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231016kyoso

minamizaki
October 16, 2023

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  1. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University ⾃⼰紹介 3 20年間⾞の研究をしていますが

    ⾞の免許を持っていません 運転できないからこそ⾃分事として 「地域公共交通」を考えています  名前:井原(武末)雄人  所属:早稲田大学 スマート社会技術融合研究機構 電動車両研究所 客員准教授  :合同会社ビジュアライト 共同代表  :一般社団法人日本バス情報協会 監事  :東のIT嫌いといえば私のこと  これまでの研究開発プロジェクト  :電動車両の開発・実証(東京都、奈良県、本庄市、長野市、川崎市、周南市など)  :コミュニティ交通などの導入(瀬戸市、沼津市、小田原市、大井町、南三陸町など)
  2. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 建前は3本柱だから。。。らしい 5 

    地域公共交通の需要減少は交通事業者の経営努力のみで解決できない  自動運転やMaaSなどのデジタル技術の実装「交通DX」  車両電動化や再エネ地産地消など「交通GX」  ①官民、②交通事業者間、③他分野との「3つの共創」による関係者との連携と協働 により  利便性・持続可能性・生産性を高め地域公共交通の再構築(リ・デザイン)を推進 この事業では ここが注目 されがちだけど ホントに高まるの?
  3. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University CASE/MaaSの位置づけ 6 Connected

    Autonomous Shared/Service Electric  電気自動車、プラグインハイブ リッド自動車、燃料電池自動車  モータ・バッテリにより走行し、走 行時のCO2排出を削減  自動/自律運転、先進運転支援  各種センサより周辺環境を把握 し、システム(自動)による渋滞 の解消や安全な運転を実現  コネクティッドカー、繋がる車  インターネット経由でリアルタイ ムにデータ通信を行い、快適性 や安全性を向上  カーシェアリングやライドシェア(ライドヘイリング・カープリング)による車両の共有  従来の買い切りの車両販売からサブスクリプション形式による販売への転換  公共交通等の他の移動手段と組み合わせて、新たなモビリティサービスの導入 Mobility as a Service  脱炭素の推進や所有から共有の価値観の変化により、自動車技術も変革が求められている。  これらに対応するための技術として、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリン グとサービス)、Electric(電動化)の開発がなされ、さらに都市全体の変革を目的としたMobility as a Serviceの概念が提 唱されて、100年に1度のモビリティ革命といわれる。
  4. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 新しいモビリティサービス(束ねる+増やす) 7 新しいサービスを「増やす」

    サービス同⼠を「束ねる」 Mobility as a Service 新型輸送サービス  多様化する移動ニーズに対応するためには、MaaSによる個々の事業者によるサービスを束ねることに加えて、様々な 特性を持つ新型輸送サービスを増やすことが重要 グリーンスローモビリティ 自動運転 (AI)オンデマンド交通 超小型モビリティ  交通空白地域や多様な移動 ニーズがある地域での活用  狭い路地の大都市の密集地 域での活用  高齢化が進む地方部や観光 地での活用  ラストワンマイルの輸送と運 転手不足への対応 レベル4 政策の統合 レベル3 事業の統合 レベル2 決済の統合 レベル1 情報の統合 オプション 目的の統合  異なる事業者のルート・ダイヤ・運賃等の情報を 統合し、マルチモーダルなルート検索サービス  ルート検索時に検索・予約・決済までを統合した プラットフォームによるサービス  交通に加えて、移動先での宿泊・観光・飲食など のサービスと統合することで新たな価値の共創  MaaSの導入による社会システムの変革  渋滞や車両の所有からの脱却し、空間の確保に よる新たな都市計画  統合した料金体系を設定し、事業者・交通モード を渡るサブスクリプション(定額制)の実施
  5. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 自動運転 定時定路線 (ダイヤ・ルートの決まった輸送)

    オンデマンド輸送 (需要に合わせた輸送) バス 混同しがちな移動の仕組みの分類 8 タクシー 送迎バス スクールバス 路線バス 自家用車 ←個別輸送 【輸送密度】 大量輸送→ ← 不 特 定 〖 利 用 者 〗 特 定 → 乗り物の違い 走らせ方の違い 利用の仕方の違い グリーンスロー モビリティ 乗合タクシー コミュニティバス 超小型EV 鉄道 路面電車 LRT BRT シェアリング パーソナル モビリティ
  6. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 実態はこうではなかろうか(画像はイメージです) 9 悪徳

    こんさる企業 善良な 自治体職員 AIデマンド⾃動運転 グリスロでMaaSをや れば全て解決します︕ 良く分からないけど 市⻑が新しもの好き だからやってみるか
  7. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University やってみたけど上⼿く⾏かない 10 移動のニーズ(⽬的・時間・頻度)は

