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AIで 浮いた時間で 何をする?
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konifar
September 20, 2025
Technology
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AIで 浮いた時間で 何をする?
PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2025
https://lp-prohis.youtrust.jp/
konifar
September 20, 2025
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Transcript
©2024 Kyash Inc. ©2024 Kyash Inc. AIで 浮いた時間で 何をする? PRODUCT
HISTORY CONFERENCE 2025 2025/09/20 (土) Kyash Inc. VPoE @konifar
©2024 Kyash Inc. この質問から何が思い浮かぶか AIで 浮いた時間で 何をする? 2
©2024 Kyash Inc. “5・7・5"ですね 3 A I で 浮 い
た 時 間 で 何 を す る ?
©2024 Kyash Inc. この“下の句"を考えていきたい • AIでニンゲンの時間は増えたのか • 時間が増えたとして、短期的にはその時間 をどう活用していくか •
さらに活用できたとして、長期的には我々 はどう“適応"していくか 話すこと 4 • AIツールやエージェントの活用詳細 • AIのプロダクトへの適用やAIを前提とし たプロダクト開発 あまり話さないこと これらは同時間のSTAGE Bの宮脇さんの登壇をはじめ、他 の素晴らしい発表を参考にしてもらうとよいと思います キキタカッタ!
©2024 Kyash Inc. 小西 裕介 (こにふぁー / @konifar) [Kyash と
わたし] • 株式会社 Kyash で 7年10ヶ月くらい Fintech のプロダクトを作っています • 直近4年くらいはマネジメントの役割を担っています • 日々学んだことをブログに書き残したりしています [Kyash と AI] • Kyash は金融事業ということもあり、 AIの活用どころは一定慎重にはなりつつも、 AI推進チームを作って検証や整 備をしています • Claude Code や Gemini、 Codex などを利用できるようにしていて、 経費補助を エンジニアに限らず 月 10,000円/人 まで出せるように最近整備したところです 5 よろしくお願いします タノシイ!
©2024 Kyash Inc. 6 目 次 1. 学習 2. 問い
3. 禅 Table of contents
©2024 Kyash Inc. ©2024 Kyash Inc. 1. 学習 7 7
©2024 Kyash Inc. 8 AIコーディングツールによる生産性向上 • GitHub 調査では、 コード生成速度は 55%
向上 ◦ 体感ではもっと劇的な変化をしている ◦ 調査やドキュメンテーションといった意思決定のサポートという点でも効果は絶大 • 構造化されていなかったデータを活用でき、 ニンゲンがやらなければいけなかった“間”も埋められる ようになったことで問題解決の選択肢が飛躍的に増えた 明らかに劇的。 あらゆる前提が変わるほどの変化。
©2024 Kyash Inc. 9 たとえば小さな実装のワンセット 設計 実装 テスト レビュー コードやドキュメントの調査
設計の壁打ち 見落としの確認 ドキュメントのまとめ ロジックの実装/動作確認 ユニットテスト追加/修正 E2Eテスト追加/修正 Pull Request 作成 仕様齟齬の指摘/修正 コード上の不具合の指摘/修正
©2024 Kyash Inc. 10 たとえば小さな実装のワンセット 設計 実装 テスト レビュー コードやドキュメントの調査
設計の壁打ち 見落としの確認 ドキュメントのまとめ ロジックの実装/動作確認 ユニットテスト追加/修正 E2Eテスト追加/修正 Pull Request 作成 仕様齟齬の指摘/修正 コード上の不具合の指摘/修正 たとえば • AIコーディングツールによる調査 / 確認の補助 • Spec駆動開発ツールによる設計のフォーマット化 • AIコーディングツールによる自走式実装 / 伴走式補助 • AIコーディングツールによる仕様の網羅チェック / 指摘、 自動修正 もちろんこの前後の仕様策定やQAプロセス、リリース後の効果検証でも活用できる スゴイネ!
©2024 Kyash Inc. 11 劇的な改善ができるはずだが...? 設計 実装 テスト レビュー コードやドキュメントの調査
設計の壁打ち 見落としの確認 ドキュメントのまとめ ロジックの実装/動作確認 ユニットテスト追加/修正 E2Eテスト追加/修正 Pull Request 作成 仕様齟齬の指摘/修正 コード上の不具合の指摘/修正 こんな感じでニンゲンの時間が増えたのか? より “創造的な" 何かができているのか? 設計 実装 テスト レビュー ?
©2024 Kyash Inc. 12 現状、おそらくそうはなっていないことが多い • Claude Code が調査している時間、コードを書いている時間、何をしていますか? ◦
なんとなく眺めたりXを見たりしているだけになっていませんか? • 生成されたアウトプットに対する確認にどのくらい時間をかけていますか? ◦ AIに振り回されて、振り返ってみるとむしろ時間がかかってしまっていませんか? • AIがさまざまなアウトプットを出してくる中で、うまく頭を切り替えられていますか? ◦ コンテキストスイッチが増え、自分のアウトプット総量が思ったより上がらないことはないですか? ギクッ!
