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20190106第25回KG-RCSPセミナー 「社会的ジレンマ実験プログラムの開発と実践:o...

Akira GOTO
January 06, 2020

20190106第25回KG-RCSPセミナー 「社会的ジレンマ実験プログラムの開発と実践:oTreeを用いて」

Akira GOTO

January 06, 2020
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Transcript

  1. 軽く自己紹介を... ❖後藤 晶 – (ごとう あきら) ❖明治大学情報コミュニケーション学部専任講師 ❖専門分野:行動経済学・社会情報学・実験/計算社会科学 – 利他行動・協力行動の促進/抑制要因:ゲーム実験を中心として. • SVOを使った調査なども実施

    – 情報社会における監視と信頼に関する研究:創造・毀損・回復過程の解明 – 行動経済学の観点からの「政策」評価:行動経済学を政策に活かせないか? • 最近はプレミアム商品券関連をどうにか攻めたい! – クラウドソーシングを用いた経済ゲーム実験環境の構築 5
  2. 「実験」のビッグデータ化: ❖「実験室実験」から「オンライン実験へ」 – ラボ実験:充実した実験環境の構築にはコストが大きい. • メリット:完璧な統制環境の構築が可能 • デメリット:数10人〜200人程度を対象,1研究に10万円—のコスト – コンピュータ等の整備を含めるともっと...

    – 実験者の周辺にいる人(学生など)が中心 – オンライン実験:webフレンドリーなプログラムにより一気に実験 • メリット:数千人を対象に,数万円台〜で実験を実施可能,広い社 会経済的要因の影響を分析可能 • デメリット:完璧な統制環境の構築は困難 – 実験室のような統制はできない. 9
  3. 「実験」のビッグデータ化: ❖「実験室実験」から「オンライン実験へ」 – ラボ実験:充実した実験環境の構築にはコストが大きい. • メリット:完璧な統制環境の構築が可能 • デメリット:数10人〜200人程度を対象,1研究に10万円—のコスト – コンピュータ等の整備を含めるともっと...

    – 実験者の周辺にいる人(学生など)が中心 – オンライン実験:webフレンドリーなプログラムにより一気に実験 • メリット:数千人を対象に,数万円台〜で実験を実施可能,広い社 会経済的要因の影響を分析可能 • デメリット:完璧な統制環境の構築は困難 – 実験室のような統制はできない. 14
  4. oTreeとは: ❖oTree(Chen et al, 2016) – PythonのDjangoベースで開発できる経済ゲーム実験ソフト – Webベースで実験できるためにブラウザや実験参加者の居場所を問わ ずに実験可能

    – Amazon MTurk連携も可能 – もちろん,実験室実験でも利用可能 • 玉川大学脳科学研究所では実験室実験としても利用 • 明治大学や大阪市立大学,早稲田大学などでも実験として実施. 17
  5. 経済実験プログラムとして長く使われてきたz-TreeとoTreeの比較: ❖oTreeは自由度が非常に高い – △要Python(django)プログラム能力 • しかし,どうにかなる!意外と簡単に作れる!! – 自由度が高すぎるために,いきなりoTreeに入ると混乱する可能性が ある –

    Pythonを使ったことがある人にはいきなりでも良いかもしれない. – 多くの研究者が使い始めているために,一気に開発が進んでいる印象 • webでできる強み+一般的な言語でプログラムを組める強み – Web上でプログラム&実験を公開できるため,再現可能性を高める. • 研究室の「秘伝のワザ」や「伝統芸能」的なことがなくなる 28
  6. oTreeのメリットとデメリット: ❖メリット: – プログラム開発が一般的な言語(Python)を用いているので比較的容易 • cf.z-Treeは特化した言語(C++だけど) – Web上で実験ができるために,Webサーバを立てればいくらでも&どこ でも&誰でも実験が可能 •

    cf.z-Treeはサーバとクライアントの通信設定がややこしい&ポー トを開ける作業をしなければならないためにややこしい. – タブレット端末で実験可能 • cf.z-Treeはwindows端末限定 ❖デメリット: – 過去の実験環境との連続性を確保できない • ex.z-Treeで開発したプログラムをそのまま使うことはできない 29
  7. oTreeを使うのに必要なもの: ❖Pythonの知識: – チュートリアルは割とあり,簡単な実験は簡単 – javascript等とあわせて,より応用が可能 – web解析ツール等をあわせて,細かい動き等も分析可能 ❖Webサーバ:Amazon EC2でスケーラブルな対応がおすすめ

    – スペックを変更できるので,必要に応じて利用可能 – 実験時:c4.2xlargeプラン – 仮想物理コア:8コア,メモリ15GB,0.504USD/時間 – 実験を実施していない時は最低スペックで運用orサーバを止める(コスト が発生しない) • 開発者はHerokuを勧めている...が,イマイチ使いこなせなかった 30
  8. Rooms:ここでの設定を色々工夫することが多い ❖Ex.実験室実験の場合: – 8桁の実験参加者IDを発行 • 上2桁:実験条件 • 中4桁:乱数(しっかり入力確認) • 下2桁:座席番号

    ❖ex.クラウドソーシング実験の場合 – 5桁の実験参加者IDを発行 • 上1桁:実験条件 • 下4桁:各参加者に割り振った番号 ❖Ex.授業内に実験を取り込む場合 – 学生番号を”_rooms”内のファイルに登録する&settings.pyにも書き込む – QRコードを発行して,ID入力画面へ誘導する 62
  9. さらなる可能性を探って: ❖Pythonのウェブアプリケーション(django)を使っているの で,普通のwebで使うような技術を使える. – Web解析ツール – 音声を組み込む – 動画(Youtube)を組み込むetc… –

    可視化(ex.Highchart) – インタラクティブチュートリアル • 実験室とは異なり,個別対応ができないためにできる限りケアをするため の手法として. ❖パネル調査: – ゲーム実験のパネル調査も安価で実施可能 • パネルからの離脱が多い可能性が懸念材料 86
  10. 参考文献: ❖Chen, D.L., Schonger, M., Wickens, C., 2016. oTree -

    An open-source platform for laboratory, online and field experiments. Journal of Behavioral and Experimental Finance, vol 9: 88-97 – oTreeを使ったときには必ず引用しましょう. 94
  11. その他,oTreeに関する文献: ❖oTree: Ready-made apps for risk preference elicitation methods ❖A

    flexible z-Tree and oTree implementation of the Social Value Orientation Slider Measure ❖その他,Journal of Behavioral and Experimental Financeの特集号”Software for Experimental Economics”の中で関連しそうなものが取り上げられて いる. 95