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20220611_NPO学会 データを活用したふくしの未来

 20220611_NPO学会 データを活用したふくしの未来

■データ活用における市民社会組織の役割Part II
 〜市民社会組織のデータ・リテラシー向上によるエンパワメントに向けて〜

【パネルのねらいと論点】
市民社会組織は、現場の活動や様々なステークホルダーの声を聞く中で、日常的に生きた情報に接しており、言語化や可視化されていないものも含めて、質量ともに豊かな情報を有している。市民社会の持っている当事者に関する生の情報を、一般にもわかりやすくデータ化・指標化することにより、取り残されがちな人々の状況を当事者目線から伝え、社会の理解を広げることが可能になり、当事者の立場に立った取り組みの創出につながっていくことが考えられる。
昨年の本大会のパネルセッションにおいて、私たちは、オープンデータの時代の市民社会組織の役割として、既存の公開データの市民社会的な翻訳と見える化を挙げ、多様性や持続可能性から読み解いたデータのビジュアライゼーションやそれによって促進される参加やアクションについて、北米のコミュニティ指標に関する取り組みや日本の黒部や静岡における参加型のローカル指標づくりの事例を紹介しながら議論した。
今回の本パネルでは、データをめぐる市民社会組織の役割として、既存データの解釈や可視化による市民参加の促進という昨年の議論を一歩進めて、市民社会組織による、当事者発のデータ・指標づくりについて、その意義や可能性について考えてみたい。
データや指標にはそれぞれに目的や背景があり、作成側の意図や立場が反映されているはずである。行政統計や民間のオープンデータが、行政の役割や方向性、民間企業の戦略のもとにつくられ表現されているとするなら、それらの中で汲みとりきれていなかったり、捨象したりしている、現場でしかわからない情報や当事者の願いを、掬い上げ社会に示していく役割が、市民社会組織にはあるのではないだろうか。現場の活動の中で言葉として蓄積されている情報をまとめ、わかりやすい形で伝えていくことは、現場で当事者に寄り添っている市民社会組織だからこそできることであるとともに、現場の声を根拠にした活動の展開は、市民社会組織の市民性の担保にもつながるものと思われる。
一方で、現場で蓄積されているナラティブな情報を当事者目線でデータ化・指標化するためには、一定程度のデータに関する知識が必要になるだろう。印象としては、 市民社会組織のデータリテラシーのレベルには非常にばらつきがあり、概して、データよりは共感、統計よりは目の前の人という志向が強いように感じられる。
本パネルでは、そのような業界全体の傾向の中でも、 データや指標を活用して、取り残されがちな人々への 社会の理解を進めたり、事業を創出・改善したりしている事例を紹介し、その意図や取り組みのポイント、成果などについて掘り下げる中で、今後、現場の声をデータや指標として活用していくための課題や展望について議論してみたい。今後、データや指標を、市民社会組織のエンパワーメントにつなげていくために必要な、市民社会組織向けのデータリテラシー向上のための研修や、データを扱うプロである研究者や学会との連携の仕組みづくりについても議論できればと考えている。
【パネリスト】
岡島 克樹(おかじま かつき)
大阪大谷大学人間社会学部 教授、国際子ども権利センター(C-Rights)副代表理事、関西NGO協議会 理事
専門は開発学(フィールドはカンボジア)で,人権基盤型アプローチや,地方分権と住民参加の関係について研究。著書は,『SDGsと人権 Q&A: 地域・学校・企業から考える』(共編著,2021年)ほか
村木 真紀(むらき まき)
認定NPO法人虹色ダイバーシティ代表(理事長)
茨城県出身、京都大学総合人間学部卒業、社会保険労務士、日系大手製造業、外資系コンサルティング会社等を経て現職。LGBTQ当事者としての実感とコンサルタントとしての経験を活かしてLGBTQと職場に関する調査、講演活動を行なっている。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2016チェンジメーカー賞」受賞。
小柴 徳明(こしば のりあき)
黒部市社会福祉協議会 総務課課長補佐 経営戦略係
2003年黒部市社会福祉協議会に入社。法人の基盤強化、経営中長期ビジョンの策定、シンクタンク事業の立ち上げなどに取り組む。地域福祉分野におけるICT利活用、社会参加や地域の見える化などに尽力中。情報通信研究機構(NICT)ソーシャルICTシステム研究室協力研究員。
長谷川 雅子(はせがわ まさこ)=モデレーター
一般財団法人CSO ネットワーク事務局長・理事
横浜市役所、公益社団法人アジア協会アジア友の会等を経て、2010年CSOネットワーク入職、2019年10月より現職。横浜市立大学非常勤講師。大阪大学国際公共政策研究科博士課程修了(国際公共政策博士)。

noriaki_koshiba

June 11, 2022
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Transcript

  1. EBPM VS 勘と経験値 両方持ち備えたら最強説! EBPM 勘・経験 EBPM 勘・経験 総務的には… 現場的には…

    ・財源確保 ・費用対効果 ・政策立案 ・今すぐの助け ・誰一人取り残さない ・現場の忙しさ (社協あるある構造) EBPM passion
  2. 5 【仕 事】 ◦社会福祉法人黒部市社会福祉協議会 総務課長補佐 経営戦略係 〇一般社団法人SMARTふくしラボ 研究員/プロジェクトマネージャー ◦国立研究開発法人情報通信研究機構 ソーシャルICTシステム研究室

