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単元「情報通信ネットワークとデータの活用」の授業アイデア

 単元「情報通信ネットワークとデータの活用」の授業アイデア

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  1. 1 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 情報Ⅰ

    『情報通信ネットワークとデータの活用』 授業のアイデア アシアル株式会社 アシアル情報教育研究所
  2. 2 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 目次

    『情報通信ネットワークとデータの活用』内容の整理 『情報通信ネットワーク』の授業のアイデア 『情報システム』の授業のアイデア 『データの活用』の授業のアイデア まとめ
  3. 3 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報通信ネットワークとデータの活用』

    内容の整理(1) 学習指導要領 学習指導要領の「4つの内容のかたまり」の1つ 1. 情報社会の問題解決 2. コミュニケーションと情報デザイン 3. コンピュータとプログラミング 4. 情報通信ネットワークとデータの活用 ア ネットワークの仕組み、セキュリティ イ 情報システム ウ データの収集、整理、分析、結果の表現
  4. 4 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報通信ネットワークとデータの活用』

    内容の整理(2) 教科書では 様々な章立て、順序になっている 実教出版 最新情報Ⅰ 実教出版 高校情報Ⅰ (Python/JavaScript) 東京書籍 情報Ⅰ Step Forward! 第1章 情報社会と私たち 第1章 情報社会 第1章 情報社会 第2章 メディアとデザイン 第2章 情報デザイン 第2章 情報デザイン 第3章 システムとデジタル化 第3章 デジタル 第3章 プログラミング 第4章 ネットワークとセキュリ ティ ネットワーク、情報セキュリティ 第4章 ネットワーク ネットワーク、情報システム、データ ベース、セキュリティ 第4章 ネットワークの活用 ネットワーク、セキュリティ、情報シス テム、データの収集・分析 第5章 問題解決とその方法 データの活用、モデル化、シミュレー ション 第5章 問題解決 データの収集と整理、データの処理 第5章 問題解決 ※様々な学習活動例が列挙されて いる 第6章 アルゴリズムとプログラ ミング 第6章 プログラミング
  5. 5 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報通信ネットワークとデータの活用』

    内容の整理(3) 共通テスト サンプル問題① 問1. 情報技術や情報デザインに関する知識 問2. アルゴリズム/プログラミングによる問題解決 比例制における議席の割り当てのアルゴリズム 問3. データの活用 サッカーの予選リーグ戦の結果(勝敗・得失点ほか)の分析 • ヒストグラム • 層別のヒストグラム • 散布図 • 相関係数 • 回帰直線 グラフ・統計量をマトリックス表示した資料を読み解く
  6. 6 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報通信ネットワークとデータの活用』

    内容の整理(3) 共通テスト サンプル問題② 第1問 情報技術・情報デザインに関する知識(配点:20点) • モラル、セキュリティ • パリティビット • 論理回路 • 情報デザイン 第2問 情報技術・情報デザインに関する技能(配点:30点) A コンピュータの仕組み(二次元バーコード) B モデル化とシミュレーション 第3問 プログラミング(配点:25点) お金を支払うとき、コインのやりとり枚数が少ない方法を探す(貪欲法) 第4問 データの活用(配点:25点) 表やグラフの読み取り
  7. 7 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報通信ネットワークとデータの活用』

    内容の整理(4) 優先順位付け A. 授業で扱うべきもの • 指導のもと、グループワークや実習を通じて学ぶべき内容 • 機材・ツールが必要な内容 • 導入済み・容易に追加導入できるツールを用いて学ぶ内容 • ネットワーク機器など、専用の機材・ツールが必要な内容 B. 宿題・自習で対応可能なもの • A.で学習した内容や使用したツールを用いて、宿題等で学習可能な内容 • 教科書や資料を読むことで理解可能と考えられる内容
  8. 8 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報通信ネットワーク』の

    授業のアイデア インターネット PC サーバ インターネット PC 無線LAN アクセスポイント ルータなど ネットワーク機器 時間数: 1〜2コマ 必要なもの: インターネットに接続 されたPC
  9. 9 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報通信ネットワーク』の授業の目標

