Upgrade to PRO for Only $50/Year—Limited-Time Offer! 🔥
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
「アナザーエデン 時空を超える猫」の5年前のログを引っ越してデータドリブンで事業運用プロセスを...
Search
gree_tech
PRO
October 13, 2023
Technology
0
730
「アナザーエデン 時空を超える猫」の5年前のログを引っ越してデータドリブンで事業運用プロセスを改善した話
GREE Tech Conference 2023で発表された資料です。
https://techcon.gree.jp/2023/session/TrackB-7
gree_tech
PRO
October 13, 2023
Tweet
Share
More Decks by gree_tech
See All by gree_tech
REALITY株式会社における開発生産性向上の取り組み: 失敗と成功から学んだこと
gree_tech
PRO
2
160
『ヘブンバーンズレッド』におけるフィールドギミックの裏側
gree_tech
PRO
2
110
セキュリティインシデント対応の体制・運用の試行錯誤 / greetechcon2024-session-a1
gree_tech
PRO
1
120
『アナザーエデン 時空を超える猫』国内海外同時運営実現への道のり ~別々で開発されたアプリを安定して同時リリースするまでの取り組み~
gree_tech
PRO
1
94
『アサルトリリィ Last Bullet』におけるクラウドストリーミング技術を用いたブラウザゲーム化の紹介
gree_tech
PRO
1
120
UnityによるPCアプリの新しい選択肢。「PC版 Google Play Games」への対応について
gree_tech
PRO
1
130
実機ビルドのエラーによる検証ブロッカーを0に!『ヘブンバーンズレッド』のスモークテスト自動化の取り組み
gree_tech
PRO
1
140
"ゲームQA業界の技術向上を目指す! 会社を超えた研究会の取り組み"
gree_tech
PRO
1
170
Jamstack でリニューアルするグリーグループのメディア
gree_tech
PRO
2
340
Other Decks in Technology
See All in Technology
RDRAとLLM
kanzaki
4
480
累計2500万着電を支える大規模 電話自動応答サービスのアーキテクチャ / Architecture of a Large-Scale Automated Phone Response Service Supporting 25 Million Cumulative Calls
ymachida
8
4.1k
EthernetベースのGPUクラスタ導入による学びと展望
lycorptech_jp
PRO
0
400
4年で17倍に成長したエンジニア組織を支えるアーキテクチャの過去と未来
sansantech
PRO
1
4.6k
Nutanixにいらっしゃいませ。Moveと仮想マシン移行のポイント紹介
shadowhat
0
200
Microsoft 365と開発者ツールの素敵な関係
kkamegawa
1
1.1k
RAMP2024
takeyukitamura
3
220
電話を切らさない技術 電話自動応答サービスを支える フロントエンド
barometrica
2
1.9k
乗っ取れKubernetes!!~リスクから学ぶKubernetesセキュリティの考え方~/k8s-risk-and-security
mochizuki875
3
400
GeminiとUnityで実現するインタラクティブアート
hokkey621
0
270
Windows Server 2025 Pay as you Go ライセンスを試す
murachiakira
0
180
Next.jsとNuxtが混在? iframeでなんとかする!
ypresto
3
2.4k
Featured
See All Featured
The Web Performance Landscape in 2024 [PerfNow 2024]
tammyeverts
1
210
Building Adaptive Systems
keathley
38
2.3k
Keith and Marios Guide to Fast Websites
keithpitt
410
22k
Docker and Python
trallard
40
3.1k
Measuring & Analyzing Core Web Vitals
bluesmoon
4
150
[RailsConf 2023] Rails as a piece of cake
palkan
52
5k
The Invisible Side of Design
smashingmag
298
50k
A Modern Web Designer's Workflow
chriscoyier
693
190k
Practical Tips for Bootstrapping Information Extraction Pipelines
honnibal
PRO
10
760
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
27
5.3k
Building Applications with DynamoDB
mza
90
6.1k
Building an army of robots
kneath
302
43k
Transcript
アナザーエデンの5年前のログを引っ越して データドリブンで事業運営プロセスを 改善した話 株式会社WFS アナリスト 高塚 麻耶 株式会社WFS マネージャー・シニアデータエンジニア 郡司
匡弘
アジェンダ 1. 本日お話しする内容 2. WFSとアナザーエデンの説明 3. データ分析のDX化とデータ分析の問題点 4. DX化の方法 5.
