Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

「アナザーエデン 時空を超える猫」の5年前のログを引っ越してデータドリブンで事業運用プロセスを...

gree_tech
October 13, 2023

「アナザーエデン 時空を超える猫」の5年前のログを引っ越してデータドリブンで事業運用プロセスを改善した話

GREE Tech Conference 2023で発表された資料です。
https://techcon.gree.jp/2023/session/TrackB-7

gree_tech

October 13, 2023
Tweet

More Decks by gree_tech

Other Decks in Technology

Transcript

  1. アジェンダ 1. 本日お話しする内容 2. WFSとアナザーエデンの説明 3. データ分析のDX化とデータ分析の問題点 4. DX化の方法 5.

    DX化のスケジュールと体制 6. 作業内容の詳細 7. DX化を推進した結果 8. 今後改善していきたいこと 9. まとめ〜データ分析のDX化について〜 2
  2. 郡司 匡弘 自己紹介 • 株式会社WFS / 開発本部 / Data Platform

    チーム • 略歴 ◦ 2015年グリー株式会社に入社 ◦ スマートフォンゲームの共通基盤 (課金・認証)のエンジニアを担当 ◦ AIチャットボットの開発を担当 ◦ ファンコミュニティサービスの Fanbeatsの 開発責任者 ◦ ゲームのログ分析基盤の開発責任者 • 講演実績 ◦ CEDEC2018で「モバイルゲームのお 問い合わせ対応にて AIチャットボットを導入してお問い合わ せ件数を約20%削減した話」 ◦ CEDEC2023で「1日10億件のモバイ ルゲームのログをログ分析基盤で低コ ストで運用した話」 3 マネージャー・シニアデータエンジニア
  3. 高塚 麻耶 自己紹介 • 株式会社WFS / 第3スタジオ部 / Game Design

    1 グループ • 略歴 ◦ 2020 年にグリー株式会社に新卒入社 ◦ 入社後は株式会社 WFSのData PlatformチームとAnalysisチームに て各ゲーム運用タイトルのログ解析基盤 の導入と分析などを担当 ◦ 現在は「アナザーエデン 時空を超える 猫」のアナリストを担当 • 講演実績 ◦ 2022年gree tech「データエンジニアと アナリシスを兼務した話」 4 アナリスト
  4. 1.本日お話しする内容 5 対象の受講者の方 得られる知見 長期運営のゲーム・サービスに関わっており、 • データ分析の仕方に悩んでいる方 • データドリブンでの運営ができていない方 •

    高額なデータ費用に苦労している方 • データ分析のDX化を行うことで、運営フローがどの様に変わったか • データ費用の削減方法について
  5. 2.WFSとアナザーエデンの説明 9 • シングルプレイ専用RPG • 国内/海外運営、モバイル配信、PC配信 • 2023/4/12で6周年 • アナザーエデンのPC配信については、GREE

    Tech Conference 2021で登壇いたしました ◦ 「アナザーエデンPC版リリースへの道のり  〜WFSにおけるマルチプラットフォーム対応の取り組み〜 」 ◦ https://techcon.gree.jp/2021/session/Session-7 「アナザーエデン 時空を超える猫」の説明
  6. 3.データ分析のDX化とデータ活用の問題点 11 6年前のデータは現在の ユーザデータと特性が異 なるため、あまり参考にな らない   長期運営しているアナザーエデンの悩み 6年前からデータが 溜まってサーバ費用が高額

    データ分析よりも クリエイティブ思考の事業運 営であった 昔のシステムなので、 SQLを実行しても遅くて 分析するのも大変 データ分析のDX化を 検討しました! ゲームだけではなく 長期運営している一般的 なWebサービスにも 当てはまると思います
  7. 3.データ分析のDX化とデータ活用の問題点 12   DX化とは(ChatGPTに質問してみました) • 「DX化」とは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略。 企業や組織がデジタル技術を導入し、その経営や業務プロセスを変革する取り組み ◦ テクノロジーの導入:

    最新のテクノロジーを利用して、組織の効率を向上させる。 ◦ ビジネスモデルの変革: デジタル技術を活用して、新しいビジネスモデルやサービスを創 出する。 ◦ 組織文化の変革: 組織全体でデジタルマインドセットを育むことで変革を進める DX化とは、 テクノロジーを導入して、ビジ ネスモデルや組織を 変えていくことです データ分析においても、 システムを変えて事業運営プ ロセスや組織が変われば DX化になります
  8. データ分析をDX化することで下記を目指しました! • データドリブンでの事業運営ができること!      • ログ分析基盤のコストを削減!     3.データ分析のDX化とデータ活用の問題点 14 アナザーエデンのデータ分析をDX化することにしました!

