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日本におけるシビックテックの歩みと課題

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September 26, 2025

 日本におけるシビックテックの歩みと課題

日本におけるシビックテックの歩みと課題
2025/09/26 東京大学シビックテックデザイン研究 で共有した内容です。

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September 26, 2025
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Transcript

  1. © Code for Japan シビックテックとは Civic Tech 🏛行政とのコラボ レーション 󰰁市民主導

    プロジェクトの促進 🛠デジタル公共財/ インフラの創造 行政だけではできないこ とを、市民の参加によっ て実施できる =オープンガバメント 市民が介在することに よって、本質的な課題解 決に注力できる 相互に利用可能な財を蓄 積することで、活動の結 果が積み重なる 2
  2. © Code for Japan 日本のシビックテック・エコシステムのステークホルダー 🏛中央省庁
 💼民間セクター 
 テック企業
 ソーシャル/GovTechスタートアップ

    
 非営利
 🏢地方自治体 
 DXチーム
 CIO/CDO
 🎓学術機関
 大学
 研究機関
 • 業務委託でサポート
 • 委員会のメンバーになる
 • 研究グループに参加する
 • 資金提供を求める
 • オープンソース/オープンデータの推進 
 • 共同作業
 • 地域コミュニティを築く
 • 一緒にイベントを開催する 
 (例:ハッカソン)
 • サービスの提供(例:デシディム) 
 • 学生インターンシップ
 • 青少年の市民参加
 • 市民科学プロジェクトの実施 
 Civic 
 Tech
 3
  3. © Code for Japan 小さく作って回せる 協働の基盤 シビックテックは何が新しいのか? • 「市民参画」という言葉自体は古くからあった •

    シビックテックの「テック」部分は手段にしかすぎない • 本質は、参加型のより良い民主主義の実現 • デジタル前提の社会になったことで、新しいやり方がで きるようになっただけ 参加のコストが劇的 に低下 データを使った価値 創出 新しいやり方の例 4
  4. © Code for Japan 開催のイベントチラシ 出典:Code for 山城のウェブサイトより https://ujigis.wordpress.com/ サービス開発以外の関わりも

    ウィキペディアタウン まちを調べ、まちをアーカイブする取組 まちに関する、地域の文化財等の情報を皆で 調べ「ウィキペディア」に掲載するワーク ショップ 世界中で行われているワークショップであ り、Code for Japan オリジナルの活動ではな いが、様々な地域の Code for が関わって実 施することも多い。 10
  5. © Code for Japan Decidimはカタルーニャ語で「我々で決める」を意味する、2016年にスペイン・バルセロナで誕生した オープンソースの参加型合意形成プラットフォーム Decidim(デシディム) https://decidim.org/ja/ 12 世界での取り組み

    バルセロナから世界各地に広がり、スペイン、フィ ンランド、アメリカ、メキシコ、台湾などをはじめ 30カ国や地域・450サイト、約300万ユーザーが利 用しています。 日本における展開 2020年10月に兵庫県加古川市で初めて導入され、 国・自治体・民間部門で、約30サイトで利用されて います。 12
  6. © Code for Japan 会津の暮らし研究室 地域に在るもの全てを活かしな がら 、あたらしいテクノロジー やおもしろい人材をミックスさ せて、地域に暮らす全ての人た

    ちの暮らしがより幸せなものに なることを目指して 今日もわた したちは研究しています。 (HPより) https://www.aizu-lsds.com/ 13
  7. © Code for Japan 企業が、活動の場作りやソ リューション開発のきっかけづ くりを行う。 豊岡スマートコミュニティ、会 津の暮らし研究所、西粟倉村ま るごと研究所などは、リビング

    ラボを通じて市民との共創を目 指している。 ガッコムのガッコム安全ナビや こども食堂マップといった、ソ リューション開発の事例もある 地域コミュニティの延長 各地のコード・フォーの活動は 市民の自発的な活動であること が多い。 法人格を持っていないコミュニ ティがほとんど。 活動モチベーションや目標も 様々 シビックテック活動の起点は様々 市民主導 企業主導 行政主導 行政がコミュニティや場作り、 市民講座などを行う。 山口県「デジテック for YAMAGUCHI」、東京都「都知 事杯ハッカソン」、沖縄県宜野 湾市「シビックテックによる市 民協働まちづくり講座」、金沢 市「シビックテックスクール」 など。 市民が活動するためのきっかけ づくり。 16
  8. © Code for Japan メリット • 予算がつけやすい • 庁内での連携がとりやすい •

    幅広い市民を集めやすい • 企業を巻き込みやすい • 事務局機能を組織化しやすい 行政主導のメリットとデメリット デメリット • 手段の目的化が起こりがち • 成果がわかりにくく,長期的な 予算確保が難しい • 主体性が失われ、受け身のコ ミュニティになりがち • 予算の切れ目でコミュニティが 停滞しがち • 異動のタイミングでコミュニ ティが変質しやすい 17
  9. © Code for Japan Be Open • こまりごとをオープン に話せる状況をつくる •

    オープンデータを提供 する • 勉強会など、外の世界 に触れる シビックテックを推進するために 18 対話重視 • 市民やステークホル ダーとの対話の機会を つくる • 行政がやってもらいた いことを伝えるのでは なく、市民がやりたい ことを聞く 長期目線 • 長期的に、本来やるべ きことは何か?を考え る • 単年度の活動として考 えず、コミュニティを 育てていく
  10. © Code for Japan 日本におけるシビックテックの現状 • 東京都 都知事杯や、金沢市のシビックテック活用講座、山口県のデジテックな ど、自治体が推進するケースも増えてきた •

    活動に興味を持つ市民も多い(70以上ブリゲードがある国は珍しい) • オープンデータ活用、まちづくり、生活、デジタル民主主義、脱炭素、防災、偽 情報対策など、活動の裾野は広い • 一方で、プロトタイプから先の持続性には大きな課題がある ◦ ツールをつくることはボランティアでできても、運用はボランティアではで きない ▪ ビジネス化するには難しい領域 ◦ Code for Japan は、GovTech 事業があるから持続できている • そもそも、「新たなサービスが生まれる」という結果に期待を寄せすぎているの では?プロセスの改善や信頼の構築、政策の改善そのものも重要なはず
  11. © Code for Japan テクノロジーの進化 • AIガバナンス等の新トピック • プライバシー保護とのバランス •

    インフラ整備などの課題 ソーシャル・ イノベーション • 社会的インパクトを測定するに は? • グローバルな協働の難しさ • デジタル民主主義における信頼の構築 行政側の受け入れ体制 • オープンソースに対する官僚的忌 避感 • 調達システム改革 市民参加の壁 • デジタルリテラシーの格差 • 包括的な参加の壁(余裕がある人 のお遊びでは?的な批判) • コミュニティへの長期的なコミッ トメントの難しさ 資金調達モデル • 持続可能なシビックテック・エコ システムの構築の課題 • ボランティアとプロの仕事の両立 成長の管理 • 企業との連携事例が少ない • 規模を拡大しても品質を維持する には? • プロジェクト横断的な知識共有 💰持続可能性と拡大 󰠁技術・社会 🌟インパクトと適用 シビックテックの課題 22