Findy 開発生産性 Conference における発表です
組織をスケールさせるためのFour Keys とチームトポロジーFindy 開発生産性 Conference株式会社タイミー 執行役員 VP of TechnologyToru Yamaguchi (@zigorou)
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自己紹介山口 徹 | @zigorou執行役員 VP of Technology2003-2004 株式会社コンテンツ (SWE)2005-2007 株式会社ガイアックス (SWE, EM)2007-2008 サイボウズ・ラボ株式会社 (SWE)2009-2020 株式会社ディー・エヌ・エー (SWE, SA, 専門役員)2020-2023 株式会社ベルフェイス (取締役CTO兼CPO)2023- 株式会社タイミー (執行役員VP of Technology)5月にタイミーに転職したばかりです。ひょんな事から今月からプロダクトマネジメント組織を管掌する事になりました。普段はお料理系男子です。
(Ad) 決意表明的なもの昨日、入社の経緯をインタビューして貰った記事が公開されましたので、ぜひ御覧くださいインタビュー記事:https://productpr.timee.co.jp/n/n38f537cb6ff1
今日お伝えしたいことチームトポロジーを実践し開発生産性を高めようとしているタイミーの取り組みと、取り組みから出てきた課題、そして打ち手についてお話していきますタイミーの事業やプロダクトの現在地点前提知識として、スキマバイト No.1 のタイミーという事業とプロダクトについて知ってもらいつつ、現在の事業環境や将来の事業についての想定について説明していきます現在の開発組織のコンセプトと開発生産性への取り組みチームトポロジー等の考え方をベースとしたタイミーの開発組織のコンセプトと現在地について説明していきます。チームトポロジーの実践例としてお聞きいただければと思います開発生産性や組織に関わる課題 / その打ち手としての考え方開発生産性や組織に関わる今抱えている課題と、その打ち手としてどのようにアプローチしているかについて、今時点での「個人的」な見解をお話していけたらと思います
タイミーについてタイミーという会社や事業の現在について
タイミーとは6「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービス従来の「求人サイト」でも「派遣」でもない
タイミーの実績スキマバイトNo.1導入事業者数ワーカー数500万人※2022年8月時点 ※1 [調査方法]デスクリサーチ及びヒアリング調査 [調査期間]2021年2月8日~22日 [調査概要]スキマバイトアプリサービスの実態調査 [調査対象]2020年12月までにサービスを開始しているスキマバイトアプリ10サービス [調査実施]株式会社ショッパーズアイ ※2 [出典]AppStoreライフスタイルカテゴリーランキング(2021年5月時点)746,000企業
業界を超えて広がるタイミータイミーは多くの業界で活用されるサービスに成長し、物流/小売/飲食の各業界TOP10社の半数以上がタイミーを導入中。現在導入事業者数は46,000企業 130,000拠点以上になり、様々な業界に広がっています。8
募集人数の推移9※1:2022年4Qと2021年4Qの比較コロナ禍においても、過去に例を見ない程の加速的高成長を実現。
ここまで会社紹介テンプレです!
既存事業はまだまだ伸びるしかし、プロダクトの価値提案の幅は事業拡大のスピードに追いつけていないスポットワークは新しい働き方従って、企業様や働き手であるワーカーにとっても安心して働き続けるための環境整備がまだまだ必要魅力品質ではなく、当たり前品質の向上がまだまだ重たい課題人手不足はあらゆるところで発生している一方で、タイミーが導入されている産業・職種はまだまだ限定的各産業・職種ごとでスポットワークの導入の足かせになっている課題さえクリアすれば、既存事業はまだまだ伸びていく競合環境は厳しさを増してきているタイミーのビジネスモデルを踏襲した競合サービス・プロダクトが台頭してきており、ファーストペンギンとして MOAT を築き、他を寄せ付けない状態にすることが急務
将来を見越した先行投資さらなる事業成長のために必要なピースを想像して、先手を打っていく必要がある(想定) 強いスイッチングコストモートを築くためのパートナーシップ例えば顧客企業の業務プロセスに深く入り込み、手放せない連携をパートナーシップを用いて実現していく等の試みを検討していく可能性がある(想定) 事業の多角化のためのマルチプロダクト戦略やグローバル展開プロダクト開発だけでなく、社内の業務プロセスや組織をマルチプロダクトやグローバル展開に合わせてスケールアウトしていく必要がある開発生産性を高く保った上で、再現性のある組織拡大とプロセスのカタの構築が急務いずれも具体化したプランではないものの、近未来に起こりうる事として捉えて、開発生産性を高く維持するために、より良いケイパビリティを身に着け、プロセスをカタ化し、組織を拡大していく必要がある
