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データエンジニアリング 4年前と変わったこと、 4年前と変わらないこと

データエンジニアリング 4年前と変わったこと、 4年前と変わらないこと

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Sotaro Tanaka

July 18, 2025
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  1. AbemaTV, Inc. All Rights Reserved
 Sotaro Tanaka 株式会社AbemaTV Development HQ

    Data div. Data Enabling Team Mgr • 2023/04~ ABEMAでデータマネジメント • Data Management & BI • Data Engineering • Hobby: 🏂 / 🎮 / ⚽ / 小倉唯さん 2 Profile X(旧Twitter) @__sotaron__
  2. AbemaTV, Inc. All Rights Reserved
 猫も杓子も生成AI 12 開発現場における、生成 AIの活用がだいぶ浸透してきました。 サイバーエージェントでも

    「生成AI徹底活用」 を標榜し、大幅な技術投資が進んでいます。 データエンジニアリングの世界でも、生成 AIは各所で活用されてきています。 https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=32077 より https://www.cyberagent.co.jp/way/list/detail/id=31842 より
  3. AbemaTV, Inc. All Rights Reserved
 生成AIで変わる「前提」 13 生成AIの活用浸透により、以前ほど気にする必要がなくなったこと • 重厚長大な

    SQLクエリを書く、保守するコスト • 似たようなクエリ、テーブルを量産するコスト ◦ ガバナンスの問題は定義共通化したセマンティックレイヤー等でカバーする前提で • 分析者のメンタルモデルを強く意識して設計されたデータセットのレイヤリング などなど
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 4年前と変わらない「大事なこと」 16 4年前から変わらず、むしろ生成 AI時代にこそ、より重要そうなこと。 •

    とりあえず分析、活用したいデータが全部データレイクにあること • 全部データレイクにある上でのアクセスコントロールと難読化 ◦ 各生成AIツールから、共通アカウントを使ってデータ読み出しとか最悪 • データセットのレイヤとルール • セマンティックとデータ品質 • ログ/マスタ設計とデータ仕様ドキュメント(無から有を生み出すところ) 最初2つは自明なので、他 3つについて、少し話します。
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 データセットのレイヤとルール 17 分析者や活用者のメンタルモデルを意識した過度なレイヤリングは必要なくなりましたが、 以下のようなことを考慮した処理ルールと、その前後のデータセットのレイヤ分けはより一層重要に。 •

    ある権限ロールの人たちに開放するデータセットに施すべき難読化処理 • 入力値の値域の制限、異常値の除去 • 汎用共通処理 → この処理ルールとデータセットのレイヤを CursorやClaude Codeに開発ガイドラインとして   渡せば、分析や活用 readyなテーブル群を作ってもらえます。
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 セマンティックとデータ品質 18 ABEMAは来年で10周年、そんな10年ものプロダクトともなると • 空の定義(

    NULL、undefined、n/a、””)のブレなど、ドキュメント化しないと理解できないデータモ デル • 多態・多義なカラムや歴史的に情報量が変化しているカラム みたいなデータがいっぱいあります。皆さんはどうですか? このようなデータが存在する状態で、「とりあえず生成 AIだ!text2sqlやってみよう!」とか 上手くいくわけがありません。 これらのデータ特性を考慮した人間による事前処理や、事前処理の指示ドキュメントが必要です。
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 補足:「視聴」の指標化は難しい 20 ABEMAのコアドメインである「視聴」の指標化は、特にデータモデリングの腕が試されます。 以下のようなことを考えたモデル化が必要。 一つの単純な指標では表現しきれない「視聴」という概念の捉え難さ。

    視聴形態 コンテンツジャンル ユーザーステータス テレビ / ビデオ / ライブという複数の視聴形態 スポーツとアニメでは、「見た」として捉えるべき ユーザー行動が異なるのでは?など ユーザーの課金ステータスによっては、 広告再生時点まで視聴しているかどうか、が重要など
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 セマンティックとデータ品質 21 ここまでの話を踏まえて、ある指標やディメンションの自然言語的な意味情報と一緒に、 (最終的に)データ ベースにクエリ可能な言語で定義を記述し、管理することが生成

    AI活用の上でも重要になってくると私は 思っています。 このような考えから、 1つのアプローチとして 、ABEMAではLookerを導入し、 Looker × Geminiで自然言語でのデータ問い合わせやレポート要約の PoCを進めています。
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 ログ/マスタ設計とデータ仕様ドキュメント 22 先述のように生成AIによるデータ集計や分析の支援、効率化を進める上で、ソースデータの品質は その成果を大きく左右すると考えています。 この「無から有を生み出す」最初のプロセスにおいて、

    高い品質を維持しやすいデータモデル・型を設計することや仕様ドキュメントをしっかり書き残しておくこ とが今まで以上に重要になってきていると感じます。 結局、大事なことは4年前とあまり変わっていないような気がしますね。