    • 身近なネットワーク機器を知る • 手元のコンピュータと、(ネットワークの先の)コンピュータを想像できる ようにする • 携帯電話以外のネットワーク機器を、教室や家庭内で見る • 通信の階層(レイヤー)の感覚をつかむ • 人間が直接操作する層(アプリケーション層)と、物理的な階層(ネット ワークインターフェイス層)、それらの中間の層を分けて把握する • WebブラウザがDNSを利用してサーバのIPアドレスを取得し、それを利 用して通信していることを理解する • 通信プロトコルが規約・手順であることをつかむ • HTTP通信がリクエスト/レスポンスの対であることを理解する
  10. 10 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. PCとWebブラウザだけで実施する

    ネットワークの授業のアイデア PCと、PC上のWebブラウザのみを使って、 ネットワークを学ぶ (注意) • タブレットは、ユーザーの使いやすさを優先しており、システムやアプリケー ションの詳細を隠蔽しているため、ネットワークの学習には不向き • PCでも、管理者によって機能に制限がかけられている場合があり、実現で きるかどうかは環境(PC、ネットワーク)に依存することに注意
  11. 11 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. PCとWebブラウザだけで実施する

    ネットワークの授業のアイデア 学習すること 「PCのWebブラウザから、Webサーバにアクセスする」動作を分解して、以下を学んでいく 1. PC上のWebブラウザと、サーバ上のWebサーバ • 教室/自宅の環境 • PCから無線LANアクセスポイント • 無線LANアクセスポイント〜学校の外へ 2. DNSの働き • URLとIPアドレスの対応 3. HTTPプロトコル • サーバへのリクエストと、サーバからのレスポンス • Webブラウザがやっていること 4. 通信プロトコルの階層(レイヤー)の考え方 • 上位の階層(レイヤー)を扱うプログラム(Webブラウザ)は、下位の階層(レイヤー)、 たとえばネットワークインターフェース層の詳細な状態を知らない
  12. 13 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. ソフトウェア

    PC上のWebブラウザと、サーバの上のWebサーバ インターネット PC サーバ Webブラウザ 段階的に詳細化しながら、ネットワークを学ぶ② Webサーバ
  13. 14 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. PCから、通信が部屋・建物を出ていくまで

    インターネット PC 段階的に詳細化しながら、ネットワークを学ぶ③ 無線LAN アクセスポイント ルータなど ネットワーク機器 「実物を探し、見て確認する」 「実際の機器の写真を撮ってくる」 などの工夫が考えられる
  14. 15 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 【話題】無線LANアクセスポイントは、物理的にどんな

    場所にあるか? どのような場所に置けばいいか? APは、教室などでは天井付近に設置されている なぜか? →人間の身体を含む、様々な障害物によって電波が遮られる。それを避ける ため その他 電子レンジを使うと、雑電波が発信される。2.4GHz帯を使うWifiは、この雑 電波によって通信が遅くなる
  15. 16 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. URLとIPアドレス

    DNSによる名前解決 1. インターネット経由でURLを使ってアクセスしているWebサーバを特定する 2. そのURLについて、ネットワークコマンドnslookupを使い、IPアドレスを調べる (※生徒が出来ない環境なら、あらかじめ教員側の環境で調べる) 3. WebブラウザのURL窓にIPアドレスを入力して、同じサイトが開くことを確認する サーバ 段階的に詳細化しながら、ネットワークを学ぶ④ URL IPアドレス www.google.co.jp 216.58.220.99 • 負荷分散のために、複数台のサーバを用意し、それぞれにIPアドレスを 割り当てている場合がある。 その場合、1つのURLに複数のIPアドレスが関連付けられている。 • httpsで通信するWebサーバの場合、IPアドレスを使った接続はエラーになる。 google.co.jpの場合、URLによるアクセスに自動で切り替わる
  16. 17 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 段階的に詳細化しながら、ネットワークを学ぶ

