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演劇と私とスクラム
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Tomonori Fukuta
October 24, 2026
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演劇と私とスクラム
Tomonori Fukuta
October 24, 2026
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Transcript
演劇と私とスクラム Theatre, Me, and Scrum リコーITソリューションズ株式会社 福田 朋紀
2
3 https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9420158
4 https://www.photo-ac.com/main/detail/35331356/1
ちんも •中間管理職 •Agile Evangelist •スクフェス大阪実行委員 •JISAアジャイルコミュニティ •CoderDojo鳥取 •演劇とTRPG好き 5
6
よろしく お願いします 7
Previously on Scrum in the countryside 8
Disclaimer 初めてちんもの発表を聴くというのに前回のあらすじとは何事だと思われ るかもしれませんごめんなさいごめんなさい。 本作は「田舎で十年スクラム」シリーズ15作目であり、ちんもと仲間たち の定点観測というコンテンツになっております。 9
田舎で十年スクラムシリーズの文脈 •製造業系企業グループ •ソフトウェア開発受託子会社 •田舎 •アジャイル/スクラムはじめて 20余年 10
JTCの地方拠点で ずっとアジャイル 11
2011年ごろから 十数回、 トータル数時間職場の 話をし続けているおじ 12
https://speakerdeck.com/chinmo 13
スクフェス福岡 2026 アジャイルなマインドセットを「取り戻す」 新人研修づくり リコーITソリューションズ株式会社 福田 朋紀
スクフェス福岡 2026 今後の野望 • より高性能のAI到来に備えて • 対話の経験をたくさん積ませたい • 演劇手法の導入 •
若いうちに多くの元気な大人と交流する機会を創出したい 15
スクフェス福岡 2026 ソフトウェア開発は 演劇になるかも 16
ソフトウェア開発は 演劇になるかも 17
18
演劇と私とスクラム Theatre, Me, and Scrum リコーITソリューションズ株式会社 福田 朋紀
今回は演劇の話です •演劇入門 •演劇からの学び •演劇から見たソフトウェア開発 •ちんもが演劇を開発にどう活かしているか 20
「演劇」と言えば 何を思い浮かべますか 21
演劇2500年。いろんな種類が •ギリシャ悲劇 •シェークスピア •能、狂言、歌舞伎 •劇団四季、宝塚 •即興(インプロ) 22
関係性の演劇 ※ちんも分類 観点 主体の演劇 関係性の演劇 出発点 人物の性格・欲望・信念・内面 人物同士の配置・文脈・状況 ドラマ 人物が目的を持って行動し、
衝突する やり取りの中で 関係性が立ち上がる 人物 この人だから、 こう行動する この関係の中で、 こうなってしまう 問い この人は何者で、 何をするのか この人たちの間で、 何が起きているのか 23
例:忠臣蔵 •主体の演劇: • 松の廊下の事件を境に、大石内蔵助が悩み、苦闘し、藩内をまとめ上 げ、討ち入りを成功させる •関係性の演劇: • 松の廊下の事件を境に、家臣たちの間で切腹・籠城・討ち入り・再就職 と意見が分かれ、それまで共有されていたはずの価値観の違いが表面化 する
24
ちんもと演劇 •ちんもは演劇を 「関係性を舞台上に立ち上げるもの」 として取り組んでいる •ちんもはソフトウェア開発を(演劇同様) 「関係性の表出によって結実するもの」 として取り組んでいる 25
ソフトウェア 開発は 関係性の結実 ≒ 演劇 26
今回は演劇の話です •演劇入門 •演劇からの学び •演劇から見たソフトウェア開発 •ちんもが演劇を開発にどう活かしているか 27
ちんもは関係性の演劇から何を学んだか 観点 主体の演劇 関係性の演劇 出発点 人物の性格・欲望・信念・内面 人物同士の配置・文脈・状況 ドラマ 人物が目的を持って行動し、 衝突する
やり取りの中で 関係性が立ち上がる 人物 この人だから、 こう行動する この関係の中で、 こうなってしまう 問い この人は何者で、 何をするのか この人たちの間で、 何が起きているのか 28
観点 •主体の演劇: • 受け取って欲しい事実やメッセージがある •関係性の演劇: • 受け取って欲しい状況や関係性がある • それらを前にして何を感じるかは観客それぞれ 29
出発点 •主体の演劇: • 個人がそれぞれの考え・内面を持っている •関係性の演劇: • 個人は関係性の中で自らの行為を発露する ※認識できるかすら不明 30