    協力研究員 〇一般財団法人CSOネットワーク リサーチフェロー 【志 事】 ◦NPO法人明日育(あすいく) ◦LINEWORKSアンバサダー 〇CI-labo(community indicators labo)
  3. 3705 5760 3092 2759 6399 5273 2329 3384 2109 1039

    452 406 189 665 967 2178 1525 2484 1096 968 2346 2172 787 1219 734 372 301 196 87 279 390 763 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 生地 石田 田家 村椿 大布施 三日市 前沢 荻生 若栗 東布施 宇奈月 内山 音沢 愛本 下立 浦山 黒部市地区別人口・世帯数 2021.3.31現在 人口 世帯 人口:40,321人 65歳以上の人口12,924人 高齢化率32.1% R4.5.31現在
  4. 10 ICTや新しい技術革新を活かした地域福祉の推進へ shakyo3.0 スマート社協3.0構想 【ビジネスチャット】 コミュニケーションツールで働く人がより働きやすくする。 【地域福祉分野におけるICT利活用実証実験】 支援する人が支援しやすい環境づくり ICTリテラシーが低い、後期高齢者を支える 官民協働のプラットフォーム

    ※国立研究開発法人情報通信研究機構、株式会 社日新システムズ、黒部市社協の三者協定 【LINE botによる相談窓口】 相談のハードルを下げ、早くからの リーチをつなげるしくみ将来的な 情報発信のキーとなるしくみ 【ふくしDX】 業務効率改善を行い福祉 現場での人材不足を解消 民間企業との共同研究PJ 【5goals for 黒部】 市民に分かりやすく伝え、みんな の目指すべきgoalを示す。 【個人活動の可視化】 社会にどう貢献したか、自分自身の活動 ログが見えるようにする。 【ふくしDXの推進基盤】 社団法人を立ち上げふくし全体のデジタ ル化、DX推進を図る組織の立ち上げ。 【SW-MaaSの開発】 トヨタモビリティ基金と福祉版移動シェア サービスの研究開発 一般社団法人 SMARTふくしラボの設立 福祉版移動シェアサービス SW-MaaS Social welfare Mobility as a service
  5. EBPM VS 勘と経験値 両方持ち備えたら最強説! EBPM 勘・経験 EBPM 勘・経験 総務的には… 現場的には…

    ・財源確保 ・費用対効果 ・政策立案 ・今すぐの助け ・誰一人取り残さない ・現場の忙しさ (社協あるある構造) EBPM passion
  6. 01.活動人口をふやそう ・市民の地域活動への参加度 ・地域への関心度 ・活動のマッチング度 02.話すことから始めよう ・学ぶ機会の充実度 ・集い度 ・ICTの利活用度 03.すべての人々に福祉 を

    ・福祉への理解度 ・気づく力度 ・身近な支え度 04.U-40代の力を活か そう ・参加の機会の充実度 ・福祉/社会教育の充実度 ・スポット(注目)度 05.パートナーシップで目 標を達成しよう ・連携度 ・助け合い度 18 指標の算出
  7. 19 Social‐welfare indicator ゴール 指標 指標を構成するデータ(仮) 1.活動人口を増やそう 1-①小さな地域で出番を増やす 市民の地域活動への参加度 ①

    地区公民館の利用者数、部屋の稼働率 1-②住民主体の意識を育てる 市民の地域活動への参加度 ② 民生委員児童委員の改選期における充足率 1-③世代間交流事業に取り組む 市民の地域活動への参加度 ③ 市民の地域活動への参加割合 地域への関心度 ④ 黒部市社会福祉協議会HP訪問者数 地域への関心度 ⑤ 広報誌「福祉くろべ」の既読割合 活動のマッチング度 ⑥ ボランティア、地域活動の募集に対する参加人数 活動のマッチング度 ⑦ 地域イベントにおける世代間交流プログラム数 ※黄色は、先行指標として採用するもの
  8. 29

  9. 仮説:「気づけば人は動く」 みんな良くしようと思っている。 【活動】 場、プラットフォーム 【地域】 地域の現状や課題 【しくみ】 市民参加の指標づくり 見える化 WEBサイト「5goals

    for黒部」 https://5goalsforkurobe.com/ 共感/意識/行動変容を生み出す 課題や現状の見える化 プラットフォームの見える化 活動の見える化 仮説:「知れば人は動く」 何が出来るのかが分からないだけ。 仮説:「人は主体性を持ちたい」 自分たちでまちをつくる楽しさがある。 目標(指標)の見える化 議論の見える化 推進評価の見える化 データの見える化 データ利活用 (情報をデータに)
  10. 36

  11. 37

  12. 38

  13. 39

  14. 43 Code for Japan シビックテックオンラインアカデミー#17 https://hackmd.io/@codeforjapan/BJ3IEJMZE/% 2F9MTizEIITiOO1TFMGm5vdA?type=book YouTube https://youtu.be/L8qy-YDJfQw 黒部市社会福祉協議会HP

    http://www.kurobesw.com/ シンクタンク報告書・広報誌がダウンロードできます。 社会福祉法人 黒部市社会福祉協議会 [email protected] 質問・疑問なんでもどうぞ。