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Python で最強の平衡二分探索木を作る

tatyam
May 18, 2022
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Python で最強の平衡二分探索木を作る

tatyam

May 18, 2022
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  1. Python には平衡二分探索木がない 平衡二分探索木 (値の集合を管理して、要素 を追加、要素 を削除、 以上で最小の要素 を見つける、がそれぞれ 時間でできるデータ構造) ↓競プロでよく使われる言語

    C++ には std::set が Java には java.util.TreeSet が C# には System.Collections.Generic.SortedSet が Rust には std::collections::BTreeSet が Python には平衡二分探索木が用意されていない! (もしかして : スクリプト言語だから) x x x O(log N)
  2. Python で最強の平衡二分探索木がほしい 実現方法 バイナリを埋め込む とても速い、とても長い、hack のあるコンテストではルール違反 一般に使われている sortedcontainers などのコードを貼り付ける 長すぎて提出できない

    Binary Indexed Tree や Binary Trie 整数しか入れられない、値域に制限がある 平方分割 各操作 時間になって、遅い (?) どこでも使えて、整数以外も入れられて、コードが短くて、速い、平衡二分探索木を 作ろう! Θ( ​ ) N
  3. さらに速くする 上 : 各バケットの 個目の要素にアクセ スすると、シーケンシャルアクセスにな らない (キャッシュは効くかも) 下 :

    シーケンシャルアクセスになる。挿 入・削除に伴うずらす操作はとても速 く、検索も二分探索できる → バケットの数を小さく、各バケットの要素 数は大きく (1 : 50 くらいに) 1
  4. Python の特性 いろいろな型を入れられる柔軟性のために、すべてが参照でできている 参照 → ランダムアクセス → 遅い クラス内の変数 /

    関数を得るのに何手間もかかる (C++ ならメモリアクセス 1 回) 平衡二分探索木はこれを 回やるので、遅い 平方分割は組み込み型の list を使える list の任意位置の挿入 / 削除 ( 時間) は異様に速い 「各要素への参照を持った配列」をずらす操作になり、シーケンシャルアクセスで あり、SIMD で高速化できる Θ(log N) Θ(N)
  5. 完成した tatyam-prime/SortedSet – GitHub 普通の平衡二分探索木より速く、値域を制限するタイプと同等くらいの速さ Python で std::set の代替物を作った –

    Qiita という記事を書いた 平衡二分探索木を使う問題が出題されるたび言及されるように ABC245 E - Wrapping Chocolate では、約 29 / 99 (Python3, コンテスト中の全 AC) が SortedSet を使っていた