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モビリティサービスの開発で直面したリアルな課題と問題解決のあゆみ/SORACOM Tech Days 2021 day2_8

SORACOM
PRO
November 25, 2021

モビリティサービスの開発で直面したリアルな課題と問題解決のあゆみ/SORACOM Tech Days 2021 day2_8

SORACOM Tech Days 2021 セッション資料です。
まちの移動のつぎの習慣をつくる!毎日の「移動」に新しい価値を生み出すシェアサイクルサービスのチャリチャリ。一人ひとりの「移動」を圧倒的に便利で自由に楽しいものにするというビジョンを実現するには、ハードウェアとソフトウェアの融合を高度に、そして泥臭い部分からも目を背けず実現していく必要があります。本セッションではチャリチャリを運営する neuet でVP of Engineering を担う蛭田慎也さんから、ハードとソフトが相互作用することで実世界における価値を生み出すプロダクト開発の面白さや難しさ、そしてこれからエンジニアに期待されるマインドセットについてご紹介いただきます。

neuet株式会社
VP of Engineering
蛭田 慎也氏

SORACOM
PRO

November 25, 2021
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Transcript

  1. モビリティサービスの開発で直面した
    リアルな課題と問題解決のあゆみ
    SORACOM Tech Days 2021
    neuet株式会社
    VP of Engineering
    蛭田 慎也

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  2. 自己紹介
    蛭田 慎也 (hirutas)
    neuet株式会社 VP of Engineering
    経歴
    ● 2017年11月 株式会社ソウゾウに入社
    ● シェアサイクルサービス「チャリチャリ」の
    バックエンド設計・開発を主に担当
    ● 2020年2月、事業承継に伴いneuet株式会社に転籍

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  3. 今日の話
    ソフトウェア × ハードウェア のシステム概要
    スマートロック開発の歴史と課題
    エンジニアとして求められること

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  4. チャリチャリとは?

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  5. チャリチャリを見つける QRコードで鍵をあける 駐輪ポートまでライド 鍵をかけて終了!
    1 2 3 4
    ● 福岡、名古屋、東京でサービスを展開
    ● 1分6円 (電動アシスト: 1分15円)
    ● ポート間を自由に移動が可能
    ● どなたでも乗れる、小さめの20インチタイヤ
    ● LTE / GPS / Bluetooth搭載のスマートロック
    スマホアプリでカンタンに使えるシェアサイクル

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  6. サービスを支えるプロダクト群

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  7. スマートロックの仕組み
    ※ 2021年11月時点

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  8. スマートロック開発の歴史と課題

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  9. サービス開始から3年半で、2度の作り直し
    一代目 二代目 三代目

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  10. ● 2017年11月: 入社
    ○ バックエンドの設計、実装はほぼゼロ
    ○ スマートロックの設計、製造が先行
    ● チーム全員で福岡に出張し、合宿
    ○ 現地調査
    はじまり

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  11. ● 国内の外部パートナーと開発
    ○ 筐体デザインからフルスクラッチで設計
    ● サービス開始が2018年2月28日に決定
    ○ ハードなデッドライン
    ● 鍵側が最終的に完成したのが2018年の2月初旬
    ○ 急ピッチで繋ぎこんだ
    スマートロック(一代目)

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  12. ● なんとかサービスを開始することができた
    ○ 実際に使っていただけている姿に感動
    ● 「当たり前」の体験を作ることに苦労
    ○ 鍵を開ける
    ○ ライドする
    ○ 鍵を閉める
    ○ ライドが終わる
    結果

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  13. ● 鍵のバッテリが数日しか持たない
    ○ ⇒ 運営クルーがひたすらバッテリ交換をするための
      オペレーション、運営システムを構築
    ○ ⇒ 鍵のファームウェア改良により省電力化
    ● 鍵からの位置情報がズレる、通信に時間がかかる
    ○ ⇒ 位置情報の取得・判定方法を変更
    ■ スマホ・鍵のハイブリッド式へ
    ● etc...
    課題

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  14. ● ハードウェア・ファームウェアの仕様は、
    アプリケーション側と一気通貫して設計することが肝心
    教訓

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  15. ● 二代目鍵プロジェクトを開始
    ○ 2018年 夏頃〜
    ● すでにシェアサイクル用の鍵を製造してい
    る会社から調達する方針
    ○ コスト、納期、信頼性 を考慮
    ● ソーラーパネルでの充電、解錠方法をBLE経
    由に変更
    スマートロック(二代目)

