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ラジオの科学

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August 05, 2026

 ラジオの科学

オーディオ愛好家のための加工再生アプリ EffeTune に、物理シミュレーター方式のラジオエフェクトが追加になりました。
ノイズを「足す」のではなく、電波を作り、傷め、受信して鳴らすという実機と同じ物理を再現したエフェクタです。
こちらは、それを最大限楽しむための「ラジオの仕組み」の解説資料です。

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August 05, 2026

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Transcript

  1. 教 養 の 電 波 学 ラジオの科学 電波はどうやって「音」になるのか。 そして、あの懐かしい雑音はなぜ生まれるのか。 AM

    FM 短波 Frieve-A ・ 2026.8.6 解説動画: 【オーディオ】物理シミュレータラジオの音はどこまでリアルに近づけられるのか!?【EffeTune】 https://youtu.be/1_hd3YleLSQ RADIO SCIENCE 01 / 20
  2. はじめに この資料について その雑音には、理由がある オーディオ愛好家のための 加工再生アプリ EffeTune に、 物理シミュレーター方式の ダイヤルの向こうには、物理がある ラジオエフェクトが登場

    530 700 1000 1300 1600 ノイズを「足す」のではなく、電波を作り、 AM kHz 傷め、受信して鳴らす ―― 実機と同じ 物理 FM MHz 76 80 84 88 90 この資料は、それを最大限楽しむための 「ラジオの仕組み」案内 仕組みを知れば、雑音は物理現象の声に 変わる RADIO SCIENCE 02 / 20
  3. 基礎知識 なぜ「変調」が必要なのか 音は、電波に乗せて運ぶ 放送の全体図 変調 電波 音の波形 復調 音の波形 音(空気の振動)そのものは、遠くへは届かない

    そこで、空間をはるか遠くまで飛べる電波 = 搬送波に、音の情報を刻んで運ぶ 刻み方のルールが変調。AMとFMは「刻み方」の名前 💡 EffeTune のラジオシミュレーターは、この「乗せて、傷んで、戻す」の全工程を計算で再現している RADIO SCIENCE 03 / 20
  4. AMラジオ Amplitude Modulation = 振幅変調 AM ― 電波の「強さ」に音を刻む 音の波形 音の波形の値に合わせて、電波の

    振幅(強さ)を揺らす 搬送波 (一定の高い周波数) 電波の外形 = 包絡線が、音の 波形そのもの AM波 外形(包絡線)が音の波形になる 1920年代の放送開始から100年続く、 最古の放送方式 RADIO SCIENCE 04 / 20
  5. AMラジオ 包 絡 線 検 波 と い う シ

    ン プル な 発 明 受信は、驚くほどシンプル 包絡線検波の流れ 整流 届いたAM波 片側だけ残す なめらかにすると音が戻る 電波の「強さ」を測るだけで音が戻る = 包絡線検波 ダイオード1本と少しの部品で復調できてしまう 電池のいらない鉱石ラジオが成立したのは、この単純さのおかげ 💡 シミュレーターの Detector RC は、この「なめらかにする」回路の時定数を決めるパラメーター RADIO SCIENCE 05 / 20
  6. AMラジオ 単純さの代償 ノイズがそのまま音になる ノイズも「振幅の変化」として復調される 空間で加わったノイズも振幅の変化 ―― 雑音がそのまま聞こえる チャンネル間隔が狭く、音の帯域は ノイズが乗ったAM波 復調後

    ― パチッと音に出る 日本の規格上7.5kHz、実際の 受信機では5kHz程度 チャンネルは9kHz間隔でぎっしり (南北アメリカは10k Hz) だから、あの「狭くて温かい音」になる AMラジオ特有の「パチパチ」と「こもった音」 9kHz RADIO SCIENCE 💡 は、この2つの性質が正体 06 / 20
  7. FMラジオ Frequency Modulation = 周波数変調 FM ― 電波の「細かさ」に音を刻む 音の波形 振幅は一定のまま、音の波形の値で

    周波数を上下させる 波形が+なら密に、−なら疎に FM波 振幅は一定のまま 電波の「強さ」には、音の情報を 持たせない ―― これが後で効いてくる +で密(高い周波数) RADIO SCIENCE −で疎(低い周波数) 07 / 20
  8. FMラジオ リミッターという門番 FMがノイズに強い理由 振幅のノイズは、切りそろえ て捨てる リミッター 振幅が乱れたFM波 振幅ノイズが消えたFM波 空間で付くノイズの多くは、振幅の乱れとして現れる ――