ドラマ •主体の演劇: • 異なる個人が意図を持って衝突するのが劇的 •関係性の演劇: • 関係性のなかでどうしようもなくそうなるのが劇的 31
人物 •主体の演劇: • その人物はこうだからこう行動する •関係性の演劇: • 関係性のなかで結果として人々がこうなってしまう 32
問い •主体の演劇: • その人が、どう考え、何をしてしまうか •関係性の演劇: • 人々の間で何が起きているようにあなたは捉えるのか 33
One More Thing: 訓練 •主体の演劇: • この物語で、役である私は何を求め、何をするか •関係性の演劇: • この役は、どんなコンテキストを持っていて、私のコ
ンテキストとどう折り合いをつけるのか 34
35
今回は演劇の話です •演劇入門 •演劇からの学び •演劇から見たソフトウェア開発 •ちんもが演劇を開発にどう活かしているか 36
関係性のソフトウェア開発 ※ちんも分類 観点 主体のソフトウェア開発 関係性のソフトウェア開発 出発点 明確な要求 人物同士の配置・文脈・状況 ドラマ 明確な役割分担
やり取りの中で 関係性が立ち上がる 人物 この役割だから、 こう行動する この関係の中で、 こうなってしまう 問い 仕様は何であり、 どうすればできるのか この人たちの間で、 何が起きているのか 37
観点 •主体のソフトウェア開発: • プロセスモデルの実装に従って進行する集団作業 •関係性のソフトウェア開発: • 群像劇 38
出発点 •主体のソフトウェア開発: • 明確な要求 •関係性のソフトウェア開発: • 要求は捉え難く変化するもので存在するかどうかすら曖昧 • 妥協や矛盾を孕んだ形で進行する 39
ドラマ •主体のソフトウェア開発: • 明確な役割分担における進捗がドラマ •関係性のソフトウェア開発: • 顧客やユーザ含めた関係性の中で実質的な役割が立ち上がる • 何だこの状況w がドラマ
40
人物 •主体のソフトウェア開発: • ロールの遂行責任(Responsibility) •関係性のソフトウェア開発: • ロールは説明責任(Accountability)でいいでしょ • その時誰がそれをするかは関係性の中で決まるでしょ 41
問い •主体のソフトウェア開発: • 仕様は?価値は? • どうやってリカバリするの? •関係性のソフトウェア開発: • 今この関係性の中でどんな相違が生まれているの? 42
One More Thing: 訓練 •主体のソフトウェア開発: • 技術力の向上 •関係性のソフトウェア開発: • 一人だけ上手になって何か解決するの?
• その前にちゃんとチームで訓練してる? 43
スクラムについて •いつか破られるものとしての「守」の価値 •説明責任、そうだよね! •価値基準をどうしたら育めるか書いてないの正直 • 基準が揃わない前提で私たちは取り組む必要がある (※フレームワークとして高い看板を掲げるのはそれで良いと思う) 44
None
今回は演劇の話です •演劇入門 •演劇からの学び •演劇から見たソフトウェア開発 •ちんもが演劇を開発にどう活かしているか 46
関係性の演劇からの学び •コンテクストのズレに謙虚/鷹揚になれる •役割がありながら影響し合う •訓練の重要性を知っている 47
関係性の演劇からの学び •コンテクストのズレに謙虚/鷹揚になれる • そもそも簡単じゃないからドラマになるんですよね •役割がありながら影響し合う •訓練の重要性を知っている 48
コンテクストのすり合わせが仕事 •関係性の構造を解き明かすことを諦めない • 想像もし得ないところから抜け出す必要がある • まずは自分の領分(だと思っている範囲)の外に関心 を持つ • 感謝から入ってもいいと思う! 49
「なぜこの人は変なことを言うのかな」 •その人に聞いたって何も解決しない • 言い負かしても解決しない • 変なのは自分かもしれない •そんなことになっているこの状況がドラマ! • 周辺の事情を読み解いていくことで物語の全貌が見えてくるゾ 50
足を使って調べまくれ •簡単に言ってしまえばステークホルダーマネジメント • ただし、表面的な役割に答えがあることはまず無い • 真の黒幕や発端を探る旅 •この案件のコンテクストを探る • 縦横ナナメ全部(上司・部下・同僚・別部署・知り合い・偉い人) •
歴史(そもそも… 昔はあの人が…) 51
スクラム実装の第一歩 •対話ができるようになること • 対話:コンテクストの違う人同士が、新しい結論を導く •コンテクスト • 自分や他者のコンテクストについて考えること • 自分のコンテクストを広げていくこと 52
それって ソフトウェア開発なの? 53
いや演劇ですね! 54
それってソフトウェア開発なの? •だって群像劇だと思ってるからね! • もう現実は本当に面白いドラマだらけ •続けていると、分からず屋に匙を投げるレベルが サイコパス級に低くなるゾ • 調べれば調べるほど自分のコンテクストが広がっていく 55
関係性の演劇からの学び •コンテクストのズレに謙虚/鷹揚になれる •役割がありながら影響し合う •訓練の重要性を知っている 56
