Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

AI Agent入門〜今更聞けないAgentの話〜

Avatar for Magy Magy
September 18, 2026

AI Agent入門〜今更聞けないAgentの話〜

Avatar for Magy

Magy

September 18, 2026

More Decks by Magy

Other Decks in Technology

Transcript

  1. AI AGENT — GETTING STARTED AI Agent ⼊⾨ ~今さら聞けない Agent

    の話~ 曲沼 宏美 @ ML⼥⼦部 2026年9⽉18⽇ [AIエージェント] 秋のLT⼤会
  2. SPEAKER ⾃⼰紹介 曲沼 宏美 株式会社インテージ AI&Data Science部 副部⻑ / AI

    Development グループ マネージャー 兼 インテージホールディングス AI ビジネス推進部 Insight Architect Data Scientist AI / ML Engineer Data Engineer 広告代理店 → IT ベンチャー → CCC → リクルート → インテージ(現職) ⼀貫してデータ分析に関わる仕事をしてきました。 広告代理店を経て IT ベンチャーで分析コンサルティングに従事。 2006年〜 CCC︓提携先への T カードデータ分析コンサル、⼤学連携を推進。 2012年〜 リクルート︓全社横断 PJ・CRM 分析など多数のプロジェクトを担当。⼈材領域のアルゴリズム ML ⼥⼦部 オーガナイザー AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 開発により全社表彰「ARINA ENGINE」受賞。 2022年〜 インテージ︓データサイエンス・AI・ML技術を⽤いた社内外のデータ活⽤を推進。 2
  3. AGENDA 本⽇お話しすること 01 02 03 04 05 なぜ今 Agent なのか

    ⽣成 AI の仕組みから、Agent が必要になる理由を押さえる Agent の構成要素 LLM・System Prompt・Planning・Memory・Tools の 5 つ 設計パターン Agent の「数」と、タスクの「流れ⽅」 Agent のプロセス 推論のループと、記憶による改善 組織で活かす ゴール 「Agent とは何か」を⾃分 の⾔葉で説明でき、何から 始めるかを決められる状態 になること。 どこで差がつくのか / 明⽇からの⼀歩 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 3
  4. WHY AGENT ̶ 01 ⽣成 AI は何も「理解」していない 「理解」しているのではなく、次のトークン(単語)を確率的に予測する処理の連鎖。 01 事前学習

    ⼤量のテキストに含まれ るパターンを学習する 02 確率的に予測 学習したパターンを基に 「次に来そうな⾔葉」を 選び続ける 03 “それらしい答え” (理解ではなく)統計的 に妥当な⽂を⽣成してい る ※ すでに存在する⽂章をそのまま再現しているわけではない。近年はマルチモーダル化が進み、画像・⾳声など⾮⾔語情報からの予測も多分に含まれる。 正解が決まっている問題は得意。正解のない問題には、「情報」と「考え⽅」を与える必要が ある。 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 4
  5. WHY AGENT ̶ 02 ⽣成 AI は「抽象」を「具体」にする翻訳機 ビジネスにおける AI 活⽤の多くは、曖昧な戦略や意図(抽象)を、実⾏可能なタスク(具体)へ落とし込む作業。

    「抽象」 戦略・意図・⽬的 ⼈が握るべき領域 重要度・難易度 ⾼ 重要度・難易度 低 解像度を上げる(=⽣成 AI の仕事) 「具体」 実⾏可能なタスク AI が担える領域 抽象に近いほど重要で、かつ難しい。 AI はこの「解像度向上」を劇的に⽀援する。裏を返せば、抽象を決めるのは⼈の仕事。 ここを曖昧なまま渡しても、返ってくるのは曖昧な具体でしかない。 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 5
  6. WHY AGENT ̶ 03 では、Agent とは何か Agent とは、LLM に 「情報」と「考え⽅」