    ④' Monaca Educationを使う方法 Monaca Educationで、Webページを作る • 画像ファイルをアップロードし、<img>タグで表示させる • 「Web公開」で公開する • URLについて、 コマンドnslookupで IPアドレスを調べる <body> <img src="img/afternoon-1.png" wdith="200" height="200"> </body>
  17. 18 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 段階的に詳細化しながら、ネットワークを学ぶ⑤

    通信プロトコル • HTTP通信プロトコル • リクエストと、レスポンスが対になっている通信 • Webブラウザがファイルを要求するリクエストをWebサーバに送信する • 例: • index.htmlをください • img/afternoon-1.pngをください • Webサーバが(リクエストに対して)レスポンスを返信する • 1回の通信(リクエスト+レスポンス)で、1つのファイルを扱う PC Webブラウザ サーバ Webサーバ リクエスト レスポンス
  18. 19 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 段階的に詳細化しながら、ネットワークを学ぶ⑥

    Webブラウザの開発者ツールで、ネットワークの通信 結果を見る 1つのWebページを表示するために、複数のHTTP通信(リクエスト/レスポン ス)が行われ、複数のファイルがダウンロードされていることがわかる Chrome: ・・・ > その他のツール > デベロッパーツール Edge: ・・・ > その他のツール > 開発者ツール 開発者ツールのウィンドウ で「Network」を選択
  19. 20 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 段階的に詳細化しながら、ネットワークを学ぶ⑦

    模式図: 1つのWebページのリクエストの結果、複数 回のHTTP通信が行われている PC Webブラウザ サーバ Webサーバ ①index.htmlをリクエスト レスポンス PC Webブラウザ サーバ Webサーバ ③afternoon-1.pngを リクエスト レスポンス ② 画面に表示するため index.htmlを解析 afternoon-1.png を参照している
  20. 21 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報システム』の授業のアイデア

    出力 POS システム 入力 POSレジ 売上 価格 など 売上データ 処理 時間数: (基本)1コマ (APS)2〜3コマ 必要なもの: • レシート • (APS)Monaca Education
  21. 22 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報システム』の授業の目標

    • 身近な情報システムに、分析と調査の目を向ける • レシートのような身近なものも、情報システムの出力の1つ • 「機能を実現している」という大雑把な把握を超え、内部の仕組みや(消 費者からは見えない)機能を考察する • 情報システムが「入力を受け付け、処理を行い、出 力をする」「入力・処理結果の情報を記録してい る」ものであることを理解する • 授業で学んだ以外のシステムについても、同じように分析できるようにな ることを目指す 入力 処理 出力 記録
  22. 23 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 1.

    レシート(※個人情報等に配慮し たもの)を集める 2. レシートに記載された情報を整理 する • 店舗情報 • 日付・時刻 • 購入商品明細 • 商品名 • 個数 • 単価 • 購入金額情報 • 小計 • 消費税 • 合計 • 支払情報 • 預かり • 釣り銭 • 広告・宣伝 アシアル書店 本郷店 0XX-XXX-XXXX 202x年 x月 xx日 13:46 シュークリーム 1 240円 モンブラン 1 340円 8%対象 580円 小計 消費税 ------------------------------- 合計 預かり 釣り銭 ・・・ レシートからPOSシステムを考える①
  23. 24 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. レシートに印字されている情報

    を区別する • あらかじめPOSに登録されてい る内容(=システムを管理する 人が登録した内容) • レジ係が入力した内容 • 入力や登録をもとに、レジ操作 のタイミングで計算した内容 ⇨ POSシステムの処理 レシートからPOSシステムを考える② POSに登録されてい る内容 店舗情報 広告・宣伝 入力した内容 商品名 個数 預かり 計算した内容 日付・時刻 単価、小計、消費税、 合計 釣り銭 ※あくまで推理なので、厳密に正解を得ようとしなくてもよい 誰かが、いつかのタイミングで入力した内容と、 システムが計算した内容が出力されていることを把握することが目的
  24. 25 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. レシートからPOSシステムを考える③

    3. システムの模式図を示して、入力・処理・出力と、データベースの位置付 けを確認する 出力 POS システム 入力 POSレジ 売上 価格など 売上データ 処理
  25. 26 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. レシートからPOSシステムを考える④

