Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
「家族アルバム みてね」を支えるS3ライフサイクル戦略
Search
fanglang
April 03, 2025
Technology
4
950
「家族アルバム みてね」を支えるS3ライフサイクル戦略
fanglang
April 03, 2025
Tweet
Share
More Decks by fanglang
See All by fanglang
マルチCPUアーキテクチャ構成の実現に向けて
fanglang
1
300
海外から快適に使ってもらうためにしてきたこと / the battle with network latency
fanglang
0
4.7k
Other Decks in Technology
See All in Technology
デザインとエンジニアリングの架け橋を目指す OPTiMのデザインシステム「nucleus」の軌跡と広げ方
optim
0
120
CLIPでマルチモーダル画像検索 →とても良い
wm3
1
640
コンパウンド組織のCRE #cre_meetup
layerx
PRO
1
290
How Fast Is Fast Enough? [PerfNow 2025]
tammyeverts
2
160
Observability — Extending Into Incident Response
nari_ex
1
590
JSConf JPのwebsiteをGatsbyからNext.jsに移行した話 - Next.jsの多言語静的サイトと課題
leko
2
200
アノテーション作業書作成のGood Practice
cierpa0905
PRO
0
310
Open Table Format (OTF) が必要になった背景とその機能 (2025.10.28)
simosako
2
490
現場の壁を乗り越えて、 「計装注入」が拓く オブザーバビリティ / Beyond the Field Barriers: Instrumentation Injection and the Future of Observability
aoto
PRO
1
700
ざっくり学ぶ 『エンジニアリングリーダー 技術組織を育てるリーダーシップと セルフマネジメント』 / 50 minute Engineering Leader
iwashi86
6
3.5k
20251029_Cursor Meetup Tokyo #02_MK_「あなたのAI、私のシェル」 - プロンプトインジェクションによるエージェントのハイジャック
mk0721
PRO
6
2k
20251024_TROCCO/COMETAアップデート紹介といくつかデモもやります!_#p_UG 東京:データ活用が進む組織の作り方
soysoysoyb
0
130
Featured
See All Featured
Understanding Cognitive Biases in Performance Measurement
bluesmoon
31
2.7k
I Don’t Have Time: Getting Over the Fear to Launch Your Podcast
jcasabona
34
2.5k
Why You Should Never Use an ORM
jnunemaker
PRO
59
9.6k
Producing Creativity
orderedlist
PRO
348
40k
The Web Performance Landscape in 2024 [PerfNow 2024]
tammyeverts
10
890
Designing Dashboards & Data Visualisations in Web Apps
destraynor
231
53k
How to Think Like a Performance Engineer
csswizardry
27
2.2k
Evolution of real-time – Irina Nazarova, EuRuKo, 2024
irinanazarova
9
1k
Building an army of robots
kneath
306
46k
Practical Tips for Bootstrapping Information Extraction Pipelines
honnibal
PRO
23
1.5k
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
667
130k
Automating Front-end Workflow
addyosmani
1371
200k
Transcript
©MIXI 「家族アルバム みてね」を支えるS3ライフサイクル戦略 2025/04/03 春のSREまつり 〜 大規模サービス "あるある" との戦い事例 〜
