件つきで使用する仕組みはどうしても構文全体と 相互作用してしまうので、やはり複雑性のコストは高そう
特にRustのマクロはトークン列を入力とするので難しそう
2019/3/12 17 セミコロン完全マスター セミコロンの用途 アイテム類の終端記号 fn foo(); 文の終端記号 let x
= 42; 配列 宣言マクロの腕 ($e:expr) => { $e * 2 }; [i32; 42] [0; 42]
2019/3/12 18 セミコロン完全マスター アイテム類とは extern crate, mod, use, impl, trait,
type, struct, enum, static, const, fn const, type, fn 真正なアイテム ルートや mod 内に書ける トレイトアイテム trait {} 内に書ける const, type, fn 実装アイテム impl {} 内に書ける static, type, fn 外部アイテム extern {} 内に書ける など
2019/3/12 19 セミコロン完全マスター アイテム類の終端記号 ; OR 排他規則 {} struct Color
{ red: u8; green: u8; blue: u8; } struct Color(u8, u8, u8);
2019/3/12 20 セミコロン完全マスター アイテム類の終端記号 ; OR 排他規則…の例外? {} use serde::{Deserialize,
Serialize};
2019/3/12 21 セミコロン完全マスター アイテム類の終端記号 ; OR 排他規則…の例外? {} use serde::{Deserialize,
Serialize}; use serde::*; } はuse構文自体に由来するものではない 引数の一部としてたまたま出てきただけ ……と解釈されている
2019/3/12 22 セミコロン完全マスター セミコロンの用途 アイテム類の終端記号 fn foo(); 文の終端記号 let x
= 42; 配列 宣言マクロの腕 ($e:expr) => { $e * 2 }; [i32; 42] [0; 42]
2019/3/12 23 セミコロン完全マスター 復習: 暗黙のreturn { let x = 42;
println!("{}", x); x } 文 文 式 (戻り値) セミコロン終端 = その値を使わない という解釈 ブロック末尾以外はセミコロンが来ない??
2019/3/12 24 セミコロン完全マスター 文終端の原則 文は原則としてセミコロンで終端する。 しかし…… ➢ 暗黙のreturn のためには最終文のセミコロンの省略が必須。 文は式文なら何でもよい。
➢ {} OR ; 排他規則 のために文のセミコロンの省略が可能。 文は特定のブロック式である必要がある。 型は () である必要がある。
2019/3/12 25 セミコロン完全マスター 末尾以外のセミコロン省略 if true { 42; } else
{ 53; }; println!("Hello!"); どちらか片方は残す必要がある。 セミコロンがなければ 型がついてしまうからだ。
2019/3/12 26 セミコロン完全マスター 接頭辞禁止規則 x = if true { 42
} else { 53 } println!("Hello!"); ここで区切っても if文にはならない
2019/3/12 27 セミコロン完全マスター セミコロン省略規則の罠 if true { 42 } else
{ 53 } - 1; println!("Hello!"); これはコンパイルが通らない。 中置・前置演算子を式文として使うことは ほぼないので、気にすることはあまりない
2019/3/12 28 セミコロン完全マスター マクロとセミコロン マクロ呼び出しの構文は文脈によって微妙に異なる アイテム類マクロ 文マクロ 式類マクロ foo!(); foo![];
foo!{} foo!(); foo![]; foo!{}; foo!() foo![] foo!{} foo!{} セミコロンあり セミコロンなし foo! ident (); foo! ident []; foo! ident {} マクロ定義用構文 ※ () と [] は完全互換
2019/3/12 29 セミコロン完全マスター アイテム類マクロ macro_rules! foo { ($x:ident) => {
fn $x() {} } } foo!(f1); foo![f2]; foo! { f3 } {} OR ; 排他規則で説明できる
2019/3/12 30 セミコロン完全マスター 式類マクロ macro_rules! foo { () => {
42 } } (foo!()); (foo![]); (foo!{}); セミコロンをつけないので 全部同じ
2019/3/12 31 セミコロン完全マスター これは? fn main() { dbg!(42); let x
= dbg!(42); } 文マクロ 式マクロ
2019/3/12 32 セミコロン完全マスター 文マクロの展開規則 fn main() { dbg! { 42
} // Bad! dbg! { 42 }; // Good! dbg!(42); // Good! } セミコロンがついたときは、 展開後の文リストの最後の文に セミコロンを付加する ※RustのマクロはASTの構造に沿って行われるので、 「セミコロンを付加する」というのは特例的な操作になる
2019/3/12 33 セミコロン完全マスター まとめと宣伝 セミコロンひとつとっても色々な設計判断が見える • {} OR ; 排他規則
• 暗黙のreturnのための規則 • 文マクロと式マクロが整合するための規則 • etc...
2019/3/12 34 セミコロン完全マスター まとめと宣伝 こういう蘊蓄をまとめた本を作っています 技術書典に出せるよう計画中!