    4. レシートを出力するために、 システムが何をしているか 考えさせる • 入力された値と、入力された値 から計算できる値しか出力でき ない 5. システム(データベース)に どんな情報を収集・蓄積して いるか考えさせる • 入力された値と、入力された値 から計算できる値しか蓄積でき ない 出力 POS システム POSレジ 売上 価格など 売上データ 入力
  26. 27 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. レシートからPOSシステムを考える⑤

    6. POSシステムで集めたデータの活用方 法を考えさせる • 入力された値と、入力された値から計算でき る値しか蓄積されていない • 例: • どの商品が売れたか分かれば… • 何時頃に売れたか分かれば… 7. 他のデータと組み合わせることで可能に なる活用方法を考えさせる • 活用方法を先に考えて、必要なデータを考える • 例: • 年齢層や性別が分かると、どんな人に 何が売れるか分かる 売上データ POSレジ
  27. 28 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. レシートからPOSシステムを考える⑥

    7. 外部のデータと組み合わせることで可能 になる活用方法を考えさせる • 例: • 在庫データと売上データを組み合わせ ると、次の仕入れをいつにしたらよいか ヒントが得られる • 気象データと売上データを組み合わせ ると、どんな天気のときに何が売れたか 分かる • 近隣のイベントのデータと売上データを 組み合わせると、イベントごとに何が売 れたか分かる 売上データ POSレジ
  28. 29 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. レシートからPOSシステムを考える⑦応用

    データの整理(正規化) 日付・時刻 店舗名 レジNo. レジ担当者 商品#1 個数 商品#2 個数 商品#3 個数 ・・・ 小計 消費税 合計 預かり 釣り銭 取引表 取引明細表 店舗表 店舗・レジ表 従業員表 繰り返し項目と 導出可能な項目をなくす 部分関数従属する 項目を分離する 推移的関数従属する項目を 分離する
  29. 30 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 持っている本を管理するシステム

    (蔵書管理システム)を学ぶ① 持っている本 作家 情報システムが必要になる(あると便利にな る)状況として、蔵書管理を示す • 「持っている本を整理して、探しやすくしてみよ う」 • 持っている本かどうか分かりやすくして、買い忘 れを無くそう • マンガの単行本の新刊など ※ Monaca Educationを使って、アシアルが提供する 教材(APS)を利用することを想定した内容です
  30. 31 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 持っている本を管理するシステム

    (蔵書管理システム)を学ぶ② アプリプログラミングシート https://edu.monaca.io/template/aps • RDB蔵書 / RDB蔵書カスタマイズ① あんこエデュケーション https://anko.education/ • RDB(リレーショナルデータベース)蔵書管理アプリ https://anko.education/apps/rdb_zosho
  31. 32 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『情報システム』の授業のポイント

    教科書の他の内容と関連付ける • データベース → 収集・蓄積したデータの分析 → 知識の活用 • 情報システムのセキュリティ 身近なテーマを扱うシステム、身近なシステムを題材に • 想像しやすい • 経験者(例:レジ打ちをしたことがある生徒)がいるかもしれない • 詳細を検討したり、調べたりしやすい (応用)関連するシステムや、類似システムへ拡張していく • 課題・情報Ⅱなど • 例: POSシステム → 仕入・在庫管理システム • 例: POSシステム → オンラインショッピングサイト
  32. 33 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『データの活用』の授業のアイデア

    時間数: 1〜2コマ 必要なもの: • ストップウォッチ • PC、タブレット • 表計算ソフト
  33. 34 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『データの活用』の授業の目標

    • 簡単な実験をし、表計算ソフトを用いて記録し、データ の種類に応じた分析をする • より厳密な実験の計画と実施を学ぶ前に、一連の流れを経験する機会を作る • データの尺度(名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例 尺度)の区別を学ぶ • 尺度の種類によって、利用する統計値が異なること・分析(推定・検定)の 手法が異なることを理解する • 表計算ソフトのグラフ機能および統計機能の基本 的な使い方を身につける
  34. 35 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『データの活用』の授業のアイデア