    FMはそこに情報がない 受信機はリミッターで振幅を切りそろえ、乱れごと捨てる 音の帯域は15kHzまで ―― だから音楽放送の主役になれた それでも消えない「周波数の乱れ」が、ヒスノイズ(「サーッ」という高い連続雑音)になる。放送局側の「リミッター」は 💡 別物で、シミュレーターの Processing はその深さ RADIO SCIENCE 08 / 20
  9. 受信機の仕組み 選局・IFフィルター・チューニングずれ 「窓」で1局だけを切り出す 受信機は電波を一定の中間周波数(IF) 正しく同調 ― 窓の中央に局が入る IFフィルター(窓) へずらし、固定の窓 =

    IFフィルターで 1局分だけ通す 窓が狭いほど混信に強いが、音の高域も 削れる ずれた同調 ― 信号が窓からはみ出す 窓がずれる → 歪み・雑音 選局がずれると信号が片寄って歪み、 大きく外れると雑音だけが残る シミュレーターの Tuning・IF 💡 Band(AM/SWでは IF Bandwidth)が再 現しているのは、まさにこの現象 RADIO SCIENCE 09 / 20
  10. FMラジオ モノラル互換のステレオ多重 ステレオの隠し部屋 ― MPX信号 モノラル機でも聞けるよう、和(L+R)を 下に、差(L−R)を38kHz付近の「上の FMに乗せる前の合成信号 = MPX(マルチプレックス:多重)

    のスペクトラム 階」に置く 19kHzのパイロット信号が パイロット信号 「ステレオ放送中」の合図であり、差成分を 取り出す基準 0 L+R L−R モノラル成分 ステレオの差成分 15k 19k 38k 受信機は (L+R)+(L−R)=2L、 53k 周波数(Hz) (L+R)−(L−R)=2R で左右を復元 シミュレーターに表示されるスペクトラムが、 💡 まさにこのMPX信号 RADIO SCIENCE 10 / 20
  11. FMラジオ 三角ノイズとステレオの弱点 電波が弱ると、ステレオから壊れる FM復調後のノイズは高域ほど強い ―― 三角ノイズ FM復調後のノイズは、高い周波数ほど大きい 高域を持ち上げて送り、受信側で戻して 三角ノイズ 先に沈む

    ノイズごと下げる = プリエンファシス 「上の階」のL−Rが先にノイズへ沈む ―― ステレオはモノラルよりおよそ20dB不利 L+R 0 L−R 15k 19k 38k 受信機は自動でモノラルへブレンドし、 周波数(Hz) ヒスの増加を抑えて踏みとどまる 電波が弱るとヒスが増え、モノラルへ寄ってい 💡 く ―― その裏側がこの三角ノイズ RADIO SCIENCE 11 / 20
  12. FMラジオ FMスレッショルド(限界点) 限界の音 ― クリックノイズ 目安はC/N比 約12dB ―― これを 搬送波と雑音の比(C/N

    )で決まる受信の質 切るとFMは急に崩れる C/N 約12dB = スレッショルド 強い雑音が搬送波の位相を一瞬 クリック多発 ヒスが増える 限界付近の音 ― プチッという クリックが混ざる クリア 一回転させる ―― その瞬間が「プチッ」 弱るほど連発し、やがてザーッという 雑音の海に沈む 選局を大きく外したときの「ジリジリ」も、この 💡 限界現象の仲間 RADIO SCIENCE 12 / 20
  13. 電波の旅 反射がつくる歪み マルチパス ― 遅れてきた自分 電波はビルや山で反射し、 少し遅れたコピーが重なって届く 高層ビル 送信所 周波数によって強め合い・打ち消し合いが

    起こり、FMでは独特の歪みになる 反射波(少し遅れる) 直接波 走行中の車は干渉の縞を次々に横切る ―― フラッター(ぱたぱたした乱れ) シミュレーターの Multipath / Path 💡 Delay / Fading は、この反射波の量・遅れ・ 動きを決めている RADIO SCIENCE 13 / 20
  14. 電波の旅 中波はなぜ夜に遠くまで届くのか 昼と夜 ― 地表波と電離層反射 昼 ― 地表波だけが届く 中波(AM)は昼間、地面を這う地表波で 電離層(太陽がつくる、電気を帯びた大気の層)