    WFS • 会社全体で分析する文化をより構築して いきたい • データを活用してより事業の改善に繋げ たい アナザーエデン運営 • 定量データを活用し、ゲームをより良 くしていきたい • ログ基盤のコスト削減を行いたい
  9. 4.DX化の方法 15 フェーズ1 フェーズ2 フェーズ3 AWS GCP ログ分析基盤を移行 KPIツール刷新 アドホック分析改善

     DX化する際のフェーズを3段階に分けました! 15 ヘブンバーンズレッドが GCPのログ分析基盤だっ たので、今回もGCPに移 行しました
  10. 5.スケジュールと体制 • ログの引っ越し ◦ スケジュール ▪ 8ヶ月 ◦ 移行体制 約10名

    ▪ データエンジニア ▪ サーバエンジニア ▪ インフラエンジニア 16 8ヶ月 4ヶ月 16 • 分析準備 ◦ スケジュール ▪ 4ヶ月 ◦ 準備体制 数名 ▪ データアナリスト
  11. 6.フェーズ1 ログ分析基盤を移行 全部で350TB→3つの基準で選定し、250TB(-100TB)に対象を絞る • ①GCS移行 & 全期間分BigQueryにもデータを取り込み ◦ 課金系、アクセスログ •

    ②GCS移行 & 1年分のみBigQueryにもデータを取り込み ◦ バトル、アイテム所持ログ • ③移行しないで削除 ◦ 過去に分析用に作成したもの   経験したことのない膨大な量を別のクラウドに転送する データ選定 優先度高から 転送用にデータ変換 転送イメージ GCSに転送し BigQueryへ取り込み 作成者や目的が不明になっていたものが 多かったので移行しないことに 17
  12. 6.フェーズ1 ログ分析基盤を移行 重要なKPIは定義を他タイトルに揃え、それ以外は最適化 • 新規タイトルに比べてbotアカウントがかなり少ない → bot用の処理を最小限に • 海外と日本でリリース内容が異なる →

    環境を全て分けて作成 • PC版もリリースしているのでデバイスはios,androidだけでなくPC版も追加           どちらも両立できるようにした タイトル同士の横比較ができる       タイトル特有の運用に合わせる   分析用に設計されていないログが多い 18
  13. 6.フェーズ2 KPIツール刷新   KPIを日々確認するのが大変、面倒 slack KPI通知 21 スプレッドシート 数値・グラフをbot で投稿

    運用方針 ・毎日見る重要なKPI        → ダッシュボード ・急に見たいもの         → スプレッドシート ・速報的に手軽に確認したいもの  → slack
  14. 7.DX化を推進した結果 費用 • 移行時のコスト(サーバ費用・人件費) はかなりかかった ◦ 8ヶ月間の人件費 ◦ データ移行費用 ◦

    パイプライン開発費用 ▪ GCSからBigQueryへのデータ取り込み • サーバ費用は1ヶ月当たり数百万コストダウン ◦ 理由:データの整理を行い、管理データを大幅に削減 ◦   :サーバーの運用工数が、クラウドサービスに移行して削減 ◦   :クエリ料金メインの課金体系に変わった が、    クエリも高速化したのでクエリ料金削減 長期的に見ればコストダウンになっています! 24
  15. 7.DX化を推進した結果 分析能力の向上 • 検索速度の向上 ◦ 1回に5分かかっていたクエリが 10秒程度に ▪ [前] 複雑なクエリ実行には

    30分以上かかることも。諦めたり作業モチベが下がっていた ▪ [今] 重たいものでも実行が 数分なので、毎時の集計なども行うようになった。 作業モチベも上がった! • 汎用性 ◦ Looker Studio・GCS・スプレッドシートなど Google系のアプリケーションとの連携 25 データ管理の改善 • 移行時にKPIの再定義、データウェアハウス・データマートの再構築 ◦ タイトル横断のクエリが使用できるようになり、工数削減に ◦ 分析用、ゲームログ、CS対応用など用途別にデータセットを分けたため、 目的のテーブルを探しやすくなった
  16. 7.DX化を推進した結果 大変だったこと • データ移行、再集計にかかる時間や費用の見込みを立てるのが難しかった • データ移行の際にも圧縮できないデータや取り込めないデータがあるため、解決す るのに苦労した • 長期運営のため、消費税の切り替わりなど、当時の状況に応じたデータチェックを 200テーブルぐらい行うのに手間取った

    運営チームからの反応 • slackで数値・グラフを簡単に確認できるから便利!! • どういった施策がいいか考える際に参考になる   DX化した感想・反応・大変だったこと 苦労しましたが、運営チーム からの喜びの声も多く、頑 張って良かったです!!
  17. 9.まとめ〜データ分析のDX化について〜 32   定量分析に使えるデータが膨大にあるが、活用しにくい環境だった まず分析をしやすい環境に整える • 分析性能に特化したクラウドサービスに、ログを引っ越し • KPIツールを新たに作成 •

    アドホック分析の改善 分析能力が上がった データ管理を行いやすくなった 費用が下がった  定量分析を行いやすい環境ができ、今まで以上に定量データを運用に    活用できるようになった!  32   6周年を向かえたアナザーエデンですが、今後もユーザの皆様に   より良いゲームをお届けできる様に頑張りたいと思います!!