    を与え、ゴールまで⾃⾛させるためのフレーム ワーク。 情報 考え⽅ INPUT LOGIC 社内データ・ドキュメント 果たすべき役割と制約 ツール経由で取得する外部情報 作業の⼿順とその分解 過去のやり取り(記憶) 良し悪しを決める判断基準 Agent とは「うまいプロンプト」ではなく「仕事のしかたの設計」である。 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 6
  7. WHY AGENT ̶ 04 チャット・ワークフロー・Agent の違い 違いは「誰が⼿順を決めるか」。Agent 化が常に正解とは限らない。 1 チャット

    2 ワークフロー 3 Agent ⼈が毎回考える ⼈が⼿順を固定する AI が⼿順を選ぶ 都度の相談相⼿。⼿順も判断も⼈ が持つ。 決まった順に LLM を呼ぶ。定型業 務向き。 ゴールを渡すと、やり⽅は AI が組 み⽴てる。 ⽴ち上がりが速い 再現性が⾼く、コストが読める 変化と例外に強い 毎回の品質が⼈に依存する 想定外の変化に弱い 制御と評価の設計が要る ⼿順が決まっている仕事はワークフローの⽅が安く・速く・確実。 Agent は「⼿順が決めきれない仕事」にこそ効く。 7
  8. BUILDING BLOCKS Agent の構成要素 Agent は、仕事というダンジョンを攻略するための冒険者パーティ。 依頼書 LLM(推論エンジン) 魔法使い Gemini

    等の基盤モデル。 推論・計画・⽣成の中核を担う。 ここが変われば Agent の性格も変わる。 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 案内⼈ System Prompt Planning(計画) ロール・スキル・制約を定義する 指⽰書 タスクを実⾏可能なサブゴールに 分解する能⼒ 賢者 戦⼠ Memory(記憶) Tools(ツール) 短期=コンテキストウィンドウ ⻑期=外部 DB・Memory Bank 外部システムへの接続。MCP が その標準プロトコル 9
  9. YOUR ROLE Agent を構築するあなた(⼈)は パーティを率いる勇者 AI が強くなるほど、⼈に残る仕事は「何をやる か」を決めることに寄っていく。 1 2

    3 ゴールを決める 何をもって「できた」とするかを⾔語化する 判断基準を渡す ⾃社ならではの⼿順・作法・NG を伝える 結果の責任を持つ 出⼒を確かめ、世に出す判断は⼈が下す 10
  10. DESIGN PATTERN ̶ 01 設計パターン ① Agent の数 1 体で完結させるか、役割を分けて分業させるか。

    単⼀ (Single) マルチ (Multi) 計画・実⾏・検証を 1 体で担う オーケストレーターが専⾨サブ Agent に指⽰を出す Orchestrator Agent 計画 実⾏ シンプルで制御しやすい/⼩規模タスク向き 検証 Sub 1 Sub 2 Sub 3 複雑タスクの分業が可能/役割分担で品質向上 迷ったら単⼀から。1 体で回らなくなった理由が⾒えてから分けると、役割の切り⽅を間違えにくい。 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 12
  11. DESIGN PATTERN ̶ 02 設計パターン ② タスクの流れ⽅ 同じ構成要素でも、つなぎ⽅で得意な仕事が変わる。 直列 (Sequential)

    並列 (Parallel) ループ (Loop) 前のステップの出⼒を次へ 複数 Agent が同時に実⾏ 条件を満たすまで反復 A1 S1 S2 S3 IN A2 OUT Step Check NG なら戻す A3 順序依存の処理に最適。 どこで失敗したか追いやすい。 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 速い。ただしどの出⼒を採⽤ し、どう合成するかの設計が 要る。 品質チェック向き。停⽌基準 を決めないと終わらない。 13
  12. PROCESS ̶ 01 Agent のプロセス ① 推論のループ ⼀度で正解を出すのではなく、書いて → ⾒直して

