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DeNA TechCon 2021 - 自動テストのないプロダクトの開発効率化への道

DeNA TechCon 2021 - 自動テストのないプロダクトの開発効率化への道

DeNA TechCon 2021の発表資料です
https://techcon.dena.com/2021/session/14/

Junki Kaneko

March 03, 2021
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Transcript

  1. 自動テストのないプロダクトの 開発効率化への道 SWETグループ 金子淳貴

  2. 自己紹介 • 氏名:金子淳貴(@theoden9014) • 所属:DeNA SWETグループ • 業務内容: ◦ Go言語プロダクトの開発効率化と品質向上

    ◦ ゲーム開発プロセス改善 ◦ etc...
  3. この発表のゴール • 自動テストが入ってないプロダクトを改善する大きな流れ • サーバアプリに自動テストを入れるための最初の一歩

  4. アジェンダ • 自動テストがないプロダクトの課題 • 後から自動テストを導入するには? • データベースを利用した大きめのテスト

  5. アジェンダ • 自動テストがないプロダクトの課題 • 後から自動テストを導入するには? • データベースを利用した大きめのテスト

  6. 自動テストが無いプロダクトの課題 収益性や生産性が目標レベルを上回る確率は ハイパフォーマーはローパフォーマーの2倍 LeanとDevOpsの科学 付録B 統計データより • 開発者が手元で動作確認 • 一度開発したところが動かなくなる

    • 「手戻り」が発生しやすい、etc... 効率が悪い 自動テストを導入すると 開発効率が上がる!
  7. 自動テストは簡単に導入できるのか? • プロダクトの設計次第では、後から自動テストを 入れるのに大きなコストがかかる • 以下のような設計だと自動テストを導入しにくい ◦ 疎結合アーキテクチャになっておらず ロジックが動作する際に統合環境を必要とする ▪

    例:ビジネスロジックとDB処理を切り離せない
  8. 自動テストの分類 - Test Size 参考文献:https://bit.ly/3nYqtgn Network Access Database File System

    Access Use external system Multiple threads Sleep Statements System properties Time limit (sec) Small No No No No No No No 60 Medium localhost Yes Yes Discouraged Yes Yes Yes 300 Large Yes Yes Yes Yes Yes Yes Yes 900+ テスト実行時にシステムやアプリが依存している 特性に基づいて、テストの大きさを3つに分類
  9. • 実装コスト • メンテナンスコスト Test Sizeのコストパフォーマンス Small Medium Large High

    Low テストピラミッド このような比重で 自動テストを実装すると コストパフォーマンスが良い
  10. 理想は最初からSmall Testを書けるように ロジックを疎結合にしておく • 設計の段階でロジックを疎結合にしておく ◦ Layered Architecture ◦ Dependency

    Injection ◦ etc ....
  11. アジェンダ • 自動テストがないプロダクトの課題 • 後から自動テストを導入するには? • データベースを利用した大きめのテスト

  12. 後から自動テストを入れることができるのか? • Small Testを入れるには設計、実装の段階で アプリケーションを疎結合にしておく必要がある • そうでない時でも、リファクタリングすることで Small Testを入れられるようにすることはできる

  13. リファクタリングの流れ - Pinning Tests 1. 外から見た動作を変えないように 大きめのテスト(Medium や Large Test)を入れる

    2. そのテストが担保している範囲でアプリケーショ ンの疎結合の度合いを上げるようなリファクタリ ングを実施 3. Small Testを入れてより粒度の高い確認をする 具体的には「レガシーコードからの脱却」を参照 https://www.oreilly.co.jp/books/9784873118864/
  14. アジェンダ • 自動テストがないプロダクトの課題 • 後から自動テストを導入するには? • データベースを利用した大きめのテスト

  15. 大きめのテスト • 今回は一般的なWebシステムであれば必ずと言っ ていいほど利用されているデータベースを用いて いるシステムを対象 • 具体的な事例を踏まえて紹介

  16. 今回の事例 - 概要 • 自動テストが全く入っていない開発後期のプロダ クトに対して自動テストを導入 • Go言語で実装されているAPIサーバ • DBと切り離してテストすることが難しい

    • テーブルの数は200+
  17. 今回の事例 - 要件 • テーブル駆動テストでわかりやすくしたい ◦ テストデータをコードで定義 ◦ 特定の状態のデータは使いまわしたい (例:

    BANされたUser) • テストは使い捨てではなく今後も使い続ける予定 ◦ テストはメンテナンスしやすい状態にしたい • データベースにCloud Spannerを利用 ◦ 内製のORMを利用 ◦ Truncateコマンドが存在しない ◦ 外部キー制約を無効にできない
  18. テーブル駆動テストとは テストの入出力をテーブルで管理し、 テストケースの網羅性を上げる為の手法 The Go Blog: https://blog.golang.org/subtests 自動生成ツール: https://github.com/cweill/gotests

  19. どうやって自動テストする? • テスト環境用にDBを新たに構築 • DBの中身を全てテスト用データに置き換える • ロジックを自動テストする • DBの中身を空にする

  20. データベースを利用したテストの流れ 1. データベースの Setup 2. テストデータの Setup 3. アプリケーションの Setup

    4. アプリケーションの実行 5. テストアサーション 6. アプリケーションの Teardown 7. テストデータの Teardown 8. データベースの Teardown テストデータとテストケース をどうやって管理するの か? テストデータをどうやって削 除するのか?
  21. テストデータの管理で考えるべきこと • テストデータの生成方法は? • どこまでテストデータの共通化するのか? • どうやってテストデータを削除するのか?

  22. テストデータの管理で考えるべきこと • テストデータの生成方法は? • どこまでテストデータの共通化するのか? • どうやってテストデータを削除するのか?

  23. テストデータの生成方法 • 静的な生成 ◦ SQLファイルで管理 ◦ データフォーマットを基に生成 ▪ github.com/go-testfixtures/testfixtures •

    動的な生成(ORMを利用前提) ◦ Goの構造体を基に生成 ▪ github.com/bxcodec/faker ▪ github.com/bluele/factory-go
  24. テストデータの生成方法 • 静的な生成 ◦ SQLファイルで管理 ◦ データフォーマットを基に生成 ▪ github.com/go-testfixtures/testfixtures •

    動的な生成(ORMを利用前提) ◦ Goの構造体を基に生成 ▪ github.com/bxcodec/faker ▪ github.com/bluele/factory-go 今回はコードでテストデー タを管理したい
  25. テストデータの管理で考えるべきこと • テストデータの生成方法は? • どこまでテストデータの共通化するのか? • どうやってテストデータを削除するのか?

  26. どこまでテストデータを共通化するのか? テストデータを共通化すると テスト間で相互作用が発生する可能性がある • 例)テストデータを変えると関係のないテストまで落ちるよう   になってしまう 共通化するとメンテナンスのしやすさは低下する⇒ 今回は基本共通化はしない 詳細は”xUnit

    Test Patterns: Refactoring Test Code” 今回はメンテナンスし易 い状態にしたい
  27. [再掲]今回の事例 - 要件 • テーブル駆動テストでわかりやすくしたい ◦ テストデータをコード内で定義 ◦ 特定の状態のデータは使いまわしたい (例:

    BANされたUser) • テストは使い捨てではなく今後も使い続ける予定 ◦ テストはメンテナンスしやすい状態にしたい • データベースにCloud Spannerを利用 ◦ 内製のORMを利用 ◦ Truncateコマンドが存在しない ◦ 外部キー制約を無効にできない
  28. [再掲]今回の事例 - 要件 • テーブル駆動テストでわかりやすくしたい ◦ テストデータをコード内で定義 ◦ 特定の状態のデータは使いまわしたい (例:

    BANされたUser) • テストは使い捨てではなく今後も使い続ける予定 ◦ テストはメンテナンスしやすい状態であるべき • データベースにCloud Spannerを利用 ◦ 内製のORMを利用 ◦ Truncateコマンドが存在しない ◦ 外部キー制約を無効にできない テストデータ、基本は共通化しないが 特定の状態を再利用できるようにする
  29. テストデータの管理で考えるべきこと • テストデータの生成方法は? • どこまでテストデータの共通化するのか? • どうやってテストデータを削除するのか?

