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株式会社島津製作所_研究開発(集団協業と知的生産)の現場を支える、OSS知識基盤システムの導入

 株式会社島津製作所_研究開発(集団協業と知的生産)の現場を支える、OSS知識基盤システムの導入

株式会社島津製作所は研究開発型の精密機器製造事業者として150年の歴史を重ねています。
研究開発型製造業の設計・開発・保守現場では、大量の情報と知識を多人数で長期間共有し、適時に取り出す必要があります。株式会社島津製作所 分析計測事業部では、この課題に対処するため、2010年より現場主導でOSS知識基盤を導入しました。
この基盤は、①課題追跡管理システム、②改版・構成管理システム、③全文検索システムを中心に構成され、国内・海外の関連部門を含む3,500名が日常的に活用しています。
足かけ14年の取り組みを通じて、設計開発情報の適切な管理と共有が可能となり、研究開発プロセスの効率化と品質向上の基礎を整えることができました。現場からは「無くてはならない仕組み」と評価され、研究開発型の製造業における革新的な情報共有・知識管理ソリューションとして位置付けられています。
分析計測事業部への導入の完遂を機に、これまでの取り組みの特徴点、結果等についてご紹介いたします。

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  1. 自己紹介 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 -

    27 Redmine.Tokyo - 2024 11 9 3 赤羽根 州晴 分析計測事業部 技術部 技術経歴 ・Z80, アセンブリ ・Linux, C++, Unix Multi Thread, Java, Ruby ・DBMS(MySQL, PostgreSQL, Oracle, DB2) ・性能チューニング ・仮想化技術 業務経歴 ・ソフトウェアエンジニア 移動体通信 全国網監視、各種業務システム ・内部統制、IT監査 ・ソフトウェア基盤技術標準化 ・研究開発知識基盤導入 (現在) 社外活動 ・ソフトウェア品質シンポジウム ~ 2015 ・派生開発推進協議会 運営委委員 ~2017 ・Redmine ユーザーコミュニティ ~現在 公表文献 ・2014 SQiP経験論文(査読付) ・2015 Redmine実践ガイド(寄稿著者) ・2016 (独)情報処理推進機構 事例論文(査読付)
  2. 自己紹介 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 -

    27 Redmine.Tokyo - 2024 11 9 4 独立行政法人情報処理推 進機構 ソフトウェア高 信頼化センター 「先進的な設計・検証技術 の適用事例報告書 2016年 度版」に採録公開 ~IoT時代を見据えたソフ トウェア開発の信頼性確保 を実現したベストプラク ティスの事例を紹介~
  3. お話しすること 5 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    1. 研究開発型の製造事業において知識基盤システムの導入・要求仕様・経緯の実際 2. OSSのみで構成された知識基盤システムを導入し、定着するまでの要点 3. 研究開発を伴う事業者が積極的にOSSを選ぶ理由。なぜRedmineなのか?
  4. 目次 6 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    第1部 事例背景 第2部 現場課題 第3部 解決手法 第4部 実践経過 第5部 結果 第6部 まとめ(振返りと展望)
  5. 事例背景 - 株式会社 島津製作所 7 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回

    Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 2024年3月31日現在 創 業| 設 立| 資 本 金| 従 業 員 数 | 5,119億円 (2024年3月期) グループ売上高| 社 是|科学技術で社会に貢献する 経営理念|「人と地球の健康」への願いを実現する 明治8(1875)年 大正6(1917)年 266億円 14,219 名 (連結)
  6. 事例背景 - 株式会社 島津製作所 8 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回

    Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 2024年3月31日現在 創 業| 設 立| 資 本 金| 従 業 員 数 | 5,119億円 (2024年3月期) グループ売上高| 社 是|科学技術で社会に貢献する 経営理念|「人と地球の健康」への願いを実現する 明治8(1875)年 大正6(1917)年 266億円 14,219 名 (連結) 京都の研究開発型 製造事業 150年 グループ売上高 5,119億円
  7. 事業領域 事例背景 - 株式会社 島津製作所 9 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 -

    第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 分析計測機器 医用機器 産業機器 航空機器
  8. 研究拠点(最新) 事例背景 - 株式会社 島津製作所 10 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 -

    第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 島津 東京イノベーションプラザ 基盤技術研究所 Shimadzuみらい共創ラボ 2023年1月 開所(神奈川県 川崎市 殿町) 2022年8月 開所(京都府 相楽郡 精華町)
  9. 研究拠点(最新) 事例背景 - 株式会社 島津製作所 11 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 -

    第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 島津 欧州研究所 田中耕一記念 質量分析研究所 ヘルスケアR&Dセンター 本社 中国開発センター
  10. 研究開発の成果 事例背景 - 株式会社 島津製作所 12 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 -

    第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 2002年 ノーベル化学賞 田中耕一 フェロー 島津製作所 田中耕一記念 質量分析研究所  「血液一滴で病気を早期発見」  「アルツハイマー病の原因物質を検出」 卓上型MALDI 飛行時間型質量分析計 AXIMA 質量分析計 MALDI-TOF MS MALDI-7090 MALDIタンデムTOF
  11. IR情報(公開情報) 事例背景 - 株式会社 島津製作所 13 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 -

    第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 ・売上高 4期連続更新、過去最高の 5,119億円 ・分析計測事業の 売上が 66%
  12. IR情報(公開情報) 事例背景 - 株式会社 島津製作所 14 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 -

    第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 ・分析計測事業の売上は海外 62% ・島津製作所 研究開発費 215億円
  13. 事例背景 – 島津製作所グローバル事業ネットワーク 15 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 SSI SSDC SPI(SAE) SMS SUM SST STI Kyoto, Japan SSL, SSM SAP SPM SMA SBL Kratos, SRL SEG SLA SKV, SSK SOPS/SOPM SHK/SSL(SHE, SSC, SCQ, SNJ, SXA, SSZ, SWH) BSME, TSH, SAT, SGL, SRLS, NSC SML SPC SAIP SME SMEA SSA SVM SUK, SFP, SBN, SIM, SSG, SHA, SHR (SEG : Griesheim, Berlin,Langenfeld, Hannover, Freising, Jena) ・国内と国外を横断する研究と事業 ・各研究所は現地の大学と共同研究
  14. 16 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 事例背景

    - ITS導入(Redmine+VCS+FTS) 島津ビジネスシステムズ 導入  業務システム 100種  内部統制、IT全般統制  現場が助かる仕組みとして 定着  高水準トレーサビリティ  Redmine 2インスタンス 利用者1,500名(のべ) 2009 ~ 現在 2014 ~ 現在 島津製作所 分析計測事業部 導入  精密機器製造 研究設計開発  集団協業 知的生産  共有型 「研究開発ノート」  PLM; 製品ライフサイクル  国内, 国外との問合せを追跡  Redmine 2インスタンス 利用者3,500名(のべ)
  15. 17 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 事例背景