    • 反応の速さを測る実験 • 落とした棒を掴む。棒にはあらかじめ目盛りをふっておき、何センチ落ち たところで掴んだかを記録する • 時間の感覚を測る実験 • ストップウォッチ(※スマホやPCのアプリでも可)の文字盤を見ずに 「10秒」測り、実際には何秒だったか記録する (早い場合もあれば、遅い場合もある)
  35. 36 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験①実施と記録

    実験を行い、記録する # 秒 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 # 秒 1 10.45 2 8.55 3 10.01 4 9.71 5 9.82 6 10.00 7 8.76 8 10.65 9 10.43 10 9.30
  36. 37 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験①'

    外れ値・欠損値 実験時に、ミスは起きる • ストップウォッチのストップボタンを押し損なう、スタートボタンを誤って押 してしまう など • 想定とは大幅に外れた値や、計測不可能な事象が起きる ミスの扱いを学ぶ • 「実験時に、異常な値を無視する・記録しない」のではなく、記録してお いた上で、集計・分析時に除外する操作をする • 単純な事故・ミスによる実験の失敗を防ぐために、練習を行うようにする
  37. 38 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験②集計

    基本統計量(平均、分散、標準偏差)を求める • 計算式を確認しながら、手計算で求める • 表計算ソフトを用いて簡単に求める • 関数 AVERAGE(), VAR(), STDEV(), MEDIAN() 度数分布表を作る • 表計算ソフトを用いて求める • 関数FREQUENCY() 回数 8秒以下 0 8秒〜8.5秒以下 0 8.5〜9秒以下 2 9〜9.5秒以下 1 9.5〜10秒以下 3 10〜10.5秒以下 3 10.5〜11秒以下 1 11秒〜 0 クラス 8 8.5 9 9.5 10 10.5 11 平均 9.768 分散 0.50204 標準偏差 0.7085478107 中央値 9.91
  38. 39 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験②''集計

    外れ値を決める • 標準偏差を用いる方法: • 平均から標準偏差×3以上離れた値は、 一律で外れ値として以後の集計・分析から除外する • 四分位範囲(第3四分位数ー第1四分位数)を用いる方法: • 上限: • 第3四分位数+四分位範囲×1.5 • 下限: • 第1四分位数-四分位範囲×1.5
  39. 40 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験③視覚化

    視覚化する • どのような分布になるか(ヒストグラム) • 回数を繰り返すとどうなるか(折れ線グラフ) • 表計算ソフトの機能を使う • 調整を行う
  40. 41 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験②'集計

    「目標の10秒からの前後の大きさ」 式 「=10-セルの参照」 # 目標との差 秒 1 -0.45 10.45 2 1.45 8.55 3 -0.01 10.01 4 0.29 9.71 5 0.18 9.82 6 0 10 7 1.24 8.76 8 -0.65 10.65 9 -0.43 10.43 10 0.7 9.3
  41. 42 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験③''視覚化の失敗例

    秒数で昇順に整列したデータをグラフ表示 • 単に少ない秒数から多い秒数に単調増加するグラフを描いただけ? • これだけでは、「グラフから何が言えるか」がよく分からない 順位 秒 1 8.55 2 8.76 3 9.3 4 9.71 5 9.82 6 10 7 10.01 8 10.43 9 10.45 10 10.65
  42. 43 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験④分析・考察

    この実験は、考察は難しい • 繰り返しても、単純に成績は改善しない • 極端に遅い(早い)→早かったり遅かったり・・・という推移をたどると思 われる • ズレの原因が多様なので、比較実験をするにはコントロールが難しい 「実験・記録・(表計算ソフトによる)集計」の入門とす る方がいいと思われる
  43. 44 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 時間の感覚を測る実験④'分析・考察

