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計算論的精神医学の論文データベース(CPSYMAP)のコンセプト

B9876944233f30c903c2c22da2ee00b2?s=47 CPSYMAP
June 14, 2021

 計算論的精神医学の論文データベース(CPSYMAP)のコンセプト

計算論的精神医学分野をより発展させるため、計算論的精神医学の論文を 神経科学、精神医学、数理モデルの観点で整理し 可視化できるデータベースを構築しました。https://ncnp-cpsy-rmap.web.app/
この資料はそのデータベースの概要とコンセプト、目指している未来についてお伝えします。

21.06.14 メジャーアップデートに合わせてスライドを更新しました!(スライドno.9~14)

主なアップデート内容
・半自動的に計算論的精神医学の論文を収集するクローリング機能の実装
・神経科学、精神医学、数理モデルのキーワードを元に自動的にタグ付け
・特定のタグをマップに表示しない除外タグ選択機能の追加
・機械的な半自動タグ付けと人手で登録された論文を分けて表示
・論文が人手で登録されると自動で呟くTwitter連携

B9876944233f30c903c2c22da2ee00b2?s=128

CPSYMAP

June 14, 2021
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Transcript

  1. 1 version 2020.06.01 計算論的精神医学の論⽂を 神経科学、精神医学、数理モデルの観点で整理し 可視化できるデータベースの構築 加藤郁佳 ⼭下祐⼀ 国⾥愛彦 沖村宰

    ⽚平健太郎 計算論的精神医学コロキウム
  2. 2 version 2020.06.01 計算論的精神医学 Computational Psychiatryとは 数理・理論的⼿法を精神医学研究に応⽤して新しい 知⾒をもたらそうとする研究領域 脳における知覚・認知をある種の“計算”ととらえ、そ の情報処理プロセスを数理モデル化することで精神

    疾患への理解を深める 精神疾患に関する⼤規模データに対して、機械学習 の⼿法を適⽤し、識別モデル等を開発する 精神医学が直⾯する問題を解決することが期待
  3. 3 しかし、神経科学・精神医学・数理モデルの観点間での 接続が不⼗分で研究の伸展が妨げられている場合がある 1. 神経科学 どんな認知機能や⾏動・回路などの分析 単位を対象にしているのか 1. 精神医学 どんな精神障害や症候学的徴候・精神病

    理学的問題が扱われているのか、何が扱 えていないのか 1. 数理モデル どんな⽅法論やデータ・理論・モデルを ⽤いているのか さらなる領域の発展のためには、個々の研究を以下の観点から整理し、俯 瞰できるようにする必要がある version 2020.06.01
  4. • 計算論的精神医学の論⽂を神経科学、精 神医学、数理モデルの観点でタグ付け • 2次元マップ上でタグに沿って研究領域の 状況を整理・可視化(⾊の濃淡で論⽂が 多い領域と少ない領域がわかる) • Webアプリケーションとして、誰でも CPSY研究の検索や登録、概観ができる環

    境を構築 その問題を解決するためにデータベースを作りました! 4 version 2020.06.01
  5. 5 WebアプリのTopページ URL: https://ncnp-cpsy-rmap.web.app/ version 2020.06.01

  6. 6 可視化部分は縦軸と横軸を選ぶことができます を押すとmapのページ へ! version 2020.06.01

  7. 7 特定のマスに含まれる論⽂を⼀覧で⾒たり並べ替えたり、 フィルター機能でマップ中の論⽂を絞り込むことができます version 2020.06.01

  8. 8 から論⽂の登録も可能 登録したい論⽂を指定してタグ付けできます version 2020.06.01

  9. 9 New:2021年6⽉メジャーアップデート version 2020.06.01 • 半⾃動的に計算論的精神医学の論⽂を収集するクローリング機能の実装 • 神経科学、精神医学、数理モデルのキーワードを元に⾃動的にタグ付け • 特定のタグをマップに表⽰しない除外タグ選択機能の追加

    • 機械的な半⾃動タグ付けと⼈⼿で登録された論⽂を分けて表⽰ • 論⽂が⼈⼿で登録されると⾃動で呟くTwitter連携
  10. 10 論⽂を収集するクローリング機能 version 2020.06.01 Pubmedから以下のクエリでクローリングして論⽂を収集 1. 疾患カテゴリ名(対応するMeSH Term*)とモデルの名前の組み合わせ 例)Neurodevelopmental Disorders

    [MeSH Terms] x "Reinforcement learning” →⾃動的に以下の2つのタグも付与される 2. ”Computational psychiatry”に合致する論⽂ タグの付け⽅は後述 * MeSH Term: Medical Subjest Headings の略で、 Pubmedで⽤いられている医学⽤語 の⾒出し
  11. 11 キーワードを元に⾃動的にタグ付け version 2020.06.01 • キーワード集を作成し類似するキーワードが含まれる論⽂にタグを付与 例) Abstract …this functional

    impairment of the inferior frontal gyrus in those at genetic risk of bipolar disorder reflects the dysfunction of broader network dynamics underlying the coordination of emotion perception and cognitive control. Breakspear, Michael, et al. "Network dysfunction of emotional and cognitive processes in those at genetic risk of bipolar disorder." Brain 138.11 (2015): 3427-3439. 対応するキーワード:Gene, genetic
  12. 12 除外タグ選択機能の追加 version 2020.06.01 デフォルトで表示する軸にタグがついていない 論文(unspecified)が表示されない仕様