©2024 Kyash Inc. 13 ニンゲンが“適応"する必要がある • AIは時を“加速"させる • 細切れになる時間に対して、ニンゲンが動き方を変えて“適応"しなければならない といっても、そんなに新しい話ではない。歴史の中で常にニンゲンがやってきたこと。
• メール中心からチャット中心に移行して起こった“チャット疲れ"と似ている • 細切れの時間に悩んだり意思決定疲れを起こしたりするのは、マネージャーの普遍的な苦悩のひとつ
©2024 Kyash Inc. 14 AIを中心とした“適応"とは、自分が“学習"すること • (現状は) 自分の理解が足りない領域をAIにお任せするのはあまり筋がよくない ◦ 逆にある程度理解ができた状態で使うと、自分の能力を拡張するような感覚で生産力が飛躍的に向上する
• AIで生産力を上げられるのは、使いこなす能力がある人だけ ◦ AIを活用するなら、よりいっそうニンゲンが学習し続ける必要がある ◦ 結局ニンゲンの能力を上げていかないと生産力は上がっていかない
©2024 Kyash Inc. 15 何を“学習"するか • 関連する技術やドメイン、その隣接領域 ◦ メイン分野は深く学びつつ、他も広く浅く知ってインデックスを張ること ◦
本や資格試験で体系的に学ぶ価値が上がっている • AIツール/エージェントの仕組み ◦ AIに適切な指示を出すために、AIがどう動いているかを知ること ◦ (今は) AIツールを使いこなすためのTipsの収集も大事 • プロダクトマネジメント ◦ よりなぜ何を作るかを決める重要性が上がっている ◦ アウトカムを強く意識できるようにマインドをアップデートする
©2024 Kyash Inc. 16 AIで浮いた時間は、 “学習" に使う A I で
浮 い た 時 間 で 何 を す る ? 学 び 深 め て A I と 歩 む 「今はAIで浮いた時間はAIをより使い こなせるように自分の学習の時間にあ て、AIとの協業方法をアップデートする というループを回すのがよい」 の意
©2024 Kyash Inc. ©2024 Kyash Inc. 2. 問い 17 17
©2024 Kyash Inc. 18 AIとの開発に慣れてきた先に起きがちなこと • 深く考えるよりも作ってしまうという選択肢を取りやすくなる ◦ シュッと作れてしまう中毒性がある ◦
ミーティング中に出てきた話を、ミーティング中に依頼して終わらせるといった動きもできうる • いわゆるユーザーが本質的に求めているものを追求せずリリースを繰り返す“ビルドトラップ"にハ マりやすくなる可能性 • 「なぜ作るか」 といった“問い"の力を今まで以上に意識し、身に染み込ませる必要がある 何でもすぐ作ってしまいたくなる問題 タノシイ!
©2024 Kyash Inc. 19 “問い"の底上げは、ユーザーを理解し自分で考えぬくこと • ニンゲンはすぐにバイアスにかかってしまう ◦ AI は時を加速させてくれるため、使い手は全能感を得やすい
◦ AIの出力にユーザー理解や自分の思考が誘導されないようにすること • 情報収集ではAIをフルに活用し、浮いた時間を思考と問い、意思決定にあてる ◦ ユーザーの理解、本質的に何が必要なのかの整理に時間を使うこと ◦ 目的不確実性の解消により集中する ◦ そのためにプロダクトマネジメントの“学習”にあてるのもよい • これが巷で言われる「AIを活用してニンゲンにしかできない“創造的な仕事”に集中する」ということ
©2024 Kyash Inc. 20 AIで浮いた時間は、 “問い" に使う A I で
浮 い た 時 間 で 何 を す る ? 問 い を 磨 い て 答 え 導 く 「ユーザーを理解し、何が必要かを問い 続けながら見極めること、そのために今 こそプロダクトマネジメントを学び問い の力をつけることが大事」 の意
©2024 Kyash Inc. ©2024 Kyash Inc. 3. 禅 21 21
©2024 Kyash Inc. 22 生産力が上がった先に何をするか • 「学習」と「問い」に時間をあてていった先に、結局AIでニンゲンは“暇”になれるのか • 生産力が2倍になったら、3倍を目指してさらに“適応"していくのか ◦
これ以上生産力を上げてどうするのか ◦ それで我々やユーザーは本当に幸せになれるのか • AIで浮いた時間を「何もしない」という選択肢はないのか 1人あたりの生産力が2倍になったら?
©2024 Kyash Inc. 23 組織として勢いをセーブすることは、おそらく当面ない • 生産力が2倍になっても、「じゃあ週休4日にしますか」ということにはならない ◦ 1980年代に週休2日が当たり前になった時のような世の中の変化はいつかは起きるかもしれない •
専門職のプレイヤーとしては、とにかくどう適応し続けるかを楽しんで考えていくほうがいい ◦ 組織の方針として決める話であり、個々人でどうこう言っても仕方がない ◦ 手段と目的が入れ替わってしまっているように感じるかもしれないが、意識的に手段を目的化して取り組む べきレベルの変化と捉えている ホシイネ!
