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MySQLのあらたしいリリースモデル LTSとIR

sakaik
August 31, 2024

MySQLのあらたしいリリースモデル LTSとIR

2024年8月29日に東京・中野で開催された「日本MySQLユーザ会2024年8月オフライン」での発表市資料です。
MySQLの最近のリリーススタイルについて、15分程度で簡単に説明を行いました。

sakaik

August 31, 2024
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Transcript

  1. 自己紹介 坂井 恵 @sakaik • 日本MySQLユーザ会副代表 • 好きなMySQLの機能: Spatial(GIS)機能 •

    好きなMySQLのリリースノートの内容:新機能や新関数 • 好きなMySQLの本:『MySQL徹底入門』※未承諾広告 • 好きだった1バイト: 0x5c • LTSが好き?IRが好き?: 断然IR派
  2. MySQL 8.4 ~ 新しいリリーススタイル これまでの主なリリースの歴史 MySQL 9.0 2024/07 ★Now!New! MySQL

    8.4 2024/04 ★Now!New! MySQL 8.0 2018/04 ※2026/04にEoL予定 MySQL 5.7 2015/10 ※2023/10にEoL済 MySQL 5.6 2013/02 ※2021/02にEoL済 OLD NEW LTS IR
  3. MySQL 8.4 & 9.0~ 新しいリリーススタイル Innovation Release • 積極的に新機能や大きな改善も加えて進化させていくバージョン •

    時に非互換の修正も厭わずに行う • サポート期間は超短い(次のバージョンが出たら終了) LTS Version • Long-Term Support • 同一LTSバージョン内では、非互換となるような修正や新機能は加え られない • リリース後、8年間のサポート期間 https://blogs.oracle.com/mysql/post/introducing-mysql-innovation-and-longterm-support-lts-versions
  4. L TS(Long-Term Support) 版 • 2年に1度、新しいLTSシリーズをリリース(いわゆるメジャーバージョン) • 原則として3ヶ月ごとにパッチリリース(いわゆるマイナーバージョン) • 8.4.1,

    8.4.2, 8.4.3 .... • 同一メジャーバージョン内ではデータ形式の変更は行われない ことを明言 • アップグレード/ダウングレードが可能に
  5. Innovation Release • バグ修正、セキュリティ修正、新機能を含む • 非互換の修正が含まれることも • サポート期間は、次のバージョンが出るまで • つまり基本的には3ヶ月間のみ

    • 3ヶ月後に次のInnov.が出ると、前のバージョンはメンテされなくなる • 2年間のInnovation Releaseの修正結果を、次のLTSへ • 非推奨となった機能等は最低1年は削除されないと明言 • 逆に言うと、たったの1年後には削除されるかもしれないということ →まぁ、「8.0のときみたいなもん」だと思います
  6. Innovation Releaseはβ版なのか? • No! • Production releaseであることが明言されている • とは言え、課題も多く、本番での使用は個人的には勧めない •

    サポート期間の短さ • 互換性の非保証 • ダイナミックな修正に伴う部分的不安定の混入リスク • 公式アナウンスでは「本番環境での使用を推奨」とは言っていますが・・・ (採用するならトコトン面倒を見る覚悟で)
  7. L TSとInnovation Releaseの リリーススケジュールの関係 おさらい • LTSは2年に1度メジャーバージョンアップ • LTSサポート期間は8年間 •

    LTSは3ヶ月に1度マイナーバージョンがリ リース • LTSの合間にはInnovation Releaseがリリー ス • Innovation Releaseも3ヶ月ごとにリリース • 2年ごとにInnovation Releaseの修正の集大成 として次のLTSがリリース
  8. L TS版への経緯 ~ MySQL 8.0とは何だったのか~ • MySQL 8.0シリーズ • 「継続的デリバリモデル」

    • メジャーバージョン内でも積極的に新機能や挙動の改善を • Windows 10 と同じような感じ
  9. 継続的デリバリモデルのメリデメ • メリット • 世間が欲する最新の機能を、次のメジャーバージョンを待たずに導入 可能 • 新機能や新しい動作を早く導入し早く反応を得られることによる開発 の高速化 •

    デメリット • マイナーバージョンアップ(パッチリリース)なのに非互換 • 非互換による同一メジャーバージョン内でのダウングレード不可発生 • マイナーバージョンアップ時に大量の検証が必要に(=アップグレード をしにくい) • マイナーバージョンアップなのに、新機能によるバグ混入リスクが上 昇