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DeFiと日本法

 DeFiと日本法

2022年1月17日に行われたフィンテックエンジニア養成勉強会#21で創・佐 法律事務所 弁護士 斎藤 創さんが講演した「DeFiと日本法」の発表スライドです。
https://fintech-engineer.connpass.com/event/233518/

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Transcript

  1. 2022年1月17日 創・佐藤法律事務所 弁護士 斎藤 創 s.saito@innovationlaw.jp DeFiと日本法 1

  2. 自己紹介 弁護士 / NY州弁護士 斎藤 創 1999年4月 西村あさひ法律事務所(証券化、デリバティブ、ファンドなどの金融を中心に従事) 2013年夏 ビットコインに仕事で出会う

    2015年4月 独立して現事務所を設立(ブロックチェーン・FinTech・スタートアップなどを専門) (その他の経歴) 東京大学法学部卒、NY大学ロースクール卒、NYのローファーム勤務、日本ブロックチェーン協会顧問、 日本DeFiアソシエーションアドバイザー、日本STO協会監事、FinTech協会キャピタルマーケッツ分科 会事務局、元bitFlyer社外取締役。Chamber and PartnersのFinTech弁護士、Best LawyersのFinTech、 金融機関規制弁護士、Legal500のFinTech弁護士としてランクイン 2
  3. 目次 I DeFiの概要(DeFiと日本法まとめ以外省略) II Compoundの仕組みと日本法 III AMMの仕組みと日本法(ほぼ省略) IV 今後 3

  4. Ⅰ DEFIとは DeFi=Decentralized Finance(ディーファイ)/ 非中央集権型金融 従来の金融分野のサービスをスマートコントラクト(ほぼEtherium)を 活用して実現する 分散型ネットワークによる自律したエコシステム 中央集権の管理者を必要としない(ことを目指す) 4

  5. Ⅰ DEFIプロジェクトの分類 主要なDeFiプロジェクトの分類 ① ステーブルコイン(Maker DAO、Terraなどの分散型ステーブルコイン) ② レンディング (Compoundなど) ③

    DEX=Decentralized Exchange(dYdXなど)、AMM (Uniswapなど) ④ デリバティブ(dYdXなど) ⑤ Oracle (ChainLinkなど) ⑥ Aggregator、Vault (yearn financeなど) 5
  6. Ⅰ DeFiの現状と日本 6 DeFiは海外プロジェクトが中心(日本の存在感は低) 日本発の良いプロジェクトが出てくることを期待 現状はマニア向け(UI/UX、判りにくさ、リスク大きい)

  7. Ⅰ DEFIと日本法まとめ DeFiといっても様々なもの 法律の適用を考える際は、一つ一つ日本法を分析する必要がある 纏めて考えると、以下のようになると思われる ① 日本法は運営主体や販売を規制する法体系。完全に非中央集権なプロジェクトは日本の規制に 服さない ② 但し、中央集権的な部分が残っていると規制の可能性があり。例えば、DeFiデリバで決済はオ

    ンチェーンでやるが、デリバティブのマッチングには運営者がいる場合(dYdX)。DeFiのコイン を取り扱う通常のExchangeも当然規制 ③ 投資家側が規制に服することは通常はない 7
  8. Ⅰ DEFIと日本法まとめ 本来の考え方の順番 ① その行為は何に類似し、中央集権型であれば規制されるか ② 行為者はいるか 実務的な?考え方 ① 完全に非中央集権であれば規制はない

    ② 行為者がいる部分、分析するとどういう規制か ③ 規制がある場合、行為を変えたり、非中央集権にして規制を回避できないか 8
  9. II Compoundの仕組みと法律 9 Compoundは、Ethereumのメインネット上で稼働する分散型の暗号資産の銀行/マ ネーマーケット イールドファーミングの最大手プラットフォームの一つ イールドファーミング(直訳すると利回り農業) = 暗号資産やステーブルコインを DeFiのレンディングなどで運用することで、利息収入などの受動的な収入を得ること

  10. 暗号資産、ステーブルコインを貸付、cTokenというトークンを得る Ctokenを担保に、暗号資産、ステーブルコインの貸し付けを受けられる lender borrower crypto / stable coin crypto /

    stable coin collateral token representing share in pool (incentive) (incentive)       lending protocol units in a collective investment scheme? II Compoundの仕組み
  11. II Compoundの法的論点 11 貸金業、集団投資スキーム、暗号資産交換業(交換、カストディ)など一 つ一つ分解して要検討

  12. トークンが「配当」を受け取れるものだと電子記録移転権利(有価証券)の可能性 CompoundのcTokenは配当ではなく利息?そうだとすると暗号資産 lender borrower crypto / stable coin crypto /

    stable coin collateral token representing share in pool (incentive) (incentive)       lending protocol units in a collective investment scheme? II cTokenの性質
  13. II 貸付、借入と交換業、貸金業法 13 ①、②でクリプト又はステーブルコインを貸付、cTokenの発行を受けられる。④、⑤で はCtokenを担保に供することでクリプトやステーブルコインを受け取れる。 → 貸「金」ではないので貸金業法は適用されない。 → 所有権(類似の権利)を失う訳ではなく、通常の「売買」や「交換」とは異なり、交換業 ではない?