DX化のスケジュールと体制 6. 作業内容の詳細 7. DX化を推進した結果 8. 今後改善していきたいこと 9. まとめ〜データ分析のDX化について〜 2
郡司 匡弘 自己紹介 • 株式会社WFS / 開発本部 / Data Platform
チーム • 略歴 ◦ 2015年グリー株式会社に入社 ◦ スマートフォンゲームの共通基盤 (課金・認証)のエンジニアを担当 ◦ AIチャットボットの開発を担当 ◦ ファンコミュニティサービスの Fanbeatsの 開発責任者 ◦ ゲームのログ分析基盤の開発責任者 • 講演実績 ◦ CEDEC2018で「モバイルゲームのお 問い合わせ対応にて AIチャットボットを導入してお問い合わ せ件数を約20%削減した話」 ◦ CEDEC2023で「1日10億件のモバイ ルゲームのログをログ分析基盤で低コ ストで運用した話」 3 マネージャー・シニアデータエンジニア
高塚 麻耶 自己紹介 • 株式会社WFS / 第3スタジオ部 / Game Design
1 グループ • 略歴 ◦ 2020 年にグリー株式会社に新卒入社 ◦ 入社後は株式会社 WFSのData PlatformチームとAnalysisチームに て各ゲーム運用タイトルのログ解析基盤 の導入と分析などを担当 ◦ 現在は「アナザーエデン 時空を超える 猫」のアナリストを担当 • 講演実績 ◦ 2022年gree tech「データエンジニアと アナリシスを兼務した話」 4 アナリスト
1.本日お話しする内容 5 対象の受講者の方 得られる知見 長期運営のゲーム・サービスに関わっており、 • データ分析の仕方に悩んでいる方 • データドリブンでの運営ができていない方 •
高額なデータ費用に苦労している方 • データ分析のDX化を行うことで、運営フローがどの様に変わったか • データ費用の削減方法について
1.本日お話しする内容 6 本セッションの内容 • 昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されていますが、 データ分析の観点においてもDX化が必要な場合があります。 • 例えば、モバイルゲームのような変化の激しい業界では、 データを基にした事業運営ができるとPDCAを回しやすくなりますが、 ゲームタイトルによってはクリエイティブ思考で
あまりデータ分析ができていない場合もあると思います
1.本日お話しする内容 7 本セッションの内容 • 本セッションでは、リリースから5年が経った 「アナザーエデン 時空を超える猫」のゲームタイトルについて、 過去5年間のログを別のクラウドサービスに引っ越すことで、 データドリブンで事業改善に繋がった事例をご紹介します! •
分析体制や文化まで変えることができました! 苦労したことや得られた知見を共有いたします!
2.WFSとアナザーエデンの説明 8 • 主にモバイルゲームの開発・運営をしている会社 • 「ヘブンバーンズレッド」、「アナザーエデン 時空を超える猫」などの タイトルを展開しています 株式会社WFSの説明
2.WFSとアナザーエデンの説明 9 • シングルプレイ専用RPG • 国内/海外運営、モバイル配信、PC配信 • 2023/4/12で6周年 • アナザーエデンのPC配信については、GREE
Tech Conference 2021で登壇いたしました ◦ 「アナザーエデンPC版リリースへの道のり 〜WFSにおけるマルチプラットフォーム対応の取り組み〜 」 ◦ https://techcon.gree.jp/2021/session/Session-7 「アナザーエデン 時空を超える猫」の説明
2.WFSとアナザーエデンの説明 • 2021年〜2022年にかけて、「ヘブンバーンズレッド」をはじめ、 新規タイトルのリリースが予定されていたため、 ログ分析基盤を強化する必要性が高まった • 昔からデータに関する組織は存在していたが、 分析組織を拡大することを決め、 WFSでデータ組織を作った •
「アナザーエデン」や「ヘブンバーンズレッド」などの事業運営が良くなる様に データを分析しつつ改善提案を実施しています!! 10 WFSの分析組織の変遷について
3.データ分析のDX化とデータ活用の問題点 11 6年前のデータは現在の ユーザデータと特性が異 なるため、あまり参考にな らない 長期運営しているアナザーエデンの悩み 6年前からデータが 溜まってサーバ費用が高額
データ分析よりも クリエイティブ思考の事業運 営であった 昔のシステムなので、 SQLを実行しても遅くて 分析するのも大変 データ分析のDX化を 検討しました! ゲームだけではなく 長期運営している一般的 なWebサービスにも 当てはまると思います
3.データ分析のDX化とデータ活用の問題点 12 DX化とは(ChatGPTに質問してみました) • 「DX化」とは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略。 企業や組織がデジタル技術を導入し、その経営や業務プロセスを変革する取り組み ◦ テクノロジーの導入:
最新のテクノロジーを利用して、組織の効率を向上させる。 ◦ ビジネスモデルの変革: デジタル技術を活用して、新しいビジネスモデルやサービスを創 出する。 ◦ 組織文化の変革: 組織全体でデジタルマインドセットを育むことで変革を進める DX化とは、 テクノロジーを導入して、ビジ ネスモデルや組織を 変えていくことです データ分析においても、 システムを変えて事業運営プ ロセスや組織が変われば DX化になります
3.データ分析のDX化とデータ活用の問題点 13 アナザーエデンのデータ活用の問題点 ゲームの面白さ・定性的なデータの活用を重視した分析は行っていた リリース時からデータを取得していたので、定量分析に活用できるデータは大量にある 定量データが活用しにくい環境 ①クエリ実行が重く、結果を出すまでに時間がかかる ②過去のデータの設計内容が分析向きではない また、サーバー費用も長期の運営により高くなっていた しかし
データ分析をDX化することで下記を目指しました! • データドリブンでの事業運営ができること! • ログ分析基盤のコストを削減! 3.データ分析のDX化とデータ活用の問題点 14 アナザーエデンのデータ分析をDX化することにしました!