  30. どうやってテストデータを削除するのか? • テスト毎にテーブルのデータを全て削除する ◦ Table Truncation Teardown • Transactionを意図的に失敗させてロールバックする ◦

    Transaction Rollback Teardown
  31. どうやってテストデータを削除するのか? • テスト毎にテーブルのデータを全て削除する ◦ Table Truncation Teardown • Transactionを意図的に失敗させてロールバックする ◦

    Transaction Rollback Teardown Spannerには Truncateコマンドがない
  32. 今回の事例 - テストデータの管理方針 • テストデータの生成方法は? ◦ => Goのコード内 • どこまでテストデータの共通化をするのか?

    ◦ => 基本しない、どうしても共通化する場合は最小限 ◦ => 特定の状態のデータは共有したい • どうやってテストデータを削除するのか? ◦ => Transaction Rollback Teardown
  33. [再掲]今回の事例 - 要件 • テーブル駆動テストでわかりやすくしたい ◦ コード内で定義 ◦ 特定の状態のデータは使いまわしたい (例:

    BANされたUser) • テストは使い捨てではなく今後も使い続ける予定 ◦ テストはメンテナンスしやすい状態であるべき • データベースにCloud Spannerを利用 ◦ 内製のORMを利用 ◦ Truncateコマンドが存在しない ◦ 外部キー制約を無効にできない
  34. 今回の事例における テストデータ生成時の注意点 • 通常、テストデータを投入する際は外部キー制約 を無効にし、投入後有効にする • Cloud Spannerでは外部キー制約を無効にして データ作成ができない ◦

    親データから先にデータを作らなければならない
  35. 独自のテストデータ生成ツールを開発 • 一般的なテストデータ管理ツールは Cloud Spannerでは利用できない • FactoryBotのような使い勝手を目指して ◦ データ生成時のインターフェースを似たように •

    内製のORMをベースにテスト用のORMを開発 ◦ DAOのインスタンスを生成、永続化できるように ◦ Build()でデータモデルを生成 ◦ Create()でデータモデルを永続化
  36. 独自のテストデータ生成ツール • 基本系:依存関係ないテストデータ • 基本系:依存関係あるテストデータ • 特殊系:特定状態を共有するためのテストデータ これらの3パターンの テストデータを生成するツールの紹介をします

  37. 独自ツール - 依存関係のないデータの生成 package model type User struct { UserId

    string `spanner:”UserId” span:“id”` Name string `spanner:”Name”` Email string `spanner:”Email”` } package factory type User struct { UserId *string Name *string Email *string } // フィールドに入力された値を元にモデルを生成 func (u *User) Build() *User // 永続化 func (u *User) Create(...) (*User, error) user := (&factory.User{ Email: String(“example.invalid”)}).Build() user.Create(ctx, dbinstance) テストデータ入力用 の構造体を準備 この構造体を使って テストデータを生成 入力フィールド ポインタ型にすることによって値が入力 されているかゼロ値か判定できる 入力されていない場合はランダム値、 もしくはテスト用のデフォルト値を利用 DAO (Data Access Object) テストに必要な フィールドだけ自 分で設定
  38. 独自ツール - 依存関係のあるデータの生成 package model type User struct { UserId

    string `spanner:”ID” span:“id”` Name string `spanner:”Name”` Email string `spanner:”Email”` RegionId string `spanner:"RegionId" span:”id”` } package factory type User struct { model *model.User Region *Region UserId *string Name *string Email *string } // u.Region.Create() を実行してから自身も永続化 func (u *User) Create(...) (*User, error) user := (&factory.User{ Email: String(“example.invalid”), Region: &factory.Region{Name: String(“Japan”)}}).Build() user.Create(ctx, dbinstance) テストデータ入力用 の構造体を準備 この構造体を使って データ生成し、永続化 依存テーブルのPK Regionテーブルの データ入力用の構造体 依存テーブルを含むデータが生 成される nilの場合は自動で作られるよう にすることもできる
  39. 独自ツール - 特定の状態の共有 user := (&factory.User{ Traits: []UserDatabuilderFunc{ factory.UserTraits.Banned(), factory.UserTraits.InvalidEmail(),

    }).Build() 状態を定義して生成
  40. 独自ツール - 特定の状態の共有 package factory type UserDatabuilder interface { Databuild(m

