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kurashinoashi-kyoso

minamizaki
December 02, 2023

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  1. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University ⾃⼰紹介 2 20年間⾞の研究をしていますが

    ⾞の免許を持っていません 運転できないからこそ⾃分事として 「地域公共交通」を考えています  名前:井原(武末)雄人  所属:早稲田大学 スマート社会技術融合研究機構 電動車両研究所 客員准教授  :合同会社ビジュアライト 共同代表  :一般社団法人日本バス情報協会 監事  :公共交通マーケティング研究会 幹事  これまでの研究開発プロジェクト  :電動車両の開発・実証(東京都、奈良県、本庄市、長野市、川崎市、周南市など)  :コミュニティ交通などの導入(瀬戸市、沼津市、気仙沼市、大井町、南三陸町など)
  2. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 地域公共交通関連の法制度の変遷 3 規制緩和の法制度から公共交通の維持(活性化・再⽣)へと転換

    2000年2月 :貸切バス事業、国内航空運送事業の規制緩和 2000年3月 :鉄道旅客事業の規制緩和 2000年10月 :国内旅客船事業の規制緩和 2002年2月 :乗合バス事業・タクシー事業の規制緩和 2007年10月 :地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の施行 2011年4月 :地域公共交通確保維持改善事業の創設 2013年1月 :交通政策基本法の施行 2014年11月 :法改正(地域公共交通網形成計画、再編実施計画) 2020年11月 :法改正(地域公共交通計画、輸送資源の総動員) 2023年10月 :地域交通法(連携・協働(共創)によるリ・デザイン) 各種事業の規制緩和の推進 地域公共交通活性化のための 計画・⽀援制度 需給調整規制を廃止し、新規参入規制を最低限にとどめ、サービスの質・量は交通事業者に委ねる 「地域」が主体となって地域公共交通の最適な在り方を検討し、幅広い主体が連携して取り組む
  3. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 道路運送法による運⾏主体と地域交通法による公共交通 4 運行形態

    運行形態 道路運送法上の扱い 利用者 運行主体 区分 運賃 路線を定めて定時運行 路線定期運行 一般乗合旅客自動車 運送事業 制限なし 交通 事業者者 事業用 緑ナン バー 有償 路線を定めて予約に応じて運行 路線不定期運行 運行区域を定め予約に応じて運行 区域運行 一個の契約により定員10人以下の 自動車を貸し切って運行 タクシー 一般乗用旅客自動車 運送事業 一個の契約により定員11人以上の 自動車を貸し切って運行 貸切バス 一般貸切旅客自動車 運送事業 地域住民を対象に自治体が輸送 交通空白地有償運送 自家用有償旅客運送 地域住民 来訪する者 市町村 NPO 自治会 など 自家用 白ナン バー 協議会で合意された会員を輸送 協議会で合意された移動制約者を輸送 福祉有償運送 登録した会員 自治体の車両による無償輸送 高齢者向け:福祉バス 小中学生:スクールバス など 対象外 地域住民 市町村 無償 住民同士の互助による輸送 住民等 NPOなど 従来の 公共交通 法改正で 広がった 公共交通 輸送資源の総動員 (共創の一部)の対象
  4. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 地域公共交通の再構築(リ・デザイン) 5 

    地域公共交通の需要減少は交通事業者の経営努 力や自治体からの赤字補填だけでは維持できない 交通DX 3つの共創 交通GX  自動運転  AIオンデマンド  キャッシュレス決済  車両の電動化  充電/填・貯蔵施設の整備  エリア一括協定運行  上下分離、公設民営  独禁法除外による共同経営  地域・まちづくり連携  再エネの地産地消  エネルギーマネジメント  MaaS  シェアリング  自動運転やMaaSなどのデジタル技術の実装や データの活用による「交通DX」  車両電動化や再エネの地産地消を含めたエネル ギーマネジメントによる「交通GX」  関係者との連携と協働による①官民、②交通事 業者間、③他分野との「3つの共創」 国土交通省,地域公共交通の「リ・デザイン」最終とりまとめより作成, https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo12_hh_000324.html  目的地に移動するための旅客サービスから、 安全・安心で暮らしやすく、魅力的な地域を作 るための基盤的サービスへの転換 利便性・⽣産性・持続可能性を⾼め地域公共交通の再構築(リ・デザイン)を推進
  5. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 法改正における地域関係者の連携と協働による共創の促進 6 法律の目的