WFS • 会社全体で分析する文化をより構築して いきたい • データを活用してより事業の改善に繋げ たい アナザーエデン運営 • 定量データを活用し、ゲームをより良 くしていきたい • ログ基盤のコスト削減を行いたい
4.DX化の方法 15 フェーズ1 フェーズ2 フェーズ3 AWS GCP ログ分析基盤を移行 KPIツール刷新 アドホック分析改善
DX化する際のフェーズを3段階に分けました! 15 ヘブンバーンズレッドが GCPのログ分析基盤だっ たので、今回もGCPに移 行しました
5.スケジュールと体制 • ログの引っ越し ◦ スケジュール ▪ 8ヶ月 ◦ 移行体制 約10名
▪ データエンジニア ▪ サーバエンジニア ▪ インフラエンジニア 16 8ヶ月 4ヶ月 16 • 分析準備 ◦ スケジュール ▪ 4ヶ月 ◦ 準備体制 数名 ▪ データアナリスト
6.フェーズ1 ログ分析基盤を移行 全部で350TB→3つの基準で選定し、250TB(-100TB)に対象を絞る • ①GCS移行 & 全期間分BigQueryにもデータを取り込み ◦ 課金系、アクセスログ •
②GCS移行 & 1年分のみBigQueryにもデータを取り込み ◦ バトル、アイテム所持ログ • ③移行しないで削除 ◦ 過去に分析用に作成したもの 経験したことのない膨大な量を別のクラウドに転送する データ選定 優先度高から 転送用にデータ変換 転送イメージ GCSに転送し BigQueryへ取り込み 作成者や目的が不明になっていたものが 多かったので移行しないことに 17
6.フェーズ1 ログ分析基盤を移行 重要なKPIは定義を他タイトルに揃え、それ以外は最適化 • 新規タイトルに比べてbotアカウントがかなり少ない → bot用の処理を最小限に • 海外と日本でリリース内容が異なる →
環境を全て分けて作成 • PC版もリリースしているのでデバイスはios,androidだけでなくPC版も追加 どちらも両立できるようにした タイトル同士の横比較ができる タイトル特有の運用に合わせる 分析用に設計されていないログが多い 18
6.フェーズ2 KPIツール刷新 見たい数値に触れやすい環境作り = 条件を変えて見れるダッシュボード& 日々投稿されるslack bot • 直感的に日付・地域・デバイスなど条件を変更して見れるダッシュボードを作成 • slackのbotで専用チャンネルに毎日サマリー投稿
• 新しいガチャのリリース当日には毎時で売上グラフをslackに投稿 KPIを日々確認するのが大変、面倒 19
6.フェーズ2 KPIツール刷新 ダッシュボードイメージ 20 KPIを日々確認するのが大変、面倒 日本版、海外版、基本的な KPIやインストール、商材の 売上など 項目別に数ページから選択
6.フェーズ2 KPIツール刷新 KPIを日々確認するのが大変、面倒 slack KPI通知 21 スプレッドシート 数値・グラフをbot で投稿
運用方針 ・毎日見る重要なKPI → ダッシュボード ・急に見たいもの → スプレッドシート ・速報的に手軽に確認したいもの → slack
6.フェーズ3 アドホック分析改善 分析チームがより運営と密に連携するように体制や分析内容を改善 • ①アナリストも運用チームに入り、運営の意識をもって分析するように • ②定期的に運用チーム・マーケティングチーム・分析チームで、 今の課題や今後の施策について分析内容を相談するように • ③分析のスピードを上げて、素早く事業運営に反映するようにした
分析チームと運用チームの連携をより深める必要があった 22
7.DX化を推進した結果 事業運営プロセスの改善 に繋がった 分析能力が上がった 費用が下がった データ管理を 行いやすくなった DX化により分析能力の向上、データ管理が行いやすくなり、 運営プロセスの改善に繋がった!また、サーバーの費用も下がった! 23
7.DX化を推進した結果 費用 • 移行時のコスト(サーバ費用・人件費) はかなりかかった ◦ 8ヶ月間の人件費 ◦ データ移行費用 ◦
