Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

非構データから「ベテラン暗黙知」を抽出する:データサイエンス業務特化型エージェント構築

Avatar for Magy Magy
August 03, 2026

 非構データから「ベテラン暗黙知」を抽出する:データサイエンス業務特化型エージェント構築

GoogleCloudNext2026での登壇資料
イベント名: Google Cloud Next
登壇ステージ: Developer Stage
セッション詳細URL:
https://www.googlecloudevents.com/next-tokyo/sessions?session_id=4203212

Avatar for Magy

Magy

August 03, 2026

More Decks by Magy

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 曲沼宏美 株式会社インテージ AI&DataScience部 副部長 兼 AI Development グループ マネージャー 兼インテージホールディングス

    AI ビジネス推進部 InsightArchetect DataScientist AI/MLEngineer DataEngineer 広告代理店 → IT ベンチャー →CCC→リクルート→インテージ(現職) 一貫してデータ分析に関わる仕事をしてきています 広告代理店を経て IT ベンチャーで分析コンサルティングに従事。 2006 年より CCC で提携先への T カードデータ分析コンサルや大学連携を推進。 2012 年よりリクルートでデータ活用を推進。 全社横断 PJ や CRM 分析など多数のプロジェクトに携わる。 人材領域のアルゴリズム開発により全社表彰 ARINA ENGINE 受賞。 2022 年よりインテージにてデータ活用を推進。 Google Developer Expert|ML 女子部オーガナイザ Google Cloud Next Tokyo Proprietary
  2. Agenda Google Cloud Next Tokyo 01 インテージ会社紹介 02 データサイエンティストが AI

    の民主化と向き合う 03 身近な課題への取り組み 04 Agent 開発がもたらしたもの Proprietary
  3. 会社情報 株式会社インテージ( INTAGE Inc.) 会社概要 創業 1960 年 3 月

    2 日 ※2013 年 4 月設立 (持株会社制への移行に伴い新設、事業を承継) Intelligence(知) + Age(時代) = INTAGE(インテージ) VISION Create Consumer-centric Values お客様企業のマーケティングに寄り添い、 共に生活者の幸せを実現する 従業員数 1,435 名(2025 年 6 月末) 決算期 6月 本社所在地 東京都千代田区(秋葉原) Web https://www.intage.co.jp/ 代表取締役 仁司 与志矢 取締役社長 檜垣 歩 主な事業内容 マーケティングリサーチ/インサイト事業 マーケティングソリューション事業 子会社 株式会社インテージリサーチ 株式会社リサーチ・アンド・イノベーション 5
  4. インテージの強み 業界のデファクト・スタンダードとなっている小売店データや消費者購買データに加え、 あらゆる業界を網羅した価値あるデータを保有。専門性の高いアナリストによる質の高いリサーチ や分析などのデータ活用能力 で、 国内・海外問わず、マーケティング活動を支援します。 業界ポジション 取引社数 取引業界 食

    アジア No.1 ※ 5,000 情報 社以上 ※「ESOMARʻs Global Top-50 Insights Companies 2025 マーケティングリサーチ ∕インサイト事業ランキング」に基づく (グループ連結売上⾼ベース) 売上の推移 32 期 連続増収 流通・飲食店 ファッション 海外拠点の広がり 海外 9 趣味・嗜好 暮らし クルマ・バイク 金融 交通・レジャー か国 家電・AV・情報機器 教育・研究機関/官公庁 ※ 2025年6⽉期グループ連結売上⾼ 各種サービス 6
  5. インテージの強み 業界最大規模の保有データ 消費者の日々の 買い物データ 小売店の販売データ 店舗情報データベース 日本の アンケート調査モニター 70,000人 6,000店舗

