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ミケル点とべズーの定理

 ミケル点とべズーの定理

数理空間トポス新歓イベント
2022年6月18日

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Naoya Umezaki

June 18, 2022
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Transcript

  1. ミケル点とべズーの定理 梅崎直也@unaoya 数理空間トポス新歓イベント 2022 年 6 月 18 日 1

  2. ミケルの定理 ABC の各辺 BC, CA, AB 上にそれぞれ点 P, Q, R

    をとる。こ のとき、 AQR, BPR, CPQ の外接円は一点で交わる。こ の点をミケル点という。 A B C P Q R 2
  3. 代数曲線 多項式 f(x, y) = 0 で定まる xy 平面内の図形を代数曲線と いう。

    • x + y = 0 は直線 • x2 − y = 0 は放物線 • x2 + y2 − 1 = 0 は円 • (x + y)(x − y) = 0 は二直線の和 • (x + y)(x2 + y2 − 1) = 0 は直線と円の和 二つの代数曲線の交点の個数について考える。 3
  4. 二直線の交点 異なる二つの直線の交点の個数は 0, 1 のいずれか。    ax +

    by = c dx + ey = f の解は 1 個または 0 個。 4
  5. 直線と放物線の交点 直線と放物線の交点の個数は 0, 1, 2 のいずれか。    y

    = x2 ax + by = c を解く。複素数で考えると、1 個または 2 個になる。 5
  6. 二円の交点 異なる二つの円の交点の個数は 0, 1, 2 のいずれか。    x2

    + y2 = 1 (x − a)2 + (y − b)2 = r2 を解く。複素数で考えると、重複を数えて 2 個または 0 個。 6
  7. 複素数 xy「平面」を座標が複素数の範囲で考える。複素数だと一変 数の方程式が必ず解ける。 • 直線と直線の交点は 1 または 0 個。 •

    放物線と直線の交点は重複度こみで 1 個または 2 個。 • 円と直線の交点は重複度こみで必ず 2 個。 • 円と円の交点は重複度こみで 0 個または 2 個。 7
  8. 遠近法 平行な二直線は無限遠で交わる。放物線が円になる。 8

  9. 射影平面 複素数の組 (x, y) でなく、複素数の比 [x : y : z]

    で点を表す。 z = 0 の部分が xy 平面で、z = 0 の部分が無限遠。 • y = x と y = x + 1 は y = x と y = x + z と考えると [1 : 1 : 0] を交点にもつ。 • x = 1 と y = x2 は x = z と yz = x2 と考えて [1 : 1 : 1], [0 : 1 : 0] を交点にもつ • x2 + y2 = 1, x2 + y2 = 4 は x2 + y2 = z2, x2 + y2 = 4z2 と 考えると [1 : i : 0], [1 : −i : 0] がそれぞれ二重。 9
  10. 交点の個数 座標が複素数の射影平面の中の二曲線の交点数を考える。 重複度を適切に定めると、交点の個数は • 直線と直線の交点は必ず 1 個。 • 直線と放物線の交点は必ず 2

    個。 • 円と円の交点は必ず 4 個。 直線は 1 次式、円は 2 次式で定義される。 10
  11. べズーの定理 n 次曲線と m 次曲線は既約成分を共有しなければ交点を mn 個もつ。 n 次曲線と m

    次曲線が mn + 1 点以上の共有点を持つなら ば、既約成分を共有する。 11
  12. 既約成分の共有 L1 , L2 が直線で、2 点共有点を持つならば L1 = L2 である。

    L が直線で C が 2 次曲線であるとする。これらが 3 点共有点 を持つならば C は直線の和であり、そのうち一つは L で ある。 12
  13. 交点の個数 円と直線の和 C1 ∪ L1 と C2 ∪ L2 はいずれも既約でない

    3 次 曲線。 L2 L1 C2 C1 直線同士が 1 個、円と直線の交点 2 個が 2 組、円同士が 4 個。図に 7 点、残り 2 点は [1 : i : 0], [1 : −i : 0] である。 13
  14. 束 C1 ∪ L1 , C2 ∪ L2 が F1

    = 0, F2 = 0 で定義されているとする。 λ1 F1 + λ2 F2 = 0 は、C1 ∪ L1 , C2 ∪ L2 の交点 9 個全てを通る曲 線を表す。 直線 L3 上の点 S をとる。λ1 F1 (S) + λ2 F2 (S) = 0 を解き、 λ1 F1 + λ2 F2 = 0 が S を通るようにする。この λ1 , λ2 で C を 定める。 S L2 L1 C2 C1 14
  15. ミケルの定理の証明 S L2 L1 C2 C1 3 次曲線 C は

    C1 ∪ L1 , C2 ∪ L2 の 9 交点と S を通る。L3 は C と 4 点共有するので、C は L3 と既約成分を共有する。C は L3 と 二次曲線 C3 の和であることがわかる。 C3 は残りの 6 点、図にある 4 点と 2 つの虚数点を通る。これ が CPQ の外接円である。 15
  16. ミケルの定理 ABC の各辺(もしくはその延長)BC, CA, AB 上にそれぞれ 点 P, Q, R

    をとる。このとき、 AQR, BPR, CPQ の外接円 は一点で交わる。 A B C P Q R 16
  17. 参考文献 代数幾何の源流を求めて 向井 茂 https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ kenkyubu/kokai- koza/H30-mukai.pdf 17

  18. 代数幾何ゼミ 代数幾何の基本的な話を、可換環やホモロジー代数などの 言葉遣いを身につけながら学ぶ。演習問題を用意して解い てもらう。具体例の計算をたくさんやってから、抽象的な 議論を学ぶ。 • べズーの定理 • 曲線の種数 •

    セール双対性 • リーマンロッホの定理 18