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クルマのサブスクの"出口"で 値付けAIを作る

クルマのサブスクの"出口"で 値付けAIを作る

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KintoTech_Dev

August 28, 2026

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  1. 自己紹介 • 笹野 翔太(Sasano Shota) • KINTOテクノロジーズ / AIエンジニア・FDE •

    サッカー観戦 ◦ 推しチームは無いです、純粋に競技として KINTO Technologies Corporation
  2. クルマのサブスクには"出口"がある(3/3) • 契約が終わると、クルマが返ってくる ◦ 3・5・7年落ちのクルマが、毎月まとまった台数 • 返ってきたクルマは、行き先を決める ◦ もう一周貸す(中古車サブスク) ◦

    市場で売却する • 売却の主戦場は、業者間の中古車オークション ◦ 出品には、値付け(いくらで売れるかの予測)が必要 ←今日の話 KINTO Technologies Corporation
  3. 値付けをミスると…(2/2) • 高すぎる → 流札(売れ残り) ◦ 出品料が無駄に。持ち越す間に相場下落のリスク • 安すぎる →

    そのまま売却損 ◦ 1台数十万円単位の損益が、毎週、人の肩に載っている KINTO Technologies Corporation
  4. 整理すると、課題は2つ(2/2) • ① 属人性 — 「なぜその値段か」が人の中にある ◦ 相場観も判断基準も、ベテランの経験の中。形式知になっていない • ②

    スケールしない — 台数が増えると、捌ききれない ◦ 増員しようにも、ニッチな知識と専門領域で採用・教育が難しい ◦ 「クルマが好きで、中古車の価格に興味がある人」という前提になってしまう KINTO Technologies Corporation
  5. 再掲:この2つの課題、AIでどこまで解ける? 課題① 属人性 ✓ ML(落札価格予測)で解ける ベテランが相場を日々ウォッチし、 相場の変動は、時系列特徴量と週次学習で追える。 時勢を織り込んで値付けしている 数字を当てるのは機械学習の得意分野 課題②

    スケールしない ✕ MLだけでは解けない 増員も教育も難しい。少人数で大量の 「なぜその値段か」の言語化は、 AI値付けを回すには、根拠が要る 数字を返すモデルの外側にある この“解けない半分”を、どう解くか KINTO Technologies Corporation
  6. LLMに高度なタスクを解かせる“定石”は、出揃ってきている コンテキストエンジニアリング ハーネスエンジニアリング Few-shot Tool use お手本の入出力例を渡して型を教える 必要な情報をLLM自身に取りに行かせる RAG MCP・外部連携

    関連文書・ナレッジを検索して注入する 検索・DB・社内システムへの接続口を渡す LLM プロンプト設計 構造化出力 役割・業務前提・出力形式を固定する JSONスキーマや検証で出力を縛る ループエンジニアリング KINTO Technologies Corporation Agentic loop 自己修正 計画→実行→観察を繰り返 す 検証して失敗したらやり 直す
  7. じゃあ、過去の落札統計をぜんぶ渡せば? 過去の落札実績 + 毎週更新される相場 + 車種・グレード・評価点・装備… LLM コンテキスト爆発 入り切らない・薄まる・高い・遅 い

    + ベテランのドメイン知識 そもそもLLMが詳しいのは店頭の中古車価格。業者間オークションの相場観は、渡さないと持っていない “ちょうどいいコンテキスト”に、どう圧縮するか—— KINTO Technologies Corporation
  8. MLモデルを、過去統計の“圧縮機”と見立てたら? コンテキストエンジニアリング ハーネスエンジニアリング Few-shot Tool use お手本の入出力例を渡して型を教える 必要な情報をLLM自身に取りに行かせる RAG 関連文書・ナレッジを検索して注入する

    MCP・外部連携 プロンプト設計 検索・DB・社内システムへの接続口を渡す LLM 役割・業務前提・出力形式を固定する 構造化出力 ML予測モデル = 統計の圧縮機 JSONスキーマや検証で出力を縛る 数千件の実績 → 予測値+比較車両の“数行” へ ループエンジニアリング KINTO Technologies Corporation Agentic loop 自己修正 計画→実行→観察を繰り返 す 検証して失敗したらやり 直す
  9. ※参考:この値段、実勢と比べてどう? • デモの予測(2022年式アルファード・走行3万km・評価点4.5) ◦ 推奨 3,450千円/レンジ 3,200〜3,800千円 ◦ これは業者間オークションの落札価格(=卸値)の予測 •

    店頭の中古車価格は(大手中古車情報サイト調べ) ◦ 2022年式アルファードは、平均 350〜600万円台 ◦ 走行2〜4万kmの良コンディション帯は 400〜550万円が中心 • 店頭価格 = 落札価格 + 販売店の整備・保証・マージン ◦ 卸値である落札価格が、店頭価格の下に来るのは想定どおり ◦ 今回はグレード未指定(ハイブリッド/上位グレード判別不可)なのでレンジは下 限寄り KINTO Technologies Corporation
  10. 最初にやったのは、現場との会話とデータの解剖(2/2) • 現場に聞いたこと ◦ どんなデータがあるのか ◦ 現場はどうやって値付けしているのか ◦ 既存の自動値付けの、何に困っているのか ◦