    13万店 305万人 1,500万人 全国15歳~79歳男女の買い物デー タ。購入者、購入日時、購入場所、購 入商品、購入数量、購入金額が把握で きる業界のデファクトスタンダードデー タ。 全国の主要な小売店の販売データ。販 売日時、販売場所、販売商品、販売金 額が把握できる業界のデファクトスタン ダードデータ。 全国約1,500チェーン・約130,000店を 網羅した店舗情報データベース。売場 面積などの基本項目に加え、商圏の居 住者特性を含むデータ。 業界最大規模で高品質なアンケート調 査モニター。国内唯一の国際基準パネ ル品質管理認証取得。広範なカバレッ ジと詳細なプロファイリング項目によ り、難しい地域や条件の調査対応。※ アジアの主要12カ国に展開するアジア 最大規模のアンケート調査モニター。 広範なカバレッジと詳細なプロファイリ ング項目により、多用な途へ対応。 ※ アジアの アンケート調査モニター 過去 1年間に回答・属性更新 生活者を理解する ストックデータ 位置情報ログデータ 情報接触ログ × 行動・意識データ スマートテレビ 視聴ログデータ 多くの業界で 「デファクト・スタンダード」 に 売上 No. 15,000項目 8,700万人 25,000人 556万台 生活者の消費履歴・メディア接触・意識 ・価値観など約15,000項目のストック データ。それらを統合・ピックアップし、 ターゲット像を多面的に理解できるレ ポートを提供。 ドコモの基地局データに基づく人口推 計データ。移動時間、移動者、移動経 路、移動量を把握でき、生活者のリア ルな行動に基づいたプラン策定を支 援。 同じ人物から、PC・モバイル・TVなど のメディア接触と購買行動を収集する 国内最大規模のクロスメディアシング ルソースパネル。情報接触と行動・意 識の関係性を把握可能。 インターネット接続テレビから収集した 視聴ログデータ。CMや放送シーンごと の視聴状況が、全国の地上波 ・BS・CS(110度)を横断し、市区町村 レベルで把握できるデータ。 1 インテージ SRI+ (◦ ◦市場2025年◦ 月〜 ◦月) 7
  6. 社会的データ利活用の取り組み インテージの「生活者」の消費行動を表すデータを、産官学で一体となり利用する仕組みを作り、 社会課題の解決に向けた「社会的データ利活用」の取り組みを進めています。 社会的ロスがない、便利で豊かな社会の実現 実現する 生活者の幸福度の向上 社会課題の解決 データに基づき 取り組む 交通

    物流 消費 経済 持続可能な経済活動 医療/ 健康 観光 ▪新型コロナウイルス新規感染者数とマスク、消毒剤の販売金額推移 まち づくり 教育 行政 知る えがく・つくる とりくむ はかる 出所:小西葉子 他「コロナ禍での混乱から新たな日常への変化:消費ビッグデータで記録する RIETI-DP, 22-J-006, 2022年. https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/22j006.html 2年間」 , つなげる 価値を高める ▪幸福度全国調査 データ連携・基盤 設計 集める/集まる クライアント データ × マスタ 政府統計 行政データ × 標準化 インテージ データ × システム 基盤 ドコモデータ × AI パートナーデータ 民間データ 拡張する 出所:一般社団法人スマートシティ・インスティテュート https://sci-japan.or.jp/LWCI/index.html 地域幸福度 (Well-Being) 指標 8
  7. AI&DataScience部 デジタル戦略ユニット AI&DataScience部 AI Development Group ・最新AI技術の社会実装と組織内普及を加速さ せ、ビジネス変革の原動力を創造する ・LLMをはじめとする先端AI技術の検証とビジネス 実装を担う

    ・組織全体のAIリテラシー向上を担う ・AI技術を活用したソリューション/プロダクトの開発を推進する ・データサイエンス(DS)技術活用したソリューション/プロダクトの開発を 推進する ・デジタル戦略ユニット内外のAI技術・DS技術活用にあたっての技術お よびリテラシー向上策の企画・実行を行う ・データサイエンス分析案件の実行により顧客のマーケティング課題解 決を支援する DS Analytics Group ・データサイエンス(DS)技術を用いる各種プロジェ クトの推進およびデータ解析の実行機能を担う ・デジタル戦略ユニット内外のDS技術の活用に向 けた促進・支援の企画・実行を担う DS Technology Group ・データサイエンス(DS)技術を活用したソリューション開 発/プロジェクト推進のためのR&D機能を担う ・デジタル戦略ユニット内外のDS人材育成/組織力向 上を推進する 9
  8. Agent は何のためにあるのか? 生成 AI は次のトークン ( 単語 ) を確率的に予測する処理の連鎖 ※すでに存在する文章を再現するのとは違う。最近はマルチモーダル化で非言語の情報からの予測というのも多分に含まれる

