Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

電波環境マップに基づく周波数共⽤の理論と課題

 電波環境マップに基づく周波数共⽤の理論と課題

Koya SATO

March 06, 2019
Tweet

More Decks by Koya SATO

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 3 研究背景: 電波環境マップ (Radio Environment Map) 平均受信電⼒値の空間的広がりを可視化したもの 本講演のフォーカス • ⻭抜けの情報をどう補間推定するか︖

    • REMの適⽤による周波数共⽤性能の改善効果は︖ • 課題は︖ 以下2つの成果プラスアルファを踏まえて概説 観測値 実環境 [1] K. Sato, K. Inage and T. Fujii, IEEE Wireless Commun. Lett., 2019. [2] K. Sato and T. Fujii, IEEE Trans. Cogn. Commun. Netw., 2017.
  2. 5 空間統計学における補間推定の基本的な指針 x0 補間対象 xi 観測地点 重み係数 近傍のデータには⼤きな ωi 遠⽅のデータには⼩さな

    ωi を与えることで精度を確保 地点xにおける平均受信電⼒: 送信電⼒+距離減衰 シャドウイング 2地点間のシャドウイング相関 相関距離[m]
  3. 7 常クリギングによるREM構築 (2/3) 1. 距離減衰特性の推定&除去 2. シャドウイング成分の空間相関特性のモデル化 3. シャドウイング成分に対し加重平均 セミバリオグラム︓2地点間の距離に対するサンプルのばらつきやすさ

    →REM構築では,共分散から分散を引いた値に対応 x1 x2 xN x4 x3 2地点間の距離 [m] セミバリオグラム 参考: N. Crassie, Statistics for spatial data, Wiley-Interscience, 1993.
  4. 8 常クリギングによるREM構築(3/3) 1. 距離減衰特性の推定&除去 2. シャドウイング成分の空間相関特性のモデル化 3. シャドウイング成分に対し加重平均 各シャドウイングに対する加重平均から地点x0 における値を補間

    最⼩化: 制約 : →ラグランジュの未定乗数法により最適化 クリギング︓誤差の分散の最⼩化を⽬的にωi を最適化 (不偏性のための制約) セミバリオグラム
  5. 12 REMの適⽤の周波数共⽤への効果の理論検討 検討する周波数共⽤モデル PU-Rx PUが定義する保護エリア PU-Tx SU-Rx SU-Tx PP-P I

    PS-S REMから推定 距離減衰モデルから推定 各電⼒: 距離減衰+シャドウイング SIR︓ 周波数共⽤規範︓ 所望値 所望確率 最⼤許容送信電⼒を満たす条件︓ 以上の条件に基づきSU-Txの送信電⼒を決定 PU: Primary User SU: Secondary User
  6. 13 分散σ2 ε = σ2 P (1 - ρ2) の誤差

    REMの適⽤の周波数共⽤への効果の理論検討 PU-Rxにおける所望信号電⼒ 相関ρの2変量対数正規分布 に従うと仮定 推定値 REMからわかるものとする 本誤差モデルを⽤いた推定値の⽣成により相関係数ρの関数として評価 検討する周波数共⽤モデル PU-Rx PUが定義する保護エリア PU-Tx SU-Rx SU-Tx PP-P I PS-S REMから推定 距離減衰モデルから推定
  7. 14 REMの精度の周波数共⽤性能への影響の数値例 • 誤差予測を活⽤することでREMの精度によらずPUの通信品質を確保 • REMの精度が周波数共⽤性能に直結 誤差ゼロ 0.0 0.2 0.4

    0.6 0.8 1.0 15 16 17 相関係数ρ 平均通信路容量[bps/Hz] REM(近似式) REM(sim) PU側も距離減衰のみ推定 SU-Rxの平均通信路容量 平均雑⾳電⼒: -100[dBm] シャドウイング: 8[dB] 所望アウテージ確率: 0.10 所望SIR: 10[dB] 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 相関係数ρ アウテージ確率 所望アウテージ確率 REM(誤差予測あり) REM(誤差予測なし) 所望SIRに対するアウテージ確率
  8. 16 課題その1: 電波伝搬に対する仮定の⾒直し REM構築で基本となるモデル: 単純なモデル化での対処が困難な要素には機械学習介⼊の余地アリ︖ 要素 仮定 実際 x 2次元

    3次元 xTx 固定 移動するケース多数 P(x) 時間変動しない 構造物の変化などにより 緩やかに変動 η 等⽅的 ⾓度依存+区分変化アリ W(x) 空間相関が場所によら ず等⽅的 場所や⽅⾓によって複雑に 変化 無⼈⾶⾏機- 地上での共⽤ ・屋内無線 ・⾞⾞間通信 の効率化 拡張の可能性
  9. 17 課題その2, 3 REMに関する検討の多くはいかに精度よくREMを作るかにフォーカス • 最終的な通信効率への⾔及を⾏なっているものはごくわずか 特に⼲渉制約下でREMの誤差とどう向き合うかは重要なトピック その2: リソース管理への組み込み •

    受信位置や報告時間はユーザの⼤事なアクティビティ • 上⼿く解析すると個⼈情報が漏洩する恐れ 要素技術2: 差分プライバシ • 統計量&既知の⽣データから個⼈の情報を推定する攻撃を防ぐための概念 • 統計結果に確率的ノイズを付与することで上記攻撃への耐性を持たせる 要素技術1: 準同型暗号などの秘匿演算 • 数値を暗号化したまま演算 • 対応可能な演算や演算量の問題があるため、これらをどう組み込むかが問題 その3: 観測者のプライバシ問題
  10. 18 まとめ 電波環境マップ(REM)について以下の観点から概説 • 構築⽅法 • 周波数共⽤性能の改善効果 • 課題 REMに基づく周波数共⽤の発展の3軸

    • 電波伝搬 • 無線リソース割り当て • プライバシ 本発表内容の⼀部は以下2つに基づいています(いずれもオープンアクセスです) [1] K. Sato, K. Inage and T. Fujii, “Modeling the Kriging-Aided Spatial Spectrum Sharing over Log-Normal Channels, ” IEEE Wireless Commun. Lett., 2019. [2] K. Sato and T. Fujii, “Kriging-based Interference Power Constraint: Integrated Design of the Radio Environment Map and Transmission Power, ” IEEE Trans. Cogn. Commun. Netw., 2017.