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Data Science Report 05 - 営業と頻繁に名刺交換をしている人は誰か / ...

Sansan R&D
January 08, 2019

Data Science Report 05 - 営業と頻繁に名刺交換をしている人は誰か / DSR5

■ 営業と頻繁に名刺交換をしている人は誰か

何らかの課題を解決したいというニーズのある人は、さまざまな企業の営業担当者と名刺交換していると考えられる。それは、企業の営業活動におけるキーパーソンとなり得る人物であろう。本稿では、営業担当者と頻繁に名刺交換をしている人の属性を分析する。その結果から、営業担当者が新規顧客を探すためには、総務、購買といった部署・職種を訪問することが必ずしも効率的とは言えず、企業によっては企画部門や情報システム部門においてニーズがあることが分かった。

※本誌は当社サービスで定める利用規約の許諾範囲内で匿名化したデータを統計的に利用しています。

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January 08, 2019
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  1. Data Science Report 01 |  © Sansan, Inc. 営業と頻繁に名刺交換をしている人は誰か 1 概要 企業の営業活動において新規顧客を開拓していくために、どのように関係を構築していくかは難しい課題である。対企業へ

    の営業の場合、企業の代表電話に問い合わせをする、知人や関連する企業の知り合いから紹介をしてもらうなど、さまざまな アプローチがあり得る。 営業をする上でキーパーソンとなり得る人物と早く関係を構築したいと多くの人は望むだろう。その一方で、企業にとって 他社の製品やサービスを活用するニーズがある場合、その製品やサービスを扱う企業にアプローチをし、営業を受けることが ある。もちろん営業担当者との名刺交換の背景はいろいろと考えられるが、営業担当者と名刺交換を頻繁にしている人ほど、 何らかの課題を解決するために企業と取引をしたいというニーズを持っている可能性が高いであろうし、取引につながるよう に決裁者と営業担当者を会わせることもするだろう。新規の取引先を効率的に見つけることは、営業活動を活発化させること につながり、それが日本経済の活性化にもつながる。その意味で営業活動に注目することは大いに意義があると考えている。 本稿では、 このような問題意識を踏まえて、 個人向け名刺アプリ 「Eight」 のデータを基に営業担当者と頻繁に名刺交換をしている 人の特徴を考察する。 営業担当者と名刺交換を行う可能性として、 その企業の製品やサービスを購入したいために商談で会うだ けでなく、 取引する意思はそれほど強くないが情報収集のために会う、 展示会やセミナーなど懇親の場で会うなど、 いくつかの 理由が考えられる。 筆者の見聞きした範囲では、 営業担当者同士が名刺交換をするケースとして、 特に展示会が多いため、 本稿で は営業以外の部門・職種である人が営業担当者とどれほど名刺交換をしているかといった点に注目する。 ①名刺交換枚数のう ち営業担当者との交換の占める割合が高い人はどのような業種なのか、 ②どのような業種からの営業を受けているのか、 ③業種 によってその割合の高い人の部署や職種が異なるのか。 こうした問いを考察していくが、 結論から言えば業種によって特徴が大 きく異なっており、 営業戦略としては、 業界ごとにアプローチを変えることが求められる。 2 分析対象、検証方法 分析に当たっては、Eightのデータについて個人を匿名化し、2017年10月から2018年9月の期間にユーザーが登録した名 刺の情報をEightの利用規約で許諾を得ている範囲で使用した。Eightの利用時にはユーザー本人も名刺を登録するため、分 析においては、名刺交換の相手だけでなくユーザー本人の業種、部署・職種も判断することができる。冒頭でも述べたが、営 業担当者同士が頻繁に名刺交換をしている可能性があるため、分析対象は本人が営業以外の部署・職種にあるユーザーに限定 している。また、企業規模の違いにより営業担当者と名刺交換をしている人の特徴が異なることが想定される。筆者の周りで ヒアリングをした限りではあるが、規模の小さい企業では、決定権を持つ人物が代表者などに限られており、かつ決裁権を持 つ人物が営業担当者との打ち合わせを頻繁に持つことも知られている。そのため、本稿では比較的規模の大きい企業に焦点を 合わせるために、 対象を東証一部の上場企業に所属し、 かつ部署 ・ 職種が営業以外のユーザーに限定して分析を行った※1。なお、 名刺交換をしている相手については、企業規模の限定をしていない。ただし、後述の図3では交換相手の業種を判別するため、 交換相手の企業が東証一部上場である場合に限定をしている。名刺交換をしている相手の部署・職種を営業か、それ以外かに 分け※2、分析対象期間における全ての名刺交換枚数に対して、営業担当者との名刺交換枚数の割合を算出した。なお、営業担 当者との名刺交換枚数の割合を全ての名刺交換枚数ごとに検討したところ、分析対象とする1年間において、全ての名刺交換 枚数が50枚未満のユーザーについては、名刺交換枚数が少なく、その割合が大きく変動するため、分析対象外とした。 図1は、対象とする企業数と営業以外のユーザー数を見た業種別の構成比である。東証一部に上場しており、分析対象とな る企業で社数の多い業種は、小売、サービス、情報通信となっている。一方で、分析対象となる営業以外のユーザー数が多い 業種は、情報通信、電気機器、サービスとなっている。 ※1:2018年10月10日現在での東証一部の上場企業を、日本取引所グループの東証上場会社情報サービス (http://www2.tse.or.jp/tseHpFront/JJK010010Action.do)から情報を収集し、 同サイ トに掲載されている業種分類を用いて分析を行った。なお、 「銀行」 「証券・先物」 「保険」 「その他金融」を金融として一つの業種区分としている。 ※2:名刺情報から営業を判断するに当たり、部署名 (一部役職名)の文字列の中に 「営業」 「セールス」が含まれている場合を営業とした。ただし 「営業企画」 「営業戦略」については、ここ での営業とは別にしている。
  2. Data Science Report 02 |  © Sansan, Inc. 3 分析結果 分析に当たっては、①名刺交換枚数のうち営業担当者との交換の占める割合が高い人はどのような業種なのか、②どのよう な業種からの営業を受けているのか、③業種によってその割合の高い人の部署や職種が異なるのかを検討した。それぞれの結