現在の開発組織と開発生産性への取り組みタイミーの開発組織の文化やコンセプトと、開発生産性向上のために取り組んでいること
組織と開発生産性に関するタイミーのバイブルタイミーの組織文化や組織設計の根底を理解するために必読の本
学習する組織に根ざしたプロダクトマネジメント個人的に物凄くおすすめのプロダクトマネジメント本です
タイミーが提供する顧客価値
17サービス開発組織の全体像
チームの実例 (マッチング領域)領域の中に含まれるサブテーマごとにスクラムチームが内包されているSpotify におけるトライヴとスクアドの関係に限りなく近いWorking Relation Marketing Enhance New TeamPO(PdM) SM BackendAndroid iOSiOS Analyst DesingerPO(PMM) SM BackendAndroid iOS iOSDesinger(兼務)PO(兼務)SM(兼務)BackendBackend Frontend FrontendDesinger(兼務)AndroidBackend
チームトポロジーによるチームパターン現在のタイミーの価値提案を目的とするチームパターンマッチング領域(Stream Aligned Team)開発プラットフォーム領域(Platform Team)スポットワークシステム領域(Stream Aligned Team)SAチームのストリームユーザージャーニーに基づくチームと考えられるSAチーム間のインタラクションお互いに Backend API を提供しあうX-as-a-Service 形式PFチームのObjectivesAvailability/DeployFrequency/Security/Cost Reduction/Toilの撲滅SAチームとのインタラクションSAチームの認知負荷を巻き取り内部サービスとして構築しX-as-a-Service として振る舞えるほどまでは成熟していないため、コラボレーション型になっている変更フロー
SAチームのフロー効率を高める (1/3)Product Manager の多くにエンジニアリングバックボーンを推奨している理由PBI は顧客への価値提案以外のタスクが存在する顧客への価値提案以外に、例えば技術負債の解消や、品質管理、セキュリティ対応など直接的に顧客に対する価値提案につながらない PBI が存在し、これらは横断して開発優先度を決める必要がある。いずれの PBI もビジネスインパクトや実現難易度、確度の判断にエンジニアリングの知識が求められる摂理面の検討や逆コンウェイの法則に基づく適切なソフトウェアアーキテクトスケール可能なソフトウェアとしていくために、最適な摂理面をプロダクトマネジメントの観点(顧客への価値提案の KPI がどのユーザージャーニーの重要 KPI に紐づくか等)を元にして、ビジネスドメインに基づくソフトウェアの分割の方向性を示すには、ソフトウェアアーキテクトの知識があると良い
SAチームのフロー効率を高める (2/3)DevOps Capabilities の向上と、ストリームアラインドチームの Best Practice の実践開発・プロセスのケイパビリティトランクベースの開発を行い、テストカバレッジを高め、CIの実行時間が 10min を超えないようにするよう努め、デプロイフローを継続的に改善するなど、CI/CD の信頼性を高め、リスクの低いプロセスになるようにしています結果的に、カバレッジは95%前後を維持しており、5times/day のデプロイ頻度を実現していますまたモニタリングやオブザーバビリティをSAチームの開発者自身で行う事でビジネスの変化をセンシングし、障害の徴候を捉え迅速に検知・復旧を行えるようにしていますまたチームをストリームアラインドチームとする事で、チームの検証や変更承認の効率化を実現していますカルチャーのケイパビリティ学習文化を促すために TDE10 (Timee Dev Enable) を策定。様々な形で学習するメンバーを支援しています
10の新制度を運用開始[ TDE10(Timee Dev Enable)]プロダクト部は、新しいプロダクトやサービスを創造するために必要な、成長支援制度を運用しメンバーのクリエイティブを支えることを目指しています。「DevEnable室」と「10の新制度」をご紹介します。22詳しく見る
SAチームのフロー効率を高める (3/3)スクラムガイドの考え方をベースに、自律的なチーム運営を行うために、PM(PO)と専任SM、弱めのEMの三位一体でスクラムチームの運営やピープルマネジメントを分担する専任のスクラムマスター(SM)を配置する専任のスクラムマスターを置くことで、POであるPMが強いプロダクトゴールの策定や PBI のメンテナンスに集中し、ふりかえりとリーンスタートアップによるダブルループ学習に集中出来るようにしています弱めの EM が PM とニコイチになり、戦略から個人OKRへの落とし込み、組織の足並みを揃え、戦術遂行に必要な人材アサインをバックアップEMが弱めのEMとしてPMと対になり、サーバント型のピープルマネジメントに集中することで、PMが示すプロダクトゴールを深く理解し、開発者の個人OKR策定に落とし込む事で、組織としての方向性がプロダクトゴールの実現に向けて前を向けるようにしています出典: estherderby.com
