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情シスと開発の壁を越える​ 〜ZOZOが実践する「攻めと守りを両立させる」AI時代のIT基盤戦略〜​

情シスと開発の壁を越える​ 〜ZOZOが実践する「攻めと守りを両立させる」AI時代のIT基盤戦略〜​

2026/07/16 に「IT Strategy Summit 2026​」で発表した登壇資料です。

https://event.shoeisha.jp/devsumi/20260716/session/6878

株式会社ZOZO
執行役員 兼 CTO
瀬尾 直利 (@sonots)

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ZOZO Developers PRO

July 16, 2026

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Transcript

  1. 株式会社ZOZO 執行役員 兼 CTO Ruby, Fluentd コミッタ 瀬尾 直利 /

    そのっつ 2019.01 (株)ZOZOテクノロジーズ入社 (前職: DeNA) 2019.04 MLOps立上げ 2021.04 EC基盤本部長 / CTO委員長 @sonots 2021.10 (株)ZOZO 技術本部長 2022.04 技術本部長 兼 VPoE 2023.06 執行役員 兼 CTO 2024.12 執行役員 兼 CTO 兼 IT統括本部長 © ZOZO, Inc. 2
  2. ZOZOで利用可能な生成AIツール 生成AIモデル基盤 チャットツール • Amazon Bedrock • Gemini • Vertex

    AI Model • ChatGPT Enterprise • GitHub Copilot • Microsoft Copilot • Gemini Advanced • NotebookLM Plus • Claude Code • Claude • Devin Garden • OpenAI API コーディングAI その他(一部部署) • Dify • Figma AI • Codex • Antigravity CLI • Cursor © ZOZO, Inc. 7
  3. 生成AIインフラ整備の歴史 〜 チャットツール 〜 2023.12 2025.03 2025.08 2026.06 Microsoft Copilot

    (旧 Bing Chat Enterprise) Gemini Advanced NotebookLM Plus ChatGPT Enterprise Claude (Cowork) Microsoft 365 付属 Google Workspace 付属 New! Microsoft Copilot、Gemini を利用できていたが、 部署個別での ChatGPT Team 契約が発生 ChatGPT コネクタのような社内システムとの連携機能もあ り、統括管理するために Enterprise を導入 エンジニア部門でのみ利用していた Claude も、ビジネス向 けの機能 (例: パワポ作成) が増えてきたことで、全社的に 利用要望が発生。全社にも展開した © ZOZO, Inc. 8
  4. 生成AIインフラ整備の歴史 〜 コーディングAI 〜 2023.05 2025.03 2025.07 2025.09 2026.01 Devin

    / Cursor 全社展開 GitHub Copilot Cline / Devin Cursor Claude Code Gemini CLI Codex CLI GitHub Copilot coding agent 全社展開 試験導入 全社展開 全社展開 6月までは『最終的に Copilot 一強になる』にベット して GitHub Copilot を推進。 他のコーディングAIは部署ごとの試験利用に限定 6月以降、Claude Code の評価が急上昇したこと で、マルチスタンダードを容認。 変化に備え、予算は『開発AIエージェント』として柔軟 に運用できる形とした。 2025年7月、全エンジニアを対象に1人あたり月額 200米ドルの基準のもと、開発AIの全社展開決定 https://corp.zozo.com/news/20250729-007217/ © ZOZO, Inc. 9
  5. 導入判断 1 2 3 試験導入 効果をヒアリング 全社展開を決定 特定部署に試験導入し、 削減効果をヒアリング コーディングAI

    開発業務 3〜5割削減 工数削減と月額費用を比較 コストメリットありと判断 ChatGPT 月9〜16時間削減 © ZOZO, Inc. 10
  6. AI活用指標 〜 All ZOZO AI Readiness Score(AZARS) 個人AI活用レベル 組織AI活用レベル LV1

    トライアル 調べもの中心にAIを使い始めた LV1 個人内完結 一部が個人的に活用、知見は未共有 LV2 習慣化 日常業務でAIを使うのが当たり前 LV2 共有 ノウハウが共有されている LV3 業務改善 AIで業務改善できる LV3 業務定着 業務改善が組織に定着 LV4 業務変革 AI前提で業務プロセスを再構築できる LV4 業務変革 主要業務がAI前提で再構築 © ZOZO, Inc. 13
  7. 壁の正体 ── 評価軸が、逆を向いている 攻め(開発) 守り(情シス) KPI:開発生産性・リリース速度 速く・多く出すほど評価される KPI:インシデント最小・統制 ≠ 事故を防ぐほど評価される

    だから だから 新ツールを今すぐ使いたい 統制外のものは認めたくない 止められると 通してしまうと 生産性が落ち、マイナス評価に 事故リスクを負い、マイナス評価に 壁は「仲の悪さ」ではない。KPIが逆を向いていることが壁の正体 © ZOZO, Inc. 16
  8. しかし攻めは、守りにつながる 実際にあった事例 1 乱立が起きた ChatGPT の Team 契約が 部署ごとに乱立 2

    統制が効かない 課金も利用実態も分散し、 守りがむしろ崩れる 3 統合して一元管理 Enterprise に集約し 情報シスが一元管理。 統制を取り戻した 止めるのではなく、速く整える ── それが、いちばんの守りになった。 © ZOZO, Inc. 17
  9. 2025年、IT統括本部のミッションを再定義した 以前 ── FY24テーマ 改定後 ── FY25テーマ(継続) より安全に安心に効率的に 業務効率・業務体験を 向上させる