    把握したはずなのに上⼿く⾏かなかった 移動する時に 「何を求めているか(価値観)」が ミスマッチになってしまっている
  8. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University バスサービスにみる⽴場によって異なる求める価値 12 利用者

    運転手 交通 事業者 自治体 車両 メーカー 機器 メーカー 国 研究機関 運賃低減 低炭素 安全・安心 雇用の増加 運行コスト低減 乗客増 定時制 乗りやすさ・乗り心地 稼働率 ホスピタリティ まちづくりへの貢献 CSR 車両コスト低減 イノベーションの創出 車両に 求める価値 旅客サービスに 求める価値 運行することでの 新たな価値 事業者による 自立的な運行 販売 販売 支援 支援 雇用 利用 委託 支援 共同研究 共同 研究 関係者 価値の対象 共同研究 共同研究 地域活性
  9. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 多様な価値の分類と相反 環境性 安全性

    経済性 利便性 CO2削減 排ガス削減 乗り心地 静穏性 振動軽減 加速度軽減 冷暖房 匂い 車内 車外 イニシャル ランニング 運賃 メンテナンス 燃費 車両価格 補助金 従量 初乗 保険 運転方法 車両条件 乗車環境 車体 燃料 安全運転 運転支援 走行時 乗降時 車速 社会的受容性 時間 運行サービス 稼働率 車速 接客 案内 速達性 航続距離 充填電時間 定時性 分類間で相反する価値  環境性を確保すると経済性・利便性は悪化する  電気自動車はCO2は排出しないが高くて走らない  経済性を確保すると安全性・利便性は悪化する  安全や車両性能に掛けられるコストが減る 同一項目で相反する価値  同じ「車速」という項目  安全性においては、遅いことで安全性が高まる  利便性においては、速いことが求められる
  10. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University (価値が満たされる=満⾜)は時間によって変わる 14 不満足

    満足 サービスの 充足 サービスの 不充足 一元的品質 魅力的品質 当たり前品質  自動運転による新しい移動手段は魅力的  最初は魅力的でも、途中から当たり前に なってしまうものもある  公共交通は安全で当たり前  不充足であるうちは満足度は低く、充足し ても満足とはならない
  11. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University そもそも「何を求めているか」は ⼈によってバラバラ 15

    価値観が⽴場や時間によって 変わっていくことは分かった AIオンデマンド⾃動運転グリスロMaaSで 「全て」解決なんてことはない
  12. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University グリーンスローモビリティを選ばなかった瀬⼾市菱野団地の事例 16 商店街

    大型 スーパー 名鉄バス バス停 名鉄バス バス停 集会所 公民館 尾 張 瀬 戸 駅 公民館 ⼊居当時は歩けた500mが歩けなくなり公共交通空⽩地域が拡⼤  名鉄瀬戸線(尾張瀬戸駅・新瀬戸駅)からの 市内基幹バス、名古屋市内(名鉄バスセン ター、藤が丘)からの広域基幹バスなど49便 /日の路線バス  平均利用者数400人/日程度と利用客の多 い黒字路線  団地内のどこからでも500m以内にバス停 にアクセスでき、集会所・公民館などはバス 停の近くに設置  八幡台、原山台、萩山台で構成され、台=丘 を切り崩して造成したため坂道が多い  入居開始から40年が経過し、急速に高齢化 が進行した結果、徒歩可能圏が縮小
  13. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 住⺠バスの運⾏ダイヤと⾛⾏ルート 17 走行ルート

    名鉄バスへの乗り換え のためのダイヤ 外周部だけでなく坂道の 多い団地内も走行 名鉄バスとバス停 の設置場所を共用 外周部は自由乗降 運行ダイヤ 路線バスへのフィーダー路線を⾃治会が主体となった「住⺠バス」として運⾏
  14. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University グリーンスローモビリティとハイエースで実証試験 18 運転説明会

    住民説明会 運行車両① 運行車両② 笑顔な車内の様子 運転手との意見交換会
  15. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 0.0% 10.0% 20.0%

    30.0% 40.0% -0.400 -0.200 0.000 0.200 0.400 800万円/台 400万円/台 60万円/年 120万円/年 なし あり なし あり 低振動 普通 20㎞/h 40km/h 車両価格 運行費用 CO2排出 空調 乗り心地 車速 重要度 効用値 ⾞両選択における価値の⽐較 19 グリスロ ハイエース 800万/台 400万/台 導入費用 60万円/年 120万円/年 運行費用 なし あり CO2 排出 なし あり 排ガス 低振動 普通 乗り心地 20km/h 40km/h 車速 D車 C車 B車 A車 800万/台 800万/台 400万/台 400万/台 導入費用 60万円/年 120万/年 60万円/年 120万/年 運行費用 なし あり なし あり CO2 排出 あり なし あり なし 排ガス 普通 低振動 普通 低振動 乗り心地 なし あり なし あり 車速  ベースとなる車両条件を基に、項目を任意 に設定した架空車両を例示し、それぞれの 魅力度を5段階で比較 毎日使う生活交通では コストが重要 CO2削減は良いこと だけど重要ではない 早く移動でき ることも重要
  16. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University ハイエースで本格運⾏開始 20 0