パイプライン開発費用 ▪ GCSからBigQueryへのデータ取り込み • サーバ費用は1ヶ月当たり数百万コストダウン ◦ 理由:データの整理を行い、管理データを大幅に削減 ◦ :サーバーの運用工数が、クラウドサービスに移行して削減 ◦ :クエリ料金メインの課金体系に変わった が、 クエリも高速化したのでクエリ料金削減 長期的に見ればコストダウンになっています! 24
7.DX化を推進した結果 分析能力の向上 • 検索速度の向上 ◦ 1回に5分かかっていたクエリが 10秒程度に ▪ [前] 複雑なクエリ実行には
30分以上かかることも。諦めたり作業モチベが下がっていた ▪ [今] 重たいものでも実行が 数分なので、毎時の集計なども行うようになった。 作業モチベも上がった! • 汎用性 ◦ Looker Studio・GCS・スプレッドシートなど Google系のアプリケーションとの連携 25 データ管理の改善 • 移行時にKPIの再定義、データウェアハウス・データマートの再構築 ◦ タイトル横断のクエリが使用できるようになり、工数削減に ◦ 分析用、ゲームログ、CS対応用など用途別にデータセットを分けたため、 目的のテーブルを探しやすくなった
7.DX化を推進した結果 事業運営プロセスの改善 定量データから施策の作成・改善する流れが定着 今までは定性的なデータを重視していたが、定量的なデータもさらに活用するように 分析能力の向上で、早く、少ない工数で分析が行えるように 分析を頼みやすくなった ユーザーの遊び方を知りたい 前回の施策の効果が見たい 次の施策用に材料のデータが欲しい
DX化する前より定量データを扱う機会が増えた 26
7.DX化を推進した結果 具体的に行った分析・ゲームの改善につながった例 • スコアアタックのパーティ編成 • メインストーリーの進捗状況 27 各種KPIや分析内容は公表でき ないものが多いです>< ほんの一部ですが、
ご紹介いたします!
7.DX化を推進した結果 具体的に行った分析・ゲームの改善につながった例 • スコアアタックのパーティ編成 ◦ 今まで:編成ログはあったが、分析にかなり時間がかかる状態だった ◦ 改善後:新施策の使用パーティを調査 ◦ →運営の考える使用キャライメージと、実際が乖離していないかを確認でき
る 28
7.DX化を推進した結果 具体的に行った分析・ゲームの改善につながった例 • メインストーリーの進捗状況 ◦ 今まで:一定期間経った後に、クリア状況を確認 ◦ 改善後:毎日クリア状況を確認できるように ◦ →キャンペーンの効果を測定し、次回のキャンペーン内容決定の材料に
◦ →クリアが停滞している場所が分かり、進めやすくする改善を検討 グラフイメージ 29
7.DX化を推進した結果 大変だったこと • データ移行、再集計にかかる時間や費用の見込みを立てるのが難しかった • データ移行の際にも圧縮できないデータや取り込めないデータがあるため、解決す るのに苦労した • 長期運営のため、消費税の切り替わりなど、当時の状況に応じたデータチェックを 200テーブルぐらい行うのに手間取った
運営チームからの反応 • slackで数値・グラフを簡単に確認できるから便利!! • どういった施策がいいか考える際に参考になる DX化した感想・反応・大変だったこと 苦労しましたが、運営チーム からの喜びの声も多く、頑 張って良かったです!!
8.今後改善していきたいこと 31 他タイトルの先駆け・展開できるような分析を行う • タイトル同士の横比較・連携が可能になった • 他の新規タイトルも長期運営化 ◦ アナザーエデンと似たような課題にぶつかると想定される •
5年分のデータを活用し、長期タイトルゆえの課題に取り組み、 他タイトルへの展開を行いたい 31
9.まとめ〜データ分析のDX化について〜 32 定量分析に使えるデータが膨大にあるが、活用しにくい環境だった まず分析をしやすい環境に整える • 分析性能に特化したクラウドサービスに、ログを引っ越し • KPIツールを新たに作成 •
アドホック分析の改善 分析能力が上がった データ管理を行いやすくなった 費用が下がった 定量分析を行いやすい環境ができ、今まで以上に定量データを運用に 活用できるようになった! 32 6周年を向かえたアナザーエデンですが、今後もユーザの皆様に より良いゲームをお届けできる様に頑張りたいと思います!!
33 ご清聴ありがとうございました!