演劇をつくるということ 演技と演出という二つの独立した活動があるのではない • 舞台という一つの作品に対して、観客の視点からの見方と、創作者の 視点からの見方が存在し、演技・演出ともにその見方を行き来する 演劇公演 観客がどう受け取り得るか 観客 どのようにつくるか 舞台
57 創作者
ソフトウェアをつくるということ 「どう捉えるか」と「どう関わるか」は別 • 企画者と開発者は複数の視点からソフトウェアを捉え、ドメインの問 題を解決する(分担するかは状況や関係性で決まることに過ぎない) ドメイン ユーザーがどう受け取り得るか ユーザー どのようにつくるか ソフトウェア
58 企画者、開発者
異なる役割が影響し合う •演出家は、自らの仮説の不備を衝く俳優との出会いを求める •俳優は決められた構想の実行者ではなく、その身体や判断が 演出側の仮説を問い直す契機となる •配置や環境を変える演出は、俳優の発話の条件そのものを変 える。演技の問題と演出の問題を常に切り分けられるわけで はない 59
異なる役割が影響し合う •企画者は、自らの仮説の不備を衝く開発者との出会いを求める •開発者は決められた構想の実行者ではなく、その設計や判断が 企画側の仮説を問い直す契機となる •配置や環境を変える判断は、開発者の設計の条件そのものを変 える。設計の問題と企画の問題を常に切り分けられるわけでは ない 60
だからもっと対話していいんだ •聞いていいし、提案していい • 心理的安全性が先なのか、対話が先なのか? •聞き方、言い方、接し方を鍛えるべき • 「空気を読まず人を傷つけず発言するスキル」ではなく、 「どのような状況であれば人は発話できるか」という コミュニケーションの構造に関する引き出しを増やす 61
関係性の演劇からの学び •コンテクストのズレに謙虚/鷹揚になれる •役割がありながら影響し合う •訓練の重要性を知っている • セリフうろ覚えで舞台に上がったらまあうまくいかない よね 62
なぜ今、訓練なのか •昭和の上達法 • 配属されるとそこにはベテランがいて、仕事のやり方から技術ま で仕事の中で指導される。顔を上げればベテランの仕事ぶりを間 近で見ることができる • 最初は簡単な仕事からはじめ、徐々に大きな領域を任せてもら う。いつしかベテランが去る時にベテランの担当範囲を任せても らって「一人前」に
63
なぜ今、訓練なのか •コロナ以降の難しさ • リモートワークでベテランムーブを観測できない • 案件が多様化・短納期化し、ずっと一緒に仕事できるロール モデルを獲得しづらい • 環境の変化が激しく、ベテランの知っていることだけでは仕 事ができない
64
訓練のメリット •会社、チームの世界観や方法論を再現可能にできる • 「基本姿勢」が身に付く •チームで学習すると、チームの練度が向上する • 言葉が共有できると、議論や決断のスピードが向上する • 学びの中で、相手のコンテキストを理解できる 65
訓練は大事。だから実装する •技術的卓越と関係性構築につながる施策を企画推進する • 読書会、技術コミュニティ、技術発表会、技術フェス、OST • スキル可視化 •自分が推進できないなら思い切り応援する • 提案する、自分が参加者になる、やっている人を褒め称える 66
訓練を文化にしていく •新人研修で New Standard をインストールする • 仕事の中で実験してみること、本を読むこと、発表する こと、教え合うこと、コミュニティに参加すること、 関係性に取り組むこと •配属されて
Old Type をブチ抜いてもらう 67
訓練の究極系:長期安定チーム •安定というのは、人が代わらないことではない • 世界観と方法論が維持されているということ • 訓練を通じて再現可能性を高めていること • その名前で、クオリティをイメージしてもらえること •そもそも企業がそうなんだから •
いわんやチームをや 68
まとめ 69
ソフトウェア 開発は 関係性の結実 ≒ 演劇 70
いや演劇ですね! 71
スクラムについてこれしか言ってない •いつか破られるものとしての「守」の価値 •説明責任、そうだよね! •価値基準をどうしたら育めるか書いてないの正直 • 基準が揃わない前提で私たちは取り組む必要がある (※フレームワークとして高い看板を掲げるのはそれで良いと思う) 72
関係性の演劇からの学び •コンテクストのズレに謙虚/鷹揚になれる •役割がありながら影響し合う •訓練の重要性を知っている 73
AI時代、 筋力としての技術力以外に 我々には何が必要でしょうか 一緒に考えていきましょう 74
次回予告
今回はちんもの意見だが、 本件について真剣に考えて いる人が、世界のどこかに いるんじゃ無いの? 76
RSGTかどこかで話します! 77
関係性の演劇に興味が湧いたら 『カガクするココロ2026』 作・演出 平田オリザ [会場]荏原河畔劇場 2026年11月6日(金)- 11月15日(日) https://ebara-riverside.com/play/play̲11679/ 78
None