    2 4 6 8 10 12 4⽉ 5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉ 12⽉ 1⽉ 2⽉ 3⽉ 平均乗⾞⼈数 ⼈/便 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
  17. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 逆に受容すれば導⼊できる(かもしれない)境町 21 NAVYA

    ARMA https://www.macnica.co.jp/business/maas/products/133978/ https://kurukura.jp/next-mobility/201222-70.html 利⽤側が制約条件を受容すれば 現状の技術でも運⾏可能
  18. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University そしてここに戻る 23 悪徳

    こんさる企業 善良な 自治体職員 AIデマンド⾃動運転 グリスロでMaaSをや れば全て解決します︕ 良く分からないけど 市⻑が新しもの好き だからやってみるか それで私たちの やりたいことは 達成できますか︖
  19. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University やりたいことを⾔葉にするのは難しい 24 ⾃動運転の実証試験をやりたいのですが相談にのってもらえませんか︖

    何のために⾃動運転をやるのですか︖ (さすがに市⻑がやれと⾔っているとは⾔えない) 先進的な取り組みをしてバスの利⽤者を増やすためです︕ ⾃動運転をやったら利⽤者は増えるのですか︖ やってみないと分からないで、とにかくやりたいんです
  20. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University やってみた結果。何も分からない。 25 自動運転バスの満足度

    自動運転バスの利用意向  自動運転の評価ではなく、自動運転を用いた バスサービスの評価。  利用意向の把握には役立つかもしれないが、 普通のバスでも良い。  満足の基準は人それぞれ、自動運転の「何」に満 足しているのか分からない。  そもそも「満足」したからといって、乗るとは限ら ない。 ⼤変満⾜ 満⾜ 普通 不満⾜ ⼤変不満⾜ 8割の⼈が満⾜ ⼤成功︕ 毎⽇利⽤する 週に1回程度利⽤する ⽉に1回程度利⽤する 利⽤しない 分からない 多くの利⽤意向 「⾃動運転こそ」必要︕
  21. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University プロデューサーの役割 26 悪徳

    こんさる企業 善良な 自治体職員 AIデマンド⾃動運転 GSMでMaaSをやれ ば全て解決します︕ それで私たちの やりたいことは 達成できますか︖ 通訳 何をやりたいのか 通訳 何ができるのか 通訳 通訳
  22. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University ⼤学の先⽣が全てできるわけではない(栃⽊県) 27 

    バスデータ等の情報収集、データ作成、データを 活⽤したサービス企画、バスロケーションサービ ス、オープンデータに関する事業  ⺠間・⾏政のアドバイザー、 GTFS等の公共交通 データ作成研修での講師、全国各地における講演 等を実施。
  23. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 実証試験はなぜ失敗しないのか 28 技術実証

    社会実証 社会実装  バスが、どんな条件でもい いので自動で走行する  1日でも、1㎞でも、公道上 で走れれば成功  開発されたシステムが、地 域の中で使えるかの実証  短期間の実証では使い続け られるか分からない  バスが走行することに加え て、コスト・安全性などを含 め地域が受容する  使いづづけられて成功  バスが、今と同じ条件(ダイ ヤ等)で自動で走行する  今のバスと同じ使い方がで きれば成功 技術側がやりたい実証と地域がやりたい実証のミスマッチをなくそう  開発されたシステムが、技術 的に動作するかの実証  必ずしも地域に必要な技術 とは限らない ⾃動運転バスの導⼊に当てはめてみると・・・・  開発されたシステムが、地域 の中で使い続けられるか  コスト・安全性などを含め地 域が受容できるものとなる
  24. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University まとめ 29 地域に合わせた技術を選べば

    公共交通の利便性・持続可能性・⽣産性は⾼まります メーカ・コンサルにお願い 地域がどうなりたいか を考え、言葉にして それに必要な技術を選んでください 自治体にお願い そのための橋渡し役もプロデューサーの役割です 技術の紹介ではなく 技術で地域がどう変わるのか を教えてください
  25. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University レポート 32 交通DXまたはGXが⾏われると

    地域の何が良くなるかを記しなさい 文章でなくても構いません。以下の3点をを記載してください 何を実現したら 地域公共交通がどう変わり 地域の何が良くなるか DX.GXの総論でなくても、「自動運転が実現すると・・・」でOK