    果について紹介する。 図2は、業種ごとに営業担当者との名刺交換割合を見たものである。不動産、建設、小売、倉庫・運輸の順に、名刺交換割 合が高くなっている。不動産や建設は、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」を見ても業況判断が比較的よく、業績が好調 のため投資財やサービスを積極的に購入している可能性がある。小売は、販売先は個人だが企業からの仕入れが多く、仕入れ 先企業からの営業を事業担当者が受けているケースが多いと考えられる。倉庫・運輸については、EC(電子商取引)などの 取引量が拡大している中で、企業が運輸サービスなどを多く活用していることを反映しているだろう。 一方で、情報通信、医薬品、金融は、名刺交換割合が低い。これらの業種は業況が不振に陥っているわけではなく、すでに 取引先が固定化しており、積極的に営業担当者と名刺交換をする機会がないなどの理由によるものであろう。 0 2 4 6 8 10 パルプ・紙 倉庫・運輸 電気・ガス ⾮鉄⾦属 ガラス⼟⽯ 精密機器 鉄鋼 ⾦属製品 繊維製品 医薬品 陸運 輸送⽤機器 不動産 ⾷料品 建設 ⾦融 機械 化学 電気機器 卸売 情報通信 サービス ⼩売 企業数の構成⽐ 0 2 4 6 8 10 12 14 倉庫・運輸 パルプ・紙 ⾮鉄⾦属 ⾦属製品 ガラス⼟⽯ 精密機器 鉄鋼 繊維製品 不動産 医薬品 電気・ガス ⾦融 ⾷料品 陸運 化学 機械 輸送⽤機器 建設 ⼩売 卸売 サービス 電気機器 情報通信 営業以外のユーザー数の構成⽐ (%) (%) 注:数の少ない業種を省略しているため、合計をしても100%にならない。 図2:営業担当者との名刺交換割合 0 5 10 15 20 25 不 動 産 建 設 ⼩ 売 倉 庫 ・ 運 輸 卸 売 鉄 鋼 化 学 ⾷ 料 品 精 密 機 器 電 気 機 器 機 械 ⾦ 属 製 品 パ ル プ ・ 紙 陸 運 ⾮ 鉄 ⾦ 属 ガ ラ ス ⼟ ⽯ 繊 維 製 品 電 気 ・ ガ ス 輸 送 ⽤ 機 器 サ � ビ ス ⾦ 融 医 薬 品 情 報 通 信 (%) 図1:分析データの業種構成比
  3. Data Science Report 03 |  © Sansan, Inc. 次に、どのような業種の営業担当者と頻繁に名刺交換がなされているか、業種ごとにその傾向を見ていく。図3は、その分 析結果である。 同業種と名刺交換しているケースは、情報通信、金融、化学などで多く見られた。情報通信、金融は、そもそも営業担当者