    下層(D層)が吸収 地表波(近距離) 数十〜百km程度をカバー 電離層の下層(D層)は昼だけ電波を 吸収し、夜になると消える 夜は電離層反射が復活 ―― 遠くの局が 夜 ― 電離層反射が復活する 夜はD層が消えて、上の電離層が反射の鏡になる 反射して戻る 突然聞こえてくる シミュレーターの Skywave を上げる操作 💡 は、この「夜の電波」を混ぜる操作 数百km以上先まで届く(スカイウェーブ) RADIO SCIENCE 14 / 20
  15. 電波の旅 音量のうねりの正体 フェージングとAGCの追いかけっこ 経路の違う電波が重なり、強め合ったり ① 届く電波の強さ(フェージング) 打ち消し合ったり ―― フェージング 受信機のAGC(自動利得制御)が音量を

    ② AGCの増幅量(遅れて追いかける) 一定に保とうと追いかける 追い付けなかった分が、あの「ふわ〜っ」と ③ 聞こえる音量 = ①×② ― 追い付けない分がうねる いう音量のうねりになる トレモロ効果を足しているのではない ―― 💡 電波とAGCの攻防から自然に生まれる RADIO SCIENCE 15 / 20
  16. ノイズと混信 空電(くうでん) 雷は、地球最大の妨害局 雷のパルスが、受信機のフィ ルターで「鳴る 」 IFフィルター 狭い帯域だけ通す 雷の放電 鋭い電磁パルス(超広帯域)

    鐘のように鳴る →「パチッ」 雷の放電は超広帯域の強烈な電磁パルス ―― 数千km先まで届く 鋭いパルスが狭いフィルターを通ると、鐘のように余韻を引いて鳴る それが「パチッ」「ガリッ」という空電ノイズ ―― 短波は世界中の雷を拾う 💡 シミュレーターの Static は音を足すのではなく、電波の段階でパルスを足してフィルターに通している RADIO SCIENCE 16 / 20
  17. ノイズと混信 ヘ テ ロ ダイ ン ( う な り

    ) 「ピー」の正体 ― 搬送波のビート 2つの搬送波の「差」が音になる 2つの局の搬送波が重なると、差の 差の周波数 = 聞こえる音の高さ 周波数のうなりが復調されて音になる 中波は9kHz間隔(南北アメリカは 自分の局 隣の局 10kHz) ―― 高くかすかなピー 短波は5kHz間隔 ―― 低くよく聞こえる 重なった波には「うなり」が生まれる ピー(ヘテロダイン) 混信で聞こえる「ピー」の高さは、局の間隔そ 💡 のもの RADIO SCIENCE 17 / 20
  18. 短波ラジオ S h o r t Wa v e =

    短 波 地球の裏側から届く電波 短波は電離層と地表の間で 反射を繰り返して進む 電離層 ホップを重ねて数千〜1万km ―― 反射 反射 国際放送の主役だった 反射 送信所 長い旅路の影響をすべて受ける ―― 受信 音はもっとも波乱万丈 ひどくこもった音が、ゆっくり浮き沈みする 💡 ―― 短波の音は旅の記録そのもの RADIO SCIENCE 18 / 20
  19. 短波ラジオ 選択性フェージングと同期検波 水中サウンドと、それを救う技術 経路差のある電波が重なると、 周波数ごとに強弱の縞ができる (選択性フェージン グ) 周波数ごとに強弱の縞 = 選択性フェージング

    搬送波 縞 搬送波だけ凹むと検波が破綻 搬送波だけが凹むと包絡線検波が破綻 ―― 歪んだ「水中サウンド」に 同期検波は PLL(位相同期回路)で 同期検波 ― 高級受信機の切り札 弱った電波 PLLで搬送波を作り直す きれいな基準で復調 搬送波を再生して復調し、破綻を回避する 歪み減少 シミュレーターの Detector: 💡 Synchronous で音が立ち直るのは、この 理屈 RADIO SCIENCE 19 / 20
  20. まとめ 三方式の比較 AM・FM・短波 それぞれの持ち味 AM(中波) FM 短波 音の乗せ方 振幅(強さ) 周波数(細かさ)

    振幅(AMと同じ) チャンネル間隔 9/10kHz 100〜200kHz 5kHz 音の帯域 〜5kHz(規格7.5k) 15kHz 〜4.5kHz程度 ノイズ耐性 弱い 強い 弱い(環境は最も過酷) ステレオ △(末期にAMステレオ) ◦ パイロット方式 × 持ち味 広く届く・ながら聴取 高音質の音楽放送 地球規模の国際放送 劣 化 も 、 雑 音 も 、 すべ て は 物 理 現 象 。 ―― だから、計算で蘇らせることができる。 RADIO SCIENCE 20 / 20