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受託開発について_基礎編_.pdf

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February 19, 2025
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February 19, 2025
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  1. 受託開発の一般的な課題 - クライアント側 - 何が欲しいか を明確に整理するのが困難 - 自力で作る知識や能力やリソースが欠けているから受託に出すわけで - 原資が必要

    - しかも想定よりも割高 になりがち(もし仮にクライアントが自社リソースを十分に持っていれば ほとんどの場合で間違いなくそちらの方が安上がりにできる) - 開発者側 - 要望が通りにくい - クライアントの要望のものを作ることが最優先であり「こっちの方が良いのになぁ」と思いなが らも十分に説得できず押し切られてしまうのが基本 - スケジュールが想定通りになりにくい - クライアント側のビジネスの都合 に振り回されるため、スケジュールの前倒しや分納の要 望、サンプル数の追加などの想定外の対応が頻繁に発生する
  2. 思ったより金がかかる - 市場にある量産品は安い - 初期費用を生産台数で按分している(場合によっては無視している) - 部品を安く購入している - 歩留まりが良い -

    リアルな人件費の最低でも2倍(できれば 3倍)もらわないと開発側は容易に赤字 になってしまう - 周辺の間接費や会社そのものの固定費(オフィス家賃など)を考慮する必要がある - きっちり見積もり工数どおりの金額に設定するとあとで柔軟性が利かなくなる(何かあるごとに見積 もりと請求をする手間が発生する) - 瑕疵があった場合は自費で補修することなどが契約書に含まれている - 試作部品はなんでも高い - どんな試作にもセットアップ費用や管理費が隠れている - それらは「(費用)➗(少ない台数)」で計算されるので安いわけがない
  3. (参考)なんとなくの金額感 - 金型費用 - 小さい部品で安い金型だとしても 200万円を下ることはあまりない - モバイル機器程度のサイズでも部品点数が多ければすぐに合計 1000万円は超える -

    金型のちょっとした修正ですぐに数十万円かかる - 基板作成 - 部品実装無しの生基板とシルクスクリーンは 10~20万円程度でできる - 実装費用は部品点数が多かったり実装がめんどくさい部品があると一枚あたり 1000円を超えるこ とも珍しくない - だいたい試作なら数十万から 100万円の実費でできることが多い(実装部品はブレが大きいので除 く) - 特急料金というもの - 多くの試作業者は日程短縮のための「特急料金」を設定している。通常の『効率の良いワークフ ロー』を崩して差込対応するための補填金と言える - 金額は業者によってピンキリだが数十万円と思っておくと良い
  4. 思ったより時間がかかる - 試作を複数回やってから生産に至る - いきなり量産することはほぼあり得ない - ただ「モノを作る」だけでも時間はかかる - 部品の調達、業者の手配、契約書類の締結、製造ラインの空き具合、輸送など多くの事情の積み上げで日程 が決まる

    - 部品のリードタイムは不安定 - グローバルな供給状況に左右される - 「在庫があるならすぐ」「在庫がないと半年先」というようなこともある - 「検証」という時間を忘れてはならない - 「とりあえず動いたー」で納品することはない - CADで線を引くのは工数全体の1/10 - 調査したり、検証したり、レビューして作り直したり。 CADをいじっている「作業時間」よりもよっぽどボリュームが 大きい時間がもろもろ存在する - トラブルは起こる もの - 無駄に楽観しても良いことはない
  5. 例の試作品ですが2週間前倒しで2台で良いのでください - 開発プロセスはほぼ直列で進んでいく - 部品入手できた分から順次基板実装なんてしない - 部品が揃ってから - 検査やファームウェア書き込みなどもまとめて流れ作業でやる -

    ライン組んだりバラしたりはとても手間 - メカ部品の製造工程も仮に分納にしたとしても 1日2日しか前後しない - ほとんどの工程において2台作るか30台作るかで手間はあまり変わらない - 前倒しできるのは総組立と動作検証くらい - さて何日前倒しできるでしょうか
  6. PoCの台数を作り過ぎない 5~20台が良いところ - PoC用の試作品は量産品と違う - それなりの不良が発生するので PoCで大量にばら撒くと大変なことになる - 耐久性も評価されていないはず。使っている途中できっといくつか壊れる -

    PoCに多くの人員は投入されていないはず - サポートに手がかかるし、そもそも PoCは明確な結果を得るために計測や観測、あるいはそれらの データのまとめが必須となるはず。サポートに手がかかるとその工数を割くことができない