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March 15, 2021

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  1. セキュリティートークン・STO (第一東京弁護士会 総法研 金商法研究部会) 2021/3/15 ファンズ株式会社 弁護士 髙尾 知達

  2. 基本概念の確認

  3. 3 金商法(2020年5月施行)の規制対象概念 電子記録移転権利・・ ①法2条2項各号に掲げる権利のうち、②トークン(電子情報処 理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他 の物に電子的方法により記録されるものに限る))に表示され、か つ、③以下の技術的措置が取られていないもの(法2条3項、金融 商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令9条の2第1項) イ.適格機関投資家その他一定範囲の投資家以外の者にトークンを取得させ、 移転することができないようにする技術的措置。

    ロ.トークンの移転について、その都度、権利の保有者からの申出及び発行 者の承諾がなければ、当該移転をすることができないようにする技術的 措置。 ⇒トークン表示による事実上の流通可能性を理由に「第一項有価 証券」として規制される
  4. 4 トークン表示の判断枠組み 金融商品取引法等ガイドライン2-2-2 契約上又は実態上、発行者等が管理する権利者や権利数を電子的に記録した帳簿(当該 帳簿と連動した帳簿を含む。以下「電子帳簿」という)の書換え(財産的価値の移転) と権利の移転が一連として行われる場合には、基本的に、電子記録移転権利に該当 e.g. あるアドレスから他のアドレスに移転されたトークン数量が記録されているブロックチェーンを 利用する場合には、この記録されたトークン数量が財産的価値に該当 ただし、電子帳簿の書換え(財産的価値の移転)と権利の移転が一連として行われる場

    合であっても、その電子帳簿が発行者等の内部で事務的に作成されているものにすぎ ず、取引の当事者又は媒介者が当該電子帳簿を参照することができないなど売主の権 利保有状況を知り得る状態にない場合には、基本的に該当しない
  5. 5 「電子記録移転権利」の周辺 ▪ 包括概念「電子記録移転有価証券表示権利等」に基づき概念を整理 電子記録移転有価証券表示権利等 (有価証券表示権利を含む「みなし有価証券」をトークン表示した権利一般) 適用除外ST 電子記録移転権利 電子記録移転 有価証券表示権利

    (≒有価証券表示権利をトークン 表示したもの) 第二項有価証券 第一項有価証券
  6. 6 トークン表示の意義は権利の種類により異なる 電子記録移転有価証券表示権利・・第一項有価証券はもとより流通性に問題がなく、流通 市場が既に形成されているものも存在。法整備上の課 題も相対的に大きくはない。主な意義はコスト削減や 決済の円滑化 c.f. 振替証券の振替口座簿 社債原簿、受益者原簿等の電子的管理 電子記録移転権利・

    ・ ・ ・ ・ ・対抗要件や善意取得といった法整備は未整備であり、 流通市場も形成されていない。いわば規制法が先行 した状態。主な意義は流通市場の実現
  7. 電子記録移転権利の流通に向けた課題

  8. 8 電子記録移転権利の譲渡手続の課題 譲渡人G 譲受人H 譲受人I 確定日付ある証書 による通知・承諾 電子記録移転権利は、私法上の有価証券ではなく「信託受益権」や「契約上の地位」で構成 →証券の授受や口座上の記録といった一義的に譲受人を特定する仕組みは用意されておらず (二重譲渡のリスクあり)、善意取得の仕組みは明文上設けられていない。

    二重譲渡の処理 譲渡人K 譲受人L 権利者J 準占有者による善意取得? BC上の記録の変更 K → L
  9. 9 電子記録移転権利の譲渡手続の課題 信託受益権(受益証券発行信託を除く)の場合 →受託者に対する通知または受託者の承諾が対抗要件であり、これを確定日付のある証書によってしな ければ、受託者以外の第三者に対抗することができない(信託法94条) 匿名組合持分の場合 →利益分配請求権(商法535条)、出資価額返還請求権(商法542条)はいずれも債権であり、その譲渡 における第三者対抗要件は確定日付のある通知または承諾である。また、匿名組合員としての契約上 の地位の譲渡について明文上明確な定めはなく、解釈に委ねられているが、債権譲渡の場合に準じて、 確定日付ある証書による通知又は承諾が必要であると実務上は考えられている(福田匠『プライベート・

