Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
ルールの運用から始めるフロントエンド開発改善
Search
Tomoya Kashifuku
April 14, 2023
Programming
5
2.7k
ルールの運用から始めるフロントエンド開発改善
フロントエンドの開発で開発者体験が下がったときには、適切なルールの運用を始めるとよいのではないか、という話をしています。
特に主張したいのは12ページ目です。
Tomoya Kashifuku
April 14, 2023
Tweet
Share
More Decks by Tomoya Kashifuku
See All by Tomoya Kashifuku
Rustでオリジナルnpmパッケージを作ってみよう
tnyo43
0
100
ユーザのためだけじゃない!エンジニアも嬉しいアクセシビリティ改善のための自動テスト
tnyo43
0
340
フロントエンドの単体テストの使い方/考え方
tnyo43
0
260
Elm でつくるルービックキューブ
tnyo43
1
410
Other Decks in Programming
See All in Programming
AWS IaCの注目アップデート 2024年10月版
konokenj
3
3.3k
TypeScript Graph でコードレビューの心理的障壁を乗り越える
ysk8hori
2
1.1k
ペアーズにおけるAmazon Bedrockを⽤いた障害対応⽀援 ⽣成AIツールの導⼊事例 @ 20241115配信AWSウェビナー登壇
fukubaka0825
6
1.9k
AWS Lambdaから始まった Serverlessの「熱」とキャリアパス / It started with AWS Lambda Serverless “fever” and career path
seike460
PRO
1
260
型付き API リクエストを実現するいくつかの手法とその選択 / Typed API Request
euxn23
8
2.2k
Amazon Qを使ってIaCを触ろう!
maruto
0
400
as(型アサーション)を書く前にできること
marokanatani
9
2.6k
Streams APIとTCPフロー制御 / Web Streams API and TCP flow control
tasshi
2
350
Nurturing OpenJDK distribution: Eclipse Temurin Success History and plan
ivargrimstad
0
880
GitHub Actionsのキャッシュと手を挙げることの大切さとそれに必要なこと
satoshi256kbyte
5
430
詳細解説! ArrayListの仕組みと実装
yujisoftware
0
580
Jakarta EE meets AI
ivargrimstad
0
530
Featured
See All Featured
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
364
24k
A designer walks into a library…
pauljervisheath
203
24k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
33
2.9k
Understanding Cognitive Biases in Performance Measurement
bluesmoon
26
1.4k
Fight the Zombie Pattern Library - RWD Summit 2016
marcelosomers
232
17k
How STYLIGHT went responsive
nonsquared
95
5.2k
Building Flexible Design Systems
yeseniaperezcruz
327
38k
Keith and Marios Guide to Fast Websites
keithpitt
409
22k
Exploring the Power of Turbo Streams & Action Cable | RailsConf2023
kevinliebholz
27
4.3k
A Philosophy of Restraint
colly
203
16k
How To Stay Up To Date on Web Technology
chriscoyier
788
250k
A Modern Web Designer's Workflow
chriscoyier
693
190k
Transcript
ルールの運用から始める フロントエンド開発改善 2023/04 カシフクトモヤ
自己紹介 カシフクトモヤ @cashfooooou 2023/04 ~ 株式会社マネーフォワード 福岡拠点 - Web フロントエンド
- 競技プログラミング - 自動テスト - TypeScript / Elm / OCaml / Rust
今日のテーマ 開発者体験の向上のために 「ルールの運用を見直すこと」から始めてみよう
想像してください こんなプロジェクトに参画 • React を使っている • Atomic Design を取り入れている •
Redux を使っている
チームから上がる不満の声 • React のルールに則った書き方ができてない、気がついたら悪い書き方をしてしまう ◦ key を付与していない、 useEffect の deps
が不適切 • 新しく作る UI コンポーネントが Atomic Design のどのグループに属するかわからない ◦ Atoms と Molecules の境界、 Molecules と Organisms の境界が曖昧 • Redux の store をどこからでも参照してしまって制御が難しい
不満のもととなる問題・不安 • 既存の実装に不満があるけど、どのように直したらよいかわからない • 今は想定通りの挙動をしているけど、いつバグが発生するかわからず不安だ • 開発のタスクで手一杯なので、既存の実装の改修に時間をかけられない • 実装のルールを作っても、ルールを守るのがたいへんで実装が難しくなる
問題・不安を解消するルールの運用 実装のルールを作って適切に運用することで、簡単に守られる状態を作ることで解決したい • ルールが作られた背景が明確であること • 人が注意しなくてもルールが守りやすい状態になっていること • チームメンバーがルールに対してポジティブであること
背景を明確にする • なぜやるのか、なにに困っているか • どのように考えたか • どう実行するか 簡単な ADR や
Slack のスレッドなどに書き込んで、後から見返せる状況を作る 初めからしっかりとドキュメントを作らなくてもよい
背景を明確にする 例) Molecules と Organisms の境界についてのルール なにに困っているか 人によって判断がぶれて、コンポーネントが見つけられない。 Molecules から
Organisms を参照してしまうことがある。 どのように考えたか コンポーネントの複雑さは、人によって感じ方が異なる。 AtomicDesign の再利用性を活かしたいので、ビジネスロジックを含 むか否かで分別するのがよいかも。 どう実行するか Molecules が models (ビジネスロジックの定義)に依存しないよう にする。
自動的にルールを守る仕組みを作る 人の手だけでルールを守り続けるのは難しい、レビューの負担が大きくなる 可能な限り自動化して、気がつくとルールが守れている状況を作る • アーキテクチャを工夫する ◦ 期待しない実装ができない状態 • linter (eslint、
stylelint …)を導入する ◦ 期待しない実装をすると警告を出してくれる ◦ 導入も変更もカンタンでよい
自動的にルールを守る仕組みを作る 例) Molecules と Organisms の境界についてのルール 「Molecules が models (ビジネスロジックの定義)に依存しないようにする」というルールを自動化
eslint の import/no-restricted-paths を使ってルールを定義する
ルールに対してポジティブになる • 「守らなければならない義務」ではなく 「守るとみんなが幸せになるもの」 と全員が意識する ◦ メンバーの不安を解消するルール作りを心がける ◦ 守られていないときは、守りやすくするためにはどうするか考える •
ルールに則った実装に納得できないときは、ルール自体を見直す ◦ 守らなくていいルールはない( 割れ窓理論) ◦ ルールを属人化させない、みんなで作り上げる ◦ 小さく始める
明確なルールを作って嬉しいこと • 意図しない実装が減る • レビューの負担が小さくなる ◦ メインのトピックに集中できる • オンボーディングにかかるコストの減少
まとめ • 実装の不満が上がったときは、不満を解消するルール作りのチャンス ◦ 意思決定の背景を明確にする ◦ 可能なら自動化する • ルールに対してポジティブに考えて、守り続けるように運用する