    - ITS導入(Redmine+VCS+FTS) 島津ビジネスシステムズ 導入  業務システム 100種  内部統制、IT全般統制  現場が助かる仕組みとして 定着  高水準トレーサビリティ  Redmine 2インスタンス 利用者1,500名(のべ) 2009 ~ 現在 2014 ~ 現在 島津製作所 分析計測事業部 導入  精密機器製造 研究設計開発  集団協業 知的生産  共有型 「研究開発ノート」  PLM; 製品ライフサイクル  国内, 国外との問合せを追跡  Redmine 2インスタンス 利用者3,500名(のべ) 利用者 5, 000余名(のべ)
  16. 事例要約 18 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    ITS(Redmine, VCS, FTS) 1. 研究開発型の製造業の製品設計・開発・生産・サポートの現場では、大量の情報と知識を多人数で長期間 にわたり共有し、必要な情報を適時に取り出す必要があります。しかし、その実現と維持は容易ではあり ません。 2. 情報と知識の忘却、変容、誤認、抜け漏れが生じて効率と品質上の改善余地を残したり、開発計画を遅延 させる一因にもなりえます。集団協業による知的生産を支援する仕組みの導入によって人間の能力を補 完・支援し、開発者が「思考と創発」に専念できる情報環境を整えなければなりません。 3. この課題に対処するため、株式会社島津製作所 分析計測事業部では、①課題追跡管理システム、②改 版・構成管理システム、③全文検索システムを中心に構成されたOSS知識基盤を2010年より現場主導で 導入しました。 4. 国内・海外の関連部門3,500名が日常的にOSS知識基盤を利用する状況に至り、情報の適切な管理と共有 が可能となって、研究開発プロセスの効率化と品質向上の基礎を整える事ができました。 現場から「ITSは無くてはならない仕組みのひとつ」との呼び声もあり、研究開発を伴う製造業において、 情報共有と知識管理の革新的なソリューションの1つとして現場に定着しています。 5. 事業部への導入の完遂を機に、これまでの取り組み、特徴点、結果についてOSSコミュニティーにご紹介 いたします。
  17. 目次 19 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    第1部 事例背景 第2部 現場課題 第3部 解決手法 第4部 実践経過 第5部 結果 第6部 まとめ(振返りと展望)
  18. 現場課題 - 運営状況 20 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 関係者 研究・開発 営業・製造 サポート・他 3,500人 課題 案件 250,000 問合せ 30,000 調査日 2024/10 製品ライフサイクル 5 ~ 30年超 研究・設計開発の知識と情報も、長期的に保存・利用・継承 製品 研究開発 製造販売 改版(コミット) 30万回
  19. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 21 現場課題 – 研究開発(集団協業と知的生産) 製造業の知的生産 全ライフサイクル 研究部門 企画部門 開発部門 0 1 10 Mass Production 各部門 (製造・営業・販売・サービス) 分散・並列・統廃合・長期・非連続変化 【行い】無から有を生み出し、世にまだなきものを在らしめて、有を価値たらしめ、価値を複写して普遍と成す 【有り様】知識と情報が激しく行き交い、長期/短期の変化が非連続的に発生する現実下にある 【問い】いかなる仕組みに依れば、人が「思考と創発」に専念できる情報環境を整えて、 集団協業による知的生産の効率を最大化できるのか?
  20. 現場課題 – 製品開発現場の業務フローモデル 22 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 課題 3 課題・要望 問合せ受付 調査と確認 状況報告 方針決定 対処と確認 結果報告 時 間 課題 2 変更 問合せ受付 調査と確認 状況報告 方針決定 対処と確認 結果報告 時 間 課題 1 問合せ 受付 調査と確認 状況報告 方針決定 対処と確認 結果報告 時 間 複数 ユーザー 複数 ユーザー 複数 ユーザー 複数 ユーザー 複数 ユーザー 複数 担当者 顧客C 顧客B 顧客A 装置X 装置Y 装置Z 関係者増加 / 案件多様化 / 装置・製品増加・分散 効率化による開発業務への専念度 向上
  21. 現場課題 – 第三者検証要求 23 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 要 件 結 果 •記録と整合 •精査と承認 •追跡可能性 •目的合理性 •品質管理 •セキュリティー 装置システム(ハードウェア, ソフトウェア)の開発記録は、 第三者検証(監査, 査察, 認証)の要求を満足させなければならない
  22. 現場課題 - 現象と課題の要約(8種) 24 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 # 現象 課題 1 人の記憶が頼り「生き字引き」 記憶は不確かで、容易に消滅 2 開発作業単位ごとの管理で情報が「お蔵入り」 再利用が難しく作業コストの回収が困難 3 詳細な経緯や背景は担当者のメールとTeamsに埋没 検索できず、異動や離職で消滅 4 製品構成や、組織の壁が情報流通を阻害 情報の共有不足で品質改善案件が増加 5 外部委託契約の長期化。担当者間の引継ぎ不足 実装・変更の経緯が不明 後任の保守効率が低下 6 記録の分散により、情報の横断検索が困難 仕様変更のインパクト分析が困難 過去経緯の不明が品質改善案件の温床 7 Excelなどの汎用媒体だけでは業務を表現できない 情報の欠落、業務効率の低下 8 製品を取り巻く規制の強化によって 統制・監査・査察の対応負担の増大が予想される 業務効率の低下、コストの上昇 【他社事例に学ぶ】 研究開発の現場において知識と情報を扱う際に生じる課題を参考にした
  23. 現場課題 - 現象と課題の要約(8種) 25 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 # 現象 課題 1 人の記憶が頼り「生き字引き」 記憶は不確かで、容易に消滅 2 開発作業単位ごとの管理で情報が「お蔵入り」 再利用が難しく作業コストの回収が困難 3 詳細な経緯や背景は担当者のメールとTeamsに埋没 検索できず、異動や離職で消滅 4 製品構成や、組織の壁が情報流通を阻害 情報の共有不足で品質改善案件が増加 5 外部委託契約の長期化。担当者間の引継ぎ不足 実装・変更の経緯が不明 後任の保守効率が低下 6 記録の分散により、情報の横断検索が困難 仕様変更のインパクト分析が困難 過去経緯の不明が品質改善案件の温床 7 Excelなどの汎用媒体だけでは業務を表現できない 情報の欠落、業務効率の低下 8 製品を取り巻く規制の強化によって 統制・監査・査察の対応負担の増大が予想される 業務効率の低下、コストの上昇 【他社事例に学ぶ】 研究開発の現場において知識と情報を扱う際に生じる課題を参考にした 人が集まり、協力して知的生産を長期的に行う場において、 必ず発生する、一般的な諸問題
  24. 目次 26 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    第1部 事例背景 第2部 現場課題 第3部 解決手法 第4部 実践経過 第5部 結果 第6部 まとめ(振返りと展望)
  25. 解決手法 – 要約 27 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 1. 原点に立ち戻る 1980年代のCERN(セルン - 欧州原子核研究機構)において産み出された、 組織的な知的生産活動を効率化するための仕組み「World Wide Web」の ブレークスルーに着目 2. 着目点 a. 恒久的 情報座標系 b. 恒久的 情報参照系 c. 網羅的 情報検索系 d. PLM 情報構造系 (製品ライフサイクル管理) 3. OSS知識基盤として現場主導で導入 研究開発情報の適切な管理と共有、研究開発プロセスの効率化と品質向上の 基礎を整えて、事業活動の効率を向上させる
  26. 解決手法 – インターネット以前 28 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 表現と伝達手段の変遷と共に、人類の集団活動、特に知的生産の速度と深化が加速してきた歴史 → 壁画、文字、言語、パピルス、竹簡、書籍、活版印刷、論文システム、電気通信、符号化電送(FAX) 知的生産の効率を最大化する 情報 Just in Time を実現 「必要な時に、必要な情報が、必要な人に、必要な分だけ」 届く仕組みを整備
  27. 解決手法 – 欧州原子核研究機構 (CERN) 29 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回

    Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 Information Management: A Proposal of World Wide Web 1989 Dr. Tim Berners-Lee, CERN March 1989, May 1990 https://www.w3.org/History/1989/proposal.html 概要 This proposal concerns the management of general information about accelerators and experiments at CERN(セルン - 欧州原子核研究機構). It discusses the problems of loss of information about complex evolving systems and derives a solution based on a distributed hypertext system. 問い Many of the discussions of the future at CERN and the LHC era, end with the question: "Yes, but how will we ever keep track of such a large project?" This proposal provides an answer to such questions. 提案 Use non-linear text systems known as "hypertext", a linked information systems. 経緯 「ティム・バーナーズ=リー博士は、1980年6月にスイス・ジュネーヴの欧州原子核研究機構 (CERN)にソフトウェア技術のコンサルタントとして6ヶ月間在籍した。数千人が関与する研究活動 成果は、製本されて関連研究者に提供されていたが、効率が悪く研究活動のボトルネックの一つと して改善が望まれていた。 バーナーズ=リー博士は数千人に上る研究者や参加者に効率よく情報を行き渡らせるためのシス テム開発を依頼され、World-Wide-Webの原型を作り上げ、URL, HTTP, HTMLを設計, 実装した。
  28. 解決手法 – Webの誕生 30 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 Information Management: A Proposal of World Wide Web 1989 Dr. Tim Berners-Lee, CERN March 1989, May 1990 https://www.w3.org/History/1989/proposal.html 概要 This proposal concerns the management of general information about accelerators and experiments at CERN(セルン - 欧州原子核研究機構). It discusses the problems of loss of information about complex evolving systems and derives a solution based on a distributed hypertext system. 問い Many of the discussions of the future at CERN and the LHC era, end with the question: "Yes, but how will we ever keep track of such a large project?" This proposal provides an answer to such questions. 提案 Use non-linear text systems known as "hypertext", a linked information systems. 経緯 「ティム・バーナーズ=リー博士は、1980年6月にスイス・ジュネーヴの欧州原子核研究機構 (CERN)にソフトウェア技術のコンサルタントとして6ヶ月間在籍した。数千人が関与する研究活動 成果は、製本されて関連研究者に提供されていたが、効率が悪く研究活動のボトルネックの一つと して改善が望まれていた。 バーナーズ=リー博士は数千人に上る研究者や参加者に効率よく情報を行き渡らせるためのシス テム開発を依頼され、World-Wide-Webの原型を作り上げ、URL, HTTP, HTMLを設計, 実装した。
  29. 解決手法 – インターネット後 31 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 表現と伝達手段の変遷と共に、人類の集団活動、特に知的生産の速度と深化が加速してきた歴史 → 電子通信、符号化電子通信、電子全文検索 ・インターネットシステムの原型 → 分散文書システム → 情報座標の定位 → 情報間参照 → 網状連鎖 → 追跡参照能力 → 関連解析(高精度検索)→ 意味解析(情報統計・学習・推論) ・インターネットシステムの原型の良い所だけを組織内に導入し、工夫を加えることで、 研究開発の現場の課題に部分的な解決をもたらすのが ITS + VCS + FTS 知的生産の効率を最大化する 情報 Just in Time を実現 「必要な時に、必要な情報が、必要な人に、必要な分だけ」 届く仕組みを整備
  30. 解決手法 – インターネット後 32 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 表現と伝達手段の変遷と共に、人類の集団活動、特に知的生産の速度と深化が加速してきた歴史 → 電子通信、符号化電子通信、電子全文検索 ・インターネットシステムの原型 → 分散文書システム → 情報座標の定位 → 情報間参照 → 網状連鎖 → 追跡参照能力 → 関連解析(高精度検索)→ 意味解析(情報統計・学習・推論) ・インターネットシステムの原型の良い所だけを組織内に導入し、工夫を加えることで、 研究開発の現場の課題に部分的な解決をもたらすのが ITS + VCS + FTS 知的生産の効率を最大化する 情報 Just in Time を実現 「必要な時に、必要な情報が、必要な人に、必要な分だけ」 届く仕組みを整備 組織内情報流通の導線再設計による、集団協業と知的生産効率の最適化
  31. 解決手法 – 問題をいかに解くか 33 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 知的生産の効率を最大化する 情報 Just in Time を実現 「必要な時に、必要な情報が、必要な人に、必要な分だけ」 届く仕組みを整備 【仮説】 1. 人は新たな情報媒体の利用体験を通じて考え方と行動を改 める 2. 「検索して見つからないもの = 存在しないもの」 3. 特定領域の自然言語と機械言語のデジタルデータ。 精度、純度、十分な量と質が揃ったデータは「金の卵」 4. 高精度の電子全文検索や、機械学習・AIによる知的生産の 効率化に取り組む組織と、取り組まない組織の伸びしろの 差は大きい Deep Learning Machine Learning Artificial Intelligence 組織内情報流通の導線再設計による、集団協業と知的生産効率の最適化
  32. 解決手法 – 仮説(3種) 34 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 # 名 称 説 明 1 情報記録の座標定位 による関係性の維持 研究開発の現場の各工程で生じる情報群(関係者、決定経緯、変更履歴、中間資料、 最終成果物)の紛失と関係性の喪失が現場運営の効率化を阻んでいると仮定するな らば、情報群が適切に記録(座標定位)されて、情報相互の参照関係が維持される ことで研究開発現場の効率化が同時に得られる。 2 網羅性・完全性・追跡 可能性を専用の仕組 みで実現 情報群を適切に記録・構成し、網羅性・完全性・追跡可能性を実現する専用の仕組みを 導入することで、研究開発の現場の効率性を追求できるよう情報環境を整える。も し、情報入力の手間や管理負荷を上回る現場利益が得られるならば、専用の仕組み は定着して全員が利用し続けるはずだ。結果として研究開発に必要な知識管理の水 準を満たし、効率・品質の向上にも寄与できる。 3 関係性を写し取る 「知識網の基盤」 歴代の装置開発担当者の記憶に残る「関連知識」は、時間と共に消え去ってしまう。 そこで専用の仕組みを使って「関連知識」を記録し、それらの参照関係を相互に結 び付けて網状に残す。 もしも、研究開発案件を横断する検索機能と、欲しい情報が数クリックで手に入る 「追跡機能を持つ“知識網の基盤”」が実現するならば、開発・運用現場に生じる無駄 や混乱を鎮めて、知識基盤として研究開発の現場を支える基礎となる。
  33. 解決手法 – 要求分析と適合評価 35 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 # 情報空間の要求 仕様類例 インターネット OSS知識基盤 1 恒久的 情報座標系 トップレベルドメイン FQDN、論文誌 変更可能、追跡困難 インターネットドメインシステム(FQDN)をベースに社 内の情報空間系を決定。外部依存を解消して恒久化を実現 ( 例示: https://its.ana.smz.zone/ ) 2 恒久的 情報参照系 ハイパーリンク 論文参照 座標変更で切断 インターネットの分散情報リンクシステム(HyperLink) をベースとして、恒久自動転送サブシステムの併用でリン ク切れを軽減し、外部依存を解消して恒久化を実現 3 網羅的 情報検索系 高速、高精度全文検索 外部に依存 課題追跡管理システムと、高速・高精度の全文検索システ ムを密結合して網羅性を実現し、外部依存も解消。検索精 度は情報構造に従った範囲指定検索(WYSIWYG)を併用す ることで、実用水準の検索精度を確保できる 4 PLM 情報構造系 製品、組織、組織横断 汎用構造 Redmineの白眉「汎用柔軟性」によって自社PLMに指向 した構造を全面的に採用し、汎用構造や外部依存を解消 上記1~4を全てOSSで構成することにより、要求の多くを満たしつつ、長期維持を実現できる
  34. 解決手法 – 要求分析と適合評価 36 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 # 情報空間の要求 仕様類例 インターネット 商用知識基盤 OSS知識基盤 1 恒久的 情報座標系 トップレベルドメイン FQDN、論文誌 変更可能、追跡困難 変更可能、追跡困難 外部に依存 長期維持可能 2 恒久的 情報参照系 ハイパーリンク 論文参照 座標変更で切断 座標変更で切断 外部に依存 長期維持可能 3 網羅的 情報検索系 高速、高精度全文検索 外部に依存 外部に依存 長期維持可能 4 PLM 情報構造系 製品、組織、組織横断 汎用構造 知識基盤向け汎用構造 自社PLMに指向可能 【適合評価要約】 1. 情報座標系 インターネットドメインシステム(FQDN)をベースに社内の情報空間系を決定。外部依存を解消して恒久化を実現 ( 例示: https://its.ana.smz.zone/ ) 2. 情報参照系 インターネットの分散情報リンクシステム(ハイパーリンク)をベースとして、恒久自動転送サブシステムの併用でリンク切れを軽 減し、外部依存を解消して恒久化を実現 3. 情報検索系 課題追跡管理システムと、高速・高精度の全文検索システムを密結合して実現し、外部依存も解消。検索精度は情報構造に従った範 囲指定検索(WYSIWYG)を併用することで、実用水準の検索精度を確保できる。 4. 情報構造系 自社PLMに指向した構造を全面的に採用し、汎用構造や外部依存を解消。 5. 恒久化 上記1~4を全てOSSで構成することにより、要求の多くを満たしつつ長期維持を実現できる。
  35. 全文検索システム 版数管理システム SVN 37 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 統合管理 全面導入 Issue Tracking System 解決手法 – OSS知識基盤 3本の柱
  36. 38 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 解決手法