©MIXI 尾関 芳郎 ソフトウェアエンジニア 株式会社MIXI みてねプロダクト開発部 プラットフォームG SREチーム 2018年1月よりSREとしてみてねにJoin テキサスホールデムポーカーとコーヒー豆の焙煎が趣味です。
@fanglang
©MIXI Agenda • サービス紹介 • 課題と目的 • S3バージョニングによるデータ保護 • ストレージクラスとライフサイクルルールによるコスト最適化
• 動画配信におけるライフサイクルルールの活用 • まとめ
©MIXI サービス紹介
©MIXI 「家族アルバム みてね」はスマホで撮った子どもの写真や動画を家族と共有し、 コミュニケーションして楽しむ家族アルバムサービスです。
©MIXI 熱量の高い「今」を、共有 気づけば「思い出」が、 溜まっていく 感動の振り返りがカンタンに! 熱量の高い今を共有し、気づくと、熱量の高い履歴が残っているというコンセプト
©MIXI ビジネスモデル 子どもや家族を中心に、より子育てが楽しく、安心・安全につながるサービスを提供。
©MIXI 写真関連商品 フォトブック・写真プリントで思い出をもっと楽しく。
©MIXI みてねみまもりGPS 頼もしく成長していくお子さまを、みてねが一緒にみまもります。
©MIXI ※ iOS・Android™ アプリ登録者数、ブラウザ版登録者数の合計
©MIXI
©MIXI みてね事業のMVV | Mission 世界中の家族のこころのインフラをつくる
©MIXI 課題と目的
©MIXI 改めて、「家族アルバム みてね」 (以下、みてね) とは • 写真・動画を無制限に保存できるサービス • ユーザー数:2500万人以上 (2025年1月時点)
• シェアされた写真・動画数:131億以上 (2024年3月時点) ※ iOS・Android™ アプリ登録者数、ブラウザ版登録者数の合計
©MIXI Amazon S3利用の現状と課題 • 大量の画像・動画データを保存するためにS3を広範に利用 • データ量の増加に伴うストレージコストの増大
©MIXI 本発表の目的 • みてねにおけるS3のライフサイクルを用いた具体例を紹介 • 特にコスト削減に貢献しているテクニックに焦点を当てる
©MIXI S3バージョニングによるデータ保護
©MIXI S3バージョニングによるデータ保護 • ユーザーの大切な写真・動画の誤削除は絶対に避けたい ◦ S3バージョニングの導入により、誤った操作によるデータ削除リスクの軽減 ▪ ただし、過去バージョンもストレージコストが発生 ▪ 「消したつもり」でもコストは減らない
• ライフサイクルルールの設定 ◦ バージョニング設定と合わせて、一定期間経過後の旧バージョン削除ルールを設定 ◦ リスクに配慮しつつ、過剰なコストを抑制 • みてねにおけるバージョニング運用 ◦ 特別な理由がない限り、全てのS3バケットでバージョニングを有効化
©MIXI ストレージクラスとライフサイクルルールによる コスト最適化
©MIXI S3ストレージクラス • ストレージクラスによる性能の違い ◦ レイテンシ ◦ 可用性 ◦ 料金
• アクセスパターンを分析することで最適なストレージクラスを選択
©MIXI S3ストレージクラス https://aws.amazon.com/jp/s3/storage-classes/
©MIXI みてねの写真・動画データアクセスパターンの分析 • アップロード直後がいちばんアクセス頻度が高い ◦ ユーザーからのアクセス、端末への保存 ◦ 解析処理 ◦ 月1回のフォトブック・写真プリント自動提案
• 1ヶ月間は取り出し料金を抑える必要がある ◦ S3 Standard • その後極端にアクセス頻度が落ちるが、UXを損なわないためリアルタイム性は維持 ◦ Glacier Instant Retreval • 30日間のライフサイクルルールを適用
©MIXI 動画配信におけるライフサイクルルールの活用
©MIXI 動画配信におけるライフサイクルルールの活用 • HLS (HTTP Live Streaming) の利用 ◦ アプリ上での動画再生はHLSを用いている
▪ 再生時にHLSデータがS3になければリアルタイムに生成して配信 ▪ 一定期間経てば削除することで再生用動画の保存コストを削減 ◦ 参考:みてねの動画再生にHLSを導入した話
©MIXI HLSファイルの削除までの期間の選定 • 保存期間を長くすると... ◦ S3ストレージコスト増 • 保存期間を短くすると... ◦ 再生成回数増、コンピュートリソース(EC2)コスト増
• 動画再生のログを元にアクセスパターンを分析 ◦ 保存期間毎に再生成のコストをシミュレーション ◦ コストが最も低くなる保存期間を算出
©MIXI まとめ • 「家族アルバム みてね」では、S3に大量のユーザーデータを保存 • S3バージョニングはオペレーションミスによるデータ損失リスクを軽減 • ストレージクラスの適切な選択とライフサイクルルールの組み合わせが、大量データ のコスト削減に不可欠
• アクセスパターンを分析し、ライフサイクルルールを柔軟に活用することで、UXとコ スト最適化を両立