    膨大なテキストから 確率的に予測し 事前学習で 学習したパターンを基に「次 に来そうな言葉」を 選び続ける 大量のテキスト上の パターンを学習する “それらしい答え ”を出す (理解ではなく) 統計的に妥当な文を 生成している 正解が決まっている問題は得意、 正解のない問題は、情報と考え方 を指示する必要がある そしてその「情報と考え方」を与えるフレームワークが Agent Google Cloud Next Tokyo Proprietary
  9. Agent はまず自分の専門分野から作ろう 研究結果 Computer Science の素養と作文力が Vibe Coding の成果を予測する “

    AI を使えば誰でも作れる ”? ✔ 知識・素養のある人ほど、 AI から引き出せる成果が大きい ✔「正しく問いを立てる力」も、 結局は知識の上に乗っている 研究機関: チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)、コンピュータサイエンス学科 (Department of Computer Science) Computer Science Achievement and Writing Skills Predict Vibe Coding Proficiency (コンピュータサイエンスの達成度と文章執筆能力は、バイブ・コーディングの習熟 度を予測する) ※本研究は、2026年4月にスペインのバルセロナで開催の、ヒューマ (出典)arXiv 2026 年 3 月 14 日 ン・コンピュータ・インタラクション(HCI)分野で最も権威のある国際会 議の一つ、CHI 2026(Conference on Human Factors in Computing https://arxiv.org/abs/2603.14133 Systems)の論文として採択されています 。 Google Cloud Next Tokyo ✔ 言語化・要件分解の力 = AI 時代に 伸びる力 自分、自社がナレッジを持つ 専門分野でこそ AI を開発することが生きる Proprietary
  10. 身近な課題 データサイエンスの上流工程は、ベテラン依存だった 見積もり・スケジュール策定が、経験と勘に依存 ✔ 類似案件の記憶、業界特有の癖、炎上ポイントの事前察知など、 言語化されない判断が積み重なっている 相談・対応はベテラン数名に集中し、ボトルネック化 ✔ 見積もり依頼のたびに特定の数名が対応し、 他の業務を圧迫する状態が常態化していた

    ジュニアは見積もり・提案を作れない・精度が低い ✔ 上流工程に携われないまま経験を積めない、 育成・指導の時間が確保できずベテランが対応し続ける コロナ禍から積み上がった専門性の GAP が負のループを招いていた Google Cloud Next Tokyo Proprietary
  11. ベテランの暗黙知を「 Skill 」として定義する ベテランが若手に渡す手順書や過去の勝ちパターン集を、 AI が必要な場面で呼び出せる形にパッケージ化する。 常に全部読み込ませるのではなく、必要な知識だけを呼び出す設計。 データサイエンス案件見積 Skill の例

    リスク着眼点 見積ロジック 業界や案件別に 工数があふれるなど 炎上しやすいポイントを整理 工数・単価算出の ベテラン式判断基準 Google Cloud Next Tokyo 提案トーン 業界や手法に合わせた提 案書の構成・言い回し Proprietary
  12. RAG を超えた、 Agent 化へ RAG Agent ✔ 過去資料をベクトル化して検索 ✔ 状況に応じ、必要な

    Skill を自律的に選択 ✔ 似た事例を提示 ✔ 判断・実行・出力までを一貫して遂行 ✔ 業務プロセスの実行は人が担う ✔ 参照した根拠を明示して人に引き継ぐ Google Cloud Next Tokyo Proprietary
  13. 利用の流れ 営業から の相談 Agent に 投げる Formで問い合わせ エントリ 必要事項を埋めてもらう (従来運用)

    Agent 画面上でコピペ Google Cloud Next Tokyo ガント 作成 確認 修正 Agent の出力を見て確認 ・ガント作成の前提 ・タスクごとのリスク注意事 項 ・具体作業内容 ・類似案件 必要に応じてプロンプト を投げる 提案書へ 提案書に組み込む Proprietary
  14. Tool 構成 プロンプト入力 見積 UI Web コンソール 1 2 実行

    5 レスポンス LLM Agent Function calling loop 呼び出し 3 4 リスク着眼点 risk_check() Google Cloud Next Tokyo 見積ロジック 類似案件検索 Agent Search est_calc() search_similar() 過去の提案書・見積書 検索 Proprietary
  15. データ格納・ベクトル化 エージェント推論 Vector Store UI Access Control Layer Storage Security