    – なぜOSS? # 名 称 OSS知識基盤 対 比 説 明 1 初期リードタイム △ クラウド/商用パッケージに劣る 2 総費用 ◯ 電子計算量(CPU/GPU/TPU)、データ量を加味し互角 3 秘匿性(コスト) ◯ 自社社内で完結、自社VPN 4 適用法規 国内法 クラウドは各ベンダー国(例: 米 CLOUD ACT法) 5 係争地 国内 〃 6 有事耐性 ◯ 物理的な脆弱性・冗長性評価(例:海底ケーブル) 7 実行環境 復帰耐性 ◯ データ、コード、実行環境を社内に確保 8 領域指向(PLM) ◯ 一般化された汎用指向性では不足 9 機能性 △ クラウド/商用パッケージに劣る 10 セキュリティー対応 ◯ 自社社内で完結、自社VPN 11 長期運用可能性 ◯ データ、コード、実行環境を社内に確保 本テーマの条件において比較
  37. 解決手法 – ITS導入施策 変遷と対比 39 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回

    Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 比較 5軸 2010~2014年 2014年 以降 1 着眼点 管理主導 現場主導、管理協調 2 アプローチ ・工数管理の達成 ・多くの管理機能を駆使 ・全員利用は必達 ・現場利益を最優先 ・管理水準の向上は(結果として)達成 3 分岐点 ・管理優先 ・業務指示 ・現場優先、改善意欲 ・事務局支援 4 情報構造 1 研究開発* = 1 ITSプロジェクト PLM導入 1 製品 = 1 ITSプロジェクト └ n 研究開発* 5 入力内容 ・WBS 作業単位 ・空欄多数で開発経緯不明 ・要求、仕様、ストーリー単位 ・背景、要求、仕様を関連付け ・開発メンバと後任が読み、理解可能 脚注 * 研究開発の業務単位。ヒトモノカネと意思決定プロセスが含まれる。各社呼称が異なる
  38. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 40 共有型の研究開発 ノート いつでも・どこでも・すぐに 入れやすく 情報と知識を つなぎやすく 探しやすく 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 設計要求 設計図面 設計要求 ⇐ ここをサポート 解決手法 – ITSの現場導入 研究・開発者の目線で表現 製品開発と保守に特化し た技術情報の知識基盤と 協業支援を実現する仕組み
  39. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 41 解決手法 – ハードウェア技術開発におけるITS活用イメージ 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 技術要素 設計要求 設計図面 設計要求 【課題】 「設計を図面に落とし込むノウハウ」 の継承が難しいケース  “ノウハウ”の核心部は、調査・検証結果を担当技師が図面に落とし込む際 に行なっている (a)検討経緯と、(b) 根拠(背景・事実・基準)にある。 これら暗黙の知識群は帳票・書類の山を築いても表現しきれない。  担当技師だけが持つ「知識間の意味ある関係性」を多元的知識ネット ワーク網に写し取ることで初めて価値を温存できる。後任技師は知識群 を横断検索して足がかりを求め、そこから知識間の関係性をたぐり寄せ ることで知識断片を結像させ、読解に至る。
  40. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 42 解決手法 – 開発過程で獲得した知識「足跡=道しるべ」 開発過程で調査・算出した知識を、足跡「後任者の道しるべ」としてITSに残す 暗黙知になっていた知識の例示: ・寸法や公差の計算根拠と設計経緯 ・複数案からの選択決定理由 ・設計の背後に通底する原則論、ポリシー  上記の知識を捨ててしまう行為は「もったいない」  一方、開発者の日常業務に負荷をかけたくない (開発遅延の原因になりかねない)  そこで、設計検討の過程を記す「共有型の研究開発ノート」としてITSを利用 記録コスト <<< 開発者の利益 (時間差でリターン)
  41. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 43 # 施策 説明 1 情報所在の最適化 あちこちに置かない 「ポケット1つの原則」(野⼝悠紀雄 1993) 2 ⼊⼒障壁の排除 情報の網羅性を確保する 「分類するな検索せよ」(梅棹忠夫 1968) 3 開発関連情報の連鎖 要素技術の要求仕様から図面・文書まで、検索とク リックで辿り着ける 4 通知の最適化 必要な⼈だけに、必要なだけ ⼤切な通知を埋もれさせない 5 情報記録様式の最適化 後から読んでも分かる うれしい。たすかる 6 情報相互の関連性の保存 知識の連鎖ネットワーク化による情報価値の増⼤ 設計開発の現場が抱える悩みをどのように解決に導くのか 解決手法 - 施策要約 6種
  42. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 44 分析計測技術 ITS (エンジニアリング Issue Tracking System) 分析計測事業部 ITS.global (コミュニケーション Issue Tracking System) 解決手法 – 2つのITS
  43. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 45 解決手法 – ITSの守備範囲 製造業の知的生産 全ライフサイクルと使用ツール ITS ITS.global 専用システム 製造・流通システム 営業・販売システム 使用ツール マッピング 研究部門 企画部門 開発部門 0 1 10 Mass Production 各部門 (製造・営業・販売・サービス)
  44. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 46 解決手法 – ITSの守備範囲 製造業の知的生産 全ライフサイクルと使用ツール ITS ITS.global 専用システム 製造・流通システム 営業・販売システム 使用ツール マッピング 研究部門 企画部門 開発部門 0 1 10 Mass Production 各部門 (製造・営業・販売・サービス) 知識と情報を扱うツールを適時に利用
  45. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 47 分析計測事業部 研究設計開発部門 開発部門 事業管理 関連部門 品質保証 お客様 情報流通の壁 需要・市場 要求・仕様 営業 マーケ 支店支社 サービス 品質保証 製造 総合研究 技術・設計 解決手法 – ITS情報の流通範囲 研究部門 企画部門
  46. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 48 分析計測事業部 研究設計開発部門 開発部門 事業管理 関連部門 品質保証 お客様 情報流通の壁 需要・市場 要求・仕様 営業 マーケ 支店支社 サービス 品質保証 製造 総合研究 技術・設計 解決手法 – ITS情報の流通範囲 研究部門 企画部門
  47. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 - 27