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  16. ● 調達に成功、全台検査して投入
    ● バッテリ問題が大幅に解消
    ● BLE経由で解錠するシステムにより、
    お客さまのライド体験が向上
    結果

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  17. ● 小ロットでの生産がかなり困難だった
    ○ 協力してくれる会社の選択肢が少ない
    ● 中国の会社とのコミュニケーション方法のギャップ
    ○ 力関係の違い、文化の違い
    ● ハードウェア・ファームウェアを継続的に改善できない
    ○ 可動部の故障が頻発
    ○ BLE周りの不可解なバグ
    課題

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  18. ● ビジネスの根幹である、ハードウェア・ファームウェアの中身を
    コントロール可能にしておくことが重要
    教訓

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  19. ● 三代目鍵プロジェクトの開始
    ○ 2020年4月〜
    ● いままでの概念にとらわれず、ゼロベースで検討
    ○ 要件
    ■ 自転車の位置を正確に把握できること
    ■ 正しく料金を支払っているお客さまのみが
    使える状態にすること
    ■ 製造・稼働コストが一定以下になること
    スマートロック(三代目)

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  20. ● 故障の大きな原因となる、可動部分を無
    くした鍵は作れないかどうかも検討した
    ○ 世界中のシェアサイクルの鍵につい
    て調べて、アイデアを出した
    チャレンジ
    参考: 検討時の社内資料

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  21. ● 課題
    ○ ユニバーサルデザインとして、誰でも理解できて使える必要がある
    ○ 自治体の条例などで"鍵"をかけることを義務化している場合もある
    ○ 新規で金型を起こすのはコストが掛かりすぎるし、リスクも高い
    検討段階での課題

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  22. ● 三代目鍵も、馬蹄錠を用いた鍵にする
    ● 稼働実績のある金型、筐体をベースにするため、パートナーを探す
    ● 基板の設計、ファームウェア実装は自社で行う
    方針

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  23. ● 汗と涙の結晶として、2021年5月に無事完成
    ● ハードウェア、ファームウェアがコントロール可能な状態になり、
    改善サイクルが回せるようになった
    ● 稼働の安定性が圧倒的に向上した
    結果

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  24. ● 単体、少数のデバイスでは問題なく動くが、大量になると不具合が
    ○ LTE基地局との接続問題が疑われたが、解決できず
    ○ => リトライを繰り返すことで対処
    ● 同時接続問題はトラブルシューティング難易度が高い
    ○ 難易度: 1台 < 10台 <<< 100台 <<<<<< 1000台
    課題

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  25. ● ハードウェア・ファームウェアの継続的改善により、
    「当たり前品質」だけではなく、新たな価値を生み出すことが重要
    教訓

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  26. スマートロックが支える
    サービスの成長

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  27. 2018/2 2021/10
    3,134
    2020/4
    418,392
    2020/10
    100倍以上の成長
    サービス開始翌月比で
    (福岡市内での月次のご利用実績)
    日常のご利用で急速に拡大
    2019/1

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  28. (チャリチャリの累計ご利用実績)
    累計600万回までの道のり

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  29. ソフトウェア・ハードウェアの融合

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  30. エンジニアとして
    IoTサービスを立ち上げるために重要な要素

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  31. IoTサービスの立ち上げに重要な3つの要素

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  32. ● 現場に足を運び、自分の目で見て、感じること
    ● 泥臭い物理作業からも逃げずにやりきる
    ● 健康な肉体、健康な精神が必要
    「体力」

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  33. ● 領域や制約にとらわれず、サービスを良くするためなら何でもする
    ● 自分が一番のユーザーになる
    ● 最後まで諦めない心
    「気力」

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  34. ● 物理から論理まで、幅広い理解が求められる
    ● 日頃から手を動かして素振りしておく
    ● マネージドサービスを使いこなす
    「技術力」

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  35. まとめ

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  36. ソフトウェア x ハードウェア = 楽しい!
    ● 多くのエンジニアが IoTサービスに携わるようになってほしい!
    ● JOIN US!
    ○ IoT、モビリティ領域に興味のあるエンジニアの方
    ぜひお声がけください!

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  37. まちの移動の、つぎの習慣をつくる

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