©2024 Kyash Inc. 24 その上で、加速しすぎに対しては“禅"のような気持ちでバランスをとる • 余白のないほどの忙しさからクリエイティブな発想は生まれない ◦ 新しいことにチャレンジする時間にあててもいいかもしれない •
AIの出力結果を先に見るのではなく、自分の脳を経て出力するプロセスも大事 ◦ ブログ記事や登壇資料、候補者へのスカウト文の作成あたりは特にそう ▪ 思考の速度を下げて考えていく中での気づくことがたくさんある ◦ このプロセスをAIに渡しすぎてはいけないような感覚がある ▪ もちろん情報収集や推敲などには最大限利用すべき
©2024 Kyash Inc. 25 AIで浮いた時間は、 “禅" に使う A I で
浮 い た 時 間 で 何 を す る ? 余 白 味 わ い 心 を 磨 く 「浮いた時間は、生産力を上げる以外のことに 使い、自分の心と感性を磨いていくことで、長 期的に見れば生産力にもよい影響を与える」 の意
©2024 Kyash Inc. ©2024 Kyash Inc. まとめ 26 26
©2024 Kyash Inc. 27 まとめ 1. 学び深めて AIと歩む 2. 問いを磨いて
答え導く 3. 余白味わい 心を磨く 実は新しいことはない。 AIによって顕在化が加速しただけで、今までと本質的な課題や取り組み方は変わらない。 専門職が学び続けるのは当たり前だし、ビルドトラップにハマらないようにするのは今も昔も一緒。 適応しながら“愚直”にやっていくしかない―― プロとして―――
©2024 Kyash Inc. “ ” 28 これらの下の句はAIが考えたでしょうか? AIだとしたら、AIが考えるべきだったんでしょうか? さいごに
©2024 Kyash Inc. さいごに もしかしたら、そこにこそ「何をする?」の 本当の答えがあるのかもしれません 29
©2024 Kyash Inc. ©2024 Kyash Inc. 30 30 ありがとうございました!
©2024 Kyash Inc. 31 Kyashはサーバーサイドエンジニアを求めています!! ダイジ!! Go Conference 2025 にもブロンズスポンサーとして参加しています!
自分が毎日使えるサービスを、AIもフル活用しながら自分の手で良くしていきませんか?
©2024 Kyash Inc. 32 アンケートのご協力をお願いします! 3問での簡単な内容です!気軽にご回答いただけるとありがたいです! https://forms.gle/Z5mQ9igDNRDatMTo7
©2024 Kyash Inc. 33 参考記事・資料・本 • AIによる開発高速化で作り出した時間は新機能開発でなくユーザー理解に使おう : shibayu=san ◦
https://blog.shibayu36.org/entry/2025/07/07/100000 ◦ AIで高速化してできた余白をどう使っていくべきかという雑談からshibayuさんの考えをまとめたとても素晴らしい記事 ◦ 「どこに時間を使うべきか強く意識しておきたい」というビルドトラップ防止にもつながる言葉が特によい • AI時代のソフトウェア開発を考える(2025/07版) : t-wada=san ◦ https://speakerdeck.com/twada/agentic-software-engineering-findy-2025-07-edition ◦ AIとの開発の現在地から本質的な課題の理解、スタンスなどの話をまとめたとても素晴らしい資料 ◦ 「問題の構造は変わらず、圧倒的に顕在化が早まっただけ」、伴走と委託のモードといった整理が特に秀逸 • エンジニアリングマネージャーのロードマップ エンジニアリングマネジメントの4次元と生成AI時代の戦い方 : hirokidaichi=san ◦ https://hirokidaichi.github.io/presentation/emconf.html#68 ◦ EMにかぎらずエンジニアがどういうスタンスでAIと付き合っていけばよいかがまとまっている素晴らしい資料 ◦ 「すべてのエンジニアは、AIをメンバーに持つエンジニアリングマネージャになる」 の言葉が特に秀逸 • プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける : Melissa Perri (著) / ryuzee=san (翻訳) ◦ https://www.amazon.co.jp/dp/4873119251 ◦ ビルドトラップにハマらず顧客に価値を届けるプロダクトマネジメントが学べる素晴らしい本 • 今はまだ生成AIに自分の文章を書かせたくない : songmu=san ◦ https://blog.song.mu/entry/cautious-attitude-toward-generative-ai ◦ 生成AIで文章を書くことはできるが、そこはあえて使わないという現時点でのスタンスをとった素晴らしい記事 ◦ 「人類が自分を見失わないこと、人生を楽しむこと、未来の可能性を信じる事、そういった根源的な哲学が大事」とい締めが特に秀逸 アリガトウ!