  13. 13 ⾃動タグ付けと⼈⼿で登録された論⽂を分けて表⽰ version 2020.06.01

  14. 14 論⽂が⼈⼿で登録されると⾃動で呟くTwitter連携 version 2020.06.01

  15. 15 これから計算論的精神医学の研究を始め たい研究者 研究を始めようとしている領域を概観し、 どこにニッチがあるのかを整理し、研究 計画を練ることができる 例えばこんな⼈に使ってほしいと思っています 計算論的精神医学の論⽂をすでに書いて いる研究者 ⾃分や共同研究者の研究成果を登録して

    他の研究者が利⽤しやすしくし、引⽤数 が増えるかも?! version 2020.06.01
  16. 16 ここから、可視化できる軸の選定についてお話しします 1. 神経科学 どんな認知機能や⾏動・回路などの分析 単位を対象にしているのか 1. 精神医学 どんな精神障害や症候学的徴候・精神病 理学的問題が扱われているのか、何が扱

    えていないのか 1. 数理モデル どんな⽅法論や理論・データ・モデルを ⽤いているのか version 2020.06.01
  17. 研究領域基準 Research Domain Criteria(RDoC) 従来の疾患カテゴリー分類にとらわれない、⾏動神経科学の知⾒に基づいて精 神医学研究を体系化する枠組み(⽶国国⽴精神保健研究所:NIMHが提案) https://www.nimh.nih.gov/research-priorities/rdoc/research-domain-criteria-matrix.shtml version 2020.06.01 17

    1.神経科学との接続
  18. ⾏:コンストラクトとドメイン • 観測可能な⾏動神経科学的な基本 コンポーネントをコンストラクト として規定 • コンストラクトのスペクトラムと して精神疾患をとらえる • 関連するコンストラクトをドメイ

    ンとしてまとめる RDoC Matrix version 2020.06.01 18
  19. RDoC Matrix version 2020.06.01 19 列:分析単位 (Unit of analysis) •

    分析単位の変数をミクロからマ クロまで列挙 • Genes, Molecules, Cells, Neural circuits, Physiology, Behaviors, Self-reports, Paradigms から構成される
  20. カテゴリー的⽅略 vs 次元的⽅略 RDoCへの期待と懸念 カテゴリー的⽅略 次元的⽅略(RDoC) • DSM等が蓄積してきた診断 信頼性(inter-rater reliability)

    利点 • 蓄積されてきた神経科学の知⾒ を活⽤できる • ⽣物学的妥当性がない • 予測妥当性がない ⽋点 • 精神疾患の症状を⼗分にとらえ きれていない(精神症候学) • 臨床に実⽤的な診断分類基準に は結びつかない version 2020.06.01 20
  21. • 従来の疾患カテゴリー分類にとらわれない、⾏動神経科学の知⾒に基づいて 精神医学研究を体系化する枠組みとしてRDoCが提唱されている (⽶国国⽴精神保健研究所:NIMHが提案) • しかし多くの論⽂において、扱っている内容とRDoCとの対応は明⽰されて はいない。 21 version 2020.06.01

    既存のCPSY研究がどんな認知機能や⾏動・回路などの分析単位を対象にしてい るのかをRDoCを通じて対応させていくことが必要 1.神経科学との接続 まとめ データベースでは という項⽬でカバーしている
  22. 22 • RDoCは、従来の精神障害の疾病分類学、精神症候学をカバーできてはいな い。 • また、CPSYに取り組む研究者(特に精神医学を専⾨としない者)にとって、 精神症候学、精神病理学の観点から、どの症状が重要か、何を研究対象と すべきかを⾒通すのは難しい。 2.疾病分類学、精神症候学との接続 version

    2020.06.01
  23. 23 version 2020.06.01 RDoCでとらえきれていない精神疾患の症状の例 訴え 症状 想定される精神疾患 RDoC 思考の流れ、 まとまりの障害

    思考の進みが遅く停滞 思考の流れが突然遮断 思考制⽌ 思考途絶 うつ病 統合失調症 該当するコンス トラクト無し? 思考体験の障害 不合理な内容の考想、語句 などを意志に反して考えず にいられない 強迫思考、 強迫観念 強迫性障害 該当するコンス トラクト無し? 妄想 妄想気分、世界没落体験 妄想知覚、妄想着想、妄想 追想、被害・迫害妄想 微⼩妄想、誇⼤妄想 妄想 統合失調症、 躁うつ病、その他 該当するコンス トラクト無し?
  24. • RDoCは、従来の精神障害の疾病分類学、精神症候学をカバーできてはいな い。 • どの症状が重要か、何を研究対象とすべきかを⾒通すのが難しい。 24 version 2020.06.01 2.疾病分類学、精神症候学との接続 まとめ