    Redmine.Tokyo - 2024 11 9 49 分析計測事業部 研究設計開発部門 開発部門 事業管理 関連部門 品質保証 お客様 情報流通の壁 需要・市場 要求・仕様 営業 マーケ 支店支社 サービス 品質保証 製造 総合研究 技術・設計 解決手法 – ITS情報の流通範囲 研究部門 企画部門
  48. 解決手法 - ITSの内部構造 分析計測事業部 設計開発部門 利活用の要点 : 分析における開発力強化 ITS 50

    ITSプロジェクト Issue Wiki Subversion 設計開発情報 改版管理 ITS 要点 • ITSプロジェクトは、PLM(≒ 装置、製品)毎に作成 1つのITSプロジェクトに、複数の研究開発プロジェクトを収容 • ITSプロジェクト毎に、メンバーを指定し、権限を付与 管理者、開発者、報告者、閲覧者 • Issue(チケット) = 対象装置に関する、解決すべき何らかの課題 例:技術課題、解決までの経緯をすべて記録 • Wiki = 対象装置に関する、メンバー間で共有する情報まとめ 参考例:ウィキペディア
  49. 分析計測事業部 設計開発部門 利活用の要点 : 分析における開発力強化 ITS 51 ITSプロジェクト Issue Wiki

    Subversion 設計開発情報 改版管理 ITS 要点 • ITSプロジェクトは、PLM(≒ 装置、製品)毎に作成 1つのITSプロジェクトに、複数の研究開発プロジェクトを収容 • ITSプロジェクト毎に、メンバーを指定し、権限を付与 管理者、開発者、報告者、閲覧者 • Issue(チケット) = 対象装置に関する、解決すべき何らかの課題 例:技術課題、解決までの経緯をすべて記録 • Wiki = 対象装置に関する、メンバー間で共有する情報まとめ 参考例:ウィキペディア ITSプロジェクトを製品ごとに設置する。 製品 (PLM ; 製品ライフサイクル) ├ 研究開発プロジェクト 第1次 ├ 研究開発プロジェクト 第2次 └ 研究開発プロジェクト 第3次 解決手法 - ITSの内部構造
  50. 分析計測事業部 設計開発部門 利活用の要点 : 分析における開発力強化 ITS 52 ITSプロジェクト Issue Wiki

    Subversion 設計開発情報 改版管理 ITS ITSプロジェクト Issue Wiki Subversion 設計開発情報 改版管理 解決手法 - ITSの内部構造
  51. 分析計測事業部 設計開発部門 利活用の要点 : 分析における開発力強化 ITS 53 ITSプロジェクト Issue Wiki

    Subversion 設計開発情報 改版管理 ITS ITSプロジェクト Issue Wiki Subversion 設計開発情報 改版管理 情報の座標が変化しない REST構造により、リンク切れしにくい 解決手法 - ITSの内部構造
  52. 54 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 作成者

    担当者 関係者 経緯 意志決定 履歴 資料 成果物 チケット 1チケット ≒ 1クリアフォルダ 解決手法 – 知識基盤 (情報容器 = Issue = チケット)
  53. 解決手法 - 事案関係モデル 55 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 /年 関係性 記憶の消滅 25万チケット 30万コミット
  54. 解決手法 - 事案関係モデル 56 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 /年 関係性 記憶の消滅 × 二次元 Excel 表現できる…何か ? 30万コミット 25万チケット
  55. 解決手法 - 事案関係モデル 57 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 30万コミット /年 関係性 × 二次元 Excel ITS 記憶の消滅 記憶の消滅 25万チケット
  56. 解決手法 - 一意性保証と関係性保存 58 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日  各文書(要求・仕様・設計検討)を、ITSと Subversionに記録して座標定位  ITSチケット番号やSVNリビジョン番号 記載して参照網を形成  できるだけ “No Ticket, No Commit”  ITSを “知識網の基盤” の核とする ITS #17320 #794 #508 #256 コード 文 書 SVN コード 文 書 SVN チケットとコード・文書を関連付け
  57. 59 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 解決すべき課題

    問題が発生する原因 導入の効果 今後の展開 解決手法 - 全文検索システム 概要 ITS標準の全文検索はデータ量 の増加により性能限界に到達 検索できる情報は全体の一部に 限定されている。全データの横 断検索できれば業務の効率が上 がる 検索精度が低いため、大量の情 報が蓄積されるとITS標準の全 文検索では探している情報が埋 もれてしまい、見つけられない ITS標準の全文検索機能と性能 の制約 全データを横断する高 速・高精度検索が日常的 にに利用できる 情報に付帯する関連付け によりトレーサビリティ の利益が増える 検索の速度と精度(ヒッ ト率)を向上 AI・MLを利用した検索、 自社 LLM 施策 OSSを開発し分析技術部に適用 検索結果 全てのデータを高速・高精度に 検索できて、関連付けによるト レーサビリティの恩恵が、業務 効率の向上をもたらす 利用実績 • 利用者数の増加グラフ • 検索の利用状況 既存のRedmine + 国産 Groongaプラグインへの機能 追加 → 全てOSSで構成し、公開
  58. 60 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 解決すべき課題

