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PMBOK 予算と実績について

PMBOK 予算と実績について

PMBOKをベースとしたプロジェクト予算の組み立て方、実績についてをまとめています。

プロジェクト予算を作る際、あるいはこれから作ろうと思っている方や実績計上の目的を知りたい方向けに参考になれば幸いです。

Masashi Kutsuna

April 10, 2020
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Transcript

  1. 費用対効果の例 毎月作成する月次レポートには、手作業で各システムからデータをかき集めなければならない。また、各システムのデータフォーマッ トがバラバラのため別々に加工する処理が必要。四人が一週間張り付きで作業している。 人時間費用 2,800円 × 8(h) × 5(日) ×

    4(人) = 448,000円 これをボタン一つで作成できる仕組みを作成しようとした場合、開発後のランニング費用が0と仮定して、 4,480,000円で開発完了できた場合:回収までの所要月数 10ヶ月 44,800,000円で開発完了できた場合:回収までの所要月数 100ヶ月 といった形になります。回収までに100ヶ月かかってしまう場合、連携先システムのリプレースがその間に入るので、それの回収にま たコストをかけるとさらに回収期間が伸びる、といった問題も考慮しつつ妥当な予算が設定されます。
  2. 予算を把握したアクション • 予算を把握しないエンジニア ◦ 予定されたスケジュールの2倍時間がかかったけど、まぁできたから大丈夫か。 ◦ 作業途中でコミットも忘れて作業放棄しちゃったけど、他メンバーが対応してくれたみたいだからい いか。 • 予算を把握しているエンジニア

    ◦ 予定されたスケジュールの2倍くらい時間がかかりそうだから、リーダーに相談しよう。 ◦ 作業途中だけど、割り込みが入った。途中まではできているから別メンバーに引き継いで続きをお 願いしよう。 ◦ 予定工数の1.2倍程度で予算で計画されているよりも倍の効果が得られる方法を思いついた。リー ダーに提案してみよう。 目的を高いレベルで理解しているからこそできる、能動的なアクション
  3. プロジェクトの確実性と予算作成難易度の関係 No. プロジェクトの例 概要 難易度 1 運用改善機能開発 すでに定められた仕様のもとに、運用コスト圧縮を目的に進められるプロジェクト(あ るいはタスク)。仕様のブレはほぼない。 低

    2 新規機能開発 すでに運用されているサービスに対して、さらなる付加価値を提供するために行われ るプロジェクト。既存仕様との折り合いの調整は必要なものの、大きくその仕様から逸 脱することはないため仕様のブレはほぼない。 低 3 既存システム リプレース リプレース時にどのような新しい付加価値を求めるのか、あるいは既存仕様をそのま ま焼き直すのかの条件によって不確実性に変動はあるものの、ベースとする仕様あ るいは運用があるため仕様を早期に固めることは可能。 中 4 新規サービス開発 新しいビジネスを展開するためのシステムを作る。ビジネス要件は刻々と変化してい くため、確定した仕様がないところからスタートする。あるいは、一度確定した仕様も 大きく変わる可能性がある。 高 予算はプロジェクトゴール達成までの道のりの不確実性に応じて相応のリスクが伴います。 今回はここ
  4. 予算の組み立て 見積もれる程度に不確実性が解消されたタイミングから予算の組み立てが開始されます。予算は一度組んだら終わるものではなく、必要に応じてプロジェクトの途 中で何度でも行います。システム開発の場合その開発費の大半が人件費のため、人件費を積み上げるところから始まります。 No. 工程 概要 成果物 0 ビジネス計画 新規ビジネスによって、どれくらいの売上がどれくらいのタイミングで得られるかの目標を作る。

    ビジネス計画書、投資回収計画書等 1 スコープ定義 検証したい仮説を評価するために必要な開発機能、範囲、目標とするクオリティなどを決定する。 スコープ定義書、MVP、機能一覧等 2 スケジュール計画 スコープの中に定めた開発物をどのようなタイミングでどこからリリースしていくかの計画を作成します。 ロードマッププラン、スケジュール計画書 3 体制計画 スコープで定めた開発物を作成する上で、必要と判断される体制規模、チーム構成などを決定します。 体制図 4 利用技術選定 計画に定められたシステムを実現するために利用すべき技術、サービスの選定を行います。 アーキテクチャプラン、選定技術一覧等 候補技術比較レポート 5 月別人員配置計画 単位は月である必要性はありませんが、時期ごとの人員の配置計画を決定します。これにより、プロジェクト完了 までにどれくらいのスキルのエンジニアが何名規模で必要かを整理します。 月別人員配置計画 6 リスク分析 ゴール達成のまでに見舞われるであろう想定可能なリスクについてすべて洗い出し、そのリスクが顕在化した場合 の対策案についてもまとめておく。調達リスク、契約上のリスク、特許侵害リスク等 課題一覧等 ※) 0〜6を何サイクルか回して予算が確定していく。
  5. EOP