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平成26年度卒業研究中間発表会第一回目

 平成26年度卒業研究中間発表会第一回目

HirokiKajiura

July 18, 2014
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  1. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 卒業研究の目標と計画 卒業研究の目標 現在広く用いられている E-mail などの通信では,外乱によって文章 が正しく送られなくなることがある.正しく送られているかどうかを 判断するための技術について,純粋数学の観点から俯瞰する.

    卒業研究の計画 当面は,俯瞰するための道具を揃えることにする.そのための基本的 な知識として基本的な代数構造である環について勉強していく. 2 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  2. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環とは 環とは 次の公理 (規則) を満たす和 + と積

    ∗ が定義される集合 R. つまり,たし算,ひき算,かけ算が入っている様な集合 R である. 環の公理 和 + 積 ∗ 計算出来る a + b ∈ R a ∗ b ∈ R 結合法則 (a + b) + c = a + (b + c ) (a ∗ b ) ∗ c = a ∗ (b ∗ c ) 単位元がある 0R + a = a + 0R = a 1R ∗ a = a ∗ 1R = a 逆元がある a + (−a) = (−a) + a = 0R 交換法則 a + b = b + a 分配法則 a ∗ (b + c ) = a ∗ b + a ∗ c a,b,c ,0R ,1R ,−a はそれぞれ R の要素である.0R ,1R は特にそれぞれ 零元,単位元と呼ばれる. 3 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  3. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環の例 1 整数の全体 整数の和と積を定めると 0 が零元,1 が単位元になる.

    補足 1 自然数の全体 は,環にならない. 例)5 − 6 = −1 となって,自然数ではなくなるため. 4 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  4. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環の例 1 整数の全体 整数の和と積を定めると 0 が零元,1 が単位元になる.

    補足 1 自然数の全体 は,環にならない. 例)5 − 6 = −1 となって,自然数ではなくなるため. 補足 2 実数の全体 は,環になる. 4 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  5. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環の例 2 n 次正方行列の全体 n 次行列の和と積を考えると,零行列が零元,単位行列が単位元にな るような環となる.

    環の公理 和 + 積 ∗ 計算出来る a + b ∈ R a ∗ b ∈ R 結合法則 (a + b) + c = a + (b + c ) (a ∗ b ) ∗ c = a ∗ (b ∗ c ) 単位元がある 0R + a = a + 0R = a 1R ∗ a = a ∗ 1R = a 逆元がある a + (−a) = (−a) + a = 0R 交換法則 a + b = b + a 分配法則 a ∗ (b + c ) = a ∗ b + a ∗ c 空白部分が成り立たない有名な例である. 5 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  6. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環の様々な性質 1 0R ,1R は一意的である. 2 任意の

    a に対する −a も一意的である. 7 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  7. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環の様々な性質 1 0R ,1R は一意的である. 2 任意の

    a に対する −a も一意的である. 3 a ∗ 0R = 0R 7 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  8. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環の様々な性質 1 0R ,1R は一意的である. 2 任意の

    a に対する −a も一意的である. 3 a ∗ 0R = 0R 4 a + a = a ⇐⇒ a = 0R 7 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  9. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 環の様々な性質 1 0R ,1R は一意的である. 2 任意の

    a に対する −a も一意的である. 3 a ∗ 0R = 0R 4 a + a = a ⇐⇒ a = 0R 5 (−a) ∗ b = a ∗ (−b ) = −(a ∗ b ) 6 (−1R ) ∗ (−1R ) = 1R この様な事実はすべて,環であればすべて満たしている. 7 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  10. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 ラプラス変換の例 問題 3 階の微分方程式, y + 6y

    + 11y + 6y = K . を y (0) = y (0) = y (0) = y (0) = 0 の条件の下で解くことを考える. 9 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  11. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 ラプラス変換の例 問題 3 階の微分方程式, y + 6y

    + 11y + 6y = K . を y (0) = y (0) = y (0) = y (0) = 0 の条件の下で解くことを考える. これは,y をラプラス変換したものを Y とおけば, Y = K s(s + 1)(s + 2)(s + 3) . 9 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  12. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 準同型写像の定義 準同型写像 ϕ の定義 環 R から環

    S へと写す写像 ϕ について 1 ϕ(a + b ) = ϕ(a)+ ϕ(b ) 2 ϕ(a ∗ b) = ϕ(a) ∗ ϕ(b ) 3 ϕ(1R ) = 1S となる ϕ を準同型写像と言う (ここで,a と b は任意の R の要素で あり,1R は R の単位元,1S は S の単位元である). 12 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  13. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 具体例 複素数の全体 −→ 2 次正方行列の全体 複素数 z

    = a + b i について,f (z) = a −b b a と定めると,f は準 同型写像となる. 14 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  14. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 同型写像 具体例では 1 任意の複素数 z からそれにあう正方行列を求める.⇐= 出来る.

    2 任意の正方行列から,それにあう複素数 z を求める. 15 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  15. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 同型写像 具体例では 1 任意の複素数 z からそれにあう正方行列を求める.⇐= 出来る.

    2 任意の正方行列から,それにあう複素数 z を求める.⇐= 出来ない! 15 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  16. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 同型写像 具体例では 1 任意の複素数 z からそれにあう正方行列を求める.⇐= 出来る.

    2 任意の正方行列から,それにあう複素数 z を求める.⇐= 出来ない! 任意の正方行列ではなく, a −b b a となる行列に制限すると? 準同型写像と逆の変換が出来る! 15 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用
  17. 卒業研究の目標と計画 環論:導入 環論:準同型写像 同型写像 具体例では 1 任意の複素数 z からそれにあう正方行列を求める.⇐= 出来る.

    2 任意の正方行列から,それにあう複素数 z を求める.⇐= 出来ない! 任意の正方行列ではなく, a −b b a となる行列に制限すると? 準同型写像と逆の変換が出来る! 同型写像 準同型写像が逆の変換が出来るとき,特に同型写像と呼ぶ. 15 / 16 卒業研究中間報告会第一回目, テーマ:代数学の工学への応用