    問題が発生する原因 導入の効果 今後の展開 施策 既存のRedmine + 国産 Groongaプラグインへの機能 追加 → 全てOSSで構成し、公開 OSSを開発し分析技術部に適用 検索結果 全てのデータを高速・高精度に 検索できて、関連付けによるト レーサビリティの恩恵が、業務 効率の向上をもたらす 利用実績 • 利用者数の増加グラフ • 検索の利用状況 解決手法 - 全文検索システム 概要 ITS標準の全文検索はデータ量 の増加により性能限界に到達 検索できる情報は全体の一部に 限定されている。全データの横 断検索できれば業務の効率が上 がる 検索精度が低いため、大量の情 報が蓄積されるとITS標準の全 文検索では探している情報が埋 もれてしまい、見つけられない ITS標準の全文検索機能と性能 の制約 全データを横断する高 速・高精度検索が日常的 にに利用できる 情報に付帯する関連付け によりトレーサビリティ の利益が増える 検索の速度と精度(ヒッ ト率)を向上 AI・MLを利用した検索、 自社 LLM 高精度検索:スコアベース、たたみ込み検索 非機能要件: 機密秘匿性、完全性(元データは未加工)
  59. 解決手法 - 全文検索システム 実現選択肢*1 61 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回

    Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 組込み連携型 外部独立型 方式 Redmineプラグインを中心として、検索エン ジンと連携 外部システムが中心となり、RedmineをHTTP プロトコルでクロール(crawl) 例示 Groonga / Elasticsearch*2 Fess / ほか 長所 • 変更を検索結果に即時反映できる • 情報閲覧制御 閲覧権限の無い情報が1ワードも検索結果 に含まれない • 導入が容易 パッケージインストールと設定のみで稼働させ ることが可能 • 仕組みの作り込みや開発は基本的に不要 短所 • Redmineと連携させる仕組みの作り込み が必要 • 変更が検索結果に反映されるまで時間がか かる場合がある • 情報閲覧制御が完全でない場合がある • 1. Redmine本体への内蔵型も候補にあったがDeclineになったので選択肢から外れた。 • 2. 2019年当時はElasticsearchは多くのプロプライエタリコードを含んでおり、独自ライセンスのためOSSと言 い切れず選択肢から外れた。2024年8月にライセンスをOSS適合へ戻したが、OSS陣営の対応は厳しい。 今回の選択
  60. 解決手法 - 全文検索システム 機能 62 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回

    Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 # 名称 説明 1 Redmine全テキストデータ 大容量検索 Redmineに蓄積された全てのテキストデータを高速に横断検索が可能になった。索引方式の 採用によって大容量化に対応しておりデータ量の増加による検索時間の変化はあまりない 2 スコアベース検索 高精度検索を実現。関連性の高い情報に点数を付け、検索結果の上位に浮上させることで探 している情報を短時間で見つけられるようにする 3 ドリルダウン検索 属性等を指定して「たたみ込む」ように結果を絞り込み、探している情報を短時間で見つけ られるようにする 属性:トラッカー、ステータス、担当者、拡張子、データ種別、 論理条件:AND / OR / NOT 4 添付ファイル検索 全ての添付ファイルの内容からテキストを抽出して検索対象にする。圧縮ファイルも、ロッ クされていなければ対象 5 リポジトリファイル内容検索 全てのリポジトリの最新リビジョンのファイルを取り寄せて、テキストを抽出して検索対象 にする。圧縮されていても、ロックされていなければ対象になる 6 更新データ即時検索 情報の追加変更を検索結果に即時反映(100ms前後)(添付ファイルやリポジトリデータはサイズに よって反映時間が変動) 7 Job永続、優先Job制御 シャットダウン/再起動しても「頼まれたことを忘れない」「優先度に従い処理順序を遵 守」
  61. 解決手法 - 全文検索システム 特徴(非機能) 63 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回

    Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 # 特徴点 説明 1 安定性 • 実運用環境をフル稼働させたまま、並行して全データのテキスト抽出を無停止で実行し、1,000億 文字を1日で抽出する安定性 2 信頼性 • 高負荷の事業用途に耐える全文検索のサービス水準 (MTBF 10,150時間(422日)、MTTR 12.4時間、稼働率 99.9%) • Redmineの標準データベーステーブル構造を一切変更しない設計とし、依存と影響の範囲を絞り 込んだ。例えば検索プラグインのフォルダを除去してRedmineを再始動すると、迅速かつ安全に Redmine標準へ戻せる 3 持続利用性、費用性 • 全てOSSで構成し、利用ライセンスを無償かつ長期的に担保できる • 自由なソフトウェア。ベンダーロックインフリー 4 移植性 • LinuxとMySQL以外にもWindowsやPostgreSQLの利用が可能 5 機密秘匿性 • 技術情報を扱う知識基盤システムや業務システムが要求する、検索セキュリティー水準を満たす • 閲覧権限が無い情報が1ワードも検索結果、抄録に含まれない • 情報流通の利点と機密秘匿水準のトレードオフ最適均衡点 6 完全性 • テキスト抽出Jobの永続化による、抜け漏れのない検索網羅の完全性を維持 • 検索用データは全て別テーブルに複写。元となるデータには手を加えない • 第三者検証(査察、監査、認証)の要求を満足させる 7 可用性 • VMやコンテナ技術の利用により仮想計算機基盤での冗長性を確保可能
  62. 解決手法 - ITS導入の全体像 64 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo

    - 2024年11月9日 製品開発 A 問合せ 要望・課題 品質情報 タスク 製品開発 B 問合せ 要望・課題 品質情報 タスク 課題追跡管理システム (ITS) 版数管理システム ▪日常業務に浸透 •トータルで負担減少 •状態の掌握が容易 •コミュニケーション促進 ▪トレーサビリティー 一意性 永続的な 連鎖性 履歴追跡性 ▪変化への適応 状況変化を記録し追従 後々の参照が容易に SVN 全文検索システム
  63. 目次 65 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    第1部 事例背景 第2部 現場課題 第3部 解決手法 第4部 実践経過 第5部 結果 第6部 まとめ(振返りと展望)
  64. 66 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 実践経過

    – 記録、共有例 1. 設計情報共有 • 設計技術の基礎知識を共有 2. 設計知識共有 • 設計技術のノウハウを磨き上げた知見を共有 3. 社内技術勉強会の情報共有 • 各技術領域の勉強会において、開催内容を Wikiに掲載し、技術部門全体で共有 4. 出張報告、技術セミナー • 新たに獲得した情報を収集し共有 研究開発ノート、Wikiまとめ、議事録
  65. ▪ 気軽に記録、賢く検索  研究開発ノートにメモを書く感覚 (Redmine:情報共有,Subversion:履歴管 理)  必ず見つけられる安心感  リンク切れしない