Four Keys / DevOps Capabilities の重要性DevOps Capabilities 向上のための取り組みに対する定量的な評価と、組織的なパフォーマンスの向上というアウトカムの実現のために必要な指標全てはビジネスゴールとプロダクトビジョンの達成のため技術やプロセス、文化などのケイパビリティを向上するのは、ビジネスゴールやプロダクトビジョンの達成のために実施していますその中間指標となる Four Keys を健全な状態に保ち、向上させて行くことは、最終的な目標であるビジネスゴールやプロダクトビジョンの達成のために欠かせないものと考えています出典: dora.dev
開発生産性と組織に関わる今の課題組織のケイパビリティを高め、開発生産性を維持・向上させながら、組織を大きくしていく際の課題
適切な摂理面の探索が出来ていない (1/2)ユーザーペルソナやバリューチェーンでソリューションが綺麗に分かれないため、自然な摂理面が見いだせていないバリューチェーンユーザーペルソナ
適切な摂理面が探索できていない (2/2)ユーザージャーニーをストリームとして扱っていることの難しさマッチングプラットフォームゆえの両サイドのユーザーペルソナソリューションの多くがワーカー/事業者(法人・店舗など)の双方に影響を及ぼすものが多い。(求人出稿など)従ってユーザーペルソナを摂理面にしづらいバリューチェーン上の川上にあるプロセスが川下のプロセスに密接に関わる勤怠管理が給与計算のベースとなるなど、プロセス間の依存関係が強く存在するため、バリューチェーン上のプロセスというビジネスドメインで摂理面を設定する事が難しい結果としてモノリスとしている摂理面をうまく探索出来ていないため、結果として意図的に Ruby on Rails のモノリスのままにしている
どこまでをプラットフォームとするかSAチームの自律性と適切な認知負荷をプラットフォームの内部サービスにする境界線SAチームによる自律的なDevOps結果として、Build/Test/Deploy/OperateといったSoftware Delivery LifeCycle(SDLC)を SA チームが自律的に行うことで、プラットフォームチームの役務が Infrastracture (Cloud Infra や Network) を中心とした内部サービスにとどまりがちになる結果的に SA チームが SDLC に必要なケイパビリティを強く持たなくてはならないセキュリティや品質管理の立ち位置セキュリティのシフトレフトや脆弱性診断、CI/CDでのDevSecOpsの実現なや、品質管理におけるSET Infra の構築や、シナリオテストの計画や実装、ソフトウェア品質の評価など、高度な専門知識が求められる領域に対して、チームトポロジーにおけるパターンでどう表現するかStream-aligned teamPlatform teamBuild Test Deploy OperateInfrastractureCollaborationXaaSFacilitating
ラディカル・プロダクト・シンキング「リーンとアジャイルは目的地を示さない」問題に、チームトポロジーでどう立ち向かうか小さな自律したチームのプロダクトゴールは Fore Casting になりがちリーンとアジャイルという短い期間のイテレーティブな探索と実践は、目前の課題に向きがちで小さなプロダクトゴールを追い求め、本当に向かいたいプロダクトビジョンの実現を真っ直ぐに指し示さないNow FutureProductVisionBack CastingForeCasting
課題に対して取り組もうとしていることこれからタイミーが向き合っていく課題に対する打ち手として VPoT として考えていること
摂理面の探索学びながら適切な摂理面のコンセンサスを得ていく初手としてのモジュラモノリス化適切な摂理面の探索が難しいことは変わらないので、まずはバリューチェーンのプロセスごとにモジュラモノリス化を実施していく解くべきオポチュニティ(ペインやニーズ)の探索、開発を通じてモジュラモノリス化したモジュールのどこが摂理面として適切化を学習していく規制やリスク、技術といった摂理面で切り離すお金に関わる部分や個人情報や機微情報、API Economy 実現のための IdentityPlatform (OAuth/OIDC)など、分けるべくして分ける摂理面から切り離していく特定の SA チームから XaaS されるシステムは Complicated Subsystem として、あらゆる SA チームから XaaS されるシステムは Platform として扱っていくStream-aligned teamComplicatedSubsystemteamMonolishModulerMonolishMicroServicesSecureMicroServicesIdentityPlatformXaaSPlatform team
