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モノタロウのAI駆動開発 ~AI駆動開発Conference Spring 2025登壇資料
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June 03, 2025
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モノタロウのAI駆動開発 ~AI駆動開発Conference Spring 2025登壇資料
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June 03, 2025
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Transcript
2025.05.07 モノタロウのAI駆動開発 株式会社MonotaRO 執行役CTO/VPoE 普川 プラットフォームエンジニアリング部門長 香川 AI駆動開発チームリーダー 市原 1
「AIを活用して生産性を非連続に向上する」 これは、私たちモノタロウが本気で目指す未来です。 2 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights
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メンバーの紹介 3 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
目次 1. 会社紹介 2. AI活用全体感 3. AI駆動開発の挑戦 4. 今後の展望 4
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1. 会社紹介 5
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2.AI活用全体感 9
背景と課題 背景 会社の成長が継続しており、業務のスケールは社内では普遍的なイシュー 元々データドリブンの文化があり、データの蓄積、活用の基盤はある データサイエンティストも社内に在籍。10年前から社内でアルゴリズム開発 課題 20年開発し続けたシステムの負債→モダナイゼーションの実施(2022年〜) 社員の増加、組織の拡大とともに社内の情報量が拡大(社員で900名、ソフトウェアエンジニアが 200名前後) 10
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AIに対する認識 インターネットが社会に登場したことに比肩する変革をもたらす 流行や一過性のものではなく、不可逆な変更である 活用方針 「動き落ち着いたら導入」ではなく、恒常的に変更が続くことを前提に導入 小さく始めるではなく、大きく導入、浸透させる、費用対効果は後から検証 トップダウンとボトムアップの両方を駆使し、組織全体への浸透を図る LLMが高速に進化を続けることを前提に、その恩恵を受けられる仕組み体制構築 11 ©
2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
現状の活用状況 toolの導入 Github Copilot → 全員利用中 Curor → 40名程度で試用中 cline → 100名超がアクティブ利用 Devin
→ 現在160人以上の開発者にアカウントを発行,4/1〜4/15で160のPR 開発プロセスへの導入 レガシーシステムの効率的移植方法の確立 開発以外 業務プロセスでの適応 AIエージェントの開発 12 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
ここまでの取り組みサマリー Newへのキャッチアップと組織展開の両者を意識 2023.05 Github Copilot 全社導入 2024.05 Monochat(ChatGPTのSlackbot)アプリを全社導入 2024.10 AI駆動開発プロジェクトの開始
2025.01 Devin,Cursorの利用開始 2025.02 AIトレンドLabo(社内情報共有)の開始 2025.03 各種ツール類を本格的に全チームへ配布 13 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
浸透のためにやっていること 組織への浸透: 社内育成プログラム「DOJO」との連携 AI駆動開発価値探索プログラム ツールをまず使ってみる: 主だったツールを社内でまずは活用してみる。費用対効果は検証してから セキュリティガードレールをいれる 開発プロセスへの適用 システムのモダナイゼーションをAIファースト。変更容易性の高いプログラムがAIにも優しい 社内の標準開発プロセスでのAIの利用を入れていく
14 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
3. AI駆動開発への挑戦 15
モノタロウでは、組織的にAI駆動開発を推進しています。 トップダウン・ボトムアップ・横の連携の組み合わせが効果的なアプローチです。 16 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights
Reserved.