    比較実験をするなら • 物理的な運動を基準に10秒数える • 「腕を曲げ、伸ばす」は、1秒前後の運動 • これを10回繰り返すと、10秒前後になる • この運動をガイドにして10秒測るのと、何もガイド無しに10秒測る のと、どちらが正確か • 「20秒数える」の場合はどうなるか • ばらつきが大きくなることが予想される • 「目標10秒との差が平均1秒」と、「目標20秒との差が平均2 秒」はどう評価したらよいか? • 目標との差の平均では不足。分散や標準偏差が有用になる
  44. 45 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 『データの活用』の授業のポイント

    小さな実験から始める • 使える道具(概念、ツール)を少しずつ増やす • データを数十件集める実験をし、簡単な集計・可視化を表計算ソフトで実施 するだけでも、次のような概念・ツールが学べる • 関数 • 平均・分散・標準偏差・中央値 • 度数分布表 • 外れ値・欠損値 • グラフ • ヒストグラム • 折れ線グラフ 使える道具が増えた後のほうが、より実践的な実験を企 画・計画しやすくなるはず
  45. 46 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. まとめ

    『情報通信ネットワークとデータの活用』内容の整理 『情報通信ネットワーク』の授業のアイデア 『情報システム』の授業のアイデア 『データの活用』の授業のアイデア まとめ
  46. 48 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 参考)学習指導要領より①

    情報通信ネットワークを介して流通するデ ータに着目し,情報通信ネットワーク や 情報システムにより提供されるサービスを活用し,問題を発見・解決する活 動を通し て,次の事項を身に付けることが で きるよう指導する。 ア 次のような知識及び 技能を身に付けること。 (ア)情報通信ネットワークの仕組みや構成要素,プ ロトコルの役割及び 情報セキュリティを 確保するための方法や技術について理解すること。 (イ)データを蓄積,管理,提供する方法,情報通信ネットワークを介して情報システムが サービスを提供する仕組みと特徴について理解すること。 (ウ)データを表現,蓄積するための表し方と,データを収集,整理,分析する方法について 理解し技能を身に付けること。 イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。 (ア)目的や状況に応じて,情報通信ネットワークにおける必要な構成要素を選択するととも に,情報セキュリティを確保する方法について考えること。 (イ)情報システムが提供するサービスの効果的な活用について考えること。 (ウ)データの収集,整理,分析及び結果の表現の方法を適切に選択し,実行し,評価し改善 すること。
  47. 49 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 参考)学習指導要領より②

    (5) 内容の(4)のアの(ア)及びイの(ア)については,小規模なネット ワークを設計する活動を取り入れるものとする。 アの(イ)及びイの(イ)については,自らの情報活用の評価・改善につい て発表し討議するなどの活動を取り入れるものとする。 アの(ウ)及びイの(ウ)については,比較,関連,変化,分類などの目的 に応じた分析方法があることも扱うものとする。
  48. 50 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 東京書籍

    『情報Ⅰ Step Forward!』より 第4章 ネットワークの活用 • データの収集と種類 • データの分析 • 不確実な事象の解釈 • 2つのデータの関係 実教出版『高校情報Ⅰ』 (Python版/JavaScript版)より 第5章 問題解決 • データの収集と整理 • ソフトウェアを利用したデータの処理 • 統計量とデータの尺度 • Advance:データの分布と検定の考え方 • 時系列分析と回帰分析 • Advance:区間推定とクロス集計 • モデル化とシミュレーション • Advance:確定的モデルの シミュレーション • Advance:確率的モデルの シミュレーション 問題解決・データの活用の内容
  49. 51 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 「授業での取り扱い」の優先順位の案

    ※東京書籍 『情報Ⅰ Step Forward!』より 優先順位 ページタイトル/項目 備考 高 データの種類 • 質的データ/量的データ • 名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度 • 欠損値・外れ値 • データの種類によって分析方 法が異なる。後で分析方法を 学ぶ上で、この項目の理解は 必須 • 欠損値や外れ値の扱いも基本 なので、必須 データの可視化 • 教科書本文の説明は少ないが、 共通テスト(※サンプル問題) での扱いが大きい • 表計算ソフトの重要な用途 2つのデータの関係 • 相関関係と擬似相関 • 因果関係(3つの規準) • 相関関係は、表計算ソフトを使 うと容易に可視化・数量化でき る • 意味を理解していないと危険な 概念 中 不確実な事象の解釈 • 仮説検定 • 試行回数 • 標本調査・標本抽出法 • 帰無仮説・対立仮説の語は本 文に無いが、調査法や検定に ついて触れている • 「理数探究」の学習事項 低 テキストデータの分析・テキストマイニングの方法 実用例が多い重要な内容だが、実 習を行うには形態素解析ツールな どの追加が必要
  50. 52 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 「授業での取り扱い」の優先順位の案