    → 直す。⼈の仕事の進め⽅と同じ。 Reflection(⾃⼰批評) Critic(他者レビュー) 1 つの Agent が、⾃分の出⼒を⾃分でチェックして直す 別の専⾨ Agent(Critic)がレビュー役を担う ⽣成 ⾃⼰評価 修正 魔法使いが、回復魔法まで⾃分でかけるイメージ。1 ⼈⼆役なので⾝軽だが、⾃分の⾒落としには気づきに くい。 Worker Critic フィードバック 回復は専任の僧侶に任せるイメージ。評価の観点を専 任 Agent に固定できるので、レビューの質が安定す る。 出⼒品質は継続的に底上げできる。⼀⽅で、ループ回数と終了条件の設計を誤ると、コストと 時間が⻘天井に膨らむ。 AI Agent ⼊⾨|今さら聞けない Agent の話 15
  13. PROCESS ̶ 02 Agent のプロセス ② 記憶(Memory)を通じた改善 記憶には、会話の中で消えるものと、会話をまたいで残るものがある。 セッション記憶 Memory

    Bank 会話内(短期) 会話をまたぐ(⻑期) ⼀つの会話が終わると消える。直近のやり取りを⽂脈とし て保持する。 例 直前の質問内容 今回の作業対象ファイル 対話中の修正履歴 明⽰的に保存・参照される永続的な記憶。ユーザーの好み や過去の判断を持ち越す。 例 過去のタスク結果 ユーザーの好み・スタイル 学習した事実・前提知識 ⻑期記憶は「何を残さないか」の設計で品質が決まる。 古い判断が残り続けると、Agent はそれを正解として引きずる。 16
  14. PITFALLS つまずきやすい 4 つのポイント 動くものを作るのは簡単になった。運⽤に乗せるところでつまずく。 01 コストが読めない 02 ループと並列は課⾦が跳ねる。最⼤試⾏回数 と停⽌条件を、作る前に決めておく。

    03 権限が広すぎる ツールに渡す権限は最⼩限に。更新・送信・ 削除など戻せない操作には⼈の承認を挟む。 評価の物差しがない 「なんとなく良さそう」で運⽤しない。合否 を判定できるテストケースを先に⽤意する。 04 ⽂脈を詰め込みすぎ ⼊れるほど賢くなるわけではない。必要な情 報だけを、必要なタイミングで渡す。 ※ いずれも技術ではなく「設計と運⽤ルール」の問題。最初の 1 本を⼩さく作って確かめるのが近道。 17
  15. COMPETITIVE EDGE AI 時代に競争優位性(差別化)を⽣み出すポイント データ 知識 プロセス 組織 1. 企業独⾃データの武器化

    顧客の声や営業現場のリアルなデータを、AI Agent がいつでも即座に参照・活⽤できる状態に整備する。 2. 暗黙知を AI に移植する 汎⽤的な知識だけでなく、⾃社固有のノウハウ(業務⼿順・判断基準・独⾃ルール)を AI に埋め込むことが最重要。 3. 業務プロセスを AI Agent 前提で設計し直す 既存業務の⼀部に AI を当てるのではなく、AI Agent がいる前提で業務プロセスをゼロから再設計する。 4. ミッションと評価基準を⼈間中⼼に再定義する AI がオペレーションを担う時代に、⼈間が何に集中すべきか・どこにリソースを投下すべきかを根本から⾒直す。 最も⼤事なのは技術だけではなく、“何を与えるか” そして “どう変わるか”。 19
  16. WRAP UP まとめ 1 ⽣成 AI は「理解」していない。確率で次の⾔葉を選び続けているだけ。 2 だからこそ「情報」と「考え⽅」を与える。その枠組みが Agent。

    3 設計は単⼀ × 直列から。ループの停⽌条件と評価の物差しを先に決める。 明⽇からの⼀歩 4 差がつくのは技術そのものではなく、⾃社のデータ・暗黙知・プロセス。 ⼩さく作る(1 業務・1 Agent) 合否を決めるテストを書く ⼈の承認ポイントを決める まずは、週に⼀度は必ず発⽣する定型業務を 1 つ選び、その⼿順書 を書き出してみる。それが System Prompt の原型になります。 1 か⽉後に⼿順書を⾒直す 20