活用・検証中のAIツール群 Devin: 自律型AIソフトウェアエンジニア: 160名以上に配布 Cursor: AIネイティブエディタ: 40名程度で試用中 Cline: VSCode拡張 (OSS):
200名に配布、100名以上がアクティブ利用中 GitHub Copilot: AIペアプログラマー、2023年から全開発者に配布 その他: Gemini, Claude, etc. 社内: LibreChat, MonoChat (Slack Bot) 選定のポイント: 機能、費用対効果、親和性、セキュリティ、開発者体験(DX) 17 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
AI駆動開発推進の全体像 18 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
AI駆動開発推進の組織構造 専門チーム: エンジニアによる推進の中心 探索プログラム: 現場からのボトムアップな学 び エバンジェリスト: 各チームの推進役 チャンピオン: 特に活躍したメンバーを顕彰
19 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
AI駆動開発ツール価値探索プログラム 目的: 開発者が自律的に「触って」 「試して」 「学ぶ」→ AI駆動開発の方法を体得する 仕組み: チェックイン制: Devin/Cline/Cusorなどのツールの利用申請によりプログラムに参加 エバンジェリスト:
各チームから1名以上選出。率先活用&知見共有 チャンピオン: 特に活躍したメンバーを顕彰、PoC中ツールへのアクセス権提供 20 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
AI駆動開発トレンドラボ 生成AIやツールに関する最新情報・社内での活用事例の共有会 "縦"の情報伝達 + "横"の実践知共有 = 組織全体の学習 実績: Devin活用事例、社内MCP(ModelContextProtocol)ツール紹介など 2ヶ月で3回実施、のべ180人以上参加
今後: Cline活用事例、GitHub Copilot Agent Mode機能紹介など予定 21 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
AI駆動開発DOJO(企画中) DOJO (企画中): 全開発者の AI活用リテラシー を底上げ 基本的な使い方やベースラインとなるスキル定義 モノタロウの標準開発スキルへ 22 ©
2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
4. AI開発ツールの導入と現実 23
ここまでがざっくり全体像の説明。ここからより生々しい話をしていきます! 24 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
各ツールの所感(2025.05.07現在) Devin マネージャ・リーダー・PM向け: タスクを細かく分析する能力が必要 タスクを渡せばPRまで行ける一気通貫な体験が魅力 Cline 社内アンケートでは一番人気。使いこなせているユーザーはまだ少ない。テコ入れが必要 大量使用するユーザもいるが、平均するとコストは許容可能なレベル Cursor 速度・補完のレベルでGitHub
Copilotに勝る。 Cursorさえ入れれば全て揃うのも魅力 コスト面で全体に導入すべきか見極めたい GitHub Copilot コスト面で有利。MS社がバックにいる安心感もあり、標準装備として優秀 25 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
モノタロウでは 2025年1月初頭から利用開始。 最初の1週間で23本のPRを作成、費用は$400 程度 2025年4月時点では160名以上、100GitリポジトリがDevinにセットアップされている 26 © 2025 MonotaRO Co.,
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事例:Devinの実績 Pull Request 1ヶ月 で 330本以上 のPRを作成 計測対象リポジトリのPR14%を占める ※ 計測対象は一部リポジトリの
み コスト $4000 (4月) マージ率 約4割 <-> 6割はクローズ 27 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
事例: Devinの活用 CIによる仮実装自動化 gRPC用protobuf更新をトリガーにスタブのバージョンアップタスクを開始 dependabotなどにはできない仮の実装作成まで一発で完了 Devinを利用した調査&壁打ち 現行プログラムの調査と実装案を壁打ち Devinが必要に応じて調査スクリプトを作成 「今まで自分で調査していた時間が浮いて、より高度なことに集中できる様になった」 bqコマンドの導入
データサイエンティストにもアカウント発行 BQコマンドをDevinのVMに導入して分析・アルゴリズム実装支援にチャレンジ中 28 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
Devinへの反応: ポジティブな意見 修正箇所が少ない且つ要件が明確なものは結構精度高く作成してくれます 迷ったら聞いてくれるしPR作成~レビュー指摘対応までやってくれる 調査系のタスクをDevin Searchで実施する場合で精度の高い情報を得られた Devinに仕事をさせている間にほかのことができる コーディングにかけられる時間がなかったところからコーディングを含むタスクができるようになっ た 29
© 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
Devinへの反応: ネガティブな意見 コストが高い 実務で実用レベルの分野が分からなかった。PRも結局自分で作り直した。 想定外の範囲まで作業を進められてしまったり、見当違いの修正が反映されてしまったり チームにジュニアクラスメンバーが多いので、Devinの利用はNGにした 小さなタスクに分解するスキルが重要で、それが難しい 確実にレビュアー側の負担は増えてるためチームとしてはプラマイ0な気がする 30 ©
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Devinへの現在の所感 他プロダクトに比べて、カバーするシステム範囲・既存コードへの親和性が高い 有効に使えば十分に費用対効果を得られそう 使う人を選ぶ。リーダーやマネージャ、シニアエンジニアが活用すると吉 モデルが更に賢くなると、もっと便利になりそう。 コストが高い 31 © 2025 MonotaRO
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Cline AI開発エージェントVSCode拡張 OSSで開発されている生成AIによる開発・CLI実行を可能にするVSCode拡張 OpenAI、Google、Anthropicの他、Hugging FaceやOllamaなどもサポート VSCode上で、AIによるファイルの読み込み、編集、コマンド実行をサポート 32 © 2025 MonotaRO
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モノタロウでは 2025年1月中旬から利用開始 Anthropic API Key を発行して配布 ほとんどが Claude 3.7 Sonnet
を利用 2025年4月末で、200名に配布、100名がアクティブに活用 33 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
Cline のアンケート結果① Q. 自身の生産性が向上した? 34 © 2025 MonotaRO Co., Ltd.
