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人間にとってちょうどいいテクノロジーとは?- 読書シェア会 vol.6
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ikemura23
June 25, 2025
Technology
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76
人間にとってちょうどいいテクノロジーとは?- 読書シェア会 vol.6
「コンヴィヴィアル・テクノロジー」という本の読書感想スライド
イベントurl
https://yumemi.connpass.com/event/356926/
ikemura23
June 25, 2025
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Transcript
人間にとってちょうどいいテクノロジ ーとは? 池村 和剛(いけむら かずたか) ikemura23 (@ikemura23) on X Sonic
Pi 🎹 #IkemuraMusic 株式会社ゆめみ在籍, Android App Engineer 沖縄県出身🇯🇵 https://x.com/ikemura23 人間にとってちょうどいいテクノロジーとは? 1
コンヴィヴィアル・テクノロジー人間とテクノロジーが共に生きる社会へ 行き過ぎた現代のテクノロジーは、いかにして再び「ちょうどいい道具」になれる のか?気鋭のデザインエンジニア・緒方壽人(Takram) が、イヴァン・イリイチが説 いた「コンヴィヴィアリティ」を足がかりに現代に求められるテクノロジーのあり https://convivial.tech/ 「コンヴィヴィアル(convivial ) 」という聞き慣れない言葉 元はラテン語のconvivere
に由来し、con は「共に」 、vivere は「生きる」 日本語だと自立共生 英語だと〝live together 〟 「共に生きる」 思想家イヴァン・イリイチ 思想家 1926 年ウィーン生まれ カトリック司祭となり将来のローマ法王候補のエリート ラテンアメリカで土着的な人々に触れカトリックから還俗 以降は産業社会批判を展開し、注目される 「人間は道具を使っているつもりで実は道具に使われてると し、未来の道具は、人間が人間の本来生を損なうことなく、 他社や自然との関係性のなかでその自由を享受し、創造性を 最大限発揮しながら共に生きるためのものでなければならな い」 ちょうどいい道具 例として「自転車」がある。 自転車は精巧な素材と工学技術の組み合わせで作られている ケガを生じさせない程度のスピードで走る 人間にとってちょうどいいテクノロジーとは? 2
公共空間を安全・静か・清潔な状態、に保つ 人間が移動するために「便利な道具」としてちょうどいい 「使う」と「使われる」の間の関わり方ができる 手放すこともできる 自転車の登場に怒る人はいない ちょうどいい道具じゃないもの 要求してくるもの 誘惑し、操り、何かを引き出そうとするもの 中毒性のあるもの 使用から支配になってくるもの
二つの分水嶺 第一の分水嶺 人間の能力を拡張してくれる力を持つ 第二の分水嶺 力を持ちすぎて人間の主体性を奪い、操作・依存・隷属させる 人間が道具に使われている状況 人間にとってちょうどいいテクノロジーとは? 3
自転車は第二の分水嶺をこえないため、ちょうどいい 静かに、ただ存在し、使わるのを待つ 要求してこない 道具は適切な規模をこえると、人間を支配しつつ、道具に使われている状況になる 移動” させられている” 学” ばされている” 医療を受け” させられている”
第二の分水嶺を超えた道具 スマートフォン ソーシャルメディア AI 人間にとってちょうどいいテクノロジーとは? 4
道具から要求してくる 何かを引き出そうとしてくる 中毒性がある 第二の分水嶺を超えていないかを見極める視点 そのテクノロジーは、人間から自然環境の中で 生きる力を奪っていないか? そのテクノロジーは、他にかわるものがない独占をもたらし、人間を依存させていないか? そのテクノロジーは、プログラム通りに人間を操作し、人間を思考停止させていないか? そのテクノロジーは、操作する側とされる側という 二極化と格差を生んでいないか?
そのテクノロジーは、すでにあるものの価値を過剰な速さで ただ陳腐化させていないか? そのテクノロジーに、わたしたちはフラストレーションや違和感を 感じてはいないか? まとめ テクノロジーを否定したいわけではない すべてをなかったことにして、 原始的な生活に戻ろう!と言いたいわけではない。 「過剰なテクノロジー」に目を向けてみてはどうか? そもそも、テクノロジーは「コンヴィヴィアルなライフスタイル」を実現するためにある。 自分たちは知らぬ間にテクノロジーに依存し、主体性を奪われているのかもしれない、 人間にとってちょうどいいテクノロジーとは? 5
ということに自覚的であるべき。 道具が適切なバランスを保っているかどうか考えて、 「テクノロジーとの共存」を目指したい 人間にとってちょうどいいテクノロジーとは? 6