PlatformとEnablingを使い分ける (1/2)SAチームとPlatformチームでコラボレーションを深めながら、優先度の高い認知負荷を見出し、内部サービス化するかイネイブリングするかを見極めていくSDLC のあらゆるプロセスで仕分けるSAチームとPlatformチームがコラボレーションを深める中で、特定のSAチームが継続的に開発・運用すべき顧客に対する価値提案の根幹に関わる部分は Enabling する形で支援し、あらゆるSAチームの認知負荷は内部サービス化するようなコンセンサスを積み上げていくまたコラボレーションの過程で必要になった専門知識は採用などでカバーしていくStream-aligned teamPlatform teamBuild Test Deploy OperateInfrastractureXaaSFacilitatingEnabling team
Platform と Enabling を使い分ける (2/2)Security と品質管理のあり方を考えるSecurity のあり方脆弱性診断はレッドチームとして検証し、DevSecOps については CI/CD プロセスに組み込むなどを行い、Platform チームとして振る舞う。一方でシフトレフトや、脆弱性対応については Enabling チームとして SA チームを支援していくスタイルを取る。品質管理のあり方品質分析(観点カバレッジやDDPモニタリングなど)の実施や、障害分析、SET Infra の提供、SET ライブラリの開発などは Platform チームとして振る舞い、SET Infra やライブラリの利用浸透、品質改善の推進は Enablingチームとして SA チームを支援していくスタイルを取る。
ラディカルでスケールする組織設計 (1/2)目的や文化を明確にして Spotify モデルの組織設計を参考にしていくSAチームをトライブとスクアッドに分ける現在のチームの考え方もトライブとスクアッドのような構成になっているトライブとスクアッドの関係性を時間軸(中長期/短期)と粒度(俯瞰/具体)で分けて、トライブがトライブ内のオポチュニティの探索とソリューションの方向性やオプションの検討を行うなどしてプロダクト戦略の枠を決めて、各スクアッドに戦略の展開を行っていく。出典: blog.crisp.se
Tribeラディカルでスケールする組織設計 (2/2)TribeとSquadの関係性にフレームを導入して、ダブルループ学習を行う自律的で柔軟性のあるラディカル・プロダクト・シンキングを実現するTribe/Squad間でのダブルループ学習を行うSquad はこれまで通りリーンとアジャイルな開発を志向し、Tribe では課題の探索・検証やリフレーミングや適応課題、クリエイティブ・テンションなどを用いた改革を Squad にフィードバックする。Tribe では粒度の大きな課題の蓄積・探索を中長期スパンのイテレーションで実施し、優先度を付けてプロダクトイニシアチブを策定してソリューションに制約としての方向性を示す。経営との接続経営の意思として事業戦略としての戦略的意図が存在する形にした上で、戦略的意図に沿った解くべき課題の選定とプロダクトイニシアチブの策定、戦略的ロードマップの作成を持ってプロダクト戦略とし、これをすべての Tribe/Squad に浸透させて推進していく。Squad結果行動Squad結果行動前提・枠組み・メンタルモデル改善 改善改革改革ProblemProblemProblemProblemプロダクトイニシアチブSolutionSolutionSolutionSolution
まとめタイミーにおける「組織をスケールさせるための Four Keys とチームトポロジー」に対する取り組み急成長するスポットワーク業界まだまだ社会課題としての人材不足や働き方の多様性をなめらかにしていくためのオポチュニティは膨大にあり、事業としてもさらなる成長が期待できますタイミーが解決しなければならない課題は山積しています開発生産性に対する取り組みチームトポロジーや Lean と DevOps の科学などの背景知識を元に、良いプラクティスを取り入れ、技術・プロセス・文化のケイパビリティを向上させるために、オペレーションを設計し実践しようとしていますこれからの課題チームトポロジーを軸にした組織設計と急成長していくなかで組織をスケールさせるための課題に対する取り組みを、継続的に取り組んでいきます
(Ad) タイミーでは様々な職種で積極採用中です一緒に開発生産性を高めて、ラディカルにプロダクト開発をしていく仲間を募集中ですエントランスブック :Timee Product Org Entrance Bookプロダクト社員やカルチャー紹介 :Product noteエンジニア向け成長支援制度 :TDE10エンジニア技術ブログ :Timee Product Team Blogオンラインイベントのアーカイブ :Youtube アーカイブス募集中の職種一覧 :採用情報
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