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Cline のアンケート結果② Q. コーディングに集中できる様になった? 35 © 2025 MonotaRO Co., Ltd.
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Clineの利用状況 好評だが、要注意 i. 全体で見るとPR作成数に変化はない ii. 上位2割はPR作成数が3割程度向上 iii. アンケート上では非常に評判が良い 評価は高いが、使いこなし力に格差? 集中できるかどうかは意見が分かれる
コスト $2000 (4月)(Anthropic API Key) Cline破産というワードもあったが...... 36 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
Clineへの反応: ポジティブな意見 アンケートでの圧倒的な指示 公知のモジュールを使ったスクリプトを新規作成するのには有効(体感1w→2d程度の短縮) 非常に便利です 自分で1から調査しつつ実装するより圧倒的に生産性は高い 37 © 2025 MonotaRO
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Clineへの反応: ネガティブな意見 作成されるコードがそのままでは動作しないものが多く、AIの修正だけでは完結できない 結局正しいのかどうかは確認が必要なので認知負荷はあまり変わらない 38 © 2025 MonotaRO Co., Ltd.
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Clineへの現在の所感 「暴走列車」と形容されることもあるが、コーディング体験は随一 Vibe Codingを体験するのに良い教材 コストを心配したが、思ったより安い 実際に効果が出るかどうかは、社内のトレーニングが必要かもしれない。 39 © 2025 MonotaRO
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レガシーコードとAIツールの相性が悪い件 UTF-8しか喋らないので、ShiftJISで書かれたプログラムを破壊する Devinは未対応 Clineは更新パッチがあたった Cursorは対応 古いプラグインが動かない Cursor では古いVSCodeプラグインを入れるのにテクニックがいる EOLな内部向けツールのメンテで苦労する 40
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"攻め" と "守り" の両立:セキュリティ 基本方針: 情報セキュリティのLLMガイドラインを遵守 体制: AI駆動開発チームで導入管理することで中央集権的にマネジメント 考慮点: 情報流出リスク
従来のセキュリティリスク + 学習による流出リスク 今後の懸念 悪意あるプロンプトからの保護 AIエージェントによる特権取得 野良MCPサーバーの乱立防止 方針: リスク・ベネフィットのバランスを取り、ルール・ガードレールを進化させる 41 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
生成AI開発ツールを導入すべき理由 1. 開発生産性の面で成果を出せる可能性が非常に高い 2. 開発チームはAIと協働してプロダクトを作る新しいパラダイムを学ぶ経験が必要 教えず活用できるのは一部のメンバーのみ。経験と学習が必要。 できること・できないことは何か?を知る。モデルが進化すればできることは何か? 3. 導入ハードルは金銭コストのみ、障壁が低いので参入しないことで劣後するリスクがある 42
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今後について 流れが早いので、毎月〜3ヶ月に一回は各ツールの費用対効果・対抗プロダクトの評価が必要 先行導入は積極的に行う 全社展開はタイミングが鍵なので各社のリリースを注意深く見る必要あり 43 © 2025 MonotaRO Co., Ltd.
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5. 開発支援の独自ツール 44
挑戦:AIはレガシーシステムを救えるか? レガシーになってしまった社内システムの移植作業が進行中 課題: "秘伝のタレ"化したレガシーコード ドキュメント不在 実装当時の意図が蒸発... EOLにより旧システムの解析に困難が伴う 膨大な作業量による開発リソースの不足 45 ©
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生成AIによるレガシーシステムの移植支援 アプローチ 1. LLMを活用したリバースエンジニアリング 2. LLMによるコード生成 46 © 2025 MonotaRO
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1. AIによる"秘伝のタレ"解読術 リバースエンジニアリング × LLM ワークフロー: ソースコード → 静的解析 →
中間表現(JSON) → LLM(説明付与) → ドキュメント ポイント: LangGraph でワークフロー化 静的なロジック解析 + LLMの"読解力" (社内用語マッピングも理解!) 効果: 移植時の調査工数 半減 を見込む 47 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
2. "解読"から"創造"へ LLMによるコード生成 入力: 解析ドキュメント + 元ソースコード 出力: 移植先システムのコード HTMLテンプレート生成
APIコード自動生成 単体テストコード生成 効果: 単純・反復作業の 劇的な 工数削減 補足: Devinなどの汎用エージェントも活用しつつ、自前ワークフローも開発中 48 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
6. 今後の展望 49
今後、生成AIはさらに発展していくでしょう。 変化に適応する組織をどのように作るべきでしょうか。 50 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights
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目標:生産効率 100%アップ AIを活用することで、ソフトウェアエンジニアリングにおける生産効率の 100%アップをめざす 51 © 2025 MonotaRO Co., Ltd.