    この検証に、何を期待するのか • 並行して、値付けの予実データを解剖 ◦ 精度・0ヒット・信頼スコア・時系列を、分析ノートブック5本で ◦ → 課題が一言になった:「実績のないクルマに、値段を付けられるか?」 KINTO Technologies Corporation
  11. 試したこと① 「似たクルマ」から借りる(2/2) • 技術候補を、実データで横並び比較 ◦ ルールベース:検索条件を段階的に緩める ◦ k-NN 類似検索や 勾配ブースティング回帰、それらのアンサンブル

    ◦ 車名を跨いで、別車種の近いクルマから借りる——も試した • k-NNの強み=「比較車両」という根拠を出せること ◦ 実績ゼロのクルマでも、スペックの近いクルマは大体いる KINTO Technologies Corporation
  12. 試したこと② 情報を外から足す(1/2) • 手元のデータだけでは、クルマの情報量が足りない ◦ 車種の属性(セグメント・ボディタイプ)をマスタ化 ▪ セグメント=車格の分類(軽・コンパクト・ミドル・ラージ・SUV・ミニバン・高級 など) ▪

    ボディタイプ=形状の分類(セダン・ハッチバック・ワゴン・SUV・ミニバン・クーペ) ◦ 新車価格のマスタデータを整備(車種×グレード×年式) KINTO Technologies Corporation
  13. 試したこと② 情報を外から足す(2/2) • 手元のデータだけでは、クルマの情報量が足りない ◦ 車種の属性(セグメント・ボディタイプ)をマスタ化 ▪ セグメント=車格の分類(軽・コンパクト・ミドル・ラージ・SUV・ミニバン・高級 など) ▪

    ボディタイプ=形状の分類(セダン・ハッチバック・ワゴン・SUV・ミニバン・クーペ) ◦ 新車価格のマスタデータを整備(車種×グレード×年式) • 情報量を増やした状態で、勾配ブースティングを再評価 ◦ 新車価格が、モデルの最重要特徴量になった ◦ 実績ゼロのクルマにも「車格」という物差しが入った KINTO Technologies Corporation
  14. 試したこと③ 相場の動きを、特徴量にする(2/2) • 相場は1〜3ヶ月で動く — ベテランはそれを目で追っていた ◦ 課題①の正体。時勢を織り込まないと、古い相場で値付けしてしまう • そこで、lag特徴量を作成して追加

    ◦ 直近の落札価格(lag)・移動平均・価格トレンド・季節性 • 時系列リーク防止 ◦ 特徴量は「その時点で知り得た過去」だけから計算する KINTO Technologies Corporation
  15. 「なぜ」を足す — 発想を、実装に落とす(2/2) • ②のMLで、値段は出るようになった。でも—— ◦ 課題②のとおり、少人数で回すには根拠が同時に要る ◦ 根拠の言語化は、数字を返すモデルの外側 →

    LLMの出番 • さっきの「圧縮」の発想を、そのまま実装する ◦ ML予測結果 = 数千件の落札統計の圧縮表現 ◦ + 対象車両の情報 + ベテランから教わったドメイン知識 ◦ この3点をコンテキストとしてLLMに渡し、判断と説明をさせる KINTO Technologies Corporation
  16. 実例:中古車として取り扱い実績ゼロのクルマ • レクサスES(2023年式・走行9.5万km・修復歴あり・外内装C) ◦ ルールラダー:過去扱い実績なし • ML 3手法の予測は…… ◦ GBR

    3,023千円 / LightGBM 3,464千円 / k-NN 3,625千円 ◦ 最大60万円のばらつき。しかもGBR/LightGBMの比較車両はコンパクトSUV中心 レクサスESはコンパクトSUVではなくセダンタイプ KINTO Technologies Corporation
  17. 精度:10台出したら、8台は±10%に収まる 誤差の中央値 ±10%以内に収まる割合 約4 % 約8割 300万円のクルマなら、ズレは 十数万円 くらい 10台に8台は、実用レンジに入る

    ・検証は、学習に使っていない直近の約1,000台で ・外れやすいのは、実績の薄いクルマと高額車 — ここは人間の出番(このあと話します) KINTO Technologies Corporation
  18. 作ってみての学び(2/3) • LLMは、渡す前提(コンテキスト)がすべて ◦ 一度「このタスクに向いてない」と見限りかけた → 業務前提を渡したらバイアス半減 ◦ 渡しきれない統計は、MLで圧縮して渡すという選択肢がある •

    本番化を決めたのは、精度じゃなくて用途と信頼設計 ◦ MLの精度改善はデータ律速で頭打ちだった。それでも本番に行けた ◦ 「誰が・どの範囲で・どういう用途なら使うか」を現場と握る KINTO Technologies Corporation
  19. 作ってみての学び(3/3) • LLMは、渡す前提(コンテキスト)がすべて ◦ 一度「このタスクに向いてない」と見限りかけた → 業務前提を渡したらバイアス半減 ◦ 渡しきれない統計は、MLで圧縮して渡すという選択肢がある •

    本番化を決めたのは、精度じゃなくて用途と信頼設計 ◦ MLの精度改善はデータ律速で頭打ちだった。それでも本番に行けた ◦ 「誰が・どの範囲で・どういう用途なら使うか」を現場と握る • 動くものを作って現場と話すのが、結局いちばん速い ◦ 全員が同じものを見て話すと、検証も方向修正も速い ◦ コーディングエージェントの速さは、そのための道具 分析〜デモアプリデプロイまで:10日程度 KINTO Technologies Corporation