    との交換割合が低く、それに加えて同業種とのつながりが強いと言える。一方で、電気機器、卸売、機械などは同業種の営業 担当者との名刺交換比率は低く、幅広い業種の営業担当者と名刺交換をしている。一部の製造業では、企業間取引において原 材料や部品を調達するために幅広い業種の企業と取引をしており、そうした事情が反映されている可能性がある。また、卸売 においても、取り扱う商品が多岐にわたるため、多様な業種の営業担当者と名刺交換をしていることが考えられる。 最後に、営業担当者と名刺交換を頻繁によくしている部署・職種の特徴を業種ごとに見ていく。結果は、表1の通りであり、 それぞれ営業担当者との名刺交換割合の高い部署・職種を上位5つまで示している。多くの業界において、購買、物流・ロジ スティクス、総務といった部署・職種との名刺交換割合が多い。これは、全社的に導入する商品やサービスは、総務部門や購 買部門が仕入れ先の選定や商取引を担当することが多いため、そうした事情を反映している結果であろう。興味深いのは、建 設や金融における「経営企画・事業企画」 、化学、機械、卸売、金融における「商品企画」 、情報通信における「営業企画」と いった企画部門でも営業担当者との名刺交換割合が高いことである。特に商品企画や営業企画においては、全社に関わる話で はなく部門の中で必要とされる商品やサービスの購入や導入を検討しているケースが多く、こうした部門のニーズを吸収する ことは営業戦略としては重要だろう。同じ観点で、卸売、小売、金融において「情報システム」との名刺交換割合が高いこと も、こうした業界では情報システムの強化を進めており、営業担当者との名刺交換を積極的に行っていることが示唆される。 図3:名刺交換における営業担当者の業種分類                αʔϏε ͦͷଞ छ ۀ ͷ ਓ ͨ ͚ ड Λ ۀ Ӧ ۚ༥ ৘ใ௨৴ Էച খച ػց ిؾػث ݐઃ Խֶ       αʔϏε ۚ༥ ৘ใ௨৴ Էച খച ػց ిؾػث ݐઃ Խֶ 注:東証一部上場企業における営業担当者との名刺交換の結果であり、他の図表と分析対象が異なる。この図では、同業種の営業担当者と名刺交換をした場合の割合 を数値として掲載している。図2と異なり、集計対象数を確保するため、ユーザー数が比較的多い業種に対象を限定している。
  4. Data Science Report 04 |  © Sansan, Inc. 4 結論 本稿では、営業担当者と名刺交換をしている人の特徴について見てきた。分析の結果から分かったことをまとめてみる。 第一に、営業担当者と頻繁に名刺交換する割合は、不動産、建設といった業種で高く、背景に業界全体の業績の向上があり、

    積極的に原材料や部品などの購入を検討していることが示唆される。 第二に、名刺交換をした営業担当者の業種を見てみると、必ずしも全ての業種で同業種との名刺交換の割合が高いとは言え ず、卸売や機械、電気機器といった業種のように幅広い商材が必要であり、かつ取引先が多くある業種では、同業種との名刺 交換比率は低いことが分かった。 第三に、営業担当者との名刺交換割合の高い部署・職種を見ると、 「購買」 「物流・ロジスティクス」 「総務」といった全社 に関わる商品やサービス導入を取り扱う部署・職種の割合が高かったが、業種によっては企画部門や情報システム部門との交 換割合も高く、業界の特徴によって結果が異なることが分かった。 営業担当者が新規顧客を探すためには、総務、購買といった部署 ・ 職種の担当者に当たることが必ずしも正しいとは言えず、 企業によっては企画部門や情報システム部門においてニーズがあることも見られる。こうしたニーズを把握して、新規顧客を 開拓していくことが営業戦略を構築していく上で必要であろう。さらなる分析を重ね、 ニーズを抱えている可能性が高い企業 ・ 部署を引き続き探っていきたい。 建設 購買 30.2% 販売サービス 27.5% お客様相談 25.9% 建築関連 25.9% 経営企画・事業企画 25.8% 化学 購買 26.9% 建築関連 25.4% 商品企画 24.7% 製造系専門職 23.3% 総務 22.7% 機械 総務 24.3% 製造系専門職 24.0% 商品企画 23.5% 購買 23.0% 設計 22.9% 電気機器 購買 26.7% 物流・ロジスティクス 20.3% 建設系専門職 19.9% 総務 19.1% 製造系専門職 18.9% 食料品 購買 27.8% 経理・財務・管理会計 26.5% 物流・ロジスティクス 25.2% 販売サービス 25.0% 総務 20.7% 卸売 建築関連 28.1% 購買 26.7% 販売サービス 26.4% 情報システム 24.6% 商品企画 24.5% 小売 経理・財務・管理会計 30.3% 購買 26.5% 物流・ロジスティクス 25.0% 総務 24.7% 情報システム 23.1% 金融 総務 23.6% 営業企画 17.9% 金融系専門職 15.8% 情報システム 15.0% 経営企画・事業企画 14.8% 情報通信 購買 26.6% 販売サービス 20.1% 総務 20.1% 営業企画 19.9% 物流・ロジスティクス 16.6% 表1:営業担当者との名刺交換をしている割合が高い部署・職種(上位5位) サービス 総務 24.7% 購買 24.0% 設計 20.8% 販売サービス 20.0% 経理・財務・管理会計 18.6% 注:図2と異なり、集計対象数を確保するため、ユーザー数が比較的多い業種に対象を限定している。ユーザー数が10名以下の業種は除外している。
  5. 2019೥1݄8೔ ൃߦ ୲౰ݚڀһ ށా३ਔɹAkihito Toda Data Science Report © Sansan,

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