    ※当時は情報セキュリティ部も同本部 (セキュリティレベルは保ったまま) 攻めと守りの両立は、思いつきでなくミッションそのもの。 だから情シスの役割も「止める」から「整える」へ変わる。 © ZOZO, Inc. 18
  10. ZOZOはどう壁を越えたか 正直に言えば ── 私がCTO兼IT統括本部長。攻めと守りを一人の意思決定に統合していた。 ① 共通のミッション ② 速く判断する ③ 一貫した判断軸の整備

    セキュリティを保ったまま業務体 験を上げる。攻めと守りを同じ ゴールに縛る。 両部門の代表が同じテーブルで、 可否をその場で決める。 (ZOZOの場合は同一人物) 開ける/閉じる基準。 誰が判断しても同じ結論になる。 © ZOZO, Inc. 20
  11. 生成AIツールの導入審査 ※登壇用の簡易版であり、社内にはより詳細なチェック項目があります MUST SHOULD MUST SHOULD WANT © ZOZO, Inc.

    入力内容を学習されない設定が可能なこと MUST 経済安全保障上の懸念国・地域にデータを保管して いない その設定を管理サイドで一括管理できること MUST 反社チェックに通っていること アカウント管理(退職者管理)ができること MUST その他セキュリティ・法的な懸念がないこと アカウントをSSO管理できること MUST 情報セキュリティ部のチェックに通っていること 生成物が訴訟された場合の補償があること MUST 法務部のチェックに通っていること 23
  12. 通した① Claude Code / Claude Cowork 価値が明確なものは、通す Claude Code Claude

    Cowork 誰が使う 誰が使う 開発部門(エンジニア) 非エンジニアも含む全社 価値 価値 実装を大幅に高速化(PoCが1週間→1日) 資料作成など業務変革の効果が大きい 判断 判断 全社展開($200/人月) 許可・全社展開 © ZOZO, Inc. 25
  13. 通したら、締める ── Claude Code のガードレール 「通す」で終わりにせず、配布後もガードレールを更新し続ける // managed-settings.json { (全端末に配布)

    "disableBypassPermissionsMode": "disable", "permissions": { "deny": [ "Bash(rm -rf:*)", "Read(**/.env)", …, 端末に強制 managed-settings.json で全端末にポ リシー配布 実行前にブロック PreToolUse hooks が実行前に割り込む ] }, "hooks": { "PreToolUse": "guardrail.sh" Denyを継続更新 脅威に合わせてルールを育てる } } 攻めを支える守りの実装。 © ZOZO, Inc. 26
  14. 通した② MCPを段階的に開放 大前提:部署ごとの契約でなく、IT統括本部が一元管理するアカウントで接続。だから開けられる コネクタ 参照 作成 更新 削除 Gmail 可

    下書き・ラベル ラベルのみ 不可 Google Drive 可 可 不可 不可 Slack 可 投稿・Canvas Canvasのみ 不可 Jira / Confluence 可 可 可 不可 Box 可 可 可 不可 Google カレンダー 可 可 可 可 削除=不可逆はカレンダー以外すべて不可。参照から開け、破壊的操作は閉じる。 © ZOZO, Inc. 27
  15. 止めた ── Remote Control / Computer Use Remote Control Computer

    Use スマホから会社端末を遠隔操作 PC画面を自律操作 外出先からでも Claude Code を動かせる 操作範囲が広く統制が困難 BYODでClaudeモバイルを禁止 computer_use = false 管理外の端末=統制が及ばない 管理設定で既定オフに 止めた理由 止めた理由 操作経路が管理の外にある 自律性が高すぎ統制が追いつかない 軸:管理外の操作経路・自律操作は開けない(否定ではなく、整うまでの保留) © ZOZO, Inc. 28
  16. 意思決定 事例まとめ 判断 対象 主な懸念 落とし所 通した Claude Code・Cowork・MCP参照 権限・データ露出

    統制下で許可 締めた Claude Code のガードレール 配布後の自律実行 hookで制御・承認必須 止めた Remote Control・Computer Use 管理外の操作経路・自律操作 保留(整うまで) 通した・締めた・止めた ── すべて同じ軸(価値・可逆性・統制手段)の別々の出力。 © ZOZO, Inc. 29
  17. 情シスの役割:止める → 整える Before:止める人 After:整える人 安全を最優先 使える仕組みを整える リスクを未然に防ぐ ガードレールを敷く 慎重に見極める

    速く決める 一件ずつ確認する 判断の仕組みを持つ 守りは堅い 段階開放 止める人 実績を見て開けていく © ZOZO, Inc. 34
  18. 持ち帰っていただけることまとめ ① 早く整える ② 段階開放 ③ 一貫した軸を持つ 判断の速さも統制の一部。 遅れればシャドーIT化する。 止めるより、速く整える。

    全禁止でも全許可でもなく、 小さく始めて段階解放。 開放の運用こそが統制。 止める判断にも軸を。 © ZOZO, Inc. 軸があるから相談が集まる。 同じミッションを持つ。 35
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