    ▪ 継続の仕組み  古くなった技術情報を更新するため、ワーキング グループを設けて担当を任命  記録を充実させると自分も楽になる, と気付くと 自然に回りはじめる  利活用を継続したグループは、段階的にこの領域 に到達 一方、自由記録にすると、情報の記述や内容 の粒度にばらつきが出てくるので、整備ワー キンググループによる維持活動を続ける 67 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 実践経過 – なぜITS? 継続のコツは?
  66. 68 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 ITSを使った会議

    週次ミーティングで積極的にチ ケットを完了 3ヶ月に1度、放置チケットを 積極的にクローズする 問合せチケットは、常任モデ レータを任命して「見つけてク ローズ」 実践経過 – 放置チケット対策の定着
  67. 【要約】  情報構造設計の統一感に基づく高い直感性・識別性・検索性 【背景】  製品ライフサイクル(開発・保守・更新)において、各工程 の現場で生じる情報群(要求背景・経緯・人・意思決定・資 料・成果物)の逸失と関連性の断絶が、活動の効率を下げて いる。 【対策】

     ITSの良さは「情報構造デザインの統一感に基づく高い直感 性・識別性・検索性」 によって実現されている。この”統一 感”の目的合理性について解説する。 1. 設計開発情報の構造設計 ~情報記録の基本構造となる 情報集合体は2種~ 2. 運営者視点による情報構造は属人性を増長 3. 利便性と全体最適の均衡点 69 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 実践経過 – ITSの良さとは? (1/3) 例示、図解
  68. • ITSは、情報記録の基本構造を定めることで、 網羅性・完全性・追跡可能性の基礎となる • ITS上の“プロジェクト”を情報集合体と捉まえ て、その集合条件を下記の2種と定義 a. 「実体(成果物・計算実行体系)を有するもの」 b. 「永続的な取り組みとして存在する、業務の集合体」

    ※ 例示 (a)◦◦装置、システム (b) 特定テーマを扱う委員会組織 ※ 依存ベクトル ・資産 ← 課題 ← 人 (実体資産が中心) 「人、組織」は、別系統の情報集合体として扱う ※ 情報集合体の関係構造も同様に「人、組織」の系統で扱う 70 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 実践経過 – ITSの良さとは? (2/3) 1)設計開発情報の構造設計 ~情報記録の基本構造となる情報集合体は2種~ 例示、図解
  69. • 担当者個人の観点で情報を1ヶ所に集める 「個人視点に基づく、局所最適型の情報構造」 • 客観的に見て関係の薄い情報や、異なる系統の情報を 「自分の作業」視点で集める/階層化するケース • 混濁した情報は他者の理解更新が難しく、信頼性が維 持できない 71

    株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 2)個人の業務視点に寄せた情報構造は属人性に行き着く 例示、図解 実践経過 – ITSの良さとは? (3/3) • 属人的な構成設計を遠ざける 特定の担当者にとって最も扱いやすくしたいという欲求 は自然な要求だが、情報共有の全体最適に反する使い方 を許すと、倣うものが現れ、全体の不利益が生じる • ITSの良さを生かす情報の構造設計への統一により、全 体最適が得られ業務効率と開発スピードの低下を防ぐこ とができる 3)利便性と全体最適の均衡点 例示、図解
  70. 72 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 ITSプロジェクト構成

    1. 情報ライフサイクルのスコープ差 個別開発案件の単位でITSプロジェクトを作りがちだが、 個別案件のライフサイクルで完結した情報は、断片化し がちで使いにくい。 2. 異なる情報ライフサイクル特性を分離 事業活動に伴って生じる情報のライフサイクルには多様 な特性がある。多人数の利用環境においては、うまく分 離せず混濁しがちで情報の質が低下するケースがある。 適切な分離が必要だがケースに依存するため難しい。 そこで、情報のライフサイクル特性に着目して構成した。  PLM  事業活動を情報のライフサイクルの質で分離する、装置開 発ライフサイクル、組織開発 期待する結果  ITS上の情報構造設計に統一感を与え、多様な感性をもつ 参加者に対して、良好な直感性(識別・入力)と検索性を 提供 実践経過 – ITSプロジェクト構成(PLM観点) ITS ├ 製品開発(PLM観点) | ├ 技術開発 | ├ 教育 | └ 組織 ① 製品名称 ② PLM ③ その他 ①②から分離 情報三体 情報(オブジェクト)の生存期間ごと
  71. 目次 73 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    第1部 事例背景 第2部 現場課題 第3部 解決手法 第4部 実践経過 第5部 結果 第6部 まとめ(振返りと展望)
  72. 74 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 結果

    – 定着状況の計測 ( 1/5 ) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 0 20 40 60 80 100 120 140 160 2014 2016 2018 2020 2022 2024 累 計 ア ク セ ス 数 万 月 間 平 均 ア ク セ ス 数 万 月平均 アクセス数累計 0 1,000 2,000 3,000 4,000 0 1,000 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 全 ユ ー ザ ー 数 全 プ ロ ジ ェ ク ト 数 全プロジェクト数 全ユーザー数 ITSプロジェクト(有効) 2013年比 10倍 ユーザー数(のべ) 3,562 2013年比 23倍 ITSプロジェクト、ユーザー数の経年変化 調査日 2024/9 ITSアクセス数*の経年変化 累計:7,917万 月間:47万アクセス 2014年比 27倍 * 10年分のWebサーバーアクセスログに記載されたURI 調査日 2024/9
  73. 75 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 ITSチケット起票、完了率の経年変化

    調査日 2024/9 Subversion アクセス数*の経年変化 * 10年分のSubversionサーバーアクセスログに記載されたURI 結果 – 定着状況の計測 ( 2/5 ) 0 % 10 % 20 % 30 % 40 % 50 % 60 % 70 % 80 % 90 % 100 % 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 チ ケ ッ ト 完 了 率 年 間 チ ケ ッ ト 発 行 数 Ticket発行数 累計完了率 近似曲線(線形) ITSチケット数 275,442 年間発行数 32,742 / 2013年比 5.4倍 完了率 78.3% 累計:4億 6,248万 月間:640万 / 2016年比 8.6倍 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 0 100 200 300 400 500 600 700 2016 2018 2020 2022 2024 億 万 月平均 アクセス数累計 調査日 2024/9
  74. 76 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 添付ファイル数の経年変化

    調査日 2024/9 チケット説明欄文字数の経年変化 結果 – 定着状況の計測 ( 3/5 ) 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 チ ケ ッ ト 毎 の 添 付 フ ァ イ ル 数 年 間 チ ケ ッ ト 発 行 数 / 添 付 フ ァ イ ル 数 チケット発行数 添付ファイル数 1チケット毎の添付数 添付ファイル数 累計 442,685 2.4ファイル/ 1チケット 2013年比 24倍 ディスク容量 14TB 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 平 均 記 述 文 字 数 / チ ケ ッ ト 年 間 チ ケ ッ ト 発 行 数 チケット発行数 説明欄文字数(平均) 近似曲線(線形) チケット説明欄文字数(平均) 2013年 248文字/チケット 2024年 1,389文字/チケット 5.6倍 調査日 2024/9
  75. 77 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 全文検索対象の記録文字数と種別