    CPSY研究において、どんな精神障害や症候学的徴候・精神病理学的問題が扱 われているのか、何が扱えていないのかを⾒渡すことが必要 データベースでは という項⽬でカバーしている DSM: 疾患カテゴリーとの対応をタグ付け Symptomatology: 症状(不安、抑うつ、幻覚・妄想、など…)をタグ付け
  25. • CPSY研究では、様々な数理的理論・技術が⽤いられる。 • 例えば 「理論駆動 vs データ駆動」 「モデルフィッティングvs 損傷シミュレーション」 など“culture”が異なる⼿法があるが、⼀般には分かりにくい。

    25 version 2020.06.01 3.数理モデルとの接続 国⾥, ⽚平, 沖村, ⼭下, 「計算論的精神医学」, 勁草書房, 東京(2019)
  26. 「データ駆動アプローチ」 識別関数 識別モデル ⼊⼒:脳・⽣体情報 出⼒:クラス(ラベル/確率) ⼿法:サポートベクターマシン、回帰など 例:疾患 or 健康?/再発予測 f

    • 精神疾患に関する⼤規模データに対して、機械学習の⼿法を適⽤し、データ のクラスタリングや識別モデルの開発を試みる。 version 2020.06.01 26 Demirci, Oguz, et al. "A review of challenges in the use of fMRI for disease classification/characterization and a projection pursuit application from a multi-site fMRI schizophrenia study." Brain imaging and behavior 2.3 (2008): 207-226.
  27. 知覚・認識・判断・意志決定 感覚 運動・⾏動 種類、強さなどに応じ て数値化 関節⾓度、⾏動のパタ ーンなどで数値化 ⽣成モデルを⽤いた「理論駆動アプローチ」 • 脳における知覚・認知をある種の「計算」ととらえその情報処理プロセスを数

    理モデル化 version 2020.06.01 27
  28. ⽣成モデルの種類とモデル化の対象 国⾥, ⽚平, 沖村, ⼭下, 「計算論的精神医学」, 勁草書房, 東京(2019) version 2020.06.01

    28
  29. ⽣成モデルを⽤いた研究⼿法1 モデルフィッティング • 個⼈や疾患群のデータに近いデータを⽣成するモデルのパラメータを推定 することで、その個⼈や疾患群の認知・⾏動特性とその偏り・変調を表現 できる。 version 2020.06.01 29

  30. • モデルにおける変調と実際の⾏動・症状の類似性から精神障害の病態仮 説を形成する。 ⽣成モデルを⽤いた研究⼿法2: 損傷シミュレーション(Simulated lesion) による仮説形成 version 2020.06.01 30

    病態仮説形成
  31. 31 version 2020.06.01 3.数理モデルとの接続 まとめ • CPSY研究では、様々な数理的理論・技術が⽤いられる。 • “culture”が異なる複数のアプローチがあるが⼀般には分かりにくい。 どんな⽅法論やデータ・理論・モデルを⽤いているのかを⾒渡すことが必要

    データベースでは の3つで整理している。 Data type: Human data, Simulation などデータの種類 Experimental design: Generative model, Model fitting などの研究デザイ ン Models: Reinforcement learning, Neural network などモデルの種類
  32. • 計算論的研究が、従来の精神医学と神経科学とをリンクをすることに貢献す る。 • CPSYでは、どこが調べられていないのか、どのトピックが重要なのか?と いった点が、⾮専⾨家にとって⾒通しがよくなる。 • CPSYでは、⾼度な数理モデルや計算機シミュレーションが⽤いられるため、 精神医学、神経科学の専⾨家のみならず、情報学、物理学、⼯学など理⼯系 のエキスパートの参⼊が望まれる。

    • 異なる⼿法間の統合、特に、理論駆動とデータ駆動アプローチなどの相互 的・循環的な発展に貢献できる。 • 情報を、整理し蓄積するプラットフォームを構築することで、研究の効率化、 領域の活発化に貢献できる。 データベースが⽬指す未来 32 version 2020.06.01
  33. 33 • 川瀬 佑司(システム開発エンジニア) • fuku 株式会社 ⼭⽥涼太(論⽂収集・タグづけ⾃動化) • Chris

    Salzberg (システム開発助⾔) • 本プロジェクト構想の発端は、全脳アーキテクチャ(WBAI)勉強会における⼭ 川宏⽒との議論に刺激を受けたものです。 • また、本プロジェクトの⼀部は、JST CREST #JPMJCR16E2、JSPS科研費# JP18KT0021、#JP19H04998の⽀援を受けたものです。 version 2020.06.01 謝辞 運営団体:計算論的精神医学コロキウム 「計算論的精神医学」領域研究者のネットワーク構築・情報交換・ ディスッションのための有志の研究会