    *model.User) *model.User } type UserDatabuilderFunc func(m *model.User) *model.User func (f UserDatabuilderFunc) Databuild(m *model.User) *model.User { return f(model) } package factory var UserTraits = struct { Banned func() UserDatabuilderFunc InvalidEmail func() UserDatabuilderFunc }{ Banned: func() UserDatabuilderFunc { return func(m *model.User) *model.User { m.Banned = true return m } }, InvalidEmail func() UserDatabuilderFunc { return func(m *model.User) *model.User { m.Email = “example.com/invalid” return m } }, } package model type User struct { ... Banned bool Email string } テストデータの組み立てを インターフェース化 入力パラメータを元にデータを生成するロ ジックもこのインターフェースで実装される どういった状態なのか、 クロージャーを使って それぞれ定義していく
  41. 独自ツール - ここまで • 基本的なデータ生成はできるようになった • 今回の事例ではテーブルの数が200+ ◦ 全部コードを書いていくのは困難 •

    自動でデータ生成のコードを生成したい
  42. 独自ツール - 自動生成機能 • データアクセス用のモデルを静的解析して テストデータ生成のコードを自動生成 ◦ Cloud SpannerのDDLを解析すると汎用性が高いツー ルにできるが、今回は開発スピード優先とした

    • 自動生成したコードにメソッド単位でモデル毎の デフォルト値や生成ルールを手動で追加
  43. 独自ツール - 自動生成機能 • 基本系:依存関係ないテストデータ • 基本系:依存関係あるテストデータ ⇒ 自動化 •

    特殊系:特定状態を共有するためのテストデータ ⇒ 手動で作成
  44. 依存関係ないテーブルの判定 Table Users PK:UserId ⇒Table名とPKのカラム名が同じ ⇒依存関係なし

  45. 依存関係あるテーブルの判定 Table Users PK:UserId, RegionId ⇒Table名とPKのカラム名が違う ⇒依存関係あり 今回はSpannerのインターリーブ を想定しています

  46. 独自ツール - 自動生成機能 package model type User struct { UserId

    string `spanner:”ID” span:“id”` Name string `spanner:”Name”` Email string `spanner:”Email”` RegionId string `spanner:"AddressId" span:”id”` } package factory type User struct { Region *Region UserId *string Name *string Email *string } // 構造体に入力された値を元にモデルを生成 func (u *User) Build() *User // 構造体の永続化 func (u *User) Create(...) (*User, error) 依存関係あり データ入力用の構造体 とメソッドを自動生成 package factory type Region struct { RegionId *string Name *string } package model type Region struct { RegionId string `spanner:”ID” span:“id”` Name string `spanner:"Name"` } 依存関係ない
  47. テストコード例 - ログインのテスト • 必要な前提条件 ◦ ログイン対象のUserデータがDBに存在すること ◦ Passwordはハッシュ化してDBに保存されている •

    テスト内容 ◦ ユニークなEmailと、Passwordを使ってログイン ◦ 登録されているリージョンからログインできること
  48. テストコード例 - ログインのテスト func TestLogin(t *testing.T) { type inputs struct

    { email string password string } tests := []struct { name string testData *factory.User inputs inputs wantErr bool }{ { name: "正常系: 登録されているリージョンからログインできること", testData: (&factory.User{ Region: &factory.Region{ Name: "Japan"}, Email: "test@example.com", PasswordHash: generateHash("password")}).Build(), inputs: inputs{ email: "test@example.com", password: "password", region: "Japan"}, wantErr: false, }, } • テスト名 • DBに入れるデータ • 検証対象の引数 • 戻り値の検証
  49. テストデータ生成ツールを作って良かったこと • テストに必要なフィールドだけテスト毎にメンテ ナンスすれば良くなった • 複雑なテストデータも管理しやすくなった

  50. ここまでの流れ • ビジネスロジックとDBが密結合していると自動テス トにコストがかかる • テスト環境でDBの中身をまるごとテストデータにす れば密結合していても自動テストできる • テストデータをコードで管理し、毎回生成すると自 動テストが見易い

    • テストデータ生成を簡易化する生成ツールを開発
  51. まとめ • 自動テストが入ってないプロダクトを改善する大きな流れ ◦ まず大きなテストを入れる ◦ テストした箇所をリファクタリングしてよりテストしやすいものに する • サーバアプリに自動テストを入れるための最初の一歩

    ◦ データベースを使っている場合はテストデータを管理できるように してテストを入れよう
  52. None