    IAP + Load Balancer 社内ユーザ Cloud Storage(GCS) IAM・コンテキスト制限 Webコンソール (動画、パワポ、 Excel…) Private VPC Border Application & Processing Layer (VPC Closed) ADK Engine Cloud Run (ADK Container) シングルエージェント / ツール実行 Async Job Eventarc + Processing Run 非同期データパーサー (動画音声・ドキュメント ) Database & Vector Store Layer Session State Vector Store BigQuery (Vector Search) Cloud SQL (PostgreSQL) 類似案件WBS、ベテランの暗黙知 会話履歴、エージェント短期 /長期記憶 Gemini API Inference Layer (Private Service Connect Encapsulated) PSC Connected Gemini API (Gemini 2.5 / 3.5 Pro) マルチモーダル解釈、自律 WBSプランニング Google Cloud Next Tokyo PSC Connected Gemini API Embeddings API 非構造テキスト ➡ 高次元ベクトル変換 Proprietary
  16. 負のループが正のループに変わり始めた Before After NG It's OK ✔ 見積もり依頼は、 結局いつも同じ数人のベテランに集中 ✔

    ベテランは仕事に追われ暗黙知を 教えることができない ✔ 若手は遠慮して聞けない ✔ 若手に見積作成を任せられない ✔ 過去の膨大なドキュメントも眠っているだけ ✔ 若手が見積もりを作っても、 リスクが見込まれてなかったり根拠を説明できず ✔ 若手も見積もりドラフトの初稿を 作成できるようになった ✔ Agent が根拠やリスクを明示するため、ベテラン に 負荷をかける事なく、このツールを使いながら 若手がベテランの暗黙知を学ぶことができる ✔ 眠っていた資産(ドキュメント)がAIによって 活用され始めた (まだ、改善は必要) レビューで差し戻される Google Cloud Next Tokyo Proprietary
  17. 収穫は、 Agent の外にも ベテラン インタビュー 中堅層 Skill 化 見積もりの勝ち パターン・注意点を

    言語化 中堅層が設問を 設計し、 ヒアリングを実施 ベテランの見積り ノウハウが 本人にインストール Agent の資産としても 組織に蓄積 専門性は、 Agent の中にも、 中堅層の頭の中にも、二重に蓄積された 組織ポテンシャルの向上 Google Cloud Next Tokyo Proprietary
  18. 今後の発展 Agent の出力を「使う人」に合わせて変える STEP1:経験知を Agent に埋め込む STEP2:Agent の出力を使う人で変える ✔ 過去のデータ(見積・提案)を

    Rag として仕込む ✔ 若手にはあえて正解を出さず、 QA方式で考えさせる ✔ ベテランのナレッジ (インタビュー動画から抽出 ) を Skill として設定する ✔「指示には強いが自律思考が弱い」 問題をAgent の設計で補う ✔ AI を育成ツールとしても使う ✔ Agent の構築をする中で、 暗黙知を言語化(形式知化) ベテランと若手が一緒に構築することで 人も考え方を学ぶ Google Cloud Next Tokyo ベテラン スピードと品質を両立した アシスタント AI 若手 思考力と専門性を育てる ティーチング AI • • • • 最適解 複数の選択肢と根拠 あえて答えを出さない 質問、考え方やヒントを提示 Proprietary
  19. AI 時代に競争優位性(差別化)を生み出すポイント データ 1. 企業独自データの武器化 顧客の声・営業現場のリアルなデータを 「 AI Agent がいつでも即座に参照・活用できる状態」に整備する

    知識 2.暗黙知を AI に移植する AI の性能を最大限に引き出すには、汎用的な知識だけでなく 「自社固有のノウハウ (業務手順・判断基準・独自ルール)」をAI に埋め込むことが最重要 プロ セス 3.業務プロセスを AI Agent から設計し直す 「既存業務の一部に AI を適用する」のではなく、 「 AI Agent が存在することを前提として、業務プロセスをゼロから再設計する」 組織 4.ミッションと評価基準を人間中心に再定義する AI がオペレーションを担う時代において、 「人間が何に集中すべきか」「どこにリソースを投下すべきか」を根本から再設計する 最も大事なのは技術ではなく“何を与えるか”そして"どう変わるか" 27
  20. ☆ML女子部次回イベントのお知らせ☆ connpassにて参加受付中!! 2026/09/18(金) 18:00〜 @オンライン 明日の Google Developer Stage にML女子部の仲間が登壇

    します! 7/31 16:10-16:20 名監督になろう! AI 生成動画の最新トレンドと ツウな使い方 福島ゆかり 登録不要 30