    エクイティ・ファンドの法務[第 2 版]』241~242頁(中央経済社、2019年))。 c.f. 預託金型ゴルフクラブ会員契約の契約上の地位の譲渡について、第三者対抗要件として確定日付ある証書による通知 または承諾を要するとした判例(最二小判平8.7.12(民集50巻7号1918頁) 契約上の地位の譲渡の場合、発行者の承諾必要。承諾方法の工夫で二重譲渡のリスク顕在化を低減することが可能で あるが、破産管財人や差押債権者との関係では、やはり対抗問題が生じ得る
  10. 10 対応策として提唱されているもの 慣習法上の第三者対抗要件を肯定する見解 →契約上の地位の譲渡については対抗問題を確定日付のある証書による通知または承諾で決すべしとの 明文規定があるわけではない。BC上の記録に公示機能と固定機能を認めることは可能であるため、BC 上のアドレスへの記録をもって第三者対抗要件とし、その準占有状態に善意取得を認める(私見) 私法上の有価証券法理を適用(準用)する構成 →匿名組合持分型の電子記録移転権利について、私法上の有価証券に準ずるものと構成し、私法上の有 価証券にかかる規定に基づき証券交付による譲渡をもって第三者対抗要件が具備される 原契約の解除、新契約の締結を重ねる構成

    →持分を譲渡するのではなく、既存権利者Aと譲受を望むBが権利移転の合意をした場合、発行者はAと の契約を解除し、新たにBとの間で当該解除分と同種・同量・同価格の権利に係る新契約を締結すると 構成する 口座契約に基づく帳簿の書換とする構成 →預金債権等の議論を参考にして多数の利用者と発行者の間のそれぞれの口座契約に基づき移転元であ る利用者が発行者に対して自らの帳簿残高を減らし同額分だけ移転先の帳簿残高を増やす指図をし、 これにより発行者が帳簿を更新するものとしてセキュリティトークンを構成する(条文上は金商法2条 2項5号の「その他の権利」)
  11. 11 立法的解決の救世主? 2021年2月4日、法務省が産業競争力強化法のもと で債権譲渡等に係る確定日付ある証書による通知等 に関する特例措置を講ずる旨を公表 2020年6月26日、規制のサンドボックス制度のもと で債権譲渡の確定日付のある通知に関しSMSで期待 する効果を得られるか検証する内容の実証実験が認 定されており、上記特例措置はこの動きの延長線上 にあるものと考えられる。もっとも、技術的措置は

    SMSに限定されず、かつ、通知に加えて「承諾」も 特定対象となり得る、信託受益権の対抗要件も整備 の対象となり、実証実験よりも拡張された内容 一方で、「契約上の地位」については言及されてい ない(そもそも契約上の地位において確定日付のある通知・ 承諾を第三者対抗要件とみるのは解釈上の話であり特別法とし ての位置づけが難しい?)。また、技術的措置に分散型 台帳技術が含まれるのかは明確ではない 出典:法務省(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00159.html)
  12. 12 流通の場としてのPTSの現状 基本的に補完市場として位置づけがなされている 市場価格売買方式 上場銘柄であることが前提で あり、電子記録移転権利の流 通には馴染まない 顧客注文対当方式 顧客同士の指値注文を対当さ せる方式

    顧客間交渉方式 PTSを通じた顧客間の交渉に よって価格を決定する方式 売買気配提示方式 複数の証券会社がマーケッ ト・メイカーとして気配を提 示して顧客からの売買注文に 応じる方式 競売買方式 オークション方式。成行注文 や板寄せも可能 過去6ヵ月において、全ての取引所金融商品市場及び店頭売買有価証券市場に おける売買に係る総取引高の一営業日当たりの平均額に対する比率が1%以上、 または個別銘柄の総取引高の一営業日当たりの平均額の、当該六月間に行われ た当該銘柄の全ての取引所金融商品市場及び店頭売買有価証券市場における売 買に係る総取引高の一営業日当たりの平均額に対する比率が10%以上である場 合、金融商品市場開設の免許の取得を行う必要(金商法施行令1条の10) 過去6ヵ月において、全ての取引所金融商品市場及び店頭売買有価証券市場に おける売買代金の合計額に対する比率が、個別銘柄いずれかについて20%以 上、かつ、当該株券及び新株予約権付社債券全体について10%以上となった場 合には、金融商品市場開設の免許の取得を行う必要(監督指針Ⅳ-4-2-1③ロ)
  13. 13 (参考)不特法1号スキームSTと流通市場 不特法1号事業の許可を受けた不動産事業者(SPCを除く)が投資家から匿名組合出資を受 けて不動産取引(売買、交換または賃貸借)を行い、その収益を投資家に分配するスキーム について、この匿名組合出資持分をST化した場合、金商法の適用がない(金商法2条2項5 号ハ)。 したがって、電子記録移転権利の定義に該当せず、50人以上に勧誘をする場合も発行開示 の適用を受けず、金商業登録なしに取扱いが可能。さらに、PTSの規制もないため理論上は オークション方式などの価格決定方法で流通市場を創設しても前頁の問題は生じない。もっ とも、近時、暗号資産該当性を指摘する見解も唱えられているようである