    調査日 2024/9 データ規模変化 調査日 2024/9 結果 – 定着状況の計測 ( 4/5 ) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 2019 2020 2021 2022 2023 2024 億 チケット コメント欄 Wiki 添付ファイル Subversion その他 全文字数 2749億文字 DBMS 28GB インデックスサイズ 190GB(圧縮後) リポジトリ数 543、コミット数 データ種別 2019年10月 2024年9月 変化量 文字数 1,001億 2,749億 2.7倍 DBサイズ 9.9GB 29GB 2.9倍 添付ファイル数 69733 427439 6.1倍 添付ファイル容量 1.6TB 14TB 8.8倍 SVNリポジトリ数 242 543 2.2倍 SVNコミット数 - - - 倍 FTSインデックスサイズ (可逆圧縮) 72GB 190GB 2.6倍 OSS知識基盤に蓄積された文字数は、 5年間で2.7倍に増加した 特に添付ファイルの増加が顕著
  76. 78 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 全文検索性能

    調査日 2024/9 結果 – 定着状況の計測 ( 5/5 ) 0 200 400 600 800 1,000 1,200 No Cash Full Cash No Cash Full Cash No Cash Full Cash Redmine3.0 非索引型 Redmine4.0 非索引型 Redmine4.0 索引型 検索所用時間積算 (秒) 10万 20万 30万 50万 70万 100万 150万 200万 2,700億文字の全横断検索(スコアベース)は、10秒弱 各ITSプロジェクト内(含, Subversion全履歴)の全文検索は数秒以内 FTS* 応答性能の計測 ※ 別資料として公開済 ( speakerdeck.com ) ※ 今後、機能拡張の開発と評価資 料の公開を予定 FTS Plugin による機 能拡張と性能評価 • 添付ファイル、リポジト リ(全履歴を含む)に含まれる ファイル(Officeファイル、PDF、 ZIP)より、全文字データを 抽出して内容を全文検索 • 大量の情報が蓄積されて も、探している情報を見 つけ出せる検索精度 * FTS; Full Text Search 全文検索(索引型/非索引型)
  77. 目次 79 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    第1部 事例背景 第2部 現場課題 第3部 解決手法 第4部 実践経過 第5部 結果 第6部 まとめ(振返りと展望)
  78. 81 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 【振返り】

    • 全員が日常的に利用するまでに時間 がかかった • 現場主導の改善意欲によって少しず つ定着が進み「嬉しい、助かる」が たくさん織り込まれた • 変化したのは、業務情報の取扱いに 関する「行動の様式と規範」 • 情報と知識をうまく扱う為の最重要 点は「名前と構造」に尽きた • 最終的に得られたものは、全体に とって望ましいものだった まとめ – 振返り
  79. 82 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 ITSに記録されている設計開発情報を利活用

     AI学習用データとして使う目的で、全てのVCSデータは Documents(自然言語)と、Sources (電算機言語)を8年前から分類している。 (日本語と、物理の教科書が異なるとの考え方から)  構造化データ、網状情報参照 AI (NLP-ML)の取り組み  5年前(2019年)に Sentence Piece+Google Bert に学習させて一定の感触を得ていた。  昨今のLLM(NLP)の進化が著しい。 • 特定目的の有用なAIモデルを作ることが可能。 • 全文検索サブシステム(OSS)に、設計開発データを追加学習させて推論させる計画  情報の構造が持つ価値 • 機械学習対象 • 構造化され、多層網状リンクを持つ情報群  研究開発部門 NLP研究者 「本当に助かる」 • 自然言語 Documents、機械言語 Sources  研究開発部門 NLP研究者 「とても価値があるデータ」 まとめ – 展望
  80. 83 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日 統制実現

    コスト低減 属人性軽減 品質, CS向上 業績貢献 【経営要求】 【現場要求】 • 業務効率を上げて, 良い仕事をしたい • 入力の手間に見合う • いつでもどこでも • 素早く見つかる • 休みやすい 【管理手法】 【統制/規制要求】 査察、統制 認証 省庁監査 情報定位 + 関連維持 + 検索可能 ↓ 信頼可能 現場の「嬉しい」を動機とする 部分最適型の行動規範 (結果として) 経営要求を満たす OSS知識基盤として、 全体最適型の均衡点で定着 梅棹忠夫 知的生産の技術 まとめ – 各要求を達成する基盤整備
  81. 終 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 第 回 年 月 日 -

    27 Redmine.Tokyo - 2024 11 9 84 Special Thanks to ・上坂 至さん、北原 隆史さん、前川 博志さん、西川 撒さん、西本 竜樹さん、柴田 雅之さん、中村 完さん ・ブログ等のオンラインメディアで技術情報を公開して下さったみなさま ・My Family.
  82. 付録:引用資料出典一覧 85 株式会社島津製作所 分析計測事業部 技術部 - 第27回 Redmine.Tokyo - 2024年11月9日

    調査日 2024/9 • 名称:ラスコー洞窟の壁画 • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lascaux_painting.jpg?uselang=ja • 著作:X 氏 • 出典:Wikipedia Commons • 名称:古代エジプト ヒエログリフ • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hieroglyphs_from_the_tomb_of_Seti_I .jpg?uselang=ja • 著作:不明 • 出典:Wikipedia Commons • 名称:甲骨文字 • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:ChinaOraclebone01.jpg?uselang=ja 著作:不明 • 出典:Wikipedia Commons,エン、第一巻第六号、三省堂、1937年8月 • 名称:竹簡 • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:K%C7%92ngz%C7%90_Sh%C4%ABl%C3% B9n_Manuscript_from_Shanghai_Museum_1.jpg?uselang=ja • 著作:孔子詩論 第22巻 • 出典:Wikipedia Commons, Shanghai Museum • 名称:パピルス • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Papyrus.jpg?uselang=ja • 著作:Papyrus (P. BM EA 10591 recto column IX, beginning of lines 13–17) • 出典:Wikipedia Commons • 名称:15世紀のウィリアム・キャクストンの活版印刷風景(1877年の彫刻) • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Caxton_Celebration_- _William_Caxton_showing_specimens_of_his_printing_to_King_Edward_IV_and_his_ Queen.jpg?uselang=ja • 著作:William Small / The Caxton Celebration • 出典:Wikipedia Commons • 名称:Sending half of Mufax Courier fax machine by Muirhead & Co. (1975) • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mufax_Courier_fax_machine_(4561809959 5).jpg?uselang=ja • 著作:Richard Ash • 出典:Wikipedia Commons • 名称:CERN • 著作:CERN • 出典:https://home.cern/ Deep Learning Machine Learning Artificial Intelligence • 名称:Machine learning as a subset of AI • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:AI_hierarchy.svg?uselang=ja • 著作:Lollixzc • 出典:Wikipedia Commons • 名称:symbolizing advanced artificial intelligence • https://commons.wikimedia.org/wiki/File:DALL-E_3_- _advanced_artificial_intelligence.png?uselang=ja • 著作:artificial intelligence • 出典:Wikipedia Commons