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東アジアにおける現在の核の脅威

HKano
May 26, 2023

 東アジアにおける現在の核の脅威

核脅威削減のための米国物理学者連合
趙通(Tong Zhao)
プリンストン大学科学・世界安全保障プログラム、カーネギー国際平和財団

HKano

May 26, 2023
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  1. 東アジアにおける
    現在の核の脅威
    プリンストン大学科学・世界安全保障プログラム(SGS)
    カーネギー国際平和財団
    趙通(Tong Zhao)
    日本物理学会2023年3月22日10AM(米東部時間21日9PM)

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  2. 中国の核政策における主要な変化
    • 数の変化
    • オープンソース調査:
    • 何十年も: 約200 発
    • 2015: 約230
    • 2018: 約280
    • 2021: 約350
    • 2023: 約400
    • 米国防省の議会宛て年次報告:
    • 2027年に700; 2030年に1000 ; 2035年までに1500
    • 他の推定:例えば2035年までに900発との日本の報道
    • 構成の変化:核のトライアド[三本柱](今
    や、公に語られている)
    • ICBM サイロ
    • 路上移動型 ICBM
    • SSBN弾道ミサイル搭載原子力潜水艦
    • 戦略爆撃機
    • 謳い文句の変化
    • 「精悍有効」
    • 2021: 「高水平[準]戦略威嚇[抑止]体系」
    • 2022: 「強大的戦略威嚇[抑止]力量体系」

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  3. 主たるボトルネックとしての核分裂性物質
    • 福建省の2基の中国高速実証炉(CFR-600)
    • 軍民融合プログラムの一部と形容
    • 甘粛省の民生用再処理パイロット・プラント
    • 2017年以来[国際プルトニウム管理指針の下での]IAEAへの報告を停止
    • 甘粛省の再処理実証プラント(各200tHM[重金属]t)/年)
    • 建設中
    • 2つの施設が建設中
    • 2022年NPT再検討会議:核分裂性物質モラトリアムの要求削除
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  4. 技術的な面での原動力
    • 中国の核抑止力に対する新しい技術的脅威
    • ミサイル防衛、通常型即時全地球規模攻撃( CPGS)、先進型センサー、サイバー等
    • ミサイル防衛:
    • 最悪シナリオ的思考:小規模の米本土ミサイル防衛システムでさえ脅威
    • INF条約(中距離核戦力全廃条約)の終焉
    • 技術的な面の要因だけからでは説明できない
    • 米国の能力・政策の急激な変化はない
    • サイロはミサイル防衛の懸念(中国にとって技術的な面での主要な懸念)に対処
    するのに最適ではない
    • 中国政府関係者は他の理由を挙げている(例:安全性・セキュリティ)
    • 中国の専門家らは核増強について承知しておらず、増強の理論的根拠が理解でき
    ていない

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  5. 政策的面での要因
    • 中国最高指導者はすべて核兵器の政治的価値を強調
    • 毛沢東: 帝国主義諸国は「我々が核兵器を持っておらず、手りゅう弾だけを持っているから我々
    を見下している…だから我々はできるだけ早く原爆を持ち、水爆を開発する必要がある。
    • 鄧小平: 「もし中国が1960年代から原爆・水爆を持たず人工衛星を打ち上げていなければ、重要
    な影響力を持つ大国と呼ばれることはあり得えず、現在持っている国際的地位を得ていなかった
    だろう。」
    • 鄧は次のようにも指摘:中国がもっと高い地位を得、将来の世界秩序においてもっと発言力を持
    つには、強力な核戦力に支えられることが必要だ。
    • 江沢民: 「中国の強大国の地位にふさわしい精悍で有効な戦略核戦力を築くべく努力」
    • 胡錦濤: 「中国の強大国の地位にふさわしい戦略ミサイル戦力を築く」
    • 習氏の下で新しいのは
    • 彼は、中国による今日の「強大国の地位」達成の成功が根本的問題を惹起していると考えている
    • 国際関係における力関係の構造的変化
    • 軍事力中心的考え
    • 核兵器は戦略能力の最終的証明
    • 政治的忠誠心の証明としての戦争の強調
    • 「闘争精神」
    • 中国人民解放軍ロケット軍(PLARF)の新しい役割: 「戦略的制衡」、「戦略的抑止統制」、「戦略的決勝」
    • 早期警戒と攻撃下発射

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  6. 台湾海峡を巡る核リスク
    • 台湾海峡紛争についての日本の懸念高まり
    • 習氏の下での中国における新たな切迫感
    • 2027年までの軍事的オプション
    • 核を中・米安全保障関係の焦点に
    • .核エスカレーション管理能力の獲得について中国の関心の高まり
    • 大量報復ドクトリンからの離脱
    • 地域ターゲットに対する「均衡のとれた」報復
    • より正確な戦域距離の核システム
    • 低威力核兵器についての中国の関心ははっきりしない
    • 米国のW76-2核弾頭のイールド(威力):約5kt
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  7. ロシア・中国の核協力
    • ミサイル防衛; 早期警戒; 合同戦略爆撃機哨戒
    • 将来の可能性?
    • 習氏によるロシア訪問
    • 原子力潜水艦技術(AUKUS)?
    • 基地・施設の供用?
    • 米2022年「核態勢の見直し(NPR)」
    • 二つの対等に近い核競争相手
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  8. DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)の
    急速な核拡大
    • 戦略・戦術核の同時開発
    • 米国本土に対する確実な「報復(second-strike)」能力を得ようとする野心
    • 中国との比較
    • 戦術核のもたらす不安定化
    • 他の国(例えば韓国)も迅速対応への依存を高める中、より危険とも言える
    • ボトルネック
    • 核分裂性物質
    • 核実験やICBM実験の実施の政治的コスト
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  9. 日本の学者・科学者ができること?
    • 政治学的面での措置
    • 中国自身の利害についての情報・認識のギャップがもたらす悪影響について理解すること
    • 先制不使用(NFU)の議論を促進する?
    • NFUは議論をすることに中国が関心を持つ唯一の議題だが、日本は伝統的に反対している
    • 米中の間での台湾海峡限定的NFU
    • 朝鮮半島における限定的NFU地帯?
    • 戦術核に関する地域的対話の促進?
    • 朝鮮半島に焦点
    • 具体的な技術的面での核政策措置
    • 核戦争がもたらす影響についての理解を高める
    • 中国の人々にとっての影響も含め(中国人の専門家も必ずしも理解できていない)
    • 地域的核戦争がもたらす放射能面での影響に関する合同専門家研究?
    • 具体的な政策問題に関する誤解について明確にする
    • 福島廃液放出に関する合同専門家研究?
    • 日本の六ヶ所再処理工場が中国の同様の再処理施設(800tHM/年)建設計画にとって持ち得る教訓に関する合同専
    門家研究
    • 中国の専門家を力づける
    • 中国の専門家は国内の政策決定過程でますます置き去りにされている。
    • 地域専門家レベルの合同対話(中・韓・日)? 9

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