  14. 貸付や担保で提供するのはカストディではないのでは? スマートコントラクト管理でユーザーしか動かせないのならカストディではない lender borrower crypto / stable coin crypto /

    stable coin collateral token representing share in pool (incentive) (incentive)       lending protocol Custody? II Custody規制?
  15. II CompTokenの発行と交換業 15 CompToken(ガバナンストークン)の発行がICOと類似するものとして暗号資産 交換業になる? → あくまでおまけとしての配布。ICOと異なり交換業ではないのでは

  16. III AMM AMM(Automated Market Maker) =DEX (分散型取引所)の一種 オーダーブックを持たず、代わりに1つ以上の暗号資産のペアで構成され る流動性プールを使用 16

  17. AMMプール ユーザー ① トークンAやB ② プールのシェアを表すLPトー クン ⑥ B ⑤

    A + フィー B A 流動性 供給者 AMMプロトコル ③ 流動性の証としてのLPトークンの ステーク ④ ガバナンストークン マーケットメーカー フィー ガバナンストークン III AMM
  18. III AMM 各暗号資産の価格は、プール内の他の資産に対して測定 Uniswapは、プール内の各暗号資産の価格を決定するために以下の式を 使用 x * y = k

    xとyはプール内の各トークンの数 xとyは時間の経過とともに変化するが、kは一定であり、AMMは任意の 時点で各資産の価格を決定 18
  19. III AMM 例えば、X(500)×Y(400)=k(20万)として設定されたプール Xに20入れると、Y=20万÷520=384.6154となり、X1単位につき 0.769231のYが得られる。 次にXに20入れると、Y=20万÷540=370.3704となり、X1単位につき 0.71251のYが得られる プール内のXとYの価格が実際の市場価格から乖離している場合、裁定取 引の機会が生じる。裁定取引により全体的な市場価格に合わせて調整 充分にXとYの数が大きい場合にはスリッページは僅少になる

    19
  20. III AMM プールの流動性は流動性プロバイダー(LP)によって提供 流動性を提供することと引き換えに、LPはプールとの遣り取りで請求さ れる手数料に参加し、場合によっては追加のインセンティブとしてガバ ナンストークンを受け取る 20

  21. III AMMと法律 AMMであっても暗号資産交換業が問題となる ただ、仕組み自体はコントラクトで動いており、運営者がいない ↓ 暗号資産交換業ではない 「ガワ」を提供している人は交換業?ただガワがなくても動く仕組み LPトークンはセキュリティー? 21

  22. VI DeFi規制まとめ DeFiといっても様々なもの 上記の他に、例えばMaker DAO、dYdXなど検討すると関連する法律は異なる 法律の適用を考える際は、一つ一つ日本法を分析する必要がある 纏めて考えると、以下のようになると思われる ① 日本法は運営主体や販売を規制する法体系。完全に非中央集権なプロジェクトは日本の規 制に服さない

    ② 中央集権的な部分が残っていると規制の可能性がある ③ 投資家側が規制に服することは通常はない 22
  23. V DeFi規制の今後 各国や各国際団体でDeFiの規制の必要性を議論中 FATF(21年10月) DeFiサービスの取り決めにおいて支配力または十分な影響力を維持して いる者(これには個々のガバナンストークンの保有者が含まれる)などに ついては、FATF勧告により、規制対象となるVASP(暗号資産交換業者) に該当する可能性がある 23

  24. V DeFi規制の今後 国際決済銀行は(21年12月) 既存の規制・監督に関する原則が、DeFiに対する今後の規制・監督の指 針になりうる。 金融庁「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」中間 論点整理(21年11月) ステーブルコインに関する議論が主で、DeFiの議論は多くない。規制の 方向性は決まっていないように見える。(システムに関して技術中立に配 意しながら、当局が求められる機能・水準を示すことが重要、当局によ

    る機能の理解が重要、第三者がシステムの信頼性のチェック結果を公表 するなどのインセンティブ付けが重要、規制当局と技術者コミュニ ティー等との対話が必要、等の意見があった等) 24
  25. V DeFi規制の今後 現時点では本邦で、DeFiに照準を合わせた新たな法規制を国内で導入する必要性は薄いのでは ① DeFiプロジェクトの殆どは海外発。日本で規制を課しても海外プロジェクトへは効果が ない。ユーザーは海外プロジェクトを利用し続け、他方、国内におけるイノベーションを阻 害 ② 現在、国内でDeFiを積極的に利用している層は、DeFiに詳しいマニア層、消費者被害 の危険は少ない

    ③ DeFiを名乗りながら中央集権型の管理者がいるプロジェクトについては規制可能。 25
  26. V DeFi規制の今後 ④ DeFiに、現行の規制と同様に、内部管理体制やコンプライアンスオフィサー、内部 管理者などを置くことを求めることは、結局はDeFiを禁止することと変わらなくなる。 またDeFiの開発を禁止することも考えられるが、過大規制 ⑤ AML/CFT対策は必要であるが、日本に拠点のないプロジェクトに規制かけても実 効性乏しい。他方、暗号資産との交換は交換業者で行うことになり、 26

  27. 最後に 創・佐藤法律事務所のHPでは、他にもDeFiの分析資料(和・英)を提供しています。 https://innovationlaw.jp/articles/ 本件で、ご質問やご相談がある場合は、 下記までご連絡ください。 創・佐藤法律事務所 弁護士 斎藤 創 s.saito@innovationlaw.jp

    03-5545-1820 27