    国の努力義務 計画への記載項目 ⾃治体・公共交通事業者・地域の多様な主体等の「地域の関係者」の「連携と協働」 関係者相互間の連携と協働の促進 地域の関係者相互間の連携 エリア一括協定運行事業 鉄道・バスの公設民営や上下分 離 等 独禁法適用除外による共同経営 MaaSを活用した交通モードを越 えたサービスの提供 等 地域経営における住宅・教育・農 業・医療・介護・エネルギー等と の事業連携や地域経済循環 住宅 × 交通 教育 × 交通 農業 × 交通 エネルギー × 交通 官⺠の共創 事業者間の共創 他分野との共創 3つの共創 医療 × 交通
  6. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University エリア⼀括協定運⾏事業(官⺠の共創) 7 国土交通省,令和5年度予算大臣折衝について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001579722.pdf

     路線バス事業等は、主に民間の交通事業者が主体となり、行政が運行サービスに対して赤字補填を行い維持。  路線維持に効果がある一方、事業改善インセンティブの課題や利用者減少局面における赤字拡大等、持続可能性に懸念。  地域の協議会における議論を踏まえ、自治体と交通事業者と の間でサービス水準(運賃、路線、運行回数)、自治体の費用負 担、官民の役割分担等を内容とした協定を締結  自治体は、事業者に対し当該運行に対する「交通サービス購入 費用」としての対価を支払い、事業者は協定に基づき複数年に わたり運行  国は、事業初年度に事業期間全体の支援額を明示し、期間を 通じて予算面で支援。  メリット①:コンパクト・プラス・ネットワークを高質化・多様化  メリット②:地域全体としての中長期的な経営戦略が可能  メリット③:ネットワークの統合により生産性を向上  メリット④:事業者と自治体が連携して地域交通を改善する インセンティブを付与 自治体と交通事業者が協定を締結し、一定のエリアにつ いて一括して運行する事業に対する補助制度を創設 様々な交通モードの非 効率に重複 現状 路線バス(コミュニティ バス)への統合(混乗) ネットワークの統合 公的支出の長期安定化 事業者の動機付け エリア一括長期運行 路線バス コミュニティバス 福祉バス 企業送迎バス デマンド交通 スクールバス 鉄道 自治体 路線バス 鉄道
  7. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 独占禁⽌法の適⽤除外の概要(事業者間の共創) 8 ①運賃・料金の設定

    共同経営の認可のプロセス  定額運賃、通し運賃 等  法定協議会等へ意見聴取の上で、事業者間で「協定」の締結と「共同経営計画」の作成を行い、国土交通大臣に申請  公正取引委員会と協議を行い、サービス提供の維持や利用者に利益が生じる恐れがないか等の基準に適合するときに認可 B地域 C地域 A地域 乗換拠点 (待合施設等) 駅前 A事業者 B事業者 A事業者 B事業者 定額300円 通し200円  地域の基盤的サービスを提供する乗合バス事業者が他の交通事業者(バスに限らない)と連携した取組により、経営力の強化・生産性 の向上等を図り、将来にわたってサービスの提供の維持するため、共同経営(カルテル)に関する独占禁止法の特例等を定める。 ②路線等の共同・分担運行 ③運行回数・時刻の設定  ハブ&スポーク型のネットワーク 再編、中心部のループバス 等  等間隔運行、パターンダイヤ 等 ゾーン単位で定額運賃 異なる事業者で通し運賃 競合路線を整理し 共同・分担運行 複数事業者でのダイヤ間隔を調整 循環路線
  8. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 他分野との共創 9 

    習い事への送迎手段を確保するため、親同士の助け合いに よる送迎マッチングサービスを構築  許可・登録が不要な輸送として実施(2023年9月より有償 へ移行)。マッチング不成立の場合、タクシー事業者の配車  デイサービス事業所の利用者送迎業務を集約、タクシー協会 ヘ委託することで、デイサービス事業所の送迎負担を軽減  運行のオフピーク時間帯における定量的な業務を確保出来 ることから、配車ニーズに応じた業務受託を実現 「交通」×「教育」(富山県朝日町) 「交通」×「介護」(群馬県前橋市) タクシー事業者 送迎の委託と受託 高齢者の外出支援 定量的業務の依頼 プ口運転手と車の手配 デイサービス 子供を送迎して欲しい人 ついでに送迎できる人 マッチング! 助け合い送迎で習い事へ 習い事教室 新しい移動を⽣み出さなければならないのでなく、今ある移動に対する役割を転換