    ※実教出版『高校情報Ⅰ』(Python版/JavaScript版)より ① 優先順位 ページタイトル/項目 備考 高 データの収集と整理 • データの収集(収集源とファイル形式) • データの結合(共通の項目を持つ表の結合) • 数値データの整理(欠損値・外れ値) • 文字データ・画像データの整理 • データの集め方(オープンデー タ)やデータの形式(CSV、 XMLなど)が紹介されている。 • 分析の前にデータのクリーニン グをしている • 特に探究的な実習を行うため には必要 高 ソフトウェアを利用したデータの処理 • 相対参照と絶対参照 • 関数の利用 • グラフの利用 • 並べ替えと抽出 • 表計算ソフトの基本概念の説 明をしている。この教科書では、 表計算ソフトを用いて統計学の 概念の理解・技法の利用を進 めようとしているため、必須 高 統計量とデータの尺度 • おもな統計量 • 度数分布表と箱ひげ図 • 分散と標準偏差 • 尺度水準(名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度) • 基本統計量の確認と、表計算 ソフトの関数の対照表を示す • データを視覚化や基本統計量 を求めるためのソフトの使用法 を説明している • データの種類によって分析方 法が異なる。後で分析方法を 学ぶ上で、この項目の理解は 必須
  51. 53 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 「授業での取り扱い」の優先順位の案

    ※実教出版『高校情報Ⅰ』(Python版/JavaScript版)より ② 優先順位 ページタイトル/項目 備考 高 時系列分析と回帰分析 • 時系列分析(移動平均法) • 回帰分析(回帰直線、モデル関数のグラフ表示、最小二 乗法) • 相関係数 • 検量線 • 時系列分析は、生徒に探究的 な活動をさせようとすると、必ず 必要になる • 相関係数や回帰直線は表計算 ソフトを使うと簡単に求められ るが、考え方・求め方を理解さ せる上で一定のハードルがあ る 中 モデル化とシミュレーション • モデル(物理モデル/論理モデル、静的モデル/動的モデ ル、確定的モデル/確率的モデル • 乱数を使った面積の計算
  52. 54 https://edu.monaca.io/ Copyright © Asial Corporation. All Right Reserved. 「授業での取り扱い」の優先順位の案

    ※実教出版『高校情報Ⅰ』(Python版/JavaScript版)より ③Advance 優先順位 ページタイトル/項目 備考 低 Advance:データの分布と検定の考え方 • 二項分布 • 期待値 • 正規分布・標準正規分布 • 母集団と標本 • 検定の考え方 • 片側検定と両側検定 • Z検定 • 平均の検定 • t分布 • t検定 • 平均の検定 • 2標本間のt検定 • 分布の種類を列挙 • 期待値の概念を説明し、分布 の種類によって期待値の計算 式が変わることを示唆 • 標準正規分布を説明すること で、データの標準化の手続きを 説明 • 推計統計を導入し、仮設検定 の概念(帰無仮説・対立仮説・ 有意水準)を説明 • 「何が分かっているか」「何を 仮説とするか」「分布の仮定」 によって、推定と検定の方法が 変わることを説明 低 Advance:区間推定とクロス集計 • 区間推定の考え方 • 信頼区間 • クロス集計 • 独立性の検定 • 点推定に続いて、区間推定を 説明 • 比例尺度でないデータについ て分析する方法として、クロス 集計・独立性検定を説明 低 Advance:確定的モデルのシミュレーション • 表計算ソフトの機能を駆使して シミュレーションする 低 Advance:確率的モデルのシミュレーション • 表計算ソフトの機能を駆使して シミュレーションする