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目標:生産効率 100%アップ AIを活用することで、ソフトウェアエンジニアリングにおける生産効率の 100%アップをめざす 重要な視点は、 「人間がAIを使いこなす」から、 「AIが自律的に価値を生む」 へ。 そのために、組織とプロセスを進化させます。 52
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生産効率 100%アップ 実現への道筋 AIとの共進化 例えば、高性能なロボット掃除機が登場した際、私たちはその能力を最大限活かすために部屋を片付 け、より掃除しやすい環境を整えるといったことをしている AIによるソフトウェアエンジニアリングにおいても、AIの特性を理解し、AIが最も効率的に価値を生 み出せるように、人間が開発プロセスやデータの準備、タスクの分担などを最適化していく必要があ る 53
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AIとの共進化 AIとの共進化とは、つまり 「AIと人間が互いの特性と限界を深く理解し、相互に影響を与え合いながら、そ れぞれの役割、能力、そしてソフトウェア開発のプロセスそのものをダイナミックに変容させていく関係性」 を意味する。 要約すると、 「AIと人とで共に進化し開発プロセスを変え続ける関係」 ということ。 54 ©
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AIとの共進化 具体的な取り組みとして想定していること AIが自律的に品質を担保できるように、テストやCIによる開発のフィードバックループを作成する AIのためのコンテキストとなるドキュメントの整備 などなど 55 © 2025 MonotaRO Co.,
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AIとの共進化 変わらないことと変わること 結局ソフトウェアエンジニアリングのベストプラクティス自体は AI があってもなくてもかわらない。 変更容易性やテスト容易性、ドメイン理解といったソフトウェアエンジニアリングの基礎的な考え方は今後 も重要。 重要なのはこれらすべてを AI を中心としたプロセスに変えていけるか、またそれを前提とした組織に自分
たちが変わっていけるかということ。 これについてはまだまだ正解はみえない。 ではどう達成するのかするのか。 56 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
AIとの共進化のためのモノタロウの戦略 戦略は2つ 1. イノベーションのための実験の大規模な実施 ~ 新しい価値創出への試み ~ 2. 継続的な技術トレンドの追従と適応 ~
変化に対応し続ける力 ~ 57 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
イノベーションのための実験の大規模な実 施 小さな日常的な実験から、プロセスレベルの構造的な実験まで、大規模に仮説検証を行う。 個人の開発生産性をあげる取り組みから、開発プロセスをラディカルに AI ネイティブに変化すると ころまで全エンジニア規模で実験を広く行って有効なパターンを抽出していく。 失敗を恐れずに挑戦し、成功パターンを迅速に組織全体に展開していくことで、イノベーションを加 速する。 モノタロウでの具体的な取り組み
AI駆動開発ツール価値探索プログラム レガシーシステム移植プロジェクト 58 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All Rights Reserved.
継続的な技術トレンドの追従と適応 日進月歩の AI 技術を貪欲に学び、組織に取り込み続ける。 地道な研修などで全エンジニアのAI駆動開発スキルや知識のベースラインを着実にあげていく。 組織全体に着実にAI駆動開発とその考え方を浸透させていく。 モノタロウでの具体的な取り組み トレンドラボでの議論 DOJOでのAI駆動開発研修 59
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AIとの共進化のために大事なこと チェンジマネジメント AI をどうつかうかは当たり前に重要 もっと重要なのは、人と組織が AI の進化の速度についていけるか 実験や、トレンドの追従を組織的に大規模かつ着実に、継続して取り組むことで AIと共進化し続けられる組織になる 60
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AI時代の大きな不可逆の変化のなかで試されているのは 自分たちがいかに迅速かつ柔軟に変化できるか ということ 61 © 2025 MonotaRO Co., Ltd. All
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まとめ モノタロウは、AIを活用することで、ソフトウェアエンジニアリングにおける生産効率の100%アッ プをめざす そのためには「AIとの共進化」が重要 AIとの共進化のために「イノベーションのための実験の大規模な実施」と「継続的なトレンド追従に よる適応」の2つを戦略とする 変化の速いAI技術に対応するには組織的なチェンジマネジメントが必須 実験とトレンド追従を組織的に継続することで、AIとともに進化し続けられる組織になる 本